乙女要素のある死にゲーに転移してしまった件〜帰還エンドのはずが、様子がおかしい〜

勿夏七

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23章

150.2人の魔族

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 誘導されるがままに正門から入ってしまった私達。
 突然背後から強風が吹き、後ろを振り返る。風と共に消えたのか、魔族2人はいなくなっていた。きっとどこかでまた会うことになるのだろうけれど。
 
 正直、見つからずに裏口から入って、こっそり魔王を倒す。なんてことをしたかったのだが、それは許してもらえないようだ。
 まあ、上空にあった時点で元々望みは薄そうだったが。

「救世主様、僕から離れないでくださいね」

 イナトは寄り添うように近づいてきた。恥ずかしい、というよりも動きづらいと思ってしまった。私には恋愛はやはり難しいようだ。

 気になる城の中なのだが、魔王城らしい厨二感溢れる装飾のオンパレード。ガーゴイルのようなものが蝋燭を持っており、青い炎が揺らめている。青い炎のせいかちょっと薄暗くて見えづらい。
 そして、足元にはレッドカーペット。廊下すべてに敷いているのか、どこまでもカーペットが続いている。ものすごい量だ。
 ルーパルドは私が城内を見渡していたことで、可笑しそうにしている。
 
「ちょっと、救世主さま。今全然関係ないこと考えてたでしょ」
「イメージ通りの城内だなぁと」
「なぜ魔王城の内装のイメージができるんだ」

 ロクは不思議そうに私を見ている。確かにここの普通であればわからないだろう。
 だが、私はいろんなゲームをやっているゲーマーだ。魔王が出るようなゲームであれば、大体魔王城に入る。城内を見る機会はとてつもなく多いのだ。

「それはきっと魔王様に会いによくここへ訪れていたから、だろう!?」
 
 突然また現れたモッカ。まるで私が一部記憶を思い出したかのように喜んでいるが、答えはノーだ。
 そもそもオジーの方を信じるのであれば、あまり良好な関係だったとは言えないだろう。
 
「違うから。私の世界だと魔王を使った物語を描く人が多くいたからなの」
 
 それを聞いて、「ちぇ」とつまらなさそうにするモッカ。すぐにまた姿を消してしまった。
 ただ、この様子だと、どこかでずっとこちらの監視をしているようだ。変なことを言わないように気をつけよう。


 ◇


 幹部と自分で名乗っていた魔族達をあっさりと倒していき、私達は順調に事を進めていた。
 広間に出ると、モッカとビラドゥが2人で待ち構えていた。
 この2人で幹部は最後だろうか。

「もうここまで来たんだ。魔族弱体がやっぱり効いてるね」
「俺達も危うかったりしないか?」
「大丈夫! 俺達は強い!」
「精神論やめろ」

 まるでコントかのようにやり取りをする2人。そんな様子を大人しく見ていたのは、ロク意外。
 ロクはいつの間にか2人の背後を取りナイフを投げた。
 しかしナイフは弾き飛ばされる。加えて驚いた様子もなく、ただ笑みを浮かべるのみ。

「そんなに急かすなよ。俺らは仲良くなりたいだけ」

 モッカはヘラヘラとした表情のまま私達を見た。イナトはその態度が気に食わなかったようで睨んでいる。
 
「そう言ってどれだけの人を殺した?」
「なんて人聞き? いや、魔族だから魔聞き? の悪い奴なんだ! 人間から手を出してきたって言ってもきっと信じないんだろうね」
「そりゃ当たり前だろ。あいつら教科書でそう教え込まれてるんだから」

 それをまるで馬鹿にするかのような言い方。そのせいで、イナトに続いてルーパルドも少しイラッとしているようだ。眉を顰めている。

「会話は必要ない。さっさと終わらせよう」

 ロクはまた数本ナイフを取り出した。イナトもルーパルドも同意して、始まった戦闘。
 4対2だと言うのにモッカもビラドゥも余裕の笑み。魔族弱体を持っていてもこれほどまでに強いとは……。
 
 今のところ攻撃が当たっていない。しかし、私も相手に攻撃を当てられていない。
 これでは消耗戦だ。

「あ、ミスった!」

 ルーパルドはオジーから貰った剣を槍投げと間違えて投げてしまったのだ。だが、その剣はまるで追いかけるかのようにビラドゥの背中を追いかけた。

「動きが気持ち悪ぃ!」
 
 ビラドゥがルーパルドの剣に気を取られている間に私はビラドゥを斬りつけた。だが、すぐに気づいたせいで擦り傷程度。

「よく俺に傷をつけたな。褒めてやるよ」

 ビラドゥに蹴られそうになったところで回避。そのままモッカの方向へと走る。
 まさかくると思っていなかっただろうモッカは驚いた表情を見せたが、すぐにまるでハグを待っているかのように大きく手を広げた。
 そんなモッカを通り過ぎて背後から剣を背中に突き立てた。だが、これもまた少し刺さっただけだ。

「惜しかったね~。胸に飛び込んで懐から刺した方が良かったんじゃないか~?」
「そんなことしたらモッカの思うツボでしょう?」
「お? 俺のことよくわかってるね。魔王様やめて俺と結婚しちゃう?」
「どっちともしないけどっ!」

 近くに寄ろうとしたモッカ。それをクロノダから受け取った剣を振り回して距離を取る。
 その時にモッカはバランスを崩し何かを落とした。

「ロク! 取って!」

 落ちたそれが見覚えのあるもので、思わず私はロクに命令した。ロクは戦っていたのにも関わらず、すぐにそれを拾い上げ私に手渡してくれた。

「ロク、ありがとう。……そりゃあ、強いよね」

 それは魔族弱体のロケット型ペンダントだった。
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