【完結・R18】「いらない子」が『エロの金字塔』世界で溺愛され世界を救う、そんな話

たたら

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獣人の国

263:交換日記はじまる

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 朝食を食べた後、
私とパパ先生はリビングに移動した。

朝になったらすぐにディランたちが
迎えに来ると思ったけれど、
やることだってあるのだろう。

誰か来る気配はない。

なので私たちはソファーに座り、
昨日書いた女神のノートを
もう一度見直すことにした。

パパ先生の提案で、
ノートはパパ先生に預けることにする。

防犯のことを考えたら
その方がいいしね。

そしてノートの重要性と合わせて
パパ先生は私の『力』の
危険性も教えてくれた。

女神とやりとりができるノートも
もちろん、貴重だろうし、
誰でも欲しがる物だけれど、
私の『力』の方がよっぽど危険で
血で血を洗う争いが起きても
おかしくないようなものだと言われる。

そんな実感はなかったので
驚いたけれど、パパ先生が易しく
例を挙げて教えてくれたので、
さすがに私も危機感を覚えた。

確かに私の『力』があれば
なんだって生み出せるし、
何でもできる。

それこそ国だって作れるぐらいなのだから
権力者が私を閉じ込めて、
『力』を使わせようと思うことだって
あるかもしれない。

また私には『祝福』がある。
視線を合わせただけで
淫らな気持ちになる祝福だ。

それは私がなことを
思い出したり、感じたりすると
発動しやすいようだから
誰でも構わずに発動するようなことは
無いとは思うけれど、
万が一と言うこともある。

生理的にも絶対に嫌だと思う相手に
無理やり……という可能性が
ゼロでない限りは気を付けた方が良いだろう。

私がどうこう思わなくても、
相手が勝手に私を求めることだって
ありえるのだから。

もっと言うと、私の大切な人を人質にして
私に『力』を使うように強要したり
体を求める人だってでてくるかもしれない。

今まで私が出会って来た人たちは
女神を崇めている人ばかりだから
私に危害を加える人はいなかったけれど、
これからはどうなるかわからないのだ。

むやみやたらに『力』を使うのはやめよう。

と言っても、練習はするけれどね。

ようは私が『力』を持っていると
気づかれなければいいのだ。

……セイジョだとか女神の愛し子とか
呼ばれている段階で、
それができるかはわからないけれど。

今はとにかく、自分の状況を
客観的に見て、
何ができるかを考えていくしかない。

私が意を決していると、
パパ先生は女神のノートを取り出した。

何もない場所からいきなりノートが
現れたので、びっくりする。

パパ先生は「便利な力だろう?」なんて
笑って、テーブルの上に女神のノートを置いた。

まだ返事は来ないだろうけど、
もう一度、昨日考えたことを
整理しようとパパ先生は
昨日使ったノートも取り出した。

「あの二人りが来る前に、
どの順番で説明するか考えよう」

伝えることは山ほどあるけれど、
一度に全部伝えても理解してもらえないかもしれない。

そんな話をしながら女神のノートを開いた
パパ先生は、一瞬、動きを止めた。

「パパ先生?」

「いや、思ったより早かったと思ってね」

そういうパパ先生の手元を見ると、
なんと、女神から返事が来ていた。

まずは几帳面そうな字で、
パパ先生と私に、この世界の現状を
教えてくれてありがとう、と感謝の意が書いてある。

それから『サクランボ聖樹』に関しては
当面、あまり実な成らないようにすること。

必要のない者が食べないようにすることを
ご神託を下すことにしたそうだ。

今後の規制に関しては、人間たちに任せるというので
これはデビアンさんたちに任せよう。

また私の女神ちゃんからもらった『力』に関しても
おおむね私が感じていたのと同じで
私の記憶や創造によって、何でも生み出せるものらしい。

しかも『力』の源は
女神ちゃんなので、ほぼ無限に使うことができる。

言い方を変えれば、世界を滅ぼすほどの
力を持った人間破壊兵器にもなりそうだ。

ただ、女神にしてみれば、
人間に一部とはいえ、神の力を渡すなど
今まで前例がなかったことなので、
今後、どう変化するのかはわからないらしい。

とりあえず当面の私の課題は
『力』の使い方を覚えること。

『力』は感情に左右されやすいみたいなので、
無自覚に温泉を作った時みたいにならないように
『力』を制御することが必要になる。

そして自分で何ができるのかを
把握することが課題になる。

勝手に創造スキルとか言ってるけれど、
それ以外にできることだってある。

実際、私が一度行ったことがある場所であれば
空間を繋げることができるのも、そうだ。

だから何かできそうだと感じたら
まずは実行して試してみる必要があるかもしれない。

私はそんなことを考え、
もちろん、パパ先生にも伝えた。

パパ先生は私の言葉を聞き、
頷いてくれる。

それだけでやる気も出るし、
頑張ろうって思える。

私はパパ先生と話しながら
今から何をすべきかを書き出した。

そして優先順位を決めていく。

もちろん、私がやること、
デビアンさんに頼むこと。

マイクやディランにお願いすることなど
分けて書き出すことも忘れない。

そうやって、だいぶやることリストが
仕上がった頃、ディランとマイクがやってきた。

何故かマイクは疲れな顔をしているが、
ディランは私の顔を見るなり、
嬉しそうな顔をした。

それこそ、尻尾が見えるぐらいに。

と、思ったら、耳がぴょこ、っと
髪の中から飛び出て来た。

安定の可愛さだ。

パパ先生は驚いた顔をしたけれど
何も言わない。

獣人だということを知っているからだろう。

「二人ともいらっしゃい。
さぁ、座って」

パパ先生が二人に声を掛けたが、
ディランはパパ先生に
軽く挨拶をしたかと思うと、
ものすごいスピードで
私の前に来て、私の体を抱き上げた。

「ユウ! 久しぶりだ!
会いたかった!」

昨日の夕方まで一緒にいたんだけどね。

すりすりとディランは私の肩や首や頬に
頭や頬を擦り付けてくる。

動物がマーキングしているみたいだと
なんとなく思った。

そんなディランをマイクが一喝して
パパ先生が促したソファーへと連れて行く。

きっとマイクが疲れているのは
朝からこうやって暴走しているディランの
面倒を見ていたからだろうと
私は予想した。

なんかごめんね、と謝るのも変だから
言わないけど、私は心の中で
マイクに謝っておいた。



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