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6 終章

2 友

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リオの邸へと転移する。
転移陣にまだ慣れてないユラに、魔力を与える。
唇を合わせて、舌を絡ませると自然と身体を寄せて抱きついてきた。

「そのまま寝ててもいいよ?」
身体に巡る魔力に、少し酔ってしまっただろうか?加減が難しいな。結局は、酔わせてしまうのか。まぁ、気持ち悪い酔いではなく……溶けてしまいそうになっている。これは、これで彼等に見せたくない。

ユラが、キュッと首の所に腕を絡ませてすり寄ってくる。

「──大丈夫です。リオ様達に挨拶したいです」

「分かった。でも少し休むといい」

額に、キスを落とすとユラの力が抜けていった。眠らせた為に若干重みを増したが、元々が軽いので縦抱きにしてリオの所へと急いだ。

クリスがドアの前に立っている。

「ガイア様、リオ様がお待ちです」
頷き、部屋の中へ入った。


「ガイア一体どうしたんだ?至急だとか?──ユラちゃんは、気を失っているのか?」

ローブで後ろ姿だけなのだが、これだけ大事そうに抱えているのですぐに分かってしまうのだな。

「いや、眠らせたんだ。話したい事があるから、このままでいいか?今から話すことを信じるかどうかは、分からないが」

「ユラちゃんは、抱きしめたままだよな?」
頷き、案内されるままソファに腰かける。

「あまり、この世界に馴染めてないみたいで、疲れやすいんだ」

「───この世界?」

「そう。ユラは、天界から堕ちてきたんだ」
「何の話だ?」
「ユラだけじゃなくて、俺もこちらの世界の人では無いんだ」

「───それは」
「俺自身も訳あり、だっただろう?」

「確かに、不思議な感じでは、あったよ」

いつも表情を崩さないクリスが、流石に驚いたようだ。

「厄介な奴らが、ユラを連れ戻しに来たんだ。協力者のおかげで無事にやり過ごせた。ただ、このまま隠れるのは性にあわないから、こちらから行って終らせたい」

「わざわざ?逃げなくていいのか?」

「逃げ続けるなんて、俺らしくないだろ?」
少し、笑って見せると、ため息をつかれる。

「それで、最後の挨拶ってことか?」
「どうかな?」

「説明はしてくれないのか?危険なら、手を貸したいが?」

「相手は、神だよ。人では太刀打ち出来ない」

「───ガイアは、いったい」
視線がぶつかる。逸らさずにいると、リオが手を上げた。

「詮索は、ナシでいいか?俺を拾ってくれた辺境伯には感謝しているよ」

リオが一度、背もたれにもたれ掛かる。天井を少し見上げて、またこちらを見た。真っ直ぐな眼差し。

「想像すると怖いんだが、聞かない方がいいんだろ?なんとなくだが、俺達の記憶を消したりするのか?」

「相変わらず察しがいいんだな」
つい、笑ってしまうとリオもつられて笑った。

「俺は、ガイアが何者でも構わない。ただ親友でいたいんだ。飲み友達?じゃだめか。その能力を独占したい訳じゃないんだが……上手く説明出来ないな」

「一人だけ覚えていても、仕方ないんじゃないか?」

「ガイア。お前は、覚えててくれるんだろ?」
本当に、こいつは動じないんだな。


「なら、私も共有させて下さい」

「クリス?」
リオが、名を呼ぶ人物も俺が怖く無いらしい。

「リオ様が独り言でブツブツ呟いたりしてたら、頭が可笑しくなったと噂されそうです。私達二人だけで、大切な友人を思い出してお酒を飲むくらいよろしいかと」

「本当に、お前ら変わり者だな」
呆れてしまうが、本当に良い奴らなんだ。

「ユラちゃんを守れよ?」
リオとクリスが、にやにやとしている。

「もちろん」

そう言って腕の中のユラの頭を撫でる。
まだ、ウトウトしていたユラの猫の耳が現れた。

リオの息を飲む音が聞こえそうだった。

「え?ユラちゃん?」

「獣人では無いよ。神の使いのような立場の子なんだ。獣神なんだよ」

「やばい、可愛い過ぎる」
思わず、クリスが呟いた。

猫耳に思わす頬ずりをする。
「ん……」
確かに可愛いのだが……

「ユラを、あんまり見るなよ」
そっと口付けると、耳が消える。

「あ、消えた……」

「だから、ユラはこの世界の奴隷扱いされている獣人を助けたいとずっと願っている。期待してるよ。次期フラン辺境伯爵殿。君の未来に加護があらんことを」

ユラが目を覚ます。

「獣人の皆さんを幸せにして下さい」
ふわりと笑ってユラが、頭を軽く下げた。


「え?ユラちゃん、なんで色が──」
さて、行かなければならない。

光の中、2人で姿を消した。



◇◇◇


「──クリス、聞いてもいいか?」
「リオ様どうぞ」

「ガイアのこと覚えているか?」
「ユラ様のことも覚えていますよ」

「なら、から加護をもらったんだ。やるべき事をしようか?」

リオが、執務室へと戻って行った。


















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