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第11話 焔を以って毒を制す
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エシラは新たな魔術は開花させ、テウォンに爽快な一撃を食らわせる。
この世界において、魔力を籠めた拳で相手を殴ると、通常よりも威力が強くなる。ゲームで言う〝クリティカル〟と同じだ。その対策は、体を魔力で包むことだ。
しかし、彼女の【まっくろなうで】は魔力に強く干渉できる。故に、魔力で体を防御していると逆にクリティカルが出てしまう。
「あ、あががぁ……⁉」
彼は何が起こったのかまだ脳が理解できていないといった具合で、頭の上で雛が踊っている。
「りょうしゅ、ここはわたしたちにまかせて。はやくメイドさんのとこにいってあげて」
「……それが最適解か。感謝する。このエスターテ家の名に懸け、事が終わった時に恩を返す。だから必ず勝ってくれ」
「…………。うん。まかせて。あとでいろいろききたいし」
青い焔が噴き出る右目で一瞬領主を見つめると、エシラは一瞬の沈黙の後に一息吐く。
彼女の言葉に後押しされ、領主は窓から飛び出してこの豪邸を後にする。
「ぐ、ぎ、貴様ァ……! こんなことが、許されていいわけがありません‼」
『それはオイラ達のセリフだ。魔導書持ってるからって、勝手にしすぎなんだよ』
「テウォン、あなたは……いいや、おまえ。ぜったいにゆるさないから」
ようやく自分に何が起こったのかを理解できて立ち上がるテウォンは、キッとエシラを睨む。
「良いサンプルだと思っていましたが、撤回します。貴女はもう、ワタシの敵です……‼」
「うん、そうだね。だから、ぞんぶんにころしあおうね」
「後悔しても遅いですよ! 【紫糸累々】‼」
テウォンは紫色の糸を指先から放出し、蜘蛛の巣のように逃げ場のない攻撃を繰り出す。
机や壺、壁までもが糸で斬り刻まれた。そんな糸の間隙を、持ち前の回避能力で潜り抜ける。
「チィッ、ちょこまかと! 【蛙鳴黒雨】‼」
天井に暗雲が現れ、黒雨が降り始めた。その雨粒は地面を溶かし、触れれば皮膚が爛れるであろう代物だ。
いくら回避力が高いエシラだからと言って、この雨を避けることはできない。
……以前のエシラだったらその通りだ。
今の彼女には、新たに発現した魔術がある。
「よっ、ほっ。っとと」
「あ、雨を全て躱している、だと⁉ あ、ありえません‼」
【ゆがんだひとみ】、その瞳で神羅万象を見通す魔術。
その瞳を通して映し出されている世界には、魔力の軌道をも映っている。極僅かながらも未来視が可能であるため、避けることが可能となっているのだ。
「このままきょりつめる……‼」
黒い雨を避けながら距離を詰めるエシラ。
(エシラとかいう想定外の羽虫……。ですが問題ない! ――【廃角鱗粉】‼
このまき散らされた鱗粉を吸えば、肺がズタボロになって動けなくなり、ワタシの勝利が確定するのですッ‼)
相手に近づけば勝てる。どちらもそう思っていた。
テウォンは零れそうな笑みを押さえ、焦っている顔を張り付けてエシラを誘う。食虫植物の香に連れられた羽虫を待つよう、用心深く。
「……つつぬけだね。アイ! やっちゃって‼」
『あいよぉ! すぅーっ……――わあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛‼』
肩に乗っているアイが肺いっぱいに空気を吸い込む、放出する。
すると、テウォンの周囲で揺蕩っていた鱗粉が吹き飛んでしまった。
「な、なッ⁉ なぜ、トカゲ如きが‼」
「アイだって、わたしといっしょにたんれんしてたからね」
『ゔぁあ……やっぱこれ喉枯れるぅ……。ケホッケホッ、もゔ、むりぃ』
トカゲのアイが魔術を使うことはできなかったが、魔力の放出はできるようになった。
アイの咆哮には魔力が込められており、威力が増した。
魔術の鱗粉に気が付いたのは、エシラが発動させている瞳の魔術だ。その能力の中には〝読心〟もある。
「かくごして……【まっくろなうで】‼」
真っ黒な腕が彼に直撃し、後方に吹き飛んで行く。
改心の一撃のはずだが、エシラは眉を顰めた。
「……てごたえがすくなかった?」
「くく、クヒッ! 貴女の魔術はとても恐ろしい。が、それは魔力や魔術に対してです」
「…………」
テウォンは魔力による身体の防御を解き、クリティカルを防いでいた。
「そしてその瞳の魔術、おそらく未來を予測したり、他者の心を読む代物! さぞ魔力消費量が膨大なのでしょう」
「う……っ‼」
ふぅっと誰かに息を吹かれたように、瞳の青い炎は消える。そして、鼻からは赤い液体が零れ始めた。
これは魔力酔いの初期症状だ。
「ヒヤッとさせられましたが、やはり救いの糸はいつだってワタシに垂れ下がってくださるのです‼」
「ケホッ……まだおわって――」
「おっと、そこはワタシは手で触れた場所なので発動しますよ。【毒針地獄】がね」
次の瞬間、エシラの足の感覚がなくなる。
自分の足を見てみると、辛うじて突き刺さるのは避けられたものの、針が肌を掠っていた。
「っ! う、うごけない……‼」
「この毒針に仕込まれているのは神経毒。今は足だけですが、次第に全身が動かなくなるでしょう。
ですが、それだけではワタシの気が済みません。スライムのようにドロドロになってもらいますよ。【爪滲蛇牙】」
テウォンの爪が伸び、猛禽類のようなものになる。
ゆっくりと距離を詰め、その間にも全身に毒が回って身動きが取れなくなってゆく。
エシラの目の前までやってきて、その長く伸びた爪を彼女の瞳へと向かわせていった。
(もうかたほうのめがさされたら、ふだんからなにもみえなくなっちゃう……‼)
『ァ……ェ、シラァ……‼』
アイの咆哮も、あと少しだけインターバルが必要。
絶体絶命なその時、エシラが瞬間的に移動した。
「ぜぇ……ぜぇ……。エシラ、お前が戦ってくれたおかげで、こっちの毒が少し弱まったぜ……‼」
「ファミュ⁉」
毒を食らって倒れ込んでいた、誘拐犯の一人――妹思いのファミュが立ち上がり、間一髪のところで救出したのだ。
「チッ。気がそれてあちらの毒が弱まりましたか。ですが……弱った貴方が今更何ができるというのですかッ‼」
「俺だけだぁ? なに勘違いしてんだ。俺だけじゃあねぇぞ」
再びその爪が襲い掛かるが、今度はガキンッ! と剣で弾かれる。
「全身穴だらけで痛いのよ! でも……私の仲間とエシラちゃんに手は出させないわ……‼」
「リヤンも……!」
「――俺のことも忘れないで貰いたい。【ネストバレット】‼」
テウォンに紫色の弾丸が射出され、身動きが取れないように四肢が固定された。
その弾丸を放ったのは、最後の一人――デディである。
「な、これは……ワタシの糸から作り出された魔術⁉」
テウォンの出した【紫糸累々】という毒糸の魔術。
それをデディは素材として使い、相手を拘束する弾丸の魔術として放ってテウォンを拘束する。
「ですが、今毒の効果を強くしました! 誰一人として動けまい! この糸をほどくのも時間の問題! 勝ちました‼」
『そゔ、だな。ここにいる人間は動けない……人間を除けば、オイラがいる……‼』
「は……トカゲ……⁉」
エシラの背後にはトカゲのアイが大きく息を吸い込み――放つ。
『わあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛‼‼』
「わわっ⁉」
エシラの身体は宙に浮き、テウォン一直線に吹き飛んで行く。
彼女の体は、彼の毒の影響でもう動かすことができない。もはや、目も真っ赤で何も見えていない。
ただし、魔術の発動は可能だ。
「く、くるなぁ‼ 【百足夜行】‼ 【海月ノ宴】‼」
「なにもみえない、まっくら……。だけど、みなきゃ……! 【ゆがんだひとみ】‼」
巨大なムカデと、クラゲの触手が目の前に立ちはだかった。
テウォンの正確な位置を【ゆがんだひとみ】で確認し、次いで魔術を発動させる。
(タールおじさんは、「自分の魔力量を確認するのが大事」っていってた。
いまのわたしは、すごくまりょくがすくない……。だから、じゃぐちをこわしてもだいじょーぶ‼)
タールの言葉を思い出し、体の内側で暴れ回るバケモノを引っ張り出すべく、魔力の蛇口を壊す。
「まりょく、ぜんかいほう……【まっくろなうで】っ‼‼」
あの日、あの夜に見た悪魔のような巨大な腕が再び顕現する。
エシラのこの腕は、ありとあらゆる魔術を無効化できるがゆえに、神経毒で動かせない……なんてことはなかった。
「ま、待ってくれ! そうです! 優秀な助手としてワタシに仕えることを許可します‼ ワタシほどの権力があれば好きなことして生きていけます‼ だからその拳をワタシに近づけるなぁあああああ‼‼」
ムカデと触手を全て腕で引き千切り、床に座り込むテウォンの姿が見える。
エシラのこの姿を見て恐れ慄いたのか、ズボンの黒い染みがみるみる広がっていた。
「あなたのこころのなか、ずっとみてた。すくいようがないクズだった。だから――おもいっきり、ぶんなぐれる‼‼」
「もっ、もうしません‼ だから……やめろぉおおおおおおおおお‼‼」
エシラの拳はテウォンに直撃し、壁もろとも破壊する。
轟音が轟いた後、静寂があたりを包んだ。砂煙が明けるとそこには、白目を剥いて地にひれ伏すテウォンの姿がエシラの目に飛び込む。
その光景は、彼女の勝利を表していた。
「か、かて、た……――」
限界まで集中して魔力を使い、毒も食らっている。
彼女が気絶するのも、無理はない話であった。
この世界において、魔力を籠めた拳で相手を殴ると、通常よりも威力が強くなる。ゲームで言う〝クリティカル〟と同じだ。その対策は、体を魔力で包むことだ。
しかし、彼女の【まっくろなうで】は魔力に強く干渉できる。故に、魔力で体を防御していると逆にクリティカルが出てしまう。
「あ、あががぁ……⁉」
彼は何が起こったのかまだ脳が理解できていないといった具合で、頭の上で雛が踊っている。
「りょうしゅ、ここはわたしたちにまかせて。はやくメイドさんのとこにいってあげて」
「……それが最適解か。感謝する。このエスターテ家の名に懸け、事が終わった時に恩を返す。だから必ず勝ってくれ」
「…………。うん。まかせて。あとでいろいろききたいし」
青い焔が噴き出る右目で一瞬領主を見つめると、エシラは一瞬の沈黙の後に一息吐く。
彼女の言葉に後押しされ、領主は窓から飛び出してこの豪邸を後にする。
「ぐ、ぎ、貴様ァ……! こんなことが、許されていいわけがありません‼」
『それはオイラ達のセリフだ。魔導書持ってるからって、勝手にしすぎなんだよ』
「テウォン、あなたは……いいや、おまえ。ぜったいにゆるさないから」
ようやく自分に何が起こったのかを理解できて立ち上がるテウォンは、キッとエシラを睨む。
「良いサンプルだと思っていましたが、撤回します。貴女はもう、ワタシの敵です……‼」
「うん、そうだね。だから、ぞんぶんにころしあおうね」
「後悔しても遅いですよ! 【紫糸累々】‼」
テウォンは紫色の糸を指先から放出し、蜘蛛の巣のように逃げ場のない攻撃を繰り出す。
机や壺、壁までもが糸で斬り刻まれた。そんな糸の間隙を、持ち前の回避能力で潜り抜ける。
「チィッ、ちょこまかと! 【蛙鳴黒雨】‼」
天井に暗雲が現れ、黒雨が降り始めた。その雨粒は地面を溶かし、触れれば皮膚が爛れるであろう代物だ。
いくら回避力が高いエシラだからと言って、この雨を避けることはできない。
……以前のエシラだったらその通りだ。
今の彼女には、新たに発現した魔術がある。
「よっ、ほっ。っとと」
「あ、雨を全て躱している、だと⁉ あ、ありえません‼」
【ゆがんだひとみ】、その瞳で神羅万象を見通す魔術。
その瞳を通して映し出されている世界には、魔力の軌道をも映っている。極僅かながらも未来視が可能であるため、避けることが可能となっているのだ。
「このままきょりつめる……‼」
黒い雨を避けながら距離を詰めるエシラ。
(エシラとかいう想定外の羽虫……。ですが問題ない! ――【廃角鱗粉】‼
このまき散らされた鱗粉を吸えば、肺がズタボロになって動けなくなり、ワタシの勝利が確定するのですッ‼)
相手に近づけば勝てる。どちらもそう思っていた。
テウォンは零れそうな笑みを押さえ、焦っている顔を張り付けてエシラを誘う。食虫植物の香に連れられた羽虫を待つよう、用心深く。
「……つつぬけだね。アイ! やっちゃって‼」
『あいよぉ! すぅーっ……――わあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛‼』
肩に乗っているアイが肺いっぱいに空気を吸い込む、放出する。
すると、テウォンの周囲で揺蕩っていた鱗粉が吹き飛んでしまった。
「な、なッ⁉ なぜ、トカゲ如きが‼」
「アイだって、わたしといっしょにたんれんしてたからね」
『ゔぁあ……やっぱこれ喉枯れるぅ……。ケホッケホッ、もゔ、むりぃ』
トカゲのアイが魔術を使うことはできなかったが、魔力の放出はできるようになった。
アイの咆哮には魔力が込められており、威力が増した。
魔術の鱗粉に気が付いたのは、エシラが発動させている瞳の魔術だ。その能力の中には〝読心〟もある。
「かくごして……【まっくろなうで】‼」
真っ黒な腕が彼に直撃し、後方に吹き飛んで行く。
改心の一撃のはずだが、エシラは眉を顰めた。
「……てごたえがすくなかった?」
「くく、クヒッ! 貴女の魔術はとても恐ろしい。が、それは魔力や魔術に対してです」
「…………」
テウォンは魔力による身体の防御を解き、クリティカルを防いでいた。
「そしてその瞳の魔術、おそらく未來を予測したり、他者の心を読む代物! さぞ魔力消費量が膨大なのでしょう」
「う……っ‼」
ふぅっと誰かに息を吹かれたように、瞳の青い炎は消える。そして、鼻からは赤い液体が零れ始めた。
これは魔力酔いの初期症状だ。
「ヒヤッとさせられましたが、やはり救いの糸はいつだってワタシに垂れ下がってくださるのです‼」
「ケホッ……まだおわって――」
「おっと、そこはワタシは手で触れた場所なので発動しますよ。【毒針地獄】がね」
次の瞬間、エシラの足の感覚がなくなる。
自分の足を見てみると、辛うじて突き刺さるのは避けられたものの、針が肌を掠っていた。
「っ! う、うごけない……‼」
「この毒針に仕込まれているのは神経毒。今は足だけですが、次第に全身が動かなくなるでしょう。
ですが、それだけではワタシの気が済みません。スライムのようにドロドロになってもらいますよ。【爪滲蛇牙】」
テウォンの爪が伸び、猛禽類のようなものになる。
ゆっくりと距離を詰め、その間にも全身に毒が回って身動きが取れなくなってゆく。
エシラの目の前までやってきて、その長く伸びた爪を彼女の瞳へと向かわせていった。
(もうかたほうのめがさされたら、ふだんからなにもみえなくなっちゃう……‼)
『ァ……ェ、シラァ……‼』
アイの咆哮も、あと少しだけインターバルが必要。
絶体絶命なその時、エシラが瞬間的に移動した。
「ぜぇ……ぜぇ……。エシラ、お前が戦ってくれたおかげで、こっちの毒が少し弱まったぜ……‼」
「ファミュ⁉」
毒を食らって倒れ込んでいた、誘拐犯の一人――妹思いのファミュが立ち上がり、間一髪のところで救出したのだ。
「チッ。気がそれてあちらの毒が弱まりましたか。ですが……弱った貴方が今更何ができるというのですかッ‼」
「俺だけだぁ? なに勘違いしてんだ。俺だけじゃあねぇぞ」
再びその爪が襲い掛かるが、今度はガキンッ! と剣で弾かれる。
「全身穴だらけで痛いのよ! でも……私の仲間とエシラちゃんに手は出させないわ……‼」
「リヤンも……!」
「――俺のことも忘れないで貰いたい。【ネストバレット】‼」
テウォンに紫色の弾丸が射出され、身動きが取れないように四肢が固定された。
その弾丸を放ったのは、最後の一人――デディである。
「な、これは……ワタシの糸から作り出された魔術⁉」
テウォンの出した【紫糸累々】という毒糸の魔術。
それをデディは素材として使い、相手を拘束する弾丸の魔術として放ってテウォンを拘束する。
「ですが、今毒の効果を強くしました! 誰一人として動けまい! この糸をほどくのも時間の問題! 勝ちました‼」
『そゔ、だな。ここにいる人間は動けない……人間を除けば、オイラがいる……‼』
「は……トカゲ……⁉」
エシラの背後にはトカゲのアイが大きく息を吸い込み――放つ。
『わあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛‼‼』
「わわっ⁉」
エシラの身体は宙に浮き、テウォン一直線に吹き飛んで行く。
彼女の体は、彼の毒の影響でもう動かすことができない。もはや、目も真っ赤で何も見えていない。
ただし、魔術の発動は可能だ。
「く、くるなぁ‼ 【百足夜行】‼ 【海月ノ宴】‼」
「なにもみえない、まっくら……。だけど、みなきゃ……! 【ゆがんだひとみ】‼」
巨大なムカデと、クラゲの触手が目の前に立ちはだかった。
テウォンの正確な位置を【ゆがんだひとみ】で確認し、次いで魔術を発動させる。
(タールおじさんは、「自分の魔力量を確認するのが大事」っていってた。
いまのわたしは、すごくまりょくがすくない……。だから、じゃぐちをこわしてもだいじょーぶ‼)
タールの言葉を思い出し、体の内側で暴れ回るバケモノを引っ張り出すべく、魔力の蛇口を壊す。
「まりょく、ぜんかいほう……【まっくろなうで】っ‼‼」
あの日、あの夜に見た悪魔のような巨大な腕が再び顕現する。
エシラのこの腕は、ありとあらゆる魔術を無効化できるがゆえに、神経毒で動かせない……なんてことはなかった。
「ま、待ってくれ! そうです! 優秀な助手としてワタシに仕えることを許可します‼ ワタシほどの権力があれば好きなことして生きていけます‼ だからその拳をワタシに近づけるなぁあああああ‼‼」
ムカデと触手を全て腕で引き千切り、床に座り込むテウォンの姿が見える。
エシラのこの姿を見て恐れ慄いたのか、ズボンの黒い染みがみるみる広がっていた。
「あなたのこころのなか、ずっとみてた。すくいようがないクズだった。だから――おもいっきり、ぶんなぐれる‼‼」
「もっ、もうしません‼ だから……やめろぉおおおおおおおおお‼‼」
エシラの拳はテウォンに直撃し、壁もろとも破壊する。
轟音が轟いた後、静寂があたりを包んだ。砂煙が明けるとそこには、白目を剥いて地にひれ伏すテウォンの姿がエシラの目に飛び込む。
その光景は、彼女の勝利を表していた。
「か、かて、た……――」
限界まで集中して魔力を使い、毒も食らっている。
彼女が気絶するのも、無理はない話であった。
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