悪役は静かに退場したい
旧題:悪役は静かに退場したい・オメガバース
横断歩道の信号待ちをしているとき、突然大きな音が耳に飛び込んだ。咄嗟に近くにいる小学生を助けたが、自分がトラックに跳ねられてしまう。
『三人の攻略対象のルートをクリアしたので、隠しシナリオが現れたよ。やってみる?』
落としたスマホの画面から現れたゲーム説明のテロップに、迷わず『はい』を選択した。その瞬間、スマホの画面から現れている光に包まれる。
目を開ければ、既視感を覚える西洋風の建物の中に立っていた。
トラックに跳ねられたはずなのに、何故生きているのか。
不思議に思っていたら、目の前を通った学生の肩が、黒髪の学生の肩とぶつかってしまう。学生はバランスを崩して階段から落ちそうだ。咄嗟に学生の腕を掴んで引き寄せるが、自分の方が反動で階段から落ちてしまう。
トラックに跳ねられた続きだろうかと思う程の出来事に、これは夢ではないかと感じられる。
「危ないっ」
緊迫した低い声が耳に入った瞬間、体中を包み込まれるような衝撃を感じた。下腹に疼くような違和感を覚えながら、鼻腔に香ってくる甘い匂いを辿ると、この世の者とは思えないほど美しい青年に助けられていた。
再び目を開けたら、ベッドに寝かされていて、若い男性たちに叱責されている。何故だか「リアム」と呼ばれ首を傾げるが、鏡に映った自分の姿に衝撃が走る。ゲームに出ていた悪役令息リアム・ベルに転生しているではないか。
――雪。
主人公。クリスマスパーティー。攻略対象。王太子。そして悪役令息、断罪イベント。
脳内に次々とキーワードのような言葉が流れ込んでくる。
『デスティニー~ あなたと恋する未来へ~』は、ボーイズラブのゲームだ。プレイヤーは主人公になり、選択肢した攻略対象の好感度を上げて、ハッピーエンドを目指す。攻略対象は、王太子や騎士系、文官系の学生たちが用意されている。
主人公の恋の邪魔をするのが悪役令息リアム・ベルだ。
そのリアムに、何故自分が転生しているのか。
悪役令息リアム・ベルは、必ずバッドエンドになり、王太子ルートには死亡エンドまで用意されている。
ゲーム終了の卒業パーティーまで、あと三ヶ月。
バッドエンドの未来を回避出来るのだろうかと頭を抱えながら、ゲームの舞台である学園に向かうと、校門の前には、王太子オーウェンが待っていた。
好感度を上げることに失敗したら死亡エンドという状況の中、転生前からの夢を叶える為に、まずは生死を分けるテストイベントのクリアを目指す。
爽やか王太子アルファ×クール系だけれど甘えたがりなオメガ。
オメガバース・悪役令息系・シリアス、不憫切ない系からの、愛されざまあ系。
この作品はアルファポリスから書籍化されています
横断歩道の信号待ちをしているとき、突然大きな音が耳に飛び込んだ。咄嗟に近くにいる小学生を助けたが、自分がトラックに跳ねられてしまう。
『三人の攻略対象のルートをクリアしたので、隠しシナリオが現れたよ。やってみる?』
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不思議に思っていたら、目の前を通った学生の肩が、黒髪の学生の肩とぶつかってしまう。学生はバランスを崩して階段から落ちそうだ。咄嗟に学生の腕を掴んで引き寄せるが、自分の方が反動で階段から落ちてしまう。
トラックに跳ねられた続きだろうかと思う程の出来事に、これは夢ではないかと感じられる。
「危ないっ」
緊迫した低い声が耳に入った瞬間、体中を包み込まれるような衝撃を感じた。下腹に疼くような違和感を覚えながら、鼻腔に香ってくる甘い匂いを辿ると、この世の者とは思えないほど美しい青年に助けられていた。
再び目を開けたら、ベッドに寝かされていて、若い男性たちに叱責されている。何故だか「リアム」と呼ばれ首を傾げるが、鏡に映った自分の姿に衝撃が走る。ゲームに出ていた悪役令息リアム・ベルに転生しているではないか。
――雪。
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脳内に次々とキーワードのような言葉が流れ込んでくる。
『デスティニー~ あなたと恋する未来へ~』は、ボーイズラブのゲームだ。プレイヤーは主人公になり、選択肢した攻略対象の好感度を上げて、ハッピーエンドを目指す。攻略対象は、王太子や騎士系、文官系の学生たちが用意されている。
主人公の恋の邪魔をするのが悪役令息リアム・ベルだ。
そのリアムに、何故自分が転生しているのか。
悪役令息リアム・ベルは、必ずバッドエンドになり、王太子ルートには死亡エンドまで用意されている。
ゲーム終了の卒業パーティーまで、あと三ヶ月。
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好感度を上げることに失敗したら死亡エンドという状況の中、転生前からの夢を叶える為に、まずは生死を分けるテストイベントのクリアを目指す。
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