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第4話
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「今日、ちょっとお友だちと女子会なんだけど、レインのお散歩、お願いしても大丈夫?」
「ああ、美沙ちゃんと会うんだね?
ゆっくりしておいで。レインの散歩は僕が行くから」
「色々相談があるんだって、旦那さんのこととか」
「美沙ちゃん、やっぱり離婚するのか?」
「わかんない。あんなに仲好しだったのにね?」
「原因は旦那さんの浮気だったよね?」
「うん・・・」
その時、妻の瑠璃子は酷く哀しそうな顔をしていた。
それは罪人の顔だった。
瑠璃子が不倫をしていることに、私が気付いていることを彼女は知らない。
それを私が知ったのは、2年ほど前からだった。
子作りに励んでいた頃には、セクシーなランジェリーも身に付けて、その場を盛り上げてくれた瑠璃子も、子供を断念してからは、ユニクロのような機能的な下着を着けるようになっていた。
それがまた、以前の派手な下着が室内干しに見かけるようになった。
(まさか瑠璃子が浮気?)
今まで無頓着だった携帯も、常に持ち歩くようになっていた。
そんなある日のこと、瑠璃子がスーパーへ買物に出掛けた際、携帯を忘れていったことがあった。
そこへ妻の携帯にLINEが届いた。
覗いたその画面には、「ナオト」と表示がされ、最初の文章が少しだけ見えた。
昨日はすごく良かっ・・・
それを見た時、私の杞憂は現実の物となった。
妻は私を裏切っていたのだ。
携帯を忘れたことに気付いた妻は、息を切らせてすぐに自宅へ戻って来た。
「ハアハア、携帯、忘れちゃった。
ダメね? おばさんは忘れ物が多くて。
じゃあ、行ってくるわね? 何か食べたい物はない?」
「そうだなあ? メガプリンがあったら買って来てくれ、小さいやつならいらない。冷蔵庫にあるから」
「わかったわ、あのメガプリンね? あの大きいプッチンプリンより、もっと大きいやつ?」
「ああ、気を付けて。慌てなくていいから。
あっそれから・・・」
「なあに?」
「携帯は忘れちゃ駄目だよ。大切な物だからね?」
「はーい、じゃあ行ってきまーす」
私はプリンなど、どうでもよかった。
ただ、咄嗟に気の利いた言葉が見つからなかったのだ。
私は妻の艶めかしいヒップラインの後ろ姿を、何も言わずに見送った。
つまり私は妻の不倫を容認していたのだ。
容認? イヤ、それは少し違う気がする。
「見て見ぬフリ」が妥当かもしれない。
いや、見たくは無かった、妻が浮気をしている証拠など。
認めていないがそれには触れない
私はまるで、自分が哲学者にでもなったようなつもりでいた。
「結婚したら夫は哲学者になるべきだ」と言った偉人がいたが、私はその境地にあったのかもしれない。
なぜなら妻は、いつもと何も変わるところがなかったからだ。
美味しい食事を作り、掃除や洗濯、靴磨きにシャツにアイロンをかけてくれている。
いつもと何も変わらぬ生活。
ただし、夫の私を欺いていることを除いて。
たとえ外で私の知らない男に抱かれ、快感に身を捩ろうとも、私への愛は変わってはいないと思いたかった。
おそらく今日も大学時代の友人と会うわけではあるまい。
私は先ほど彼女が部屋で着替えをしているのを見かけてしまったからだ。
真っ赤な透けたTバックを履き、姿見でそれを確認している妻の瑠璃子。
「それじゃあ行ってくるね?
レイン、ママが帰ってくるまでおりこうさんにしているのよ」
レインは名残惜しそうな顔をして、玄関で瑠璃子を見送った。
私はキャビネットからブランデーを取り出し、グラスに注いだ。
「レイン、ママはこれから男に抱かれるらしいよ」
レインは私のソファの隣に座り、私に同情するかのように私に寄り添い眼を閉じた。
私はレインを優しく撫でながら、一気にグラスを空けた。
「ああ、美沙ちゃんと会うんだね?
ゆっくりしておいで。レインの散歩は僕が行くから」
「色々相談があるんだって、旦那さんのこととか」
「美沙ちゃん、やっぱり離婚するのか?」
「わかんない。あんなに仲好しだったのにね?」
「原因は旦那さんの浮気だったよね?」
「うん・・・」
その時、妻の瑠璃子は酷く哀しそうな顔をしていた。
それは罪人の顔だった。
瑠璃子が不倫をしていることに、私が気付いていることを彼女は知らない。
それを私が知ったのは、2年ほど前からだった。
子作りに励んでいた頃には、セクシーなランジェリーも身に付けて、その場を盛り上げてくれた瑠璃子も、子供を断念してからは、ユニクロのような機能的な下着を着けるようになっていた。
それがまた、以前の派手な下着が室内干しに見かけるようになった。
(まさか瑠璃子が浮気?)
今まで無頓着だった携帯も、常に持ち歩くようになっていた。
そんなある日のこと、瑠璃子がスーパーへ買物に出掛けた際、携帯を忘れていったことがあった。
そこへ妻の携帯にLINEが届いた。
覗いたその画面には、「ナオト」と表示がされ、最初の文章が少しだけ見えた。
昨日はすごく良かっ・・・
それを見た時、私の杞憂は現実の物となった。
妻は私を裏切っていたのだ。
携帯を忘れたことに気付いた妻は、息を切らせてすぐに自宅へ戻って来た。
「ハアハア、携帯、忘れちゃった。
ダメね? おばさんは忘れ物が多くて。
じゃあ、行ってくるわね? 何か食べたい物はない?」
「そうだなあ? メガプリンがあったら買って来てくれ、小さいやつならいらない。冷蔵庫にあるから」
「わかったわ、あのメガプリンね? あの大きいプッチンプリンより、もっと大きいやつ?」
「ああ、気を付けて。慌てなくていいから。
あっそれから・・・」
「なあに?」
「携帯は忘れちゃ駄目だよ。大切な物だからね?」
「はーい、じゃあ行ってきまーす」
私はプリンなど、どうでもよかった。
ただ、咄嗟に気の利いた言葉が見つからなかったのだ。
私は妻の艶めかしいヒップラインの後ろ姿を、何も言わずに見送った。
つまり私は妻の不倫を容認していたのだ。
容認? イヤ、それは少し違う気がする。
「見て見ぬフリ」が妥当かもしれない。
いや、見たくは無かった、妻が浮気をしている証拠など。
認めていないがそれには触れない
私はまるで、自分が哲学者にでもなったようなつもりでいた。
「結婚したら夫は哲学者になるべきだ」と言った偉人がいたが、私はその境地にあったのかもしれない。
なぜなら妻は、いつもと何も変わるところがなかったからだ。
美味しい食事を作り、掃除や洗濯、靴磨きにシャツにアイロンをかけてくれている。
いつもと何も変わらぬ生活。
ただし、夫の私を欺いていることを除いて。
たとえ外で私の知らない男に抱かれ、快感に身を捩ろうとも、私への愛は変わってはいないと思いたかった。
おそらく今日も大学時代の友人と会うわけではあるまい。
私は先ほど彼女が部屋で着替えをしているのを見かけてしまったからだ。
真っ赤な透けたTバックを履き、姿見でそれを確認している妻の瑠璃子。
「それじゃあ行ってくるね?
レイン、ママが帰ってくるまでおりこうさんにしているのよ」
レインは名残惜しそうな顔をして、玄関で瑠璃子を見送った。
私はキャビネットからブランデーを取り出し、グラスに注いだ。
「レイン、ママはこれから男に抱かれるらしいよ」
レインは私のソファの隣に座り、私に同情するかのように私に寄り添い眼を閉じた。
私はレインを優しく撫でながら、一気にグラスを空けた。
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