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第六章:ドドス共和国

6-3商業ギルド

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「よっしぃ! 今回はカリナさんの魔の手から逃れた!!」


 私は起き上がり開口一番にそう言う。
 だって毎回毎回飲まされて記憶が無くなりそして裸にされ体を拭かれるついでになんかされているような気がするのを今回はちゃんと回避できた!


 もうこれ以上ルラにいけない事覚えさせちゃ流石にまずいって!!


 ふんす! と胸の前で拳を握って喜んでいた私は隣のベッドに寝ていたルラを起こそうとする。

「ルラ、起きて。今回こそはカリナさんの魔の手から……」

 そう言いながらルラのベッドを見るとルラがいない。
 慌てて部屋の中を探すけどやっぱりいない。


「ま、まさか……」


 私は慌ててカリナさんの部屋に走り出すのだった。


 * * * * *


「ふわぁ~あぁ、お姉ちゃんなに怒ってるの?」

「ルラ! お、女の子もそう言う気分の時はあるかもしれないけど、女どうしはだめよ? 不毛よ? その、するなら一人でしなさいね//////」


 慌ててカリナさんの部屋に駆け込んだら案の定、裸にされたルラとカリナさんがベッドで寝ていた。


 まさか事後か!?


 そう、私が戦慄を覚えていたら、夜中にトイレに行ったルラが間違えてカリナさん
の部屋に行ってしまったそうな。  
 そこはまあいい、問題はルラったらそのままカリナさんの所で眠ってしまったと言う事だ。
 そうなれば当然の如くカリナさんはルラを裸にする。
 そして抱き枕の如く抱き着いて眠っている所を私に目撃され、大騒ぎになって今に至る。


「う~ん、なんだかわからないけど、カリナさんってあたしたちと似たような匂いするんだよねぇ~」

「はぁ? カリナさんと私たちが似たような匂い?」

「うん、なんて言うかお布団に一緒に入っているとお姉ちゃんみたいな匂いがするの~。おかげでカリナさんと一緒でもぐっすりと眠れた~」


 先ほどの騒ぎでルラに何も無かったとは聞いたけどなんか怪しい。
 ルラったら自分で胸触ってちょっと気持ちよかったとか変な事いつの間にか覚えていて、どう言う事か聞いたらカリナさんに触られて気付いてそうだ。

 そう言ったいけない事は教えないでもらいたい。


「と、とにかくもうカリナさんの所で裸で寝ちゃダメ! 分かった!?」

「はぁ~いぃ。なんかお姉ちゃん変~」


 はぁはぁと肩で息をしてしまう私。
 ルラをいけない道に進まない様に姉としてしっかりと指導しなければ!!

 私はそう言う使命感でいっぱいになるのだった。


 * * * * *


「で、リルとルラは今日は商業ギルドに行くって言うのね?」

「はい、もう魔獣たちの問題も落ち着いたようですし、キャラバンが有れば一緒に移動してドドス共和国に向かおうと思います」
 

 朝食を取りながらカリナさんたちと今後について話をする。
 するとトーイさんが聞いてくる。


「なあ、リルとルラは何が何でもエルフの村に帰らなきゃならないのか?」

「はい、まずは帰らないと先に進めない気がして……」


 私はそう言いながら左のおでこ上にある髪飾りにそっと手を触れる。
 エルフの村に私たちが帰る事、そしてトランさんの遺髪をご家族に渡す事。
 これが今の私たちの最優先事項になる。


「そっか、お前らと一緒だといろいろと面倒事が来るけど楽しかったんでな。急ぎでなければもうしばらく一緒に冒険をしたいなって思ってな」

「おいおい、トーイ。リルもルラもこんな所で油売ってるわけにはいかんだろ?」

「そうですね、リルの美味しいご飯が食べられなくなるのはちょっと残念ですけど、もともとあなたたちはエルフの村に帰るのが目的ですものね」


 トーイさんは結構本気で残念そうにしている。
 ザラスさんやネッドさんも同じような顔をしているけど、私たちの目的も知っているからそれ以上は言えない。


「どちらにせよこんな若木が外の世界にいること自体問題よ。転生者らしいけどこの子らは人間にしたら三歳児みたいなもんよ? まだ親元でいろいろ学ぶべきなのよ」


 そう言うカリナさんはやはりちょっと寂しそうだった。

「カリナさんもたまにはエルフの村に帰ってきてくださいよ?」

「後二百年したら考えておくわ」

 にっこり顔でそう言う私にカリナさんは心底嫌そうな顔してそう答える。
 よほど村に帰って来てお見合いさせられるってのが嫌なんだろうなぁ。


「ま、それでもあんたたちを無事ドドスに届ける為に私たちも一緒に商業ギルドに行ってあげるから安心なさい」


 気分一転、カリナさんは表情を変えて私たちにそう言うのだった。


 * * * * * 


「ドドス行きのキャラバンかぁ…… 今一番問題な所だな」


 商業ギルドに行って乗り合いの出来るキャラバンがないかどうか聞いたらカウンターにいたギルドの人はそう言って困り顔だった。

「いやな、ドドス共和国に行きたい商人は沢山いるんだが、先日の大雨で街道の川が氾濫していてまだ渡れそうにも無いんだよ。早くてあと一週間、下手すれば二週間近くは通れそうにも無いんだよな」

「川の氾濫ですか?」

 私は先日の小川が濁流で凄い事になっていたのを思い出していた。
 確かに氾濫しているあんな川を渡るのは無理だろう。

「そうするとキャラバンはすぐすぐにはユエバを出発しないのね?」

「そうだね、五日後に来てくれ。そうすれば予定が分かるかもしれんからね」

 カリナさんの質問に商業ギルドの人はそう言って別の仕事を始めた。
 私たちは顔を見合わせて軽くため息をつくのだった。


 * * *


「まあ、ジマの国でもらったお金やカーネルの報酬もまだまだあるからしばらく仕事を取らなくても大丈夫ではあるけど、リル、ルラ私たちがユエバの街でも案内しようか?」

「そう、ですね。ドドスに向かいたくても行けないんじゃ仕方ないですもんね。私たちも持ち合わせにはまだまだ余裕ありますしお願いします」

 とっととエルフの村に帰らなきゃならないけどこうなったら仕方ないよね? 



 私とルラはカリナさんたち「エルフの剣」にくっついて行きユエバの街を案内してもらう事となったのだった。 

 
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