婚約破棄ですか?畏まりました(はい、喜んでっ!)

ゆきりん(安室 雪)

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 真紅の大輪の薔薇の花束にはメッセージカードが付いており、カイルはソレを外して渡してくれる。

 『愛しき人よ 微笑んで』

 くぅ~っ!!キザッ!!キザ過ぎるわっ!!

 花束に結んであったリボンはキャスバル様の目の色と同じ黄金色のリボンだった。カイルは花を生けた後、飾りとしてそのリボンも使ったのだ。

 そうだ、箱もあったんだ。

 ローゼリアは箱を開けてみる。そこには落ち着いた色味のピンクローズの上品なドレスが収まっていた。

 「凄いわっ!手触りがとってもいいわっ!プリンセスラインのオフショルダーだ」

 ドレスの箱の中には。更に靴・ジュエルボックス・小物類などが入っていた。

 「カイル、かなりお高そうに見えるのは私だけかしら?ジュエルはゴールデンサファイアよ?こんなに大きいものは初めて見たわっ!ピアスも同じ意匠で作られているわ。助けたお礼でこんな事して貰わなくてもいいのに」

 (ローゼリア様、鈍いですね。男性が女性に、しかも独身の男性が女性にですよ?自分の瞳の色のジュエルなんて、独占欲の塊みたいなものじゃないですかっ!!当然、キャスバル様は当日、ピンクローズをワンポイントに使った衣装で、ローゼリア様の青い瞳に合わせたカフスボタンやら何やら付けてくるんですよ!?)

 「早速、お礼のお手紙を書かれたら如何でしょうか?」

 (敢えて、キャスバル様の心情はお伝えしませんが)

 「そうよねっ。頂き物にはきちんとお礼をしなければねっ。お礼でも父以外からのドレスの贈り物なんて初めてだから、文章に悩むわっ。少し考えなければ」

 「・・・、あの。ローゼリア様、不躾なことをお伺いいたしますが。馬鹿息子には贈り物を頂いた事は?」

 その瞬間、ローゼリアはピキッと固まった。

 「カイル。あの馬鹿息子が人様に贈り物なんて出来ると思うの?ホントに思う訳?精々、夫人が持って行きなさいと言って持たせたお菓子を持って来たくらいよ」

 「・・・。申し訳ありませんでした」

 カイルは謝ったが、若気の至りだ。過去の事だ。気にしない事にする。例え、周りの令嬢達が婚約者から、髪飾りだの・ドレスだの・流行りのお菓子を貰っていても、あんなヤツを婚約者にしてしまった自分の落ち度だ。父の反対をキチンと理解しなかった自分の過ちだ。

 「いいのよ、不良債権は片付いたのだから」

 ローゼリア様は深い溜息をついた。

 (キャスバル様っ!ローゼリア様を甘やかしてあげて下さい。いっその事、蜂蜜漬けでも砂糖漬けでもきび糖漬けでもかまいませんっ。でろでろにして下さいっ!!)




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