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第六章:ドドス共和国
6-10天候を操る水晶
しおりを挟む「にゅわぁっはっ!!」
ぶほっ!
あー、死ぬかと思った。
何あれ?
砂の中から抜け出した私たちは大きく息を吸う。
魔法の罠を消し去った後にお約束の引っ掛け罠があってそれを更にチートスキル「消し去る」で消したら何処かの場所から一気に砂が流れ込んできた。
危うく私とカリナさん、そしてルラの三人で大地の精霊ノームを使って事なきを得たけどあのままだったら砂に埋もれて窒息死していた。
もうね、何と言うか裏の裏の更に裏までかかれて罠が発動するなんて一体どう言う事よ!?
「危なかったですね、どうやら魔法の罠が消えた時点で別の場所で罠が作動して砂が流れ込んでくると言う罠だったようですね?」
「何なのよもうっ! ここ作ったやつ出て来い!!」
カリナさんもイライラが頂点に達している。
勿論私だって。
「はぁ、確かにこりゃ危険な場所として認定されるわな」
「ああ、ここまで殺りに来てる罠なんて見た事ねーぞ」
トーイさんやザラスさんもぼやいている。
しかし、いよいよ見えて来た扉の前で私たちは休んでいる。
感覚的にはもうすぐ最上階に着くだろうけど、ここに扉があるって事はいよいよなのだろう。
途中に何度か記録にある危なそうなゴーレムが出てきたけどほとんどルラが撃退しているし流石に天候を操る水晶の部屋にまで変な罠は無いと思うけど。
なのでとにかく休める時に休んでおかないと。
「やっとそれらしい所にまで来たけど、この扉だってきっと何か有るんでしょ?」
「多分そうでしょうね。今までのこと考えるとリルのスキルだけで済むとは思えませんからね」
カリナさんは目の前ある扉を見ながらそう言う。
今までの事を考えれば用心深くもなるものだ。
カリナさんは腰のポーチから水筒を出し水を飲んで大きく息を吐く。
そしてトーイさんたちにそれを手渡しながら言う。
「取りあえず一休みしたたらかかるわよ?」
「そうだな、まあリル頼みなんだけどな」
「お、ありがとよ」
小休憩なので私も軽い食事の保存食を手渡しながら聞く。
「でも扉だなんてとうとう最後の場所なんでしょうか?」
「どうでしょうね? 感覚的にはもうそろそろ最上階のはずですが。ああ、ありがとう」
ネッドさんにも保存食を手渡し私も自分の分を油紙を破いて食べ始める。
街で売られている保存食は美味しく無かったのでこれは自分で作った保存食。
ナッツや干しブドウ、ドライフルーツにトウモロコシの実をすりつぶして焼き上げたものなどを水あめでからめて固め、表面に粉をまぶしてべたつきを押さえたもの。
浅草の雷おこし見たくしたのでサクサクと食べられて糖分補給できるから疲れた脳みそに染み渡る。
「サクサク これ美味しいね~」
「ほらルラ、ほっぺについてる」
ほっぺについているカスを取ってやって自分の口に入れる。
「これ美味しいわね。リルまだある?」
「ありますよ、はい」
カリナさんはもごもごと食べながら聞いてくるのでもう一本渡すとトーイさんやザラスさん、ネッドさんまで欲しがる。
私は苦笑しながらもう一本ずつ出して皆さんに渡す。
勿論ルラだってもう一本かじりついている。
そして食べ終わる頃には皆さんもだいぶ落ち着いて冷静さを取り戻す。
うん、やっぱ疲れた脳みそには甘い物よ!
「さて、リルのお陰で落ち着いたわ。気合入れてそろそろ始めるわよ」
カリナさんはそう言って扉の前にまで行く。
そして私を見て頷く。
私はその扉を前にしてチートスキルを発動させるけど首をかしげる。
「罠認定が無い? カリナさん、この扉魔法の罠の反応が無いですよ?」
「そうなの? じゃあ他の罠は?」
言われて私は普通の罠を消し去ると設定すると今度はその罠の認定も無い。
「あれ? 普通の罠の認定も無い?? どう言う事?」
首をかしげる私。
「何も無いならもう大丈夫なんじゃないの~」
ガチャ!
ルラは私が罠の認定が無いと言うとその扉に手をかけ開けてしまった。
「ちょ、ルラ、危ないわよ!!」
今までの罠を考えるとこの扉自体は罠が無くても扉を開けるか何かをするだけで他の場所で罠が発動するとかありそうだ。
慌ててルラに言うけど扉は何の問題も無く開いてしまった。
そして開かれたそこは広い空間で四方に窓があり外の様子が見える場所だった。
「あ、あれ? もしかしてここって最上階?」
「みたいね、外が見えるわね。でも良かった流石にここには罠とか変なものはなさそうね?」
中の様子を見た私とカリナさんは用心深く中を見渡す。
するといきなり声がかけられた。
「誰だ?」
「えっ!?」
驚き声のする方を見ると部屋の中央に台座がありその上に水晶が淡い輝きを放ちあった。
そしてそのすぐ下に神父服を着た人物がいた。
「この塔に来たとは、冒険者か? ん、お前たちはあのエルフ!?」
「誰かと思えばその神父服。あんたあの村にいたジュメルの神父ね!!」
カリナさんはそう言って腰の剣を引き抜くのだった。
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