青春の罪と罰 ～とある中学生の物語～

１年目 ～野球と初の人付き合い、僕の弱さを知った日々～

第２話 入学式

この時はまだ、なにも知らなかった。

入学式は、まだ名前もなにも知らない子達と適当に合わせてそのまま、時間が過ぎ去るのを待っていた。
その時、自分が何を考えていたかなんてイチイチ覚えていない。
一番記憶に残っているのは、全然分からない校歌を斉唱しなきゃいけない時に、キョロキョロと辺りを見渡していたことだ。
疑問符をいっぱい付けながら辺りを見渡していたことはよくなぜか記憶に残っている。
体育館は昨年工事していたらしく、新鮮なヒノキの匂いが新しい季節の期待を僕に埋めていた。
部活動はどんなものなのか。
上手く勉強に追い付いていけるのか。
などなど。
まさしく、『不安と期待を胸に抱く』だ。
新入生の代表の挨拶のテンプレの言葉である。
まぁ、それを僕が言ったわけじゃなく、もしそれを言えるなら、もっとしっかりしていて、人を傷つけることなんてするわけがない。

入学式は、滞りなく終わった。
クラス対面式をするため、僕らは教室に行く。
新しいクラスに僕は期待を持っていた。
変な意味はなしで興奮もしていた。
僕の自己紹介は誰かの興味を引く趣味も面白さもなく終わったと思う。
記憶から薄れていていってるから鮮明には思い出せないけど。
こうして、僕の愚かな１年目が始まった。