149 / 164
14.社長秘書の誤算
7
しおりを挟む「それは、嬉しい誤算?」
「ああ」
顔を寄せると、りとが目を閉じた。
俺も目を閉じて、唇を重ねる。
優しく触れ、唇を開き、舌を出し、ひっこめた。
「りとと力登を愛せたことは、人生で最高に嬉しい誤算だよ」
りとは目を開かない。
伏せた睫毛が小さく震えている。
唇も。
もう一度口づけたら、頬が濡れた。
重なる唇がしょっぱい。
舌を絡め合いながら、ようやく俺は下着のホックをすべて外した。
窮屈に押し込められていた胸がふるりとこぼれる。
俺は下着を放り、汗ばむ胸に触れた。
「ん……っ」
りとが腕が俺の首を抱く。
既に尖った尖端を指先でつまみ、強弱をつけて捏ねる。
りとの腰が揺れ、浮いた。
少しだけ瞼を上げると、彼女も同じように俺を見ていた。
片手でりとの腰を抱き、尻を撫で、濡れたショーツを指で脇に寄せた。
りとがゆっくりと腰を下ろす。
迎えるべき昂った熱が、さも当然のように飲み込まれていく。
屹先から膣内の熱が全身に広がる。
柔らかなうねりが心地良い。
「りと……」
彼女の背が伸び、膣内が絞まる。
顎に、首にキスをすると、耳元に彼女の吐息を感じた。
熱い。
俺はりとの腰を抱いて体重をかけ、体勢を変える。
ベッドに沈む彼女を見下ろし、今度こそ逃がすまいと両足をきつく掴み、脇に抱えた。
「力登の……弟は?」
乾いた声に、ふっと笑う。
「少しくらい新婚生活を楽しんでからでもいいだろ」
「そうね……」
りとの足が俺の腰に絡む。
俺は彼女の腰を掴むと、腰を揺らす。
軽く。のはずが、快感に逆らえずに加速する。
「あ……っあ――っん」
肌がぶつかる乾音。
体液が混ざる水音。
堪えきれない嬌声。
滴る汗。
悔しいほどの気持ち良さに、限界はすぐ目の前。
寸止めからの一ヵ月は、長かった。
目を閉じて感覚を一点に集中すると、すぐにでも達してしまいそう。
俺は繋がっている部分を指の腹で擦った。
「ダメッ! それ――」
目を閉じ、腰を強く押しつける。
指を上下に動かすと、りとの腰が跳ねた。
同時に膣内が激しく収縮し、俺を絞めつけた。
「――っく」
俺もまた腰が跳ねた。
同時に、ビクンッと屹先が硬直し、薄い膜に熱い飛沫を放つ。
「は――ぁ……」
言葉では表現できないほどの解放感。
背中から尻にかけて力をこめ、溜まりに溜まった白濁を吐き出しきると、ようやく肺に酸素を取り込めた。
目を開けると、りとは目を閉じたまま胸を上下させて呼吸を整えていた。
「大丈夫か?」
小さく頷いて答える。
ゆっくりと腰を引くと、りとがまた息を詰めた。
コンドームを処理して、りとの隣に寝ころぼうかと思い、やめた。
間違いなくもう一度お相手願うことになる。
いや、一度で済むかも自信がない。
とにかく、彼女に無理を強いることになる。
「水でいいか?」
りとが目を開け、頷く。
浅い呼吸を繰り返す唇、その度に上下する胸、潤んだ瞳、首筋に光る汗。
その全てが俺を興奮させる。
これは、まずい。
俺はそそくさと立ち上がってバスルームにいき、お湯を溜め、バスローブを羽織って、冷蔵庫からペットボトルのミネラルウォーターを二本持ってベッドに戻った。
「起き上がれるか? それとも、口移しで飲ませてやろうか?」
返事の可能性は半々。
期待も半々。
起き上がってくれたら少し残念だが、まだ余裕がある素振りを続けられる。
口移しを望まれたら嬉しいが、余裕なんて木っ端みじんに吹き飛ぶ。
りとは身体を横にして、起き上がった。
そこまで激しくしたつもりではなかったし、時間も、自分比ではあるがそう長くなかった。
だが、りとはゆっくりと身体を起こすと、ふぅっと息をついてベッドヘッドに背をもたれた。
キャップを外したペットボトルを渡す。
1
あなたにおすすめの小説
肉食御曹司の独占愛で極甘懐妊しそうです
沖田弥子
恋愛
過去のトラウマから恋愛と結婚を避けて生きている、二十六歳のさやか。そんなある日、飲み会の帰り際、イケメン上司で会社の御曹司でもある久我凌河に二人きりの二次会に誘われる。ホテルの最上階にある豪華なバーで呑むことになったさやか。お酒の勢いもあって、さやかが強く抱いている『とある願望』を彼に話したところ、なんと彼と一夜を過ごすことになり、しかも恋人になってしまった!? 彼は自分を女除けとして使っているだけだ、と考えるさやかだったが、少しずつ彼に恋心を覚えるようになっていき……。肉食でイケメンな彼にとろとろに蕩かされる、極甘濃密ラブ・ロマンス!
包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~
吉沢 月見
恋愛
ひたすら妻を溺愛する夫は50歳の仕事人間の服飾デザイナー、新妻は23歳元モデル。
結婚をして、毎日一緒にいるから、君を愛して君に愛されることが本当に嬉しい。
何もできない妻に料理を教え、君からは愛を教わる。
極上エリートの甘すぎる求愛に酔わされています~初恋未満の淡い恋情は愛へと花開く~
櫻屋かんな
恋愛
旧題:かくうちで会いましょう 〜 再会した幼馴染がエリートになって溺愛が始まりそうです 〜
第16回恋愛大賞で奨励賞いただきました。ありがとうございます!
そして加筆もたっぷりしての書籍化となりました!めでたーい!
本編については試読で16章中3章までお楽しみいただけます。それ以外にも番外編やお礼SSを各種取り揃えておりますので、引き続きお楽しみください!
◇◇◇◇◇
三十一歳独身。
遠藤彩乃はある日偶然、中学時代の同級生、大浦瑛士と再会する。その場所は、酒屋の飲酒コーナー『角打ち』。
中学生時代に文通をしていた二人だが、そのときにしたやらかしで、彩乃は一方的に罪悪感を抱いていた。そんな彼女に瑛士はグイグイと誘いかけ攻めてくる。
あれ、これってもしかして付き合っている?
でもどうやら彼には結婚を決めている相手がいるという噂で……。
大人のすれ違い恋愛話。
すべての酒と肴と、甘い恋愛話を愛する人に捧げます。
オオカミ課長は、部下のウサギちゃんを溺愛したくてたまらない
若松だんご
恋愛
――俺には、将来を誓った相手がいるんです。
お昼休み。通りがかった一階ロビーで繰り広げられてた修羅場。あ~課長だあ~、大変だな~、女性の方、とっても美人だな~、ぐらいで通り過ぎようと思ってたのに。
――この人です! この人と結婚を前提につき合ってるんです。
ほげええっ!?
ちょっ、ちょっと待ってください、課長!
あたしと課長って、ただの上司と部下ですよねっ!? いつから本人の了承もなく、そういう関係になったんですかっ!? あたし、おっそろしいオオカミ課長とそんな未来は予定しておりませんがっ!?
課長が、専務の令嬢とのおつき合いを断るネタにされてしまったあたし。それだけでも大変なのに、あたしの住むアパートの部屋が、上の住人の失態で水浸しになって引っ越しを余儀なくされて。
――俺のところに来い。
オオカミ課長に、強引に同居させられた。
――この方が、恋人らしいだろ。
うん。そうなんだけど。そうなんですけど。
気分は、オオカミの巣穴に連れ込まれたウサギ。
イケメンだけどおっかないオオカミ課長と、どんくさくって天然の部下ウサギ。
(仮)の恋人なのに、どうやらオオカミ課長は、ウサギをかまいたくてしかたないようで――???
すれ違いと勘違いと溺愛がすぎる二人の物語。
甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・
希花 紀歩
恋愛
24時間二人きりで甘~い💕お仕事!?
『膝の上に座って。』『悪いけど仕事の為だから。』
小さな翻訳会社でアシスタント兼翻訳チェッカーとして働く風永 唯仁子(かざなが ゆにこ)(26)は頼まれると断れない性格。
ある日社長から、急ぎの翻訳案件の為に翻訳者と同じ家に缶詰になり作業を進めるように命令される。気が進まないものの、この案件を無事仕上げることが出来れば憧れていた翻訳コーディネーターになれると言われ、頑張ろうと心を決める。
しかし翻訳者・若泉 透葵(わかいずみ とき)(28)は美青年で優秀な翻訳者であるが何を考えているのかわからない。
彼のベッドが置かれた部屋で二人きりで甘い恋愛シミュレーションゲームの翻訳を進めるが、透葵は翻訳の参考にする為と言って、唯仁子にあれやこれやのスキンシップをしてきて・・・!?
過去の恋愛のトラウマから仕事関係の人と恋愛関係になりたくない唯仁子と、恋愛はくだらないものだと思っている透葵だったが・・・。
*導入部分は説明部分が多く退屈かもしれませんが、この物語に必要な部分なので、こらえて読み進めて頂けると有り難いです。
<表紙イラスト>
男女:わかめサロンパス様
背景:アート宇都宮様
小野寺社長のお気に入り
茜色
恋愛
朝岡渚(あさおかなぎさ)、28歳。小さなイベント企画会社に転職して以来、社長のアシスタント兼お守り役として振り回される毎日。34歳の社長・小野寺貢(おのでらみつぐ)は、ルックスは良いが生活態度はいい加減、デリカシーに欠ける困った男。
悪天候の夜、残業で家に帰れなくなった渚は小野寺と応接室で仮眠をとることに。思いがけず緊張する渚に、「おまえ、あんまり男を知らないだろう」と小野寺が突然迫ってきて・・・。
☆全19話です。「オフィスラブ」と謳っていますが、あまりオフィスっぽくありません。
☆「ムーンライトノベルズ」様にも掲載しています。
お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~
ひなの琴莉
恋愛
イケメンで完璧な上司は自分にだけなぜかとても過保護でしつこい。そんな店長に秘密を握られた。秘密をすることに交換条件として色々求められてしまう。 溺愛体質のヒーロー☓地味子。ドタバタラブコメディ。
2021/3/10
しおりを挟んでくださっている皆様へ。
こちらの作品はすごく昔に書いたのをリメイクして連載していたものです。
しかし、古い作品なので……時代背景と言うか……いろいろ突っ込みどころ満載で、修正しながら書いていたのですが、やはり難しかったです(汗)
楽しい作品に仕上げるのが厳しいと判断し、連載を中止させていただくことにしました。
申しわけありません。
新作を書いて更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
お詫びに過去に書いた原文のママ載せておきます。
修正していないのと、若かりし頃の作品のため、
甘めに見てくださいm(__)m
Home, Sweet Home
茜色
恋愛
OL生活7年目の庄野鞠子(しょうのまりこ)は、5つ年上の上司、藤堂達矢(とうどうたつや)に密かにあこがれている。あるアクシデントのせいで自宅マンションに戻れなくなった藤堂のために、鞠子は自分が暮らす一軒家に藤堂を泊まらせ、そのまま期間限定で同居することを提案する。
亡き祖母から受け継いだ古い家での共同生活は、かつて封印したはずの恋心を密かに蘇らせることになり・・・。
☆ 全19話です。オフィスラブと謳っていますが、オフィスのシーンは少なめです 。「ムーンライトノベルズ」様に投稿済のものを一部改稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる