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第二章 二回目の学園生活
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しおりを挟む王妃が後押しをしてくれたのもあり、国王は肩を落としながらも、二つの書類に承認をした。
確実に手続きに回った書類をそわそわと見届けて、受理書を貰う。受理書とは、『こういう手続きが完了しました』という証明書。
これを受け取って、ようやくリスティアは息を吐ける、その時だった。
「リスティア!?」
「……っ!」
余裕をなくしたマルセルクが、肩で息をしながら駆けてきたのだ。その顔はいつに無く真っ青に、血の気が引いている。
「あれ、マル様だあ、どうしたの~?」
フィルが呑気に駆け寄るも、マルセルクは一瞥もしなかった。彼の子を妊娠しているかもしれない身体を、フィルは体当たりするように抱きつきにいった。
喜ぶのだろう、と思いきや、マルセルクはそれどころではないらしい。その視界にはリスティアだけが入っているようだった。
「何故、何故だっ……!リスティア、婚約は……っ!?」
「それは、フィルさんから聞いてください。『さぷらいず』らしいので」
「あっ、言っちゃだめだよ~!ふふっ、マル様、それはあとでのお楽し……」
「違う!ちがうちがうちがう!側近の話を聞いた!リスティア、お前との婚約を解消すると……!嘘だろう!?そんな、私との婚約を、お前が、無くすなんて……」
リスティアは両肩を掴まれて、揺さぶられる。い、痛い!
マルセルクの腕には、無視されて頬を膨らませたフィルがぶら下がっているのに、全く気にする余裕すらないらしい。
(……流石に、王太子になれないと気付いて動揺してる?)
愛しているはずのフィルを見向きもしないマルセルクに、リスティアは訝しみながらも渋々口を開く。
「……そこまで知っておられるのなら、話しますが。今この時、殿下と私との婚約は解消されています。本当なら、パーティーでお伝えする予定だったようですよ。愛するフィルさんと婚姻出来るのです。お喜び頂けるかと思いましたが……」
「そんな……っ!そんなはずはない!私は何度も伝えただろう!お前を愛していると!フィルは単なる処理係だ!愛のカケラもないんだ!!」
「は……え?ま、マル、さま……?」
「来い!」
マルセルクはリスティアの腕を掴み、フィルの首根っこを乱雑に引き摺り、驚異的な力で部屋へと入っていく。
マルセルクの鬼の形相を見て、慌てた側近二人も一緒に。
チェチェが、リスティアの肩にしがみ付いている。その温もりで、冷静さをほんの少し取り戻す。
(チェチェ……、し、しっかりしなくちゃ。殿下は、一体何を……)
部屋に入ったマルセルクは、ようやくリスティアを離し、唐突に声を荒げた。
「お前ら、脱げ」
「え……」
「命令だ!脱げ!」
アルファの威嚇が、側近二人に向けられた。リスティアもその余波を受けて、腰が抜ける……!
「リスティアはそこで見ておけ」
「な、何を……殿下」
リスティアの問いには答えず、マルセルクは呆然とした様子のフィルの服を引き裂き、裸に剥いた。
その鳩尾あたりには、この異様な場に不釣り合いなほど美しい月下美人の花が、ちょこんと咲いていた。
マルセルクの本気度を目の当たりにした側近らも、顔を青くして、服を脱ぐ。当たり前だが、彼らの息子は小さく縮こまっていた。
「いつも通りに、交われ。オラッ!」
※次回、食事中注意です。
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