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ご主人ーーーーーーーーーーー!!!!!




と叫んだのが心の中だったのか、口に出ていたのかはわからないが、俺があわあわと慌てているうちに、廊下が騒がしくなってきていた。



バタンッ!!!!


「カリーッ!!!!!!!!」


ものすごい勢いで部屋に入ってきたのはやはりご主人で。そんなご主人の顔を見た瞬間、俺は身体から力が抜けたのを感じた。


「ごっ、ごしゅっ、ごしゅじん~~~~!!!!!!!!お、俺、人間、人間になった~~~~~!!!?!!?」


思わず泣きつくようにそう言うと、扉を開けた姿のままでぽかーーーんと口を開けたご主人が出来上がった。













しばらくして、動き出したご主人。


「か、カリー、なのか........?」

「うん。俺、カリーだよ。ねぇご主人、お腹すいた。魚、ちょうだい?喉もかわいた。」


ご主人はまだパニック中なようだ。目をぱちぱちさせながら俺を見ている。
俺はというと、その『しばらく』の間でだいぶ落ち着き、人間になった驚きよりもお腹が減った、喉がかわいたという気持ちの方が大きくなっている。もはやどうでもいい。いいから飯をくれ。

「あ、あぁ.........。ちょ、ちょっと待ってろ。用意してきてもらおうな.......。」

「うん!!」




数分後、魚と水が運ばれてきた。持ってきた人間はなんだかびっくりしていて、そしてなんだか戸惑っていたけど、俺には関係ない。お腹空いた。はやくくれ。



「食べていい?」

「あ、あぁ.........。」

「いただきます!!」



ガツガツガツガツ!!


んまい!魚んまい!!!いつもの皿だから、ちょっと低くて食べにくいけど、そんなことはどうでもいい!


ガツガツ食べていたら、すぐに魚はなくなってしまう。.........なんでだろう。いつもはこのくらいで腹8分目くらいまでにはなるのに。



.....................。



「....................ご主人~.........」

「ッ! な、なんだっ?」

「まだ魚たべたい.........おなかすいた........」


あまりにも足りなくておねだりしてしまった。まだ腹8分目どころか腹0分目である。俺のお腹はぐぅぐぅと魚を求めて鳴きっぱなしだ。


「あ、あぁ、そうだな。足りないよな。もっと持ってきてもらおうか。」


やったぁ!!!ご主人優しい!!!!


「ありがとう!!!」

「あ、あぁ.............。」





こうして、俺は腹8分目を超えて腹10分目になるまで、たらふく魚をたべることができたのである。











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