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 グレイン様が公爵家の仕事に専念するようになり、ソフィアとの時間がグッと増えた。

 2人の距離は近いたどころか、かなり甘々な距離だ。お互いの私室に(寝室の横)お邪魔する事もある。

 いつも執務に使うペンをこちらの部屋に置いてきたと言われて取りに来たのだけれど。あるとしたら絶対に机の上よね。ペンはすぐに見つかった。しかし、引き出しが開いていたので、閉めようと思ったが好奇心でついつい覗いてみてしまった。

 書類や小物と一緒に、少し高そうな箱が入っている。思わず手に取り開けてみる。そこに入っていたのはーーー。

 「ハンカチ?何か特別に頂いたモノなのかしら?」

 特別な人から?そう思うと胸が苦しい。

 グレイン様は素敵な方ですもの。過去に恋人がいたって、思い出のモノがあったって不思議ではない。

 その時、部屋の扉が開いた。

 「ソフィア、遅いからどうしたのかと思って。あっ・・・」

 ソフィアが手にしている箱にグレイン様は気がついた。

 「ごめんなさいっ。大切な思い出なのですよね?勝手に開けてしまって」

 慌てて蓋をし、元の場所にしまおうとすると、グレイン様がすぐそばまでやって来た。

 怒られるっ!

 しかし、グレイン様はソフィアからその箱を取り上げ、中のハンカチを取り出し広げて見せた。

 「えっ?私が刺繍したハンカチ?でも、こないだプレゼントしたモノとは色が違う?」

 こないだプレゼントした刺繍は、水色・青色紺色・の3色だ。しかし、箱から出てきたハンカチの刺繍は紫色。アルフベッドのデザインは同じだ。

 「何で?」

 「あ~、いつかは話さなきゃと思ってはいたんだけどね。まあ、そのいつかが今か」

 そして、ソファーに座りグレイン様がハンカチを買った時からその後、グレイス家の債権を手に入れる事になった流れ、問題の婚約。

 「えっ。グレイン様は私を望んでくれていたのですか?はじめから?」

 「双子だとは知らなくてな。どうしようかと思ってはいても言い出せなくて、式の当日になってしまい、カレンが駆け落ちしてくれて助かった」

 (少し嘘を混ぜるが、許せ。駆け落ちするように仕向けていたとは言えないだろ)

 「まあ。ではカレンは・・・」

 「戻ってきたら謝りたいと思っている」

 「そうですね。でも、私はグレイン様の妻になれて良かったです。カレンには何度かヤキモチ妬いちゃったけど」

 「すまなかった。俺は最初からソフィアを妻にしたかったのだ」

 2人は見つめ合いキスをし、そのままベッドルームに移動して愛を確かめ合った。





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