151 / 196
23章
150.2人の魔族
しおりを挟む
誘導されるがままに正門から入ってしまった私達。
突然背後から強風が吹き、後ろを振り返る。風と共に消えたのか、魔族2人はいなくなっていた。きっとどこかでまた会うことになるのだろうけれど。
正直、見つからずに裏口から入って、こっそり魔王を倒す。なんてことをしたかったのだが、それは許してもらえないようだ。
まあ、上空にあった時点で元々望みは薄そうだったが。
「救世主様、僕から離れないでくださいね」
イナトは寄り添うように近づいてきた。恥ずかしい、というよりも動きづらいと思ってしまった。私には恋愛はやはり難しいようだ。
気になる城の中なのだが、魔王城らしい厨二感溢れる装飾のオンパレード。ガーゴイルのようなものが蝋燭を持っており、青い炎が揺らめている。青い炎のせいかちょっと薄暗くて見えづらい。
そして、足元にはレッドカーペット。廊下すべてに敷いているのか、どこまでもカーペットが続いている。ものすごい量だ。
ルーパルドは私が城内を見渡していたことで、可笑しそうにしている。
「ちょっと、救世主さま。今全然関係ないこと考えてたでしょ」
「イメージ通りの城内だなぁと」
「なぜ魔王城の内装のイメージができるんだ」
ロクは不思議そうに私を見ている。確かにここの普通であればわからないだろう。
だが、私はいろんなゲームをやっているゲーマーだ。魔王が出るようなゲームであれば、大体魔王城に入る。城内を見る機会はとてつもなく多いのだ。
「それはきっと魔王様に会いによくここへ訪れていたから、だろう!?」
突然また現れたモッカ。まるで私が一部記憶を思い出したかのように喜んでいるが、答えはノーだ。
そもそもオジーの方を信じるのであれば、あまり良好な関係だったとは言えないだろう。
「違うから。私の世界だと魔王を使った物語を描く人が多くいたからなの」
それを聞いて、「ちぇ」とつまらなさそうにするモッカ。すぐにまた姿を消してしまった。
ただ、この様子だと、どこかでずっとこちらの監視をしているようだ。変なことを言わないように気をつけよう。
◇
幹部と自分で名乗っていた魔族達をあっさりと倒していき、私達は順調に事を進めていた。
広間に出ると、モッカとビラドゥが2人で待ち構えていた。
この2人で幹部は最後だろうか。
「もうここまで来たんだ。魔族弱体がやっぱり効いてるね」
「俺達も危うかったりしないか?」
「大丈夫! 俺達は強い!」
「精神論やめろ」
まるでコントかのようにやり取りをする2人。そんな様子を大人しく見ていたのは、ロク意外。
ロクはいつの間にか2人の背後を取りナイフを投げた。
しかしナイフは弾き飛ばされる。加えて驚いた様子もなく、ただ笑みを浮かべるのみ。
「そんなに急かすなよ。俺らは仲良くなりたいだけ」
モッカはヘラヘラとした表情のまま私達を見た。イナトはその態度が気に食わなかったようで睨んでいる。
「そう言ってどれだけの人を殺した?」
「なんて人聞き? いや、魔族だから魔聞き? の悪い奴なんだ! 人間から手を出してきたって言ってもきっと信じないんだろうね」
「そりゃ当たり前だろ。あいつら教科書でそう教え込まれてるんだから」
それをまるで馬鹿にするかのような言い方。そのせいで、イナトに続いてルーパルドも少しイラッとしているようだ。眉を顰めている。
「会話は必要ない。さっさと終わらせよう」
ロクはまた数本ナイフを取り出した。イナトもルーパルドも同意して、始まった戦闘。
4対2だと言うのにモッカもビラドゥも余裕の笑み。魔族弱体を持っていてもこれほどまでに強いとは……。
今のところ攻撃が当たっていない。しかし、私も相手に攻撃を当てられていない。
これでは消耗戦だ。
「あ、ミスった!」
ルーパルドはオジーから貰った剣を槍投げと間違えて投げてしまったのだ。だが、その剣はまるで追いかけるかのようにビラドゥの背中を追いかけた。
「動きが気持ち悪ぃ!」
ビラドゥがルーパルドの剣に気を取られている間に私はビラドゥを斬りつけた。だが、すぐに気づいたせいで擦り傷程度。
「よく俺に傷をつけたな。褒めてやるよ」
ビラドゥに蹴られそうになったところで回避。そのままモッカの方向へと走る。
まさかくると思っていなかっただろうモッカは驚いた表情を見せたが、すぐにまるでハグを待っているかのように大きく手を広げた。
そんなモッカを通り過ぎて背後から剣を背中に突き立てた。だが、これもまた少し刺さっただけだ。
「惜しかったね~。胸に飛び込んで懐から刺した方が良かったんじゃないか~?」
「そんなことしたらモッカの思うツボでしょう?」
「お? 俺のことよくわかってるね。魔王様やめて俺と結婚しちゃう?」
「どっちともしないけどっ!」
近くに寄ろうとしたモッカ。それをクロノダから受け取った剣を振り回して距離を取る。
その時にモッカはバランスを崩し何かを落とした。
「ロク! 取って!」
落ちたそれが見覚えのあるもので、思わず私はロクに命令した。ロクは戦っていたのにも関わらず、すぐにそれを拾い上げ私に手渡してくれた。
「ロク、ありがとう。……そりゃあ、強いよね」
それは魔族弱体のロケット型ペンダントだった。
突然背後から強風が吹き、後ろを振り返る。風と共に消えたのか、魔族2人はいなくなっていた。きっとどこかでまた会うことになるのだろうけれど。
正直、見つからずに裏口から入って、こっそり魔王を倒す。なんてことをしたかったのだが、それは許してもらえないようだ。
まあ、上空にあった時点で元々望みは薄そうだったが。
「救世主様、僕から離れないでくださいね」
イナトは寄り添うように近づいてきた。恥ずかしい、というよりも動きづらいと思ってしまった。私には恋愛はやはり難しいようだ。
気になる城の中なのだが、魔王城らしい厨二感溢れる装飾のオンパレード。ガーゴイルのようなものが蝋燭を持っており、青い炎が揺らめている。青い炎のせいかちょっと薄暗くて見えづらい。
そして、足元にはレッドカーペット。廊下すべてに敷いているのか、どこまでもカーペットが続いている。ものすごい量だ。
ルーパルドは私が城内を見渡していたことで、可笑しそうにしている。
「ちょっと、救世主さま。今全然関係ないこと考えてたでしょ」
「イメージ通りの城内だなぁと」
「なぜ魔王城の内装のイメージができるんだ」
ロクは不思議そうに私を見ている。確かにここの普通であればわからないだろう。
だが、私はいろんなゲームをやっているゲーマーだ。魔王が出るようなゲームであれば、大体魔王城に入る。城内を見る機会はとてつもなく多いのだ。
「それはきっと魔王様に会いによくここへ訪れていたから、だろう!?」
突然また現れたモッカ。まるで私が一部記憶を思い出したかのように喜んでいるが、答えはノーだ。
そもそもオジーの方を信じるのであれば、あまり良好な関係だったとは言えないだろう。
「違うから。私の世界だと魔王を使った物語を描く人が多くいたからなの」
それを聞いて、「ちぇ」とつまらなさそうにするモッカ。すぐにまた姿を消してしまった。
ただ、この様子だと、どこかでずっとこちらの監視をしているようだ。変なことを言わないように気をつけよう。
◇
幹部と自分で名乗っていた魔族達をあっさりと倒していき、私達は順調に事を進めていた。
広間に出ると、モッカとビラドゥが2人で待ち構えていた。
この2人で幹部は最後だろうか。
「もうここまで来たんだ。魔族弱体がやっぱり効いてるね」
「俺達も危うかったりしないか?」
「大丈夫! 俺達は強い!」
「精神論やめろ」
まるでコントかのようにやり取りをする2人。そんな様子を大人しく見ていたのは、ロク意外。
ロクはいつの間にか2人の背後を取りナイフを投げた。
しかしナイフは弾き飛ばされる。加えて驚いた様子もなく、ただ笑みを浮かべるのみ。
「そんなに急かすなよ。俺らは仲良くなりたいだけ」
モッカはヘラヘラとした表情のまま私達を見た。イナトはその態度が気に食わなかったようで睨んでいる。
「そう言ってどれだけの人を殺した?」
「なんて人聞き? いや、魔族だから魔聞き? の悪い奴なんだ! 人間から手を出してきたって言ってもきっと信じないんだろうね」
「そりゃ当たり前だろ。あいつら教科書でそう教え込まれてるんだから」
それをまるで馬鹿にするかのような言い方。そのせいで、イナトに続いてルーパルドも少しイラッとしているようだ。眉を顰めている。
「会話は必要ない。さっさと終わらせよう」
ロクはまた数本ナイフを取り出した。イナトもルーパルドも同意して、始まった戦闘。
4対2だと言うのにモッカもビラドゥも余裕の笑み。魔族弱体を持っていてもこれほどまでに強いとは……。
今のところ攻撃が当たっていない。しかし、私も相手に攻撃を当てられていない。
これでは消耗戦だ。
「あ、ミスった!」
ルーパルドはオジーから貰った剣を槍投げと間違えて投げてしまったのだ。だが、その剣はまるで追いかけるかのようにビラドゥの背中を追いかけた。
「動きが気持ち悪ぃ!」
ビラドゥがルーパルドの剣に気を取られている間に私はビラドゥを斬りつけた。だが、すぐに気づいたせいで擦り傷程度。
「よく俺に傷をつけたな。褒めてやるよ」
ビラドゥに蹴られそうになったところで回避。そのままモッカの方向へと走る。
まさかくると思っていなかっただろうモッカは驚いた表情を見せたが、すぐにまるでハグを待っているかのように大きく手を広げた。
そんなモッカを通り過ぎて背後から剣を背中に突き立てた。だが、これもまた少し刺さっただけだ。
「惜しかったね~。胸に飛び込んで懐から刺した方が良かったんじゃないか~?」
「そんなことしたらモッカの思うツボでしょう?」
「お? 俺のことよくわかってるね。魔王様やめて俺と結婚しちゃう?」
「どっちともしないけどっ!」
近くに寄ろうとしたモッカ。それをクロノダから受け取った剣を振り回して距離を取る。
その時にモッカはバランスを崩し何かを落とした。
「ロク! 取って!」
落ちたそれが見覚えのあるもので、思わず私はロクに命令した。ロクは戦っていたのにも関わらず、すぐにそれを拾い上げ私に手渡してくれた。
「ロク、ありがとう。……そりゃあ、強いよね」
それは魔族弱体のロケット型ペンダントだった。
0
あなたにおすすめの小説
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜
楠ノ木雫
恋愛
病院に入院中だった私、奥村菖は知らず知らずに異世界へ続く穴に落っこちていたらしく、目が覚めたら知らない屋敷のベッドにいた。倒れていた菖を保護してくれたのはこの国の公爵家。彼女達からは、地球には帰れないと言われてしまった。
病気を患っている私はこのままでは死んでしまうのではないだろうかと悟ってしまったその時、いきなり目の前に〝妖精〟が現れた。その妖精達が持っていたものは幻の薬草と呼ばれるもので、自分の病気が治る事が発覚。治療を始めてどんどん元気になった。
元気になり、この国の公爵家にも歓迎されて。だから、恩返しの為に現代の知識をフル活用して頑張って元気に生きたいと思います!
でも、あれ? この世界には私の知る食材はないはずなのに、どうして食事にこの四角くて白い〝コレ〟が出てきたの……!?
※他の投稿サイトにも掲載しています。
騎士団寮のシングルマザー
古森きり
恋愛
夫と離婚し、実家へ帰る駅への道。
突然突っ込んできた車に死を覚悟した歩美。
しかし、目を覚ますとそこは森の中。
異世界に聖女として召喚された幼い娘、真美の為に、歩美の奮闘が今、始まる!
……と、意気込んだものの全く家事が出来ない歩美の明日はどっちだ!?
※ノベルアップ+様(読み直し改稿ナッシング先行公開)にも掲載しましたが、カクヨムさん(は改稿・完結済みです)、小説家になろうさん、アルファポリスさんは改稿したものを掲載しています。
※割と鬱展開多いのでご注意ください。作者はあんまり鬱展開だと思ってませんけども。
勘違いで嫁ぎましたが、相手が理想の筋肉でした!
エス
恋愛
「男性の魅力は筋肉ですわっ!!」
華奢な男がもてはやされるこの国で、そう豪語する侯爵令嬢テレーゼ。
縁談はことごとく破談し、兄アルベルトも王太子ユリウスも頭を抱えていた。
そんな折、騎士団長ヴォルフがユリウスの元に「若い女性を紹介してほしい」と相談に現れる。
よく見ればこの男──家柄よし、部下からの信頼厚し、そして何より、圧巻の筋肉!!
「この男しかいない!」とユリウスは即断し、テレーゼとの結婚話を進める。
ところがテレーゼが嫁いだ先で、当のヴォルフは、
「俺は……メイドを紹介してほしかったんだが!?」
と何やら焦っていて。
……まあ細かいことはいいでしょう。
なにせ、その腕、その太もも、その背中。
最高の筋肉ですもの! この結婚、全力で続行させていただきますわ!!
女性不慣れな不器用騎士団長 × 筋肉フェチ令嬢。
誤解から始まる、すれ違いだらけの新婚生活、いざスタート!
※他サイトに投稿したものを、改稿しています。
異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜
京
恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。
右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。
そんな乙女ゲームのようなお話。
【完結】タジタジ騎士公爵様は妖精を溺愛する
雨香
恋愛
【完結済】美醜の感覚のズレた異世界に落ちたリリがスパダリイケメン達に溺愛されていく。
ヒーロー大好きな主人公と、どう受け止めていいかわからないヒーローのもだもだ話です。
「シェイド様、大好き!!」
「〜〜〜〜っっっ!!???」
逆ハーレム風の過保護な溺愛を楽しんで頂ければ。
黒騎士団の娼婦
星森
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。
異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。
頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。
煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。
誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。
「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」
※本作はAIとの共同制作作品です。
※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
氷のメイドが辞職を伝えたらご主人様が何度も一緒にお出かけするようになりました
まさかの
恋愛
「結婚しようかと思います」
あまり表情に出ない氷のメイドとして噂されるサラサの一言が家族団欒としていた空気をぶち壊した。
ただそれは田舎に戻って結婚相手を探すというだけのことだった。
それに安心した伯爵の奥様が伯爵家の一人息子のオックスが成人するまでの一年間は残ってほしいという頼みを受け、いつものようにオックスのお世話をするサラサ。
するとどうしてかオックスは真面目に勉強を始め、社会勉強と評してサラサと一緒に何度もお出かけをするようになった。
好みの宝石を聞かれたり、ドレスを着せられたり、さらには何度も自分の好きな料理を食べさせてもらったりしながらも、あくまでも社会勉強と言い続けるオックス。
二人の甘酸っぱい日々と夫婦になるまでの物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる