口撃のヤマト~異能を狩る天才~

最十 レイ

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第二章 宝探し

第114話 別れの刻

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 時刻は十五時を過ぎた頃……大和も再び合流し、一頻り打ち上げを堪能した二年B組は、そろそろお開きと解散ムードに。
 あとは各々、二次会に行くなり帰宅するなりとグループに分かれ、ぞろぞろとエントランスの方へと集っていく。

 すると後方の階段から、見送りの為と渡も顔を出す。
 そのことに気付いた神田は、いの一番に声を張り上げると、

「おう、渡っ! 今日は世話になった! また明日な!」

 手を振りながら他の者にも渡の存在を周知させる。

「ありがとねー、渡くん!」
「また今度なんかあったら頼むわー!」
「じゃあなー!」

 神田に続き、満面の笑みで手を振ってくるクラスメイト。
 渡は何処か気恥しそうに「うん……」と手を振り返すと、レストランを後にする彼らを微笑みながら見送った。

 そして最後はいつものメンバー……

「ふぅー……食った食った。せやったらワシらも帰るわ。じゃあの、渡!」

 伍堂は腹をさすったのち、渡を見上げては片手を上げ、

「疲れてるからって明日サボるんじゃないわよー、渡!」

 藤宮も今や自然な笑みで手をメガホン代わりに。

「今日は御馳走様でした。また明日、学園で……渡くん」

 対して牧瀬は親しき中にも礼儀ありと、丁寧にお辞儀をしていた。

「ああ……また明日」

 渡はこみ上げてくる気持ちを精一杯抑え、今できる最大限の笑みで友人たちへと返す。

 確かな友情を肌で感じ、まさに一つとなった一行。
 となれば当然、幕引きを担うのはこの男……

「じゃあ、な……渡」

 しかし、行く末を知っているはずの大和から出たのは『また』という言葉。
 渡はポケットの中に入れていた左手を握り締めると、先程交わした『最後の約束』を思い返す。



 二時間ほど前――

「それが……君の願い?」

 と、珍しいジト目で大和を睨む渡。

「ああ。もちろんお前ならできるよな、渡?」

 しかし大和は全く気に留めず、依然として『口撃』モードを崩さない。

「君は僕を神様かなんかと勘違いしてないかい? あんまりいいように使われるのも嫌なんだけど……」
「オレはできるのかできないのかを聞いてるんだ。で? 答えは?」

 ここで溜息を一つまみ。渡はガクンと首を落とすと、頬をポリポリ掻きながら、何とか己が意見を絞り出す。

「まあ、やってみないと何とも――」
「じゃあ出来るな? は任せたぞ……渡」

 結果、渡は完全にペースを掴まれてしまい、口から出るのは「はい……」という白旗だけ。
 その姿を見て満足げに頷いた大和は、いきなり『永遠とわの指輪』を外すと、渡に向かって指で弾いてみせた。

「おっと……! これは……どう受け取ったらいいのかな?」

 渡は一応受け取るも、その真意が読めず、眉を顰めている。

「それは『永遠の指輪』だ。別に皆まで言わなくても分かるだろう?」
「……え? 愛の告白?」

 大和は珍しくズッコケつつ、「違うわアホ」と若干目に角を立てる。

「だって手に入れた経緯を考えたら、そう捉えるのも無理ないだろう? トレヴィの泉の言い伝えになぞらえるなら、『永遠』は大切な人とずっと一緒に居るってことなんだからね」
「そこをいい感じで受け取れって言ってんだよ。例えばその……オレらの友情は『永遠』だとか、離れててもずっと一緒だとか……」

 と、照れ隠しなのか、俯き加減で視線をそらす大和。
 そんな似合わぬもまっすぐな姿に、あの渡も思わず顔が綻んでしまっていた。

「君も案外、ロマンチストな奴だね」
「……ほっとけ」

 渡は口をすぼめた友の想いに頷くと、『永遠の指輪』を左中指にはめては、その隙間なく敷き詰められたダイヤを眺め遣る。
 黄金のアームは不思議と己が指にフィットしており、まるでオーダーメイドでもしたかのような付け心地だった。

「『永遠』、『別れ』、そして『再訪』か……。意味は違うけど確かに今の僕にはピッタリかもね」
「ああ。だが、やったわけじゃないぞ? 一旦、預けただけだ。だから必ず返しに来い……オレらのところに」



 現在――

 渡は交わした約束を胸に、ポケットの中に入れていた左手を今一度握り締め、空いていたもう片方の手で真なる友を見送る。

「ああ。ね……大和くん」

 大和は数瞬間を置いたのち、ゆっくり微笑んでみせると……小さく頷いた。

 もうこれ以上、言葉はいらない。振り返る必要も……
 大和はそう決意すると踵を返し、他のメンバーを引き連れ、まっすぐ新たな一歩を踏み出していく。

 次に会うのは……
 渡もそんな得も言われぬ感情に浸りつつ、左手を出しては『永遠の指輪』に視線を落とす。

 が、その直後――

「できない約束はするもんじゃねえなぁ……サブ」

 後方から強烈な怒気を纏う、『最凶』の存在が降臨してしまう。
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