貴方との運命

ゆきりん(安室 雪)

文字の大きさ
33 / 44

33

しおりを挟む
 翌朝、まだ早い時間に美緒は目を覚ました。喉がカラカラに乾いて痛みがあったのだ。サイドボードにはいつもペットボトルの水が何本か置いてあるので、美緒は手に取り、喉を潤し、再び横になる。ソコにはもちろん、葉月も横たわっている。昨日の卯月の目を思い出し、美緒はブルッと身震いし、葉月の身体に身を寄せる。イヤなはずの葉月の身体は美緒に安心をくれる。

 モゾリと動いた葉月は、寝返りを打ちながら、美緒の腰を抱きしめる。その行動に、美緒は更に安堵し、再び眠りについた。



 翌朝、目を覚ますと既に葉月はベッドにいなかった。朝と言っても、お昼近い時間だ。

 シャワーを浴び、宮田さんとお昼ご飯を共に食べ終わり、まったりしていると葉月の秘書が現れ、ケーキを置いていく。それは昨日レストランで食べ、美緒が特に気に入ったと話した種類のケーキだ。

「うわぁ、宮田さん。コレ、全部美味しいですよ~。食べたいの選んで下さいね、私は一通り食べてるんで」

 と、2人で2個づつ頂く。

 そんな和やかな時間に異変は起きた。



 インターフォンが鳴り、宮田さんが対応する。

「排水口の点検ですって」

 と、宮田さんがリビングに戻ってきた所で、業者だと思っていた男がいきなり宮田さんを羽交い締めにする。そしてもう1人の音が美緒に近寄り、宮田さんを怪我させたくなければ、素直に従えと言う。美緒はその言葉に従い、部屋から連れ出されていく。扉が閉まる前、宮田さんの美緒を心配する叫び声が聞こえた。
 
 地下の駐車場で車に乗せられた美緒は、宮田さんが心配だった。腕は縛られていなかったが、すぐに動けないように足は縛られていたのだ。怪我とかしてないといいけど・・・。

 車はしばらく走った所で、タワーマンションの地下に入って行く。美緒は車を下され、一室に連れ込まれ。ソコにいたのは、何となく予想していた男がいた。

「卯月・・・さん。何故こんな事を?」

「何故?葉月が嫌いだからに決まってるだろ?アイツは数年前に生まれたってだけで、何でも手に入れるんだ。三ノ宮本家の地位も金も。人脈も。俺にだって手に入れる権利はあるはずだ。だからまず、お前から奪ってやるよ。楽しみだな」

 そう言って、卯月は部屋から出て行った。

 

 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない

彩空百々花
恋愛
誰もが恐れ、羨み、その瞳に映ることだけを渇望するほどに高貴で気高い、今世紀最強の見目麗しき完璧な神様。 酔いしれるほどに麗しく美しい女たちの愛に溺れ続けていた神様は、ある日突然。 「今日からこの女がおれの最愛のひと、ね」 そんなことを、言い出した。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

イケメンエリート軍団??何ですかそれ??【イケメンエリートシリーズ第二弾】

便葉
恋愛
国内有数の豪華複合オフィスビルの27階にある IT関連会社“EARTHonCIRCLE”略して“EOC” 謎多き噂の飛び交う外資系一流企業 日本内外のイケメンエリートが 集まる男のみの会社 そのイケメンエリート軍団の異色男子 ジャスティン・レスターの意外なお話 矢代木の実(23歳) 借金地獄の元カレから身をひそめるため 友達の家に居候のはずが友達に彼氏ができ 今はネットカフェを放浪中 「もしかして、君って、家出少女??」 ある日、ビルの駐車場をうろついてたら 金髪のイケメンの外人さんに 声をかけられました 「寝るとこないないなら、俺ん家に来る? あ、俺は、ここの27階で働いてる ジャスティンって言うんだ」 「………あ、でも」 「大丈夫、何も心配ないよ。だって俺は… 女の子には興味はないから」

暴君幼なじみは逃がしてくれない~囚われ愛は深く濃く

なかな悠桃
恋愛
暴君な溺愛幼なじみに振り回される女の子のお話。 ※誤字脱字はご了承くださいm(__)m

愛しい人、あなたは王女様と幸せになってください

無憂
恋愛
クロエの婚約者は銀の髪の美貌の騎士リュシアン。彼はレティシア王女とは幼馴染で、今は護衛騎士だ。二人は愛し合い、クロエは二人を引き裂くお邪魔虫だと噂されている。王女のそばを離れないリュシアンとは、ここ数年、ろくな会話もない。愛されない日々に疲れたクロエは、婚約を破棄することを決意し、リュシアンに通告したのだが――

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

夢見るシンデレラ~溺愛の時間は突然に~

美和優希
恋愛
社長秘書を勤めながら、中瀬琴子は密かに社長に想いを寄せていた。 叶わないだろうと思いながらもあきらめきれずにいた琴子だったが、ある日、社長から告白される。 日頃は紳士的だけど、二人のときは少し意地悪で溺甘な社長にドキドキさせられて──!? 初回公開日*2017.09.13(他サイト) アルファポリスでの公開日*2020.03.10 *表紙イラストは、イラストAC(もちまる様)のイラスト素材を使わせていただいてます。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

処理中です...