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第40話 オークとの戦い(1)

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 朝日が昇る。場所は事前に俺達カルカトの冒険者が潜む窪地の通路だ。
 夜が明けると見えたオークの大軍を腰を低くして目視で確認した。

 名前も知らない魔術師風の冒険者が魔法でオーク達の姿を見せてくれた、魔法陣の中にオークの映像みたいなのが見える。
 オークは豚頭の大きな人型だと話には聞いていたが、そのお豚フェイスの凶悪さは俺の知る豚とはかけ離れていた。

 なんて邪悪そうな顔をしているだこの豚フェイス、完全に人間でも何でも食べまくりますって顔をしている。口がデカイったらないな。

 装備はまるで原始人みたいな格好をしていて手には大きな棍棒とか平たい石を木に括り付けた石オノを持っていた。

 最初は冒険者も普通のオークだけかと安堵した、しかし奥の方のオークを確認すると息を吞んだ。
 オークの軍団の奥には通常のオークよりも更に二回りは大きなオークがいた、冒険者の誰かが『オークファイターだ…』と言ったのを聞こえた。

 更には小柄ながらローブを着込んで杖を持っていられオークメイジ。オークファイターよりも大きな全身鎧を着込んだオークジェネラルだとか、とにかく強いオークが何体もいた。

 戦々恐々とする冒険者達を尻目にあのオークジェネラルの鎧って誰が造ってんのかなとか場違いな事を俺は考えていた。軽めの現実逃避である。

 しかし希望はある、こっちも準備だけはしてきたんだ。窪地の通路を歩くオーク達には見えないように高い位置に配置されたのは……即席の調理場だった。

 既に用意された鍋の中にオーク達も好みそうな肉とか香辛料のブチ込んである。コイツに火をかけて匂いでヤツらの鼻を刺激するのだ。

 そしてその鍋の手前に陣取る冒険者達には全員に劇くさ丸薬を渡してある。俺を含めた調合斑が腕の筋肉痛と戦いのながら用意した逸品だ、何気にこの時に渡した筋肉痛を和らげる黒い丸薬は調合師達に好評だった、また売ってくれと言われたわ。

 まっんな話はどうでもいいか。

「さてっと、それじゃあ始めるか」

 用意された鍋に火がかけられる、静に戦闘開始の火蓋が切られた。


 ◇◇◇◇◇◇


 オーク達の鼻の良さは想像以上だった、鍋に火をかけて数分で鍋がグツグツしてくるとその足を止めるオークが続出する。

 そして立ち上がるカルカトの冒険者達、オーク達は左右に冒険者が大量にいることに気がついた。
 本来なら武器を手にして戦闘準備をするオーク、しかし食べ物の匂いに心奪われたオークが現れると我先にと坂を駆け出し匂いの元まで走り出した。

 冒険者達はそんなオーク達に向けて煙を上げる丸薬をぶん投げる。
 それを見たオーク達は構わずツッコんできた、まあ普通に考えたら煙幕程度の効果しか期待出来ない代物だ。

 何より自分達の鼻の良さに自身があったんだろうさ、例え見えなくても鼻をクンクンすれば冒険者も食べ物もその位置を知ることは容易いってな。

 俺の予想通りオーク達はあの劇くさの煙の中に突入する。そして鼻をクンクンするのだ。
 当初の予想ではこれでオーク達はあまりの臭さに大混乱、そこを遠距離攻撃が出来る冒険者で攻撃して先制するのが作戦の第一段階だった。

 しかし速効で予想外の事が起こる。
 煙の中に突入したオーク達、ヤツらは煙を抜けて現れると………ゆっくりと倒れた。

 膝から崩れ落ち、眠るように倒れたのだ。
 その表情も心なしか穏やかである、まるで天国にでも至ったかのような顔で死んでいた。

「オッオーク達が死んでいる!?」
「本当にあの煙、猛毒とかじゃないんだろうな!?」

 失礼な、素人調合師が毒物扱うとかデメリットが大きすぎるんだ。そこら辺はちゃんと調べて調合してんだよ。
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