16 / 42
お茶会での出来事5 終
しおりを挟む
噂話が大好きな友人達とのお茶会ももうすぐ終わる頃。
日差しが陰り、もうそろそろお茶会もお開きとなるだろう。
ミュラーは友人達との楽しいお喋りの中で、それとなく釣書を貰った男性達の名前を出して皆の反応を伺った。
男性達の名前に不思議そうにする友人達には、夜会で少し話した事があるのだけど、と伝えれば納得してくれたみたいで、友人達が聞き及んだ事がある情報を教えてくれた。
結果、会っても大丈夫そうな男性は多くなく、女性関係が派手だったりだらしなかったり、家が没落しそうな状態だったり…、と色々と情報を得る事が出来た。
色々聞いた中でも、やはり先程観劇に誘われたフレッチャー伯爵家の嫡男は群を抜いて素行が悪いらしく、その男性とは絶対に2人きりで合わないように、とアレイシャにも念を押された。
この成人を控えた時期に醜聞が流れたら大変な事になる。
(絶対にお誘いはお断りするわ…!)
程よく時間が経った頃、アレイシャがテーブルから立ち上がりミュラー達に他のテーブルへ行ってくるわね。と言い残しその場を去って行った。
もうそろそろお開きの時間だろう。アレイシャは各テーブルの招待客の方へ挨拶をしに向かったのだろう。
一番端のテーブル、ローズガーデンの出入口に近い場所に向かったら、お開きの合図だ。
残り少ない時間ではあるが、ミュラーはルビアナとエリンと3人で色々な話しで盛り上がり終了までの時間久しぶりに楽しく笑いながら話し込んだ。
「ミュラー、今日は来てくれてありがとう。次お会い出来るのは成人の舞踏会かしらね?」
「いいえ、こちらこそ今日は楽しい時間をありがとう。舞踏会でお会い出来るのを楽しみにしているわ」
ふふ、とアレイシャとミュラーはお互い微笑みあってそう言葉を交わす。
アレイシャが見送ってくれる中、ミュラーは何度も振り返りアレイシャに手を振った。
ルビアナとエリンとも話す事が出来て良かった。
やっぱり年頃のご令嬢は情報通だ。自分が知らない情報や、相手が知らない情報を交換出来る。
フレッチャー伯爵家の令息や、キャロン・ホフマン嬢、フィプソン伯爵令嬢の事等、気がかりは沢山あるけれど、それを除けば楽しい一日だったわ、とミュラーは満足しながら自分の家の馬車が停まっている場所までゆったりと向かう。
馬車に乗ったら、侍女のラーラに今日のお話をして、そしてフィプソン伯爵家の事をそれとなく調べてもらおう。
友人達にもそれとなく聞いてみたが、誰もフィプソン家の事を知らなかった。伯爵家であるのに、情報がまったく出てこないのはどこか変だ。
馬車前にいるラーラの姿を認めると、ミュラーはほっと表情を緩めた。
近づいて行くと、そのラーラの表情がどこか焦りを滲ませている事に気付く。
「ラーラ?どうしたの?」
「ミュラーお嬢様…!そ、それが…」
ラーラの元まで足早に行くと、ミュラーはラーラに話しかける。
焦りや戸惑い、それと若干の恐れ。
顔色を青くしたラーラに心配になり、ミュラーはラーラを伴い、馬車へ乗った。
ミュラーとラーラが乗り込んだ事を確認した御者が、ゆっくりと馬車を進め始める。
程よい揺れに揺らされながら、ミュラーはラーラの言葉を待つ。
「どうしたの、ラーラ。誰も叱責しないから、話して」
「…それが…、本日ミュラーお嬢様がお茶会に参加する為訪問をお断りしたアルファスト侯爵がお嬢様を待たれているそうです…」
「えぇ!?帰宅は夕方になるから、お断りしたのよね?」
「はい、ミュラーお嬢様の帰宅が遅くなる事もお伝えして、お断りしたのですがそれくらいの時間に来るから、と。お渡ししたい物があるからそれを渡したらすぐに帰るから気にしないでお茶会を楽しんで欲しいと…」
そう連絡がミュラーの家から来たらしい。
待たせるからといって、お茶会を途中で切り上げる事はしなくていい、とも伝えられていたようで。侯爵を待たせている、というその事実にラーラは青ざめていたようだ。
「ミュラーお嬢様には、お茶会が終わったら待ってる、とだけ伝えればいいから、と連絡の係の者には言われ…侯爵を待たせているその事実に気を失いそうです…」
「ええ、そうよね…ごめんね、ありがとうラーラ。レオン様は優しいから、これくらいじゃお咎めなんてないわ。むしろ、レオン様の言いつけを守ってくれてありがとうラーラ」
ぐしゃ、と表情を歪ませ今にも泣いてしまいそうなラーラにミュラーは元気付けるように言葉をかける。
そもそも、一度お断りを入れているのだからいくら侯爵家といえどもこれで侍女のラーラを咎めるなんてことはしない。
侯爵家の都合を通して来ているからこそ、レオンはお茶会が終わったらその時間に合わせて来ると言ったのだろう。
(お茶会の帰宅時間は夕方頃、とばらつきがあるからアフタヌーンティーの時間頃からこちらに向けて移動しているはずよね…今はオレンジ色の夕日が沈みかけている…ゆうに数時間は待たせているわ)
数時間もレオンを待たせている、と言うことにミュラーも焦るがいくら急いでも馬車はこれ以上早く走る事は出来ない。
ミュラーは一つ溜息を零すと、困ったわね、と内心呟きながら窓の外に流れる景色を見つめながら早く邸に着く事を祈った。
日差しが陰り、もうそろそろお茶会もお開きとなるだろう。
ミュラーは友人達との楽しいお喋りの中で、それとなく釣書を貰った男性達の名前を出して皆の反応を伺った。
男性達の名前に不思議そうにする友人達には、夜会で少し話した事があるのだけど、と伝えれば納得してくれたみたいで、友人達が聞き及んだ事がある情報を教えてくれた。
結果、会っても大丈夫そうな男性は多くなく、女性関係が派手だったりだらしなかったり、家が没落しそうな状態だったり…、と色々と情報を得る事が出来た。
色々聞いた中でも、やはり先程観劇に誘われたフレッチャー伯爵家の嫡男は群を抜いて素行が悪いらしく、その男性とは絶対に2人きりで合わないように、とアレイシャにも念を押された。
この成人を控えた時期に醜聞が流れたら大変な事になる。
(絶対にお誘いはお断りするわ…!)
程よく時間が経った頃、アレイシャがテーブルから立ち上がりミュラー達に他のテーブルへ行ってくるわね。と言い残しその場を去って行った。
もうそろそろお開きの時間だろう。アレイシャは各テーブルの招待客の方へ挨拶をしに向かったのだろう。
一番端のテーブル、ローズガーデンの出入口に近い場所に向かったら、お開きの合図だ。
残り少ない時間ではあるが、ミュラーはルビアナとエリンと3人で色々な話しで盛り上がり終了までの時間久しぶりに楽しく笑いながら話し込んだ。
「ミュラー、今日は来てくれてありがとう。次お会い出来るのは成人の舞踏会かしらね?」
「いいえ、こちらこそ今日は楽しい時間をありがとう。舞踏会でお会い出来るのを楽しみにしているわ」
ふふ、とアレイシャとミュラーはお互い微笑みあってそう言葉を交わす。
アレイシャが見送ってくれる中、ミュラーは何度も振り返りアレイシャに手を振った。
ルビアナとエリンとも話す事が出来て良かった。
やっぱり年頃のご令嬢は情報通だ。自分が知らない情報や、相手が知らない情報を交換出来る。
フレッチャー伯爵家の令息や、キャロン・ホフマン嬢、フィプソン伯爵令嬢の事等、気がかりは沢山あるけれど、それを除けば楽しい一日だったわ、とミュラーは満足しながら自分の家の馬車が停まっている場所までゆったりと向かう。
馬車に乗ったら、侍女のラーラに今日のお話をして、そしてフィプソン伯爵家の事をそれとなく調べてもらおう。
友人達にもそれとなく聞いてみたが、誰もフィプソン家の事を知らなかった。伯爵家であるのに、情報がまったく出てこないのはどこか変だ。
馬車前にいるラーラの姿を認めると、ミュラーはほっと表情を緩めた。
近づいて行くと、そのラーラの表情がどこか焦りを滲ませている事に気付く。
「ラーラ?どうしたの?」
「ミュラーお嬢様…!そ、それが…」
ラーラの元まで足早に行くと、ミュラーはラーラに話しかける。
焦りや戸惑い、それと若干の恐れ。
顔色を青くしたラーラに心配になり、ミュラーはラーラを伴い、馬車へ乗った。
ミュラーとラーラが乗り込んだ事を確認した御者が、ゆっくりと馬車を進め始める。
程よい揺れに揺らされながら、ミュラーはラーラの言葉を待つ。
「どうしたの、ラーラ。誰も叱責しないから、話して」
「…それが…、本日ミュラーお嬢様がお茶会に参加する為訪問をお断りしたアルファスト侯爵がお嬢様を待たれているそうです…」
「えぇ!?帰宅は夕方になるから、お断りしたのよね?」
「はい、ミュラーお嬢様の帰宅が遅くなる事もお伝えして、お断りしたのですがそれくらいの時間に来るから、と。お渡ししたい物があるからそれを渡したらすぐに帰るから気にしないでお茶会を楽しんで欲しいと…」
そう連絡がミュラーの家から来たらしい。
待たせるからといって、お茶会を途中で切り上げる事はしなくていい、とも伝えられていたようで。侯爵を待たせている、というその事実にラーラは青ざめていたようだ。
「ミュラーお嬢様には、お茶会が終わったら待ってる、とだけ伝えればいいから、と連絡の係の者には言われ…侯爵を待たせているその事実に気を失いそうです…」
「ええ、そうよね…ごめんね、ありがとうラーラ。レオン様は優しいから、これくらいじゃお咎めなんてないわ。むしろ、レオン様の言いつけを守ってくれてありがとうラーラ」
ぐしゃ、と表情を歪ませ今にも泣いてしまいそうなラーラにミュラーは元気付けるように言葉をかける。
そもそも、一度お断りを入れているのだからいくら侯爵家といえどもこれで侍女のラーラを咎めるなんてことはしない。
侯爵家の都合を通して来ているからこそ、レオンはお茶会が終わったらその時間に合わせて来ると言ったのだろう。
(お茶会の帰宅時間は夕方頃、とばらつきがあるからアフタヌーンティーの時間頃からこちらに向けて移動しているはずよね…今はオレンジ色の夕日が沈みかけている…ゆうに数時間は待たせているわ)
数時間もレオンを待たせている、と言うことにミュラーも焦るがいくら急いでも馬車はこれ以上早く走る事は出来ない。
ミュラーは一つ溜息を零すと、困ったわね、と内心呟きながら窓の外に流れる景色を見つめながら早く邸に着く事を祈った。
314
あなたにおすすめの小説
彼は亡国の令嬢を愛せない
黒猫子猫
恋愛
セシリアの祖国が滅んだ。もはや妻としておく価値もないと、夫から離縁を言い渡されたセシリアは、五年ぶりに祖国の地を踏もうとしている。その先に待つのは、敵国による処刑だ。夫に愛されることも、子を産むことも、祖国で生きることもできなかったセシリアの願いはたった一つ。長年傍に仕えてくれていた人々を守る事だ。その願いは、一人の男の手によって叶えられた。
ただ、男が見返りに求めてきたものは、セシリアの想像をはるかに超えるものだった。
※同一世界観の関連作がありますが、これのみで読めます。本シリーズ初の長編作品です。
※ヒーローはスパダリ時々ポンコツです。口も悪いです。
彼が愛した王女はもういない
黒猫子猫
恋愛
シュリは子供の頃からずっと、年上のカイゼルに片想いをしてきた。彼はいつも優しく、まるで宝物のように大切にしてくれた。ただ、シュリの想いには応えてくれず、「もう少し大きくなったらな」と、はぐらかした。月日は流れ、シュリは大人になった。ようやく彼と結ばれる身体になれたと喜んだのも束の間、騎士になっていた彼は護衛を務めていた王女に恋をしていた。シュリは胸を痛めたが、彼の幸せを優先しようと、何も言わずに去る事に決めた。
どちらも叶わない恋をした――はずだった。
※関連作がありますが、これのみで読めます。
※全11話です。
王子殿下の慕う人
夕香里
恋愛
【本編完結・番外編不定期更新】
エレーナ・ルイスは小さい頃から兄のように慕っていた王子殿下が好きだった。
しかし、ある噂と事実を聞いたことで恋心を捨てることにしたエレーナは、断ってきていた他の人との縁談を受けることにするのだが──?
「どうして!? 殿下には好きな人がいるはずなのに!!」
好きな人がいるはずの殿下が距離を縮めてくることに戸惑う彼女と、我慢をやめた王子のお話。
※小説家になろうでも投稿してます
【完結】本日、私の妹のことが好きな婚約者と結婚いたしました
音芽 心
恋愛
私は今日、幼い頃から大好きだった人と結婚式を挙げる。
____私の妹のことが昔から好きな婚約者と、だ。
だから私は決めている。
この白い結婚を一年で終わらせて、彼を解放してあげることを。
彼の気持ちを直接聞いたことはないけれど……きっとその方が、彼も喜ぶだろうから。
……これは、恋を諦めていた令嬢が、本当の幸せを掴むまでの物語。
【短編】旦那様、2年後に消えますので、その日まで恩返しをさせてください
あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
「二年後には消えますので、ベネディック様。どうかその日まで、いつかの恩返しをさせてください」
「恩? 私と君は初対面だったはず」
「そうかもしれませんが、そうではないのかもしれません」
「意味がわからない──が、これでアルフの、弟の奇病も治るのならいいだろう」
奇病を癒すため魔法都市、最後の薬師フェリーネはベネディック・バルテルスと契約結婚を持ちかける。
彼女の目的は遺産目当てや、玉の輿ではなく──?
たとえ番でないとしても
豆狸
恋愛
「ディアナ王女、私が君を愛することはない。私の番は彼女、サギニなのだから」
「違います!」
私は叫ばずにはいられませんでした。
「その方ではありません! 竜王ニコラオス陛下の番は私です!」
──番だと叫ぶ言葉を聞いてもらえなかった花嫁の話です。
※1/4、短編→長編に変更しました。
【完結】白い結婚を終えて自由に生きてまいります
なか
恋愛
––アロルド、私は貴方が結婚初日に告げた言葉を今でも覚えている。
忘れもしない、あの時貴方は確かにこう言った。
「初めに言っておく、俺達の婚姻関係は白い結婚として……この関係は三年間のみとする」
「白い結婚ですか?」
「実は俺には……他に愛する女性がいる」
それは「公爵家の令嬢との問題」を理由に、三年間だけの白い結婚を強いるもの。
私の意思を無視して三家が取り決めたものであったが、私は冷静に合意を決めた
――それは自由を得るため、そして『私自身の秘密を隠すため』の計算でもあった。
ところが、三年の終わりが近づいたとき、アロルドは突然告白する。「この三年間で君しか見えなくなった。白い結婚の約束をなかったことにしてくれ」と。
「セシーリア、頼む……どうか、どうか白い結婚の合意を無かった事にしてくれ」
アロルド、貴方は何を言い出すの?
なにを言っているか、分かっているの?
「俺には君しかいないと、この三年間で分かったんだ」
私の答えは決まっていた。
受け入れられるはずがない。
自由のため、私の秘密を守るため、貴方の戯言に付き合う気はなかった。
◇◇◇
設定はゆるめです。
とても強い主人公が自由に暮らすお話となります。
もしよろしければ、読んでくださると嬉しいです!
悪役令嬢と誤解され冷遇されていたのに、目覚めたら夫が豹変して求愛してくるのですが?
いりん
恋愛
初恋の人と結婚できたーー
これから幸せに2人で暮らしていける…そう思ったのに。
「私は夫としての務めを果たすつもりはない。」
「君を好きになることはない。必要以上に話し掛けないでくれ」
冷たく拒絶され、離婚届けを取り寄せた。
あと2週間で届くーーそうしたら、解放してあげよう。
ショックで熱をだし寝込むこと1週間。
目覚めると夫がなぜか豹変していて…!?
「君から話し掛けてくれないのか?」
「もう君が隣にいないのは考えられない」
無口不器用夫×優しい鈍感妻
すれ違いから始まる両片思いストーリー
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる