若返りの日々

内藤 晃一

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韓国の旧統一教会が大規模抗議集会へ 在韓日本人ら4000人参集

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2022/08/17(水) 18:25

韓国の旧統一教会が大規模抗議集会へ 在韓日本人ら4000人参集
 テレ朝news 2022/08/17 18:25

韓国の旧統一教会は18日、ソウルで“大規模な抗議集会”を開くと発表しました。

 旧統一教会=世界平和統一家庭連合は18日午後2時からソウルで抗議集会とデモ行進を実施すると発表しました。

 デモは市内中心部や日本大使館前などで行われるとみられ、韓国在住の日本人ら4000人余りが集まるとしています。

 目的については「安倍元総理の逝去についての立場や、宗教弾圧・拉致監禁を巡る日本メディアに対する立場を明らかにするため」などと主張しています。


「統一教会払拭内閣」が真意なら岸田首相は致命的ミスを犯した

岸田文雄首相の真意は知る由もないが、今回の内閣改造の目的が「旧統一教会問題隠し」なのだとすると、岸田氏は致命的ミスを犯した。組織のリーダーとしてあり得ない判断だった。旧統一教会問題への対応を含めた、第2次岸田改造内閣の評価と今後の課題を論じたい。(経済評論家、楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)

旧統一教会問題を隠すための

内閣改造なのか

 8月10日に第2次岸田改造内閣が発足した。先の参議院選挙の与党勝利を受けて内閣改造があることは予想されていた。ただ、安倍晋三元首相の銃撃死から時間がたっていないこともあり、新内閣の発足は9月に入ってからではないかという見立てが多かった。大方の予想を裏切る早期の人事だ。

 真の理由は本人の胸の内にあるとしても、巷間この改造は、内閣支持率の低下に危機感を持った岸田文雄首相が早期の人事による人心の一新を狙ったものだと解説されている。全てではないとしても、狙いの一部ではあるのだろう。

 しかし、安倍氏の衝撃的な死の余波が意外な形で影響している。当初は、その死があまりに理不尽だったことから安倍氏への同情と彼の業績への賛美が世論を覆っていた。ところが、山上徹也容疑者が旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)に対する個人的な恨みを動機としていたと報じられたことから、次第に世間の関心が旧統一教会と政治家の関係に移った。

 こうした推移は、山上容疑者の意図に沿うもののようであって、やるかたない思いがする。

 一方、霊感商法などの社会問題に発展するほどの活動を行ってきた旧統一教会と政治家の間の、選挙・宣伝・資金・スタッフなどを通じた深い関係は、それ自体として重大だ。既存のメディアがこの問題を十分報じてこなかったことにも問題があった。

 銃撃事件の際にも多くのメディアは報道にあって、しばらくの間「宗教団体」の固有名詞を挙げなかったが、こうした姿勢でいいのか。率直に言って、政治家と同じくらいメディアも頼りないし、両者の間には「暗黙の了解」があったということだろう。

 さて、この問題について岸田政権側は、しばらく時がたつと世間の関心が薄れると思ったのかもしれないが、今のところ見込み違いだった。過去の関連事実は動かしがたい証拠と共にまだ出てくるだろう。さらに、それを公開していなかった政治家はいかにも「やましい」感じに見えるので、旧統一教会問題は、メディアが記事を作るには格好のテーマだ。

 今回の内閣改造が、「旧統一教会隠し」が目的なのだとすると、岸田氏は少なくともタイミングを間違えたように見える。

岸田首相の決定的なミス

説明責任の転嫁はあり得ない

 今回の組閣で岸田首相が間違えたのは、タイミングだけではない。旧統一教会と関係のある新しい閣僚・党役員への対応を決定的に誤った。

 旧統一教会との関係について、新しい閣僚・党役員各自が自ら公開・説明し、自らが不適任ではないことの判断に対して責任を負えとしたのは、首相として決定的なミスだったのではないか。岸田氏は、この問題に関する任命責任を負いたくないと考えて候補者各自に説明責任を転嫁したつもりだろうが、組織のリーダーとしてこれはあり得ない。

 例えば、ある大企業で広範囲の幹部社員が社会的に不適当な行為に手を染めていたとしよう。今、筆者の頭に浮かぶ一番近い事例は、多くの幹部社員が原子力発電所の立地自治体の関係者から金品を受け取っていた某電力会社だ。ただ、検査データをごまかしていたメーカーや、損失を隠していた上場企業などを思い浮かべてもらってもいい。

 こうした不祥事企業で、不正に関わった役員を再任するときに、役員候補本人の自己申告と良心に基づいて任命するのでは、株主にも世間にも納得感は全くない。それでも再任されるかもしれないのが、日本の会社で起こりがちな問題点だが、日本政府が某電力会社くらい腐っていていいはずはない。もちろん政府なのだから、一企業よりも世間の関心の的になる。

 岸田氏にとっての問題は次のようなものだった。

 旧統一教会問題は、

(1)政治家にとって何がしかは「やましい」点のある問題だ。

(2)関わりのある与党政治家は、濃淡の別はあっても多数いて「処分なし」でも「全員処分」でも組織が保たない。

(3)世間はこの問題の処理に大いに注目している(現在はおそらく関心がピークの時期だろう。何と間の悪い組閣だったことか)。

 ここで組織のリーダーである岸田氏が取るべき行動は、組織として許容できる損害の現実的な線引きを決めて、自分がその線引きの責任を引き受けて矢面に立ち、ダメージコントロールに努めることだ。それ以外にない。

 それなら、国民が納得する可能性があるし、納得しない場合は支持率を犠牲に強行突破するしかないかもしれない。少なくとも、そうしなければ組織のメンバーには信頼されまい。岸田氏は腹をくくるべきだった。普通の企業経営者にも十分に分かるレベルの理屈だ。

 こうした責任から逃げる態度を見せては、国民に誠意と能力のなさを見抜かれる。各方面の調査での組閣後の内閣支持率低下は当然だろう。

自民党総裁を争ったライバルたちの今

効果的「脅し」を放った高市早苗氏

 実は、今回入閣した有力政治家で岸田氏のミスをうまく利用した人物がいる。前回の自民党総裁選挙で岸田氏と総裁を争った、高市早苗経済安全保障担当相だ。

 彼女は、21年前に旧統一教会に関連する雑誌の対談に登場していたことを認めつつ、次のようにTwitter上でツイートした。

「組閣前夜に岸田総理から入閣要請のお電話を頂いた時には、優秀な小林鷹之大臣の留任をお願いするとともに、21年前の掲載誌についても報告を致しました。翌日は入閣の変更が無かったことに戸惑い、今も辛い気持ちで一杯です」

 このツイートには、(1)自分は岸田氏に21年前の事実を報告した、(2)自分自身は今回ポストに就くことが不適任だと判断した、(3)しかし岸田氏は自分を任命した、という経緯が表現されている。

 これは、政治的に極めて巧みな表明だ。まず、岸田氏に対しては効果的な脅しになっている。任命の決定責任が彼の側にあったことを世間にさらすと共に、高市氏がこの件を理由に辞任した場合に内閣に対して大きな打撃になる可能性を示唆しているからだ。

 また、旧統一教会との関係が高市氏よりも深い政治家は多数いて、この中には彼女の政治的ライバルが複数含まれる。防衛相でも経済産業相でもない今回の経済安全保障担当相というポストは、彼女の政治的な実績と立場を考えると軽量だ。「捨てて惜しいポスト」では全くないだろう。

デジタル相・消費者問題担当相の

河野太郎氏は「お手並み拝見」

 一方、同じ総裁選を戦った候補である河野太郎氏は、デジタル相のポストを悪くないと考えて引き受けたように思われる。菅内閣時代に「印鑑廃止」で大いに注目を集めたのと似た立ち位置だ。

 日本の行政のデジタル化が非常に遅れていることは周知の事実だ。しかし、それだけにかえって、世界的にも先端を行くシステム化とその適用の標準化はやりやすいかもしれないと期待しておこう。

 省庁ごと、自治体ごとに導入されている既存のシステムには、そのシステムを囲い込んで商売にしているシステムベンダーがいる。そのため、彼らが自分たちの利益を守ろうとする際のあれこれには大いに警戒が必要だ。特定のベンダーに「ロックイン(固定)」されないシステムを構築して早急に普及できれば、わが国にとっての功績は極めて大きい。「お手並み拝見」だ。

 また、河野氏が消費者問題担当相を兼務していることも注目に値する。同氏は早速「霊感商法」に関する検討会の立ち上げに言及した。この検討会は、旧統一教会問題への政府の対処として岸田氏に恩を売ることができるかもしれない。一方で、新たな問題を掘り起こして政権のマイナス要素にもなり得るので、大いに注目できる。

 企業の世界に置き換えると、社長を争った候補が3人いて、運良く社長になった1人には能力と人望がなく、敗れた1人は社長を隙あらば批判する構えを見せている。さらに、もう1人の敗者は新しい担当部署で気を取り直したように振る舞っている。組織にあって人間はいろいろだ。

注目は「経産相」を巡る2人の人事

安倍派の主導権争いにも波及

 組閣に当たって岸田氏は内閣の「骨格」は残すと言った。その発言を受けて、前経産相の萩生田光一氏は「俺は骨格じゃなかったのか」と会見で発言したことが報じられた。自分の人事に対する不満の言明は異例だ。萩生田氏は閣僚を外されて、党の政務調査会長に任命された。

 そして新しい経産相には、安倍氏の死去後の安部派の主導権を萩生田氏と争っている1人と目される西村康稔氏が任命された。

 岸田氏が後任に安部派内のライバルを充てて萩生田氏に意地悪をしたようにも見える。また逆の見方としては、萩生田氏は内閣の縛りのない立場で党務や閥務に専念できるので安部派内での立場が有利になるのではないかとも言われている。確言できないが、実態は後者だろうか。1年たつと分かるだろう。

 さて、西村氏は就任早々の記者会見で原発の再稼働に意欲を見せた。原発活用の必要性は多くの人が認めるところだが、現時点で安全審査や自治体の同意がない原発にまで再稼働の意向を示したのはいかがなものか。

 本来は専門的な検討を要する問題であり、審査や自治体を飛び越して今の時点で新任の大臣が判断できる問題ではない理屈だ。余計な反発を招く可能性もある。一言で言って発言が「軽すぎる」のではないか。重要ポストであるだけに西村氏の政治的力量が心配だ。

 経産省の所轄範囲には課題が多い。まずは、エネルギーの確保とマネジメントの問題がある。その中に含まれるサハリン1、2を巡るロシアとの交渉も難題だ。

 加えて、世界的に米国側と中国・ロシア側に二分されてサプライチェーンが再編成される中で、円安を背景として、日本の産業は本来「ビッグチャンス」を迎えている。半導体製造に関連する業界などをはじめとして、これをいかに生かしていくかが経産行政には問われている。競争を阻害して企業を強くしない「護送船団方式」や「オールジャパン方式」を卒業した、時代に適応した産業政策を期待したい。

財務相の留任には失望

新たな厚労相には大いに期待

 政策の重要性を考えると、財務相と厚生労働相のポストにも大いに注目したい。

 鈴木俊一財務相の留任には、率直に言って失望した。財務相というポストは確かに内閣の「骨格」の一部なのだろうが、岸田内閣時代の鈴木氏には、自分で考えた重要政策を語ったイメージがない。官僚の言いなりだったのではないか。唯一記憶に残っている発言は、財務相の立場としては軽率で短慮とも思える「悪い円安論」(論と言うほどのものではなかったが)くらいだ。

 岸田氏の過去の発言を思い起こすと、もともと緊縮財政に傾きやすい傾向があった。早過ぎる緊縮財政政策は、日本銀行の人事を通じた金融政策転換に次ぐ日本経済の「岸田リスク」の一つだ。鈴木財務相にその歯止め役は全く期待できないだろう。

 もう一つ注目すべきポストは厚労相だ。国政選挙がない、政権にとっての「黄金の3年」を利用した社会保障改革に期待がかかる。加えて喫緊の問題として新型コロウイルス対策がある。さらに、労働を巡る制度にも関わる超重要ポストだ。

 このポストには、菅内閣の官房長官だった加藤勝信氏が就任した。官房長官として仕えた首相に連座した「一回休み」を経て、満を持しての登板だ。加藤氏は経験があり、政治的なキャリアも豊富だ。実務能力に期待できそうで、先の西村氏などよりは安定感がある。

 ただし、一般論として、仕事をこなす能力の持ち主と責任を負いつつ賛否のある意思決定を行う胆力の持ち主は必ずしも一致しないから、安心はできない。

 加藤氏は、このポストで功績を上げた場合に、次期首相候補の1人に十分なり得る政治的なポジションの持ち主だ。そろそろ政治家として勝負所ではないか。現段階では、大いに期待するとだけ述べておく。
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