転生幼女はお詫びチートで異世界ごーいんぐまいうぇい

高木コン

文字の大きさ
250 / 533
第二部 10章

マースールー迷宮たる所以【15】

しおりを挟む


 ダンジョンのことはわかった。私は小猿にも聞きたいことがある。

「ねぇ、小猿くん。グレンが怒ったとき、私をグレンから遠ざけたのは何で?」
『キュキュ~』
『ケガしたら大変だからって』
「でも試練でしょ? 戦ってたのに?」
『ヴィエルディーオ様の気配を感じたから、主様とは戦いたくなかったらしいわ』

 クラオルが小猿の通訳をしてくれる。
 魔女おばあちゃんの気配?
 私が首を傾げると、おばあちゃんが撫でていた手で私の胸元を指さした。

「ん? もしかして指輪?」
『キュキュ!』

 合っていたらしく、嬉しそうに小猿が跳ねている。

「刀で腕を切り落とそうとしたのに……」
『久しぶりにヴィエルディーオ様の気配を感じて嬉しかったらしいわ。それに主様の仲間を思う気持ちは強くて優しいって』
「そりゃ大事な家族だもん……腕大丈夫?」

 小猿に聞いてみると、マッチョポーズをとって大丈夫アピールをしてくる。おばあちゃんもケガはすぐ治ると言ってるから大丈夫っぽい。

 おばあちゃんにクラオルがガイにぃと連絡が取れなくなったのはなぜか聞いてみた。答えは神殿エリアに入ったせいらしい。
 神殿はおばあちゃんの魔力が溢れているから、と隔たりがあるんだそう。で、私達を見ていたパパ達は神殿エリアに入った私達を覗けなくなったため、神界で大騒ぎ。だからおばあちゃんがに呼んだ。ってことだった。

 おばあちゃんは説明しながら終始笑っていて、ガルドさん達と話しているガイにぃ以外のアクエスパパ、エアリルパパ、イグねぇはそんなおばあちゃんにジト目を送っていた。


 ガイにぃはまだまだお話中のため、グレンのリクエストで私達はおやつタイム。おばあちゃんが出してくれたテーブルセットの上にパンやパウンドケーキを出すと、パパ達の機嫌がみるみる直っていく。

「相変わらずセナの料理は美味いのぅ!」
「私が話しているのにずるくないかな?」

 ガルドさん達との話が終わったらしいガイにぃが呆れたようにパパ達に話しかけたけど、パパ達はパウンドケーキに夢中で聞いちゃいない。

「ガイにぃのもちゃんとあるよ」
「さすがセナさんだね。エアリル達とは違う。ありがとう」

 ガイにぃの方を見ようともしないパパ達を一瞥いちべつした後、私に微笑みながらケーキを受け取った。
 テーブルに着いたガルドさん達にも渡すと「おぉー!」と四人とも顔を綻ばせて嬉しそう。
 ガルドさん達はガイにぃとそこそこ長い時間話していたからか、緊張がほぐれていつも通りに戻っていて安心した。

 サングリアのようなワイン漬けにしていたドライフルーツで作ったパウンドケーキは小猿も気に入ったらしく、夢中で食べている。
 食べながらパナーテル様は大丈夫なのか聞いてみたら、イグねぇの機嫌が一気に悪くなり、ワインゼリーとワインシャーベットも出すハメになった。
 それ以上は聞けなかったけど、カリダの街のあの教会事件から仲直りしていないっぽい。
 パナーテル様用のお土産をパパ達に頼もうと思ったら、おばあちゃんにまで「気を遣わなくていい」と言われてしまい、お土産のスイーツはみんなのおなかの中へ。
 確かにあの事件はシスターさんがいい人じゃなかったら危険だったけど、ハブは可哀想。私がそう言うと、「セナはわかっていない」とアクエスパパに怒られた。なんでも、一度奴隷に落とされたら、そこから這い上がるのは難しいらしい。例え、私みたいに魔法がチート級に長けていたとしても。エアリルパパいわく、「自分が加護を与えた人物を考えもなしに窮地に追いやるようなことは、神としてしてはいけないこと」なんだって。特に私の場合、パパ達全員の加護持っているのにパパ達の許可を取らなかったことが大問題なんだそう。私に不備が一切ないから余計に。
 パナーテル様にはぜひお仕事を頑張ってもらってパパ達と仲直りして欲しい。私が会いたいかと聞かれたら微妙ではあるけど……


 このダンジョンに入るために街を出てから一度もパパ達にご飯を渡していなかったからか、パパ達からご飯も求められた結果、この空間に二泊もすることになった。
 その間ガルドさん達はパパ達とよく話していて、私はこのダンジョンのことをアーロンさんにどう報告をするかグレン達やおばあちゃんと相談。
 小猿がなぜか私に懐いて離れたがらなかったため、従魔契約テイムではないけどを持つことになった。私が望めば召喚できるらしい……それに私のコテージの空間にも遊びに来られるようにと、おばあちゃんが小猿に腕輪を渡していた。ダンジョンと繋げると万が一にも他人が来ちゃうかもしれないから腕輪なんだって。

 ガルドさん達をコテージに呼ぶ許可をもらい、パパ達のお仕事ストレスが解消された三日目のお昼すぎ、私達は戻ることに。仕事を手伝えと言うパパ達を笑いながら神界に強制送還したおばあちゃんに見送られて、私達は一度ダンジョンへ。
 ダンジョンで小猿と別れ、石碑があった部屋から転移装置で入り口まで戻った。

 戻った私達を見たグーさんは涙を流しながら喜んでくれた。私達が戻ってこないんじゃないかと、かなり不安だったみたい。
 心配性なグーさんに「疲れが取れるまで休んでってください!」と押し切られ、グーさん宅にも泊まることに。

 私がちょっといろいろと作っている間、グレン達は暇だからと森の魔物を狩ってあげていて、さらにそれをジュードさんが調理。グーさんは「ご馳走様だ!」と大喜びだった。
 グーさん用のポーションを大量生産、倉庫を時間経過しないように改造、冷蔵庫のような冷却庫も製作。
 そんな日々を送ること一週間。

「いっぱいありがとうございました! 魔道具やご飯など……この御恩は忘れません! 本当にお手紙書いてもいいんですか?」
「うん! もちろん! 私達もお手紙書くね」

 こちらを窺うように聞いてきたグーさんにニッコリと笑いながら返すと、パァーっと笑顔を弾けさせた。
 ブンブンと手を振るグーさんに見送ってもらい、私達は馬車に乗り込んだ。

しおりを挟む
感想 1,816

あなたにおすすめの小説

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!

饕餮
ファンタジー
  書籍化決定!   2024/08/中旬ごろの出荷となります!   Web版と書籍版では一部の設定を追加しました! 今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。 救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。 一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。 そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。 だが。 「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」 森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。 ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。 ★主人公は口が悪いです。 ★不定期更新です。 ★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜

シュガーコクーン
ファンタジー
 女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。  その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!  「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。  素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯ 旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」  現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。

〈完結〉【書籍化&コミカライズ】悪妃は余暇を楽しむ

ごろごろみかん。
恋愛
「こちら、離縁届です。私と、離縁してくださいませ、陛下」 ある日、悪妃と名高いクレメンティーナが夫に渡したのは、離縁届だった。彼女はにっこりと笑って言う。 「先日、あなた方の真実の愛を拝見させていただきまして……有難いことに目が覚めましたわ。ですので、王妃、やめさせていただこうかと」 何せ、あれだけ見せつけてくれたのである。ショックついでに前世の記憶を取り戻して、千年の恋も瞬間冷凍された。 都合のいい女は本日で卒業。 今後は、余暇を楽しむとしましょう。 吹っ切れた悪妃は身辺整理を終えると早々に城を出て行ってしまった。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。