あと一週間で、聖女の夫になることができたのに……。残念でしたね。

冬吹せいら

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聖女の力

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「いやはや……。たった数時間で、これほどマスターなさるとは」
「そんな。褒めすぎですよ。神父様」
「いいえ。さすがオーデンバム学園の首席です」
「い、いや。首席は」
「……もう、噂になっておりますぞ」

早いものだ。
私が聖女と認定されたのは、昨夜だというのに。

今朝、神父様が、王宮に報告してから、まだ三時間程度しか経っていない。

元々、人々を癒す白魔法を得意としていた私は、聖女が使う光魔法も、すぐに取得することができた。

自信が無いわけではなかったけど……。出来すぎかなぁとも思う。

「では少し、応用編と参りましょうか」
「はい。よろしくお願いします」
「聖女として認定された以上……。辛い役割ですが、人を裁くことも、せねばなりません」
「心得てます」
「うむ……。光魔法は、人の罪を映し出す。例えば……。私は今朝、ダイエットをしているというのに、甘い果実を三つも食べてしまった」
「あ……ふふ」

笑ってしまった。
いけないいけない。真剣な訓練の最中に。

「そんな私に、光を当ててみてくだされ」
「わかりました」

言われた通り、私は神父様に、光を当ててみた。

しかし、特に変化は起きなかった。

「焦ることは無いですぞ。その魔法を使っている間は、聖女としての心というよりも……。鬼としての心を持つとよい」
「鬼、ですか?」
「うむ」

今度は、少し感情を悪に寄せて……。光を当てる。
すると……。神父様のお腹のあたりが、急に光り始めた。

「成功ですな……。これをどうされるかは、ルイーザ様次第でございます」
「どうもしませんよ……」

私は光を消した。
照れくさそうに、神父様が、頭を掻いている。

「と、このように……。今回は軽い罪ではありましたが。実際は……。大罪を犯してしまったものを、裁くこともあるでしょう」
「……えぇ」

そして、その機会は、そう遠くないはずだ。
私が聖女として認定された。
それはつまり、あのパーティでの、二人の発言が、全て嘘だったということになる。
とある書物で読んだことがあるが……。

聖女は、国として、奉る存在であり。
また、聖女も国に命を捧げる存在であると。

そんな聖女に、あのような扱いをした両家を……。

果たして、国王が許すだろうか。

できることなら、事が起きる前に、両家には、国を出て行ってほしかった。

見知った顔を裁くことは、したくない。

「少し、休憩しましょう。この上達スピードであれば、明日には全ての魔法を、使うことができるようになるはずですから」
「ありがとうございます……」

今頃、二人はどうしているだろうか。

……お願いだから、歯向かうなんてことだけは、考えてほしくない。
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