20 / 34
19
しおりを挟む
真紅の大輪の薔薇の花束にはメッセージカードが付いており、カイルはソレを外して渡してくれる。
『愛しき人よ 微笑んで』
くぅ~っ!!キザッ!!キザ過ぎるわっ!!
花束に結んであったリボンはキャスバル様の目の色と同じ黄金色のリボンだった。カイルは花を生けた後、飾りとしてそのリボンも使ったのだ。
そうだ、箱もあったんだ。
ローゼリアは箱を開けてみる。そこには落ち着いた色味のピンクローズの上品なドレスが収まっていた。
「凄いわっ!手触りがとってもいいわっ!プリンセスラインのオフショルダーだ」
ドレスの箱の中には。更に靴・ジュエルボックス・小物類などが入っていた。
「カイル、かなりお高そうに見えるのは私だけかしら?ジュエルはゴールデンサファイアよ?こんなに大きいものは初めて見たわっ!ピアスも同じ意匠で作られているわ。助けたお礼でこんな事して貰わなくてもいいのに」
(ローゼリア様、鈍いですね。男性が女性に、しかも独身の男性が女性にですよ?自分の瞳の色のジュエルなんて、独占欲の塊みたいなものじゃないですかっ!!当然、キャスバル様は当日、ピンクローズをワンポイントに使った衣装で、ローゼリア様の青い瞳に合わせたカフスボタンやら何やら付けてくるんですよ!?)
「早速、お礼のお手紙を書かれたら如何でしょうか?」
(敢えて、キャスバル様の心情はお伝えしませんが)
「そうよねっ。頂き物にはきちんとお礼をしなければねっ。お礼でも父以外からのドレスの贈り物なんて初めてだから、文章に悩むわっ。少し考えなければ」
「・・・、あの。ローゼリア様、不躾なことをお伺いいたしますが。馬鹿息子には贈り物を頂いた事は?」
その瞬間、ローゼリアはピキッと固まった。
「カイル。あの馬鹿息子が人様に贈り物なんて出来ると思うの?ホントに思う訳?精々、夫人が持って行きなさいと言って持たせたお菓子を持って来たくらいよ」
「・・・。申し訳ありませんでした」
カイルは謝ったが、若気の至りだ。過去の事だ。気にしない事にする。例え、周りの令嬢達が婚約者から、髪飾りだの・ドレスだの・流行りのお菓子を貰っていても、あんなヤツを婚約者にしてしまった自分の落ち度だ。父の反対をキチンと理解しなかった自分の過ちだ。
「いいのよ、不良債権は片付いたのだから」
ローゼリア様は深い溜息をついた。
(キャスバル様っ!ローゼリア様を甘やかしてあげて下さい。いっその事、蜂蜜漬けでも砂糖漬けでもきび糖漬けでもかまいませんっ。でろでろにして下さいっ!!)
『愛しき人よ 微笑んで』
くぅ~っ!!キザッ!!キザ過ぎるわっ!!
花束に結んであったリボンはキャスバル様の目の色と同じ黄金色のリボンだった。カイルは花を生けた後、飾りとしてそのリボンも使ったのだ。
そうだ、箱もあったんだ。
ローゼリアは箱を開けてみる。そこには落ち着いた色味のピンクローズの上品なドレスが収まっていた。
「凄いわっ!手触りがとってもいいわっ!プリンセスラインのオフショルダーだ」
ドレスの箱の中には。更に靴・ジュエルボックス・小物類などが入っていた。
「カイル、かなりお高そうに見えるのは私だけかしら?ジュエルはゴールデンサファイアよ?こんなに大きいものは初めて見たわっ!ピアスも同じ意匠で作られているわ。助けたお礼でこんな事して貰わなくてもいいのに」
(ローゼリア様、鈍いですね。男性が女性に、しかも独身の男性が女性にですよ?自分の瞳の色のジュエルなんて、独占欲の塊みたいなものじゃないですかっ!!当然、キャスバル様は当日、ピンクローズをワンポイントに使った衣装で、ローゼリア様の青い瞳に合わせたカフスボタンやら何やら付けてくるんですよ!?)
「早速、お礼のお手紙を書かれたら如何でしょうか?」
(敢えて、キャスバル様の心情はお伝えしませんが)
「そうよねっ。頂き物にはきちんとお礼をしなければねっ。お礼でも父以外からのドレスの贈り物なんて初めてだから、文章に悩むわっ。少し考えなければ」
「・・・、あの。ローゼリア様、不躾なことをお伺いいたしますが。馬鹿息子には贈り物を頂いた事は?」
その瞬間、ローゼリアはピキッと固まった。
「カイル。あの馬鹿息子が人様に贈り物なんて出来ると思うの?ホントに思う訳?精々、夫人が持って行きなさいと言って持たせたお菓子を持って来たくらいよ」
「・・・。申し訳ありませんでした」
カイルは謝ったが、若気の至りだ。過去の事だ。気にしない事にする。例え、周りの令嬢達が婚約者から、髪飾りだの・ドレスだの・流行りのお菓子を貰っていても、あんなヤツを婚約者にしてしまった自分の落ち度だ。父の反対をキチンと理解しなかった自分の過ちだ。
「いいのよ、不良債権は片付いたのだから」
ローゼリア様は深い溜息をついた。
(キャスバル様っ!ローゼリア様を甘やかしてあげて下さい。いっその事、蜂蜜漬けでも砂糖漬けでもきび糖漬けでもかまいませんっ。でろでろにして下さいっ!!)
28
あなたにおすすめの小説
婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~
tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!!
壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは???
一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
お父様、お母様、わたくしが妖精姫だとお忘れですか?
サイコちゃん
恋愛
リジューレ伯爵家のリリウムは養女を理由に家を追い出されることになった。姉リリウムの婚約者は妹ロサへ譲り、家督もロサが継ぐらしい。
「お父様も、お母様も、わたくしが妖精姫だとすっかりお忘れなのですね? 今まで莫大な幸運を与えてきたことに気づいていなかったのですね? それなら、もういいです。わたくしはわたくしで自由に生きますから」
リリウムは家を出て、新たな人生を歩む。一方、リジューレ伯爵家は幸運を失い、急速に傾いていった。
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
心を病んでいるという嘘をつかれ追放された私、調香の才能で見返したら調香が社交界追放されました
er
恋愛
心を病んだと濡れ衣を着せられ、夫アンドレに離縁されたセリーヌ。愛人と結婚したかった夫の陰謀だったが、誰も信じてくれない。失意の中、亡き母から受け継いだ調香の才能に目覚めた彼女は、東の別邸で香水作りに没頭する。やがて「春風の工房」として王都で評判になり、冷酷な北方公爵マグナスの目に留まる。マグナスの支援で宮廷調香師に推薦された矢先、元夫が妨害工作を仕掛けてきたのだが?
妹ばかりを贔屓し溺愛する婚約者にウンザリなので、わたしも辺境の大公様と婚約しちゃいます
新世界のウサギさん
恋愛
わたし、リエナは今日婚約者であるローウェンとデートをする予定だった。
ところが、いつになっても彼が現れる気配は無く、待ちぼうけを喰らう羽目になる。
「私はレイナが好きなんだ!」
それなりの誠実さが売りだった彼は突如としてわたしを捨て、妹のレイナにぞっこんになっていく。
こうなったら仕方ないので、わたしも前から繋がりがあった大公様と付き合うことにします!
婚約破棄の上に家を追放された直後に聖女としての力に目覚めました。
三葉 空
恋愛
ユリナはバラノン伯爵家の長女であり、公爵子息のブリックス・オメルダと婚約していた。しかし、ブリックスは身勝手な理由で彼女に婚約破棄を言い渡す。さらに、元から妹ばかり可愛がっていた両親にも愛想を尽かされ、家から追放されてしまう。ユリナは全てを失いショックを受けるが、直後に聖女としての力に目覚める。そして、神殿の神職たちだけでなく、王家からも丁重に扱われる。さらに、お祈りをするだけでたんまりと給料をもらえるチート職業、それが聖女。さらに、イケメン王子のレオルドに見初められて求愛を受ける。どん底から一転、一気に幸せを掴み取った。その事実を知った元婚約者と元家族は……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる