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隣国へ

178:愛し合う理由

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 体が、熱い。
これが『祝福』のせいなのか
それとも二人が私を求めている熱のせいなのか。

いや、私が二人を求めている熱なのかもしれない。

とにかく熱くて……。

私は何度も喘ぎ、蜜を吐き出した。

「ユウさま」
マイクが水を持って来たけれど、
それを口移しで飲まされる。

喉は乾いていたので
私はそれを受け入れると
マイクは水を飲ませると同時に
何度も私の舌を絡め取り、
口内を舌でまさぐった。

「おまえばかり愉しむなよ」

そばで水を飲んでいたディランが
苛立つように言い、
私の肩を掴んで、口づけてくる。

唇が重なったっと思うと
すぐに水が入ってきて、
私は咄嗟にそれを飲み込んだ。

けれど、飲み切れずに
唇から水が零れ落ちる。

「それも、えろいな」

水は唇から首を伝い、胸を濡らした。

ディランが水滴を目で追う。

その瞳に欲情が滲み、
私の胸はまた昂る。

私の「愛されたい欲」は際限がない。
けれど。

今はただ、愛されたいと思うだけではない。

与えてもらう愛を
返したいと思うようになった。

そして……愛された分だけ
<愛>が溜まっていた『器』が
無くなったせいか、「足りない」と
思うことが無くなった。

今までは『器』に溜まった<愛>を
力に変換して使っていたので
コップから水が無くなるように、
力を使ったら<愛>が減るのが感知できたし、
逆に愛情が不足していたら、それも理解できた。

水筒に入れた水が無くなったら
補充するように、私も力を使ったら
<愛>を補充したくて、愛を求めた。

肌を重ねて<愛>を溜めようとした。

でも、今は違う。

<愛>を溜めていた入れ物が無くなったので
どれだけ<愛>を手に入れたのかとか、
どれぐらい私の中に蓄積されているのかとか、
そんなことが気にならなくなったのだ。

ただ、私は求められ、愛されている。
そして私もその愛を返したいと思っている。

ただ、それだけだ。

抱かれる理由も、愛される理由も、ない。

正確に言えば、与えられる愛情を
私が力に変えることは以前と何も変わっていないので
愛されることは必須なんだけど。

でもそれを無理に愛されなければならないと
思うようようなことは無くなった。

ただ、求めるまま。
求められるままに、身を任せている。

私はずっと、愛なんて信じてなかった。

両親にも捨てられた私が愛されるなんて
思ったことも無かったし、
逆に。

親ですら子どもを捨てるのだから、
絶対的な愛情など存在しないと思っていた。

そんな私がこの世界に来て
愛されることを知り、
「愛される特別な存在」になった自分を感じた。

それが嬉しくて、
私は『祝福』を言い訳に
沢山、愛されて抱かれてきたけれど。

ようやく私はここにきて
『愛されることは特別ではない』と
いうことに気が付いた。

だって、ディランは私がセイジョでなくても
好きだと言ってくれている。

マイクだって、最初は私が女神の愛し子だから
気にしてくれたのだと思うけれど。

それだけで愛してくれているのではないと
その態度で、行動で、言葉で示してくれる。

二人の想いが、義務とか、信仰とか、
そんなものから来ていると疑うなど、
私にはできない。

ただ、二人は私を愛してくれる。
だから、私も二人を愛したい。

そして私は、手を伸ばせば
私も二人を愛することができると
もう理解していた。

愛がどうとか難しく考えずに、
愛したいと、愛してくれて嬉しいと
全身で表せばそれでよかったのだ。

そう、過去の私のように、
拗ねずに、手を伸ばせば。

だから私は、二人に手を伸ばす。

昂る感情を隠さずに。

後から思えば、この時の私は
二人は私を絶対に拒絶しない。
その安心感があるからこそ、
大胆になれたのだと思う。

自分から愛を求めて手を伸ばすなど
今までの自分でか考えられないことだ。

でも二人は私が手を伸ばせば、
マイクは右手を。
ディランは左手を掴んでくれた。

私が軽く引き寄せると
二人は素直に私と頬を合わせる。

二人の腕が私の腰を抱きしめるように交差た。

だから私も、
二人の背に腕を回す。

もちろん、背中には届かないけれど。

重ねた毛布はすでに崩れて
床に広がっている。

私はその上に座っているだけで、
二人は私の横に膝を付いていた。

だから私は二人から手を離して
二人に立つように言う。

「ねぇ、二人とも立って?
膝が痛いでしょう」

「大丈夫だぞ」

「はい、これぐらいは大丈夫です、ユウさま」

二人はそう言うけれど、
私は無理に二人を立たせた。

私の目には2人の……やや勃った欲棒が見える。

あんなに出したのに。
そう思ったけれど、二人が私に
欲情している証に思えて、嬉しく感じた。

見るのも恥ずかしかった男性の裸だけれど、
肌を重ねている最中だからだろうか。

恥ずかしいと言うよりも、
愛したいと言う気持ちが強い。

だから私は二人の欲棒に、触れる。

「ユウ!」

「ユウ……さまっ」

二人の声が私を咎めるが、
気にせずに欲棒を軽く掴み、
優しく扱いた。

「私も、二人にしたい」

沢山愛してくれたように、
私も愛したいのだ。

舌を出して、交互に舐めると
二人の欲棒はどんどん固くなり、
先端から先走りの液が滲む。

二人は焦った声を出すけれど、
本気で私を引きはがすことはなかった。

だって、口ではダメだとか言っているけど
二人の心から歓喜の感情が読み取れた。

意識しなくても、二人の感情が
触れているだけで感じ取れる。

これも、女神ちゃんの『力』なのかもしれない。

人の感情が<闇>の魔素を
生み出すこともあるようなので、
魔素を感じることができるようになった私は
人の感情も感じ取れるようになったのかもしれない。

私は二人の感情を嬉しく思いながら
丁寧に……交互に、欲棒を舐める。

同じように舐めていたけれど、
ディランとマイクの欲棒は、
快感を得る場所は違うようで、
舐める場所によって2人の感情が
昂ったり、凪いだりする。

それが嬉しくて、
私は二人の欲棒をぴちゃぴちゃ舐めた。

「悪い、……無理だ」

と、いきなりディランが私の肩を掴む。

「我慢できるはずがない」

急にディランは私の腰を掴むと
私の下に体を滑り込ませて座った。

「貴様、またユウさまに無体を!」

マイクの言葉を最後まで聞く前に、
座ったディランの上に私は座らされた。

熱い欲棒が双丘に触れたかと思うと
前触れもなく、貫かれる。

二人の精液を散々、体内の注がれた後なので
蜜が出る必要もなく欲棒は体内に挿った。

ただ、いきなりの圧迫に
喘ぎ声は押さえられない。

ずんずん、と下から突き上げられる。

そんな私の前に、マイクの欲棒が差し出される。

「……ユウさま、続き……を」

上ずった声で、熱い視線でマイクは私を見る。

私は迷いもなくマイクの欲棒を口に入れる。

先端を舐め、吸い上げると、
マイクから呻くような声が聞こえた。

下から突き上げられるので
歯を立てないように欲棒をしゃぶり、
自然と私もキモチイイを探して腰を振っていた。

空気が、熱い。
荒い呼吸が部屋に響く。

何度抱かれても、もっと!って思っていた。

いつもいつも、追い立てられるように
愛されたくて、抱かれていた。

でも今私は。

自分から愛したくて。
自分から求めている。

あぁ、幸せだ。

ディランが体内で射精される。
と、少しずれて口の中にマイクの精液が吐き出された。

二人の精液の温かさに、
幸せだと、私はうっとりしたように。
二人の匂いを味わうように、目を閉じた。






 
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