【ルーズに愛して】指輪を外したら、さようなら

深冬 芽以

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3.仮面夫婦

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 肩まである千尋の髪に頬をくすぐられて見上げると、勝ち誇ったような笑みが目に入った。

 唇が重なった瞬間、下腹部の重みがなくなり、そう思ったら、強烈な熱を感じた。

 勃ち上がったモノは咥え込まれ、最奥まで一気に押し込まれる。

 さっきの余韻で緩んでいるかと思ったが、すでにきつくなっていた。

 ゴムなしは、やはり違う。

 直接千尋の熱を感じ、柔らかいけれど程よい締め付けに、じっとしていられない。

 突き上げたくて腰を引くと、急に冷えた空気にさらされた。

 千尋が腰を上げ、膝で立ち、俺を見下ろしている。

れたい?」

 焦らした仕返し。

 挿れたいに決まっている。が、簡単に降伏しては、男が廃る。

「ねだるのはお前だよ」

 少し乱暴に千尋をベッドに横たえると、両足首を掴み、広げ、さっきまで俺を咥えていた部分に、今度は舌を咥えさせた。

「ひゃ――」

 ソコから膨らみめがけてゆっくりと、大きく舐め上げる。

「はっ――! ああっ!!」

 舌先でくすぐってみたり、舌の表面で大きく撫でてみたり、唇を尖らせて吸い付いてみたり。緩急をつけて繰り返すうちに、雫が溢れ出す。

「挿れて欲しい?」

 負けるもんかと、千尋が手の甲で唇を押さえる。

 吸い付いて、口の中で膨らみを舌で転がしながら、手を伸ばして膨れ上がった乳首を摘まむと、千尋の身体が跳ねた。

「んんんーーーっ!!!」

 三回、四回、五回とリズミカルに身体が跳ねたが、俺は吸い付いた口を離さなかった。

 千尋が身をよじって逃げようとする。

「だめっ――! も――、だめぇ――!!」

 溢れる雫をかき分けて指を挿れると、膣内なかはさっきよりも熱くうねっていた。

 舌の動きに合わせて、指を締め付ける。

「やぁ――っ!」

 千尋の可愛い声が、更に艶っぽくかすれる。

 一度咥え込まれて、より一層大きく硬くなったモノが、指に取って代わろうと疼く。

 出しっ放しになっていたゴムに手を伸ばし、千尋の雫を吸い上げながら、装着する。

 女の股の間に顔を埋め、手探りでゴムを着ける様は、きっとかなり滑稽だろう。

「――れて……」

「ん?」

「挿れてぇ――!」

 顔を上げながら両肩に千尋の足を乗せ、そのままグイッと身体を起こした。大きく開かれた足の間に、腰を寄せる。先端を入り口に当てただけで、くちゅっと水音がした。

「なぁ、千尋」

 赤くなった膨らみを指で擦りながら、聞いた。

「ホントは好きだろ?」

「んっ――! あ――」

「好きだって……言えよ……」

 涙に滲む千尋の瞳が少しだけ開いて、ゆっくり閉じて、涙が一筋こめかみに向けて流れた。

 千尋の、意地。

『愛人』の、意地。

 だから、俺が言う。

「俺は好きだよ……」

 俺は千尋の頭を撫で、そっと結婚指輪を外した。

「指輪なんてしなくても、感じさせてやるよ」
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