転生幼女はお詫びチートで異世界ごーいんぐまいうぇい

高木コン

文字の大きさ
152 / 533
7章

国王情報

しおりを挟む


 グレンは昨日あんなに食べたのに朝ごはんもバッチリ入るらしい。驚きの胃袋に「本来はドラゴンだもんね」と納得せざるを得ない。
 朝ごはんを食べている宿泊客は私達以外に二組しかいなかった。昨日騒いでいた冒険者達も宿泊しているらしいけど、いっぱい飲んでたみたいだしまだまだ起きてはこなさそう。

「お食事中失礼いたします! セナ様にお手紙が届いております」

 食後の果実水を飲んでいると、昨日宿の手配をしてくれた兵士さんがお手紙を届けてくれた。
 見てみるとアーロンさんから。内容は――この街の近くに怪鳥の巣があるということと、もし可能ならば指名依頼を受けて欲しいということ。もちろん断っても構わない。ただ、詳細は冒険者ギルドで聞いて欲しいと締めくくられていた。

 アーロンさんから依頼のお願いは正直意外。
 心配そうに見つめるグレンとジルベルト君にも手紙を見せてあげると、グレンも意外そうに片眉を上げた。

〈これは本物か?〉
「本物だと思うよ。アーロンさんの魔力感じるから。どっちみち冒険者ギルドに行かなきゃと思ってたから、話聞くだけ聞いてもいいかもしれないね」
〈ふむ。怪鳥と言うからには肉だろう。肉なら構わん〉

 お肉じゃなかったら受けたくないのね……まぁ、私も面倒なのはパスしたいけど。



 冒険者ギルドの応接室で待っていると、入ってきたのは胸当てを装着している小麦色の日焼けが活発そうに見えるナイスボディなお姉さんと、モヒカン頭でワイシャツがピッチピチのゴリマッチョだった。
 お姉さんはダークエルフでギルマス、ゴリマッチョはサブマスらしい。
 よく見るとエルフ特有のとんがった耳の持ち主だった。日焼けかと思ったお姉さんの肌は生まれつき。ダークエルフは小麦色がデフォルトなのかと思ったら、人によって違うらしい。ただ濃淡はさまざまだけど、が付いていることが多いんだそう。

「話しを聞きにきてくれて助かるよ。早速なんだけど、オークの集落を殲滅して欲しいんだ」
「オークですか?」
「そう、オークだ。巣が山ん中にできているのが発見されたんだよ。幸い、まだ街に被害はないんだけど、いつ女子供が襲われるかわからないんだ」
〈怪鳥じゃないのか?〉

 グレンが私達が思っていた疑問を投げかけると、ギルマスとサブマスに揃って首を傾げられた。
 てっきり怪鳥を狩る依頼だと思っていたけどどうやら違うらしい。

「怪鳥も生息はしているが、そこまでの脅威じゃない。まぁ、狩ってもらえれば助かるが……」
「ちょっとよろしいでしょうか? セナ様にお手紙が届きましたが、冒険者ギルドからくち利きをお願いしたのですか?」

 ジルベルト君がギルマスを真っ直ぐに見つめて問いかけると、ギルマスはため息を吐いた。

「誤解させて申し訳ない。この国では重要なことは国に報告しているんだ。今回のように討伐隊を組むことになりそうな事案の場合、近くの街から兵士を派遣してもらうことも多い。被害を最小限に抑えるためだ。貴殿のことは元々通達されていた。街に入った時点で国に報告したときに、もしかしたら貴殿が狩りに行きたいと言うかもしれないと連絡が返ってきたんだ。貴殿が向かうなら討伐隊は必要ないからと」

 なるほど。ただ依頼を受けないか?と聞くよりは、私達が食いつくだろう怪鳥の話題を出したってことかな? 多分商業ギルドのレシピ登録とかで私が料理することを知ってのことだろうなー。

「もちろん、嫌なら断ってくれ。ただ……討伐隊を編成しなきゃならないから、なるべく早く答えを出してもらいたい」
「集落って規模はどれくらいなんですか?」
「調べた結果、オークキングがいることはわかっている。細かい生息数はわからないが三十匹程だと報告を受けた」
「なるほど。豚肉山盛りかぁ~。何作ろうかな?」
〈豚丼だな!〉

 オークキングがどれくらいの強さかわからないけど、30匹くらいなら大丈夫そう。
 私と同じく、グレンの頭の中は豚肉料理で埋めつくされているらしい。以前とは違って豚丼の発音もできるようになっていた。
 お肉を買うお金をケチるワケじゃないけど、自分達で狩れるなら狩った方がお得だなと思ってしまうのは仕方ないと思う。私が貧乏性だからかもしれないけど。

「……受けるのか?」
「え? 受けない方がいいんですか?」
「いや……ここまで幼いとは思っていなかったからな……陛下に言われたから聞いたが、断られると思っていた。ギルドランクもEだと聞いているしな」

 だから部屋に入ってきたとき一瞬驚いた顔したのか。納得。

「あぁー、なるほど。ランクに興味ないんですよね。子供が高ランクだと目立ちそうですし。ちなみに怪鳥のことを聞いても?」
「あ、あぁ。怪鳥は美味いし毛皮も高額で取り引きされているが、凶暴なためあまり狩られていない。滅多に山から降りてこず、特に被害はないからそのままになっている。が……本当に受けるのか?」

 どうせなら鶏肉もゲットしたい。ピリ辛じゃない鶏ガラスープを作りたい。
 これは両方狩るしかない!

「オークの集落と、怪鳥の巣の場所を教えてください」
「オークの集落は案内しよう」
〈いらん。邪魔だ〉
「貴殿らの強さは知らないが、邪魔にはならないつもりだ」

 グレンがピシャリと拒否したのに、ギルマスは引いてくれない。
 岩山ならネラース達も楽しめると思ったんだけど……どうしようかな……

われらのスピードに着いてこられるのか?〉
「ムッ。山岳地帯で育った者の足腰をナメないでもらいたい。貴殿らよりは慣れている」

 ギルマスは譲る気がないみたいなので私達が折れるしかない。
 アーロンさんに筒抜けだから、手のうちを見せたくはなかったんだけど……ま、こういうこともあるよね。
 怪鳥の巣の場所だけ聞いて、目的だったタルゴーさんへの手紙を送り、ギルドを後にした。



 昨夜食べたグレープフルーツを買おうと、宿の人に聞いたお店に向かう。
 途中、食欲をそそるスパイスの香りに誘われて、食堂で美味しい鹿肉のスパイス炒めをいただいた。
 ハーブとスパイスのお店にも寄り、スパイスを購入。この街で売っているハーブとスパイスはキアーロ国で見たことがないものも多かった。トウモロコシのヒゲにしか見えないものから、完全に月桂樹ローリエそのままのものまであり、鑑定を駆使して一人で盛り上がった。

 お目当てのグレープフルーツのお店では、昨日私に食べさせてくれたおじさんが忙しそうに在庫を出していた。

「おっ! 昨日の子じゃねぇか! なんだ? オレに会いにきてくれたのか?」
「こんにちは! 昨日食べたやつ美味しかったから買いにきたの」

 おじさんは手を止めて笑顔を見せてくれる。

「おっ! 嬉しいこと言ってくれるじゃねぇか! こっちも食ってみるか? おーい! ナイフ持ってきてくれー!」
「ちょっと! こっちだって忙しいん……ってお客さんかい?」

 中から顔を出したおばさんは私を見て目をパチクリさせたあと、ニッコリと微笑んだ。

「あーら! やだよ~。こんな可愛い子達がうちの店にきてくれるなんて! こっちにお座りよ! 兄ちゃんもね」

 おばさんは有無を言わさず私とジルベルト君の手を引いて店先にある木箱に座らせ、果実水まで出してくれた。
 おじさんはおばさんが持ってきたナイフでメロンサイズの白いグレープフルーツを剥いてくれている。

 「剥けたぞー!」とおじさんに渡された白いグレープフルーツを食べてみると、これも甘くて美味しい!
 日本の果汁100%のグレープフルーツジュースよりも甘く、香りとちょびっとだけくる苦味がまた堪らない。

「そうか! ウマいか! 坊主もあんちゃんも食ってみろ!」
「はぁ~。また美味しそうに食べてくれるねぇ!」
「昨日のは赤グレフルっつーんだが、これは白グレフルだ。ピンクグレフルもあるからな! ちょっと待ってろ」

 おじさんとおばさんが笑顔で私達に試食させてくれ、いくらデザートは別腹だと言ってもおなかはパンパン。

「美味しかったー! ご馳走様でした!」
「ご馳走だなんて嬉しいねぇ!」

 そういえば食後の挨拶はしないんだったっけ……まぁ、いいように解釈してもらえたみたいだからいいか。

「これ、三種類売ってもらえるだけ売って欲しいの!」
「これをか? すごい量になっちまうぞ?」
「うん! 大丈夫なの! お金もちゃんと払うよ!」

 ポンポンとマジックバッグを叩いてみせると、納得してくれたらしい。
 おじさんとおばさんが流れ作業で渡してくれるメロンサイズのグレープフルーツを無限収納インベントリにしまっていく。

「んーと、一つ銀貨2枚だから……全部で……」
「各50個で全部で150個だから、一つ銀貨2枚だとすると30万ゼニで大金貨3枚だよ」
「おぉ! 計算が早ぇな!」

 金貨と大金貨どちらがいいか聞くと、金貨だと言われたので金貨30枚を渡す。
 ちなみにこれは近くのダンジョン産らしい。なくなる前にそのダンジョンに入りたい。

 「こんなに買ってくれるなんて! おまけだよ!」と、おばさんからオレンジと桃をプレゼントしてくれた。

 おなかがパンパンな私は苦しさからグレンにお願いして、抱っこで宿まで運んでもらった。

しおりを挟む
感想 1,816

あなたにおすすめの小説

転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!

饕餮
ファンタジー
  書籍化決定!   2024/08/中旬ごろの出荷となります!   Web版と書籍版では一部の設定を追加しました! 今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。 救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。 一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。 そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。 だが。 「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」 森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。 ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。 ★主人公は口が悪いです。 ★不定期更新です。 ★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

4/10コミック1巻発売!【完結】魔王様、溺愛しすぎです!

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
ファンタジー
2026/01/20追記 『魔王様、溺愛しすぎです!』のコミカライズ情報、解禁となりました! TOブックス様から出版、1巻が4/10発売予定です。 キャラクターデザインに『蒼巳生姜(@syo_u_ron)』先生! 以前表紙絵をお願いした方です(*ノωノ) 漫画家は『大和アカ(@asanyama)』先生です° ✧ (*´ `*) ✧ ° 連載については改めて発表させていただきますね_( _*´ ꒳ `*)_ 「パパと結婚する!」  8万年近い長きにわたり、最強の名を冠する魔王。勇者を退け続ける彼の居城である『魔王城』の城門に、人族と思われる赤子が捨てられた。その子を拾った魔王は自ら育てると言い出し!? しかも溺愛しすぎて、周囲が大混乱!  拾われた子は幼女となり、やがて育て親を喜ばせる最強の一言を放った。魔王は素直にその言葉を受け止め、嫁にすると宣言する。  シリアスなようでコメディな軽いドタバタ喜劇(?)です。 【同時掲載】アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、小説家になろう 【表紙イラスト】しょうが様(https://www.pixiv.net/users/291264) 挿絵★あり 【完結】2021/12/02 ※2026/01/20 1巻発売日(4/10)発表! ※2025/12/25 コミカライズ決定! ※2022/08/16 第3回HJ小説大賞前期「小説家になろう」部門 一次審査通過 ※2021/12/16 第1回 一二三書房WEB小説大賞、一次審査通過 ※2021/12/03 「小説家になろう」ハイファンタジー日間94位 ※2021/08/16、「HJ小説大賞2021前期『小説家になろう』部門」一次選考通過作品 ※2020年8月「エブリスタ」ファンタジーカテゴリー1位(8/20〜24) ※2019年11月「ツギクル」第4回ツギクル大賞、最終選考作品 ※2019年10月「ノベルアップ+」第1回小説大賞、一次選考通過作品 ※2019年9月「マグネット」ヤンデレ特集掲載作品

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜

シュガーコクーン
ファンタジー
 女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。  その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!  「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。  素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯ 旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」  現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。