絵描き令嬢は元辺境伯の愛に包まれスローライフを謳歌する

(旧32)光延ミトジ

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幕章 ︎︎オリオン青年物語

77:過去編⑥:戦場の青年たち:Sideオリオン

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「ものすごい雨ですね」

 前線付近に構えた陣の天幕から外を覗き、ラーズ=トールマンが言った。

 雨が幕を打っている。わざわざ見るまでもなく、外の様子はわかった。リンドグロム城から前線までの道程――道といっても空路である――で降り始めた雨は、どんどん勢いを増して豪雨となっている。遠くでは雷が轟き、曇天に稲光が走っていた。

 天幕の中にはラーズの他に、四人の青年がいる。オリオン=ホワイトディア、メンドーサ辺境伯家の三男レオナルド、軍師のロコモ=アドニスとレオナルドの副官のカルノー=ハウスだ。

「作戦は伝達できているか?」

 雷の音の合間を縫ってオリオンが問う。

「はい。恙なく。いつでも出陣できます」
「そうか」
「雨脚が弱まるのを待ちますか?」
「……雨は問題じゃない。危険なのは雷だ。距離は?」

 オリオンが尋ねれば、ラーズが空をじっと見た。そして稲光と轟音を確認すると「ちょうど大河の辺りのようです」と答え、短く息を吐く。

「落雷の危険が高いかもしれません」
「ならば待つしかない」
「では、待機するように伝えてきます」

 そう言って、ラーズが天幕を出ようとした瞬間――

「今が好機なのではありませんか?」

 カルノーが淡々と告げ、ラーズの足を止めた。

「この雨です。足場の悪さは戦象には不利……こちらの有利に働きます。豪雨で飛竜の翼の音も消えるでしょう。雨に紛れて急襲できないのですか?」
「できないことはない」

 オリオンの言葉に、カルノーは「では――」と続けようとするが、彼はそれを制すように肩を竦めてみせる。

「だが、さすがの飛竜も雷は避けられん。武器を持った部下に、雷の巣に飛び込んで行けと命令するつもりはない」
「っ、戦場に立ちながら、命が惜しいと? 飛竜騎士とは勇敢な方々だと思っていましたが、雷を恐れているのですね」
「やめろ、カルノー!」

 レオナルドが声を荒げるが、少しばかり遅かった。カルノーの言葉はすでにオリオンの耳にも、ラーズやロコモの耳にも入っている。北部の面々が眉を寄せた。カルノーの――南部の辺境伯家次男の副官の言葉は、決して軽くない。

「戦場で、戦いの中で死ぬのならかまいません。ですが、雷に打たれて無駄死にするのはごめんですね」

 苛立ちを隠さずラーズが返す。

 普段は温厚な彼が聞き流さないのも当然だ。前線を大河付近に保ち、戦象の足を止め続けている現状を維持するのは、簡単なことではない。南部にきた飛竜騎士の全員が無事なわけではなかった。怪我をして戦線を離脱した者も、命を落とした者もいる。

 その中には、ラーズの従弟もいた。彼の名前はバベル=トールマン。トールマン男爵家の分家の出で、ラーズとよく似た顔立ちの、糸のような細い目をした青年だ。ただ、見た目とは違い、やや直情的で、戦闘中に熱くなりやすい性格はあまり似ていなかった。子供の頃からそうだったのだろう。右腕として傍に置いていることもあり、血気盛んな従弟の手綱をラーズが握っている光景を、オリオンは何度も見た。

「豪雨の中、実際に戦象と相対するのは私たちです。それを知らないはずもないのに、よく揶揄できたものですね」
「……その言い草だ……戦っているのが、自分たちだけだとでも言いたいんですか?」

 カルノーの意図が読み取れない。何故、あからさまな敵愾心を表に出しているのだろう。たとえ心の中でどう思っていようが、それをぶつけてくる必要はない。彼の上官であるレオナルドも、副官の態度と言葉に唖然として固まっている。

「そんなことは言っていません。問題のある物言いをしたのはそちらであるのに、私の言葉を曲解するのはやめていただきたい」
「曲解……そうでしょうか? あなた方は、自分たちだけが命を懸けて戦っていると自負しているのではありませんか? 弱い南部の兵に代わって、戦ってやっているのだ、と」

 下ろした腕の先で、カルノーは拳を握り締めている。睨み据えてくる青年を、ラーズも睨み返していた。天幕に緊迫した空気が流れる。

 オリオンが言葉を慎めとカルノーを注意すれば、ある種の越権行為として、禍根が残りかねない。軍事作戦以外の部分において、北部の飛竜騎士団を監督するのはオリオンの役目だが、南部の人間を監督するのはレオナルド=メンドーサの役目であり、権利だ。侵してはならない一線である。レオナルドを見れば、彼は一度頷き、副官の肩を引いた。

「カルノー、頭を冷やしてこい」
「レオナルド様、私は――」
「冷静になれ。自分の足で出て行かないのなら、兵を呼ぶ」
「そんな、何故……ッ、私たちだって……私たちだって、戦っているんだ!」

 レオナルドの言葉にカルノーは唇を噛んだ。しかしすぐラーズのほうを向き直り、声を荒げた。顔を真っ赤にして吠える様子は尋常ではない。

(こいつは……)

 無礼だなんだと咎めるより先に、オリオンはじっとカルノーを見る。彼の様子がおかしいことにようやく気づいた。その場の勢いだけで皮肉を口にしたわけでも、喧嘩を売るような態度を取っていたわけでもなさそうだ。オリオンと同じくラーズも気づいたらしい。噛みつかれ、応戦していたが、今は静かに彼を見据えている。

「レオナルド様だっておわかりでしょう!? 制御を失って暴れる戦象に潰されるかもしれない中、地上で敵兵と交戦しているのは私たちだ! 潰されたら、骨も残らないのに、そんな、侮られるなんて――」

 ぷつりと、カルノーは言葉を途切れさせた。しかし、その口は小さく震えて、音もなく『報われない』と動いた。

 立場上、これ以上庇ってはいけないと判断したのだろう。レオナルドが兵を呼ぼうとする。オリオンは「レオナルド」と、名を呼んでそれを制した。

 カルノーのような状態に陥る兵士を、これまでに何人も見たことがある。戦場で、決して美しくない、惨たらしい死を目の当たりにした者には、時折現れる症状だ。普段はそれまでと変わらないように見えても、ふとした瞬間に冷静さを失う。感情を制御できずに攻撃的になり、中には幻覚すら見る者もいた。

 オリオンはレオナルドに近づき、耳打ちする。彼は目を丸くしてオリオンを見上げてきたが、赤の瞳が真剣なことを察したようで、小声で「わかった」と頷く。そしてカルノーの肩を抱き、ラーズの横を通りすぎて天幕を出て行った。

「何を耳打ちしたんだ?」
「お前が想像してることだ」
「……そうか」

 ロコモも長く戦場に携わっている者だ。この一年と数か月の従軍により、カルノーが心的な問題を抱えたのだと理解したのだろう。

 ふたりを向かわせたのは、衛生兵のいる天幕だ。そこにはオリオンがホワイトディア領からつれてきた、外傷以外も診れる医者がいる。若者ばかりの飛竜騎士団だが、医者は経験豊富な壮年の男である。カルノーは診察の上、おそらく前線から退くように言われるはずだ。

「見誤っていたな」

 オリオンが、呟く。

「南部の人間は、現状維持に甘んじ、戦績は上々だと考えていると思っていた。だが、俺たちの思い違いだったのかもしれない」

 白銀の髪を掻き、深く息を吐いた。

 領土を切り取られようとしているさ中とは思えないほど、南部の人間は焦りもせず、呑気にしているように見えた。膠着状態に持ち込んだ現状が上々とする指揮官たちと、それに異議を唱えない兵士たちに、苛立ちも覚えた。

 それに、カルノーが言葉を荒げていたように、飛竜と共に前線に出て戦象を相手にしているのは自分たちだと、そんな意識がまったくなかったとは言い切れない。

「思い違いか……そうだな。少なくとも実際に戦ってるやつらの中にある、現状への焦りや燻りを掴み切れていなかったのは事実だ」
「ハウス副官があの様子なら、他の兵士もそうなのかもしれません」

 これまでカルノーの言葉に応戦していたからか、ラーズはどこか気まずげだった。間違ったことを言ったとは思っていなさそうだが、相手が通常の状態でないのに気づかず、言葉を続けた自分に思うところがあるのかもしれない。

 当事者がいなくなっても、天幕の空気は重かった。だが静かになった分、すぐに気づく。天幕を打つ雨音が弱まってきていた。オリオンがラーズに外を確認させる。雷も音と光の感覚が長くなり、雷雲は遠くに流れたようだ。

 ラーズがオリオンを振り返る。

「オリオン様。雷雲は流されたようです。いささか風が強くなってきたのは気になりますが、許容範囲内でしょう」
「ああ……出陣だ」

 静かに告げれば、ロコモが胸に手を当てこうべを垂れた。

「ご武運を」

 軍師であるロコモは天幕に残り、前線へは同行しない。すでに彼が立案した作戦はオリオンとラーズを通して仲間に伝えられている。オリオンは椅子の背にかけていたマントを取り、頭を下げるロコモを背に天幕を出た。

 曇天の空から降る雨は弱くなりつつある。うしろにラーズをつれて、オリオンは陣の中を進んだ。ラーズがすれ違う者たちに出陣を告げれば、彼らは即座に準備に取りかかる。オリオンも声をかけながら目的地へと向かう。

 彼らが足を運んだのは、密林付近に築いた飛竜を待機させるための区画だ。そこへ行けば、オリオンの相棒――白竜のクィーンが巨木の下で佇んでいた。

 葉が生い茂る枝の下は南部の強い日差しを避けることも、雨を防ぐこともできる。凛とした雰囲気を纏う彼女は、他の竜と慣れ合うことはない。その名に相応しい孤高の存在で、オリオンの曾祖父は、まだ幼竜だった彼女をひと目見た瞬間に『女王』と名付けた。

「クィーン、今日も美しいな」

 近づき、鼻頭を撫でる。彼女は目を伏せた。竜種特有の、瞳孔が縦に長い金色の瞳が隠れる。そのまま一秒、二秒、三秒……クィーンが再び目を開けて、尾を地面に打ちつける。それが合図だ。

「ああ、行こう」

 オリオンはマントを翻す。そして、隊列を整えた騎士団と、南部の兵士たちの元へ行き、出陣の号令を飛ばしたのだった――

 ――着々と、雨脚が弱まってきている。

 地面がぬかるんでいるようで、想定通り、戦象の動きは鈍い。戦象の背には操縦者が身を隠す木箱があったが、一年と数か月の間に取り外されている。人が隠れられるほど大きな木箱は飛竜が狙いやすい格好の的であり、操縦者が避難するのも難しいため、敵は半年も経たないうちにそれを撤去した。今は直接背に乗り、牙と繋がる綱を引いている。

 クィーンを急降下させ、戦象の背に座す操縦者を襲撃した。剣を一閃して切り捨てる。操縦者が落下して、戦象は歩みを止めた。そこへ下にいるメンドーサ領の兵士たちが一斉に巨大弓――バリスタを戦象に打ち込んだ。カルノーが言っていた通り、戦象が暴れ回る戦場は秩序も統率も失われている。

 オリオンは再び上空へ戻った。そして、あらかじめ選抜していた腕のいい飛竜騎士たちに合図を送る。彼らは敵を背後から叩くため、大河のほうへ速度を上げて飛んで行った。

 それを見届けると、ちょうどラーズが隣に藍色の鱗の飛竜を寄せてくる。

「オリオン様! 霧が出てきましたね!」

 戦場の声と飛竜の翼の音で、大声で話さないと届かない。

「ああ、下はさらに濃かった!」
「これ以上、霧がかかってしまえば、上空からの急襲は難しくなります!」

 濃霧が続くようなら、飛竜から降りて戦うしかないだろう。大雨の影響で大河は水嵩を増している。敵の援軍や物資が河を越えてこれないことを考えると、今の内に叩けるだけ叩いておきたいところだ――と、そんなことをラーズに伝えれば、同意の言葉が返ってきた。

(敵もだいぶ数が減った)

 オリオンたちが南部領にきて一年と七か月――帝国は侵攻を始めて二年以上もの月日が経過している。戦象部隊の数が減っているのはもちろんのこと、物資の調達も上手くいかなくなってきているようだ。領内にあった敵の食糧はオリオンたちがありかをつき止めて焼き払った。近頃はメンドーサ領にいる協力者――内乱を先導していた者たち――に調達させていたらしいが、そちらも遠からず片がつく。

 終わりが近づいてきているのは、間違いない。

 だが、何故だろうか。

(妙な胸騒ぎがする)

 ただの予感だ。だが、神経を研ぎ澄ませた戦場で覚えた予感というのは、気のせいで切り捨てていいものではない。戦場を見渡せる位置まで浮上したところで、濃霧が邪魔している現状では違和感を目視することはできなかった。

 予感に導かれるように、オリオンは大河のほうへ目を向ける。

(判断に時間をかけるべきではない)

 彼は大きく息を吸い、深く吐き――決断した。

「ラーズ! 少し離れる!!」
「えっ!? オリオン様!?」

 彼の意志を読み取ったかのように、クィーンが翼で空を打った。うしろで叫ぶラーズの声はすぐ聞こえなくなる。

 大河に近づくにつれて霧が濃くなった。ホワイトディア領で吹雪の中を飛ぶ時とは、また少し違った白い闇が眼前に広がっている。何を目指して飛んでいるのか、それはオリオンにもわからない。直感につき従って、霧の中を進み――

「っ」

 刹那、オリオンは手綱を引いてクィーンを制止する。

 見知らぬ人間に、背中を爪の先でそっとなぞられたかのような、気味の悪さを、覚えた。正体を掴むよりも先、その不気味さに気づいたのとほとんど同時――そう遠くない場所で、何かが風を切る音がして――

「あああああっ!!!」

 飛竜の断末魔と青年騎士の絶叫が聞こえた。

 絶叫のほうへクィーンを向かわせる。凄まじい風圧の中、目を凝らした。睨むように前方を見据えていると、距離が近づいたからか、目が慣れたからか、その光景が目に入る。

 落下していく飛竜と、それでも手綱を離さない仲間の姿だ。その光景を視界に捉えたオリオンは、落下する飛竜の傍へとクィーンを急がせる。体勢を低くして急降下に耐えながら接近し、青年騎士――リーフの腕を掴んだ。

「手綱を離せ!」

 リーフは顔か頭を負傷しているのか、顔面が血塗れになっている。オリオンが叫べば、彼は呻きながら、悔しげに……手の力を緩めた。

 力任せに彼を引き寄せる。自身の前に乗せたところで、クィーンが急降下をやめて瞬時に上空へ向かった。落下していくリーフの相棒の飛竜との距離がぐんぐん開いていく。

 腕の中から、嗚咽が聞こえた。

 相棒を失った悲しみか、救えなかった苦しみか、手綱を離してしまった自身への怒りか――あるいはその全てか。咽び泣くリーフの肩は震えている。追悼するのにさえ、まだ時間が必要なのだろう。しかし、今はその時間がない。

「何があった?」

 絶望に苛まれている部下に、オリオンは指揮官として問うた。



 
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