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第38話
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カインが倒した1体のボスと、新たに表れた6体のボス。
ボスのアサルトボアを7体倒すクエは先のはず!
もうクラスメートがクエを消化しているのか!
「ぼ、僕が全部倒す!」
そう言ってカインが前に出た。
「ね、ねえ、大丈夫かな?」
ヒメが俺の袖を掴んだ。
「行けるから一人で行ったんじゃないのか?それに、あいつなんか危なくね?魔物がじゃなくてカインの性格がな」
この世界に来てからカインは気が強くなっているように感じる。
自分が特別で選ばれた人間であるように振舞うさまに怖さを感じる。
機嫌を損ねれば怒って魔法攻撃を仕掛けられる可能性もある。
「う~ん、でも」
「危なくなったら動こう。下手に獲物を横取りしたら危ない。俺らがな」
「そ、そうだね」
カインが1体のボスをファイア連発で倒す。
2体目に攻撃を移したタイミングでボスが突撃し、更に仲間を呼んだ。
カインは大したダメージを受けていないが、焦っているようだ。
もしかして攻撃を受けた経験があまりないのか?
隠密スキルを使ってレベル上げをしているのか?
隠密スキルで隠れて上まで行ってタイミングの良い所で攻撃を開始する。
攻撃開始で隠密スキルは解除されるが、その頃には隠密スキルのクールタイムが回復しているから、危険を回避しつつ上の階で戦い、レベルを上げることは出来るだろう。
そして攻撃を受けずに無傷で戦う事も出来るかもしれない。
だが、スキル枠を1つ使うのは痛いよな。
「ぼ、僕は選ばれた人間。ぼ、僕なら行けるんだああ!!」
その直後、カインは背後からボスの突撃を食らう。
更に雑魚のアサルトボアが集まって来る。
ダメージはそれほどでもないようだが、包囲されつつある。
焦らなければ余裕で対処できるだろうが、カインの動きが悪くなった。
「汗豚、やばくない?」
「やばいよね」
「でも助けたらカインが怒りそう」
カインは包囲され、死角から攻撃を受けていた。
シャドーバインドで雑魚の動きを止めてカインはなんとか立て直した。
「俺が話をして来る」
俺は走って前に出る。
「カイン!俺達にもやらせてくれ!カイン一人で倒せると思うが、俺達もあのボスの壁を超えていく必要がある!」
俺は皆に聞こえるように声を張った。
出来るだけプライドを傷つけないように気を使った。
「そ、そこまで言うなら!ゆ、譲ってあげてもいいよ!」
イラっとする。
助けようとした事を少し後悔した。
もっとほっとけばよかった。
「だそうだ!俺達で1体ずつボスを倒そう!」
カインはめんどくさい。
次からは出来るだけ組まないようにしよう。
ここでみんなが前に出る。
「俺がボスの相手をする!雑魚は頼んだ!カースウォー!」
カースウォーの効果で攻撃力・防御力・スピードが40%アップした。
カースウォーの発動と同時に異常解除ポーションを飲んだ。
そして走ってボスに近づいた。
「斬月!」
体から刀の先までが月の光のように輝いて素早く斬りつけた。
ボスの体に大きな傷をつける。
刀の強力な一撃をお見舞いするスキルで、通常攻撃に比べ、桁1つ大きいダメージを与える事が可能だ。
これによりボスの動きが一瞬止まる。
その隙に通常攻撃の連撃をお見舞いする。
ボスの体から闇のオーラが出て、触手のように伸びてくる。
HPが半分になった。
俺は闇の触手の攻撃をステップで素早く避けて、張り付くようにボスに攻撃する。
ボス戦で実感する。
ステップのスキルが強い!
ゲームより自在に高速移動が出来る!
俺の回避能力と位置取りの効率はステップの取得で上がった!
もっと早く取っておくべきだったか。
斬月の10秒のクールタイムが終わった瞬間に2発目の斬月を打ち込んだ。
その瞬間ボスが倒れ、魔石とドロップアイテムを吐き出す。
クラスメートが驚く。
「え?もう倒したの?」
「昨日はあんなに苦戦したのに」
「みんな!次に行くぞ!俺にリカバリーをかけてくれ!」
俺は魔力ポーションを飲んでボスに向かう。
こうして順調に戦いは進んだ。
「おりゃ!2体目!」
カースウォー無しの連撃でボスが倒れる。
「3体目!」
3体のボスを倒してすぐにカインも最後のボスを倒した。
雑魚を倒し、戦闘は終了する。
「最強のカインが居たおかげで安全に戦えた。助かったぞ」
俺はクラスメートを見ながら言った。
もちろん人間関係の潤滑油として言った。
だが次からカインとは組まないでおこう。
気分を良くして帰って貰い、もう会わない。
それにカインは、ハーレムを狙っているように見える。
ファルナ狙いなのは分かりやすいが、他の女性も見ている。
自分が主人公だと思って勘違いしているように見える。
気のせいかもしれないが、警戒は続ける。
「そ、そうね。カインのおかげで助かったわ」
「そうね。私達だけだったら危なかったわ」
クラスメートも俺の圧力に屈してカインを褒める。
カインは鼻の穴を広げて喜んでいた。
「カイン、ドロップ品を拾ってくれ。4体のボスを倒しただろ?」
「ぼ、僕はいいよ。つ、強いからいくらでも、か、稼げるんだ」
「そうか、残りの皆で分配しよう」
「あの、依頼はこれで終了です」
兵士のお姉さんが言った。
「依頼はアサルトボアのボス7体の討伐が理想でしたが、こんなに早く完璧に終わるとは思いませんでした」
「今回はカイン君の活躍が大きかったです」
こうして魔石とドロップ品を分配するが、カインは満足そうに帰っていった。
カインが見えなくなった瞬間にお姉さんの兵士がため息をついた。
「カイン君が居ると疲れるわ」
言いたいことは分かる。
強いんだけど扱いが難しい。
「気持ちは分かるけど、言うのはやめておこう」
「そうね、カイン君には助けられたわ。ハヤト君にも感謝してるのよ」
「俺は皆と協力して戦っただけだし、報酬は前払いで貰ってある」
「前に出てボスを仕留めてくれたでしょ?」
「そこは皆のサポートが良かった」
皆が雑魚の目を引いてくれた。
呪い解除のリカバリーの魔法スキルを何度もかけてくれた。
「そうじゃないわ。前に出て一人でアタッカーになれる人間はここにハヤト君しか居ないの。現に昨日はハヤト君が居ないだけで全滅しそうになったわ。昨日ハヤト君が来てくれなければ私達全員魔物に犯されていたわ」
トレイン娘が会話に入って来る。
「そうですよ、それにカインさんをうまく説得してみんなが戦えるようにしてくれたじゃないですか。強いだけじゃなくて気を使ってくれる所も助かっていますよ」
「そうだよ。私何もしてないのにハヤト君のパーティーに居るだけでレベル30になったよ」
「ハヤトのおかげでいろんなことがうまくいっているよ。僕の借金も無くなったし、トレイン娘はお肉が手に入るようになったんだ。ヒメは安全になって、全員が助かっているよ」
「盛り上がっている所悪いのだけど、話があるわ」
アオイが入ってきた。
「何だ?」
「そんなに警戒しないで。私をパーティーに入れて欲しいの」
「アオイを?」
「そうね」
「アオイを俺達と同じパーティーに入れて欲しいって言ったか?」
「そうね」
「お断りします!」
「な、何でよ!」
「お前怖いし」
「そんなことは無いわ。入れなさい!」
「ごめんなさい」
「入れなさいよ!」
「ごめんなさい!」
「入れなさい!!!」
「ごめんなさい!!!」
アオイが俺を睨みつける。
そう言う所だよ!
すぐ怒るだろ!
「あなただけで決める事かしら?みんなの意見も聞くべきよ」
「きゅう、どうする?」
俺は肩に乗ったきゅうに聞いた。
「きゅ!きゅう!」
きゅうはアオイから隠れるように俺の背中に隠れた。
「そうか、やっぱりアオイとは組みたくないか。きゅうは賢いから分かるんだな。動物の勘は鋭い。本質が分かるようだ」
「ち!そんな小動物には分からないわよ!」
アオイはみんなを見た。
「私も嫌です」
「あ、あなたには聞いてないわ。ヒメ、エリス、答えなさい!」
質問して答えを強制する所がもう怖い。
「私も、嫌、かな」
「僕も断るよ」
アオイが信じられないという顔をした。
「そんな!私とヒメ、そしてエリスでパーティーを組めばバラ色の世界が広がっているはずよ!」
「ちょっとちょっと!私も居ますよ!」
「さらっと俺も居ない事にしているよな?」
「み、皆忙しいようね」
「私達は退散するわ」
「じゃーね」
アオイから逃げるように兵士とクラスメートが帰っていく。
「アオイ、お前も帰らないのか?」
アオイは俺を睨みつける。
そして髪をかき上げて言った。
「私は諦めないわ!」
そう言ってエリスとヒメに抱きついた後去って行った。
「あれ?気のせいか?抱きつく時、凄く早く感じた。俺より速いんじゃね?」
「わ、私もそう見えました」
「気のせいじゃないか」
アオイか。
あいつも注意が必要だ。
カインとアオイ。
勇者アサヒや剣聖ツヨシより危ないかもしれない。
俺は3人を送ってうさぎ亭に帰った。
【アオイ視点】
ふーん。
ここに居るのね。
うさぎ亭までみんなを尾行し、皆が泊まる宿を突き止めた。
私は隠密のスキルを持っている。
尾行は得意よ。
ヒメとエリスの居場所は分かった。
今日は帰りましょう。
一番警戒していたカインの実力も知れた。
ステータス通りの強さのようね。
それなら問題無いわ。
ああ、それにしても、今日もヒメは可愛かったわ。
それにエリスもいい。
でも、抱き着こうとした瞬間避けられそうになって、本気で動いてしまったわ。
仕方ないわよね?
ふれあいの方が大事。
ハヤトに、とことことついて行く愛らしい姿。
後ろから抱き着きたくなるわ。
それに2人とも下半身がむっちりしていてお尻の形がいい。
私の好みよ。
私がハヤトの代わりになれたら最高ね。
まあ、私が2人を貰うのだけれど。
ハヤトにはいつこの世界から退場してもらおうかしら。
……ハヤトのパーティーはファルナに気に入られていた。
ファルナの敵対勢力とぶつけるか?
それとも勇者アサヒをたぶらかすか?
いえ、今可能性が高いのは汗豚。
カインならハヤトを殺せるわね。
出来るだけハヤトの敵は多い方がいいわ。 でも、ヒメとエリスが一緒に殺されるのはまずいわね。
それに、ステータスの数値以上にハヤトは強かった。
本人は死にかけて強くなったと言っていたけど、普通1階で死にかける?
いえ、でも運悪くそうなったなら今のハヤトの動きは納得できる。
1度の死線を生き延びた兵は急に強くなる。
こういう話は戦争でも聞くわ。
何度も死にかけたなら、ずっとダンジョンの事を考えるようになるでしょうね。
ハヤトを見ているとそういう部分を感じたわ。
同じパーティーのエリスとヒメの無事は絶対に確保しつつハヤトを殺す。
そして私のせいにならないよううまく立ち回る。
……慎重に行動した方が良さそうね。
今残ったクラスメートの男は4人。
勇者アサヒ、こいつは後でいい。
現状把握の時点で間違う間抜けね。
汗豚には注意が必要ね。
ファルナだけでなく、ヒメとエリスを巻き込んでハーレムを作る可能性がある。
剣聖ツヨシ、あいつは顔の良い女なら誰でも犯す。
恐らく勇者アサヒより強いわ。
無視できないわね。
そしてハヤト。
奴は私のパーティー加入を断った。
絶対許さない!
それに訓練の固有スキルが進化している。
時間を置けば無視できない存在に化ける可能性がある。
ハヤトを見ていると軍の特殊部隊のような印象を持つ。
あらゆるケースを想定して動く。
『行動する臆病者』ね。
ハヤトは特殊だわ。
臆病者の多くは動かない。
でもハヤトは怖いからこそ問題を潰すために動く少数派とも言えるわね。
闘技場でのアサヒとの戦いで確信したわ。
試合勇者アサヒとの勝負開始の直前まで色々悩む癖に開始と同時に最大の攻撃方法で一気に倒しに行く、ああいうタイプが一番厄介なのよ。
勝ちが確定しているのにまだ良い手を探し続け、決して油断しない。
しかも1階で死にかけている。
用心深さは相当でしょうね。
男4人が残っている。
……そうね。
全員、死んでもいいわね。
ボスのアサルトボアを7体倒すクエは先のはず!
もうクラスメートがクエを消化しているのか!
「ぼ、僕が全部倒す!」
そう言ってカインが前に出た。
「ね、ねえ、大丈夫かな?」
ヒメが俺の袖を掴んだ。
「行けるから一人で行ったんじゃないのか?それに、あいつなんか危なくね?魔物がじゃなくてカインの性格がな」
この世界に来てからカインは気が強くなっているように感じる。
自分が特別で選ばれた人間であるように振舞うさまに怖さを感じる。
機嫌を損ねれば怒って魔法攻撃を仕掛けられる可能性もある。
「う~ん、でも」
「危なくなったら動こう。下手に獲物を横取りしたら危ない。俺らがな」
「そ、そうだね」
カインが1体のボスをファイア連発で倒す。
2体目に攻撃を移したタイミングでボスが突撃し、更に仲間を呼んだ。
カインは大したダメージを受けていないが、焦っているようだ。
もしかして攻撃を受けた経験があまりないのか?
隠密スキルを使ってレベル上げをしているのか?
隠密スキルで隠れて上まで行ってタイミングの良い所で攻撃を開始する。
攻撃開始で隠密スキルは解除されるが、その頃には隠密スキルのクールタイムが回復しているから、危険を回避しつつ上の階で戦い、レベルを上げることは出来るだろう。
そして攻撃を受けずに無傷で戦う事も出来るかもしれない。
だが、スキル枠を1つ使うのは痛いよな。
「ぼ、僕は選ばれた人間。ぼ、僕なら行けるんだああ!!」
その直後、カインは背後からボスの突撃を食らう。
更に雑魚のアサルトボアが集まって来る。
ダメージはそれほどでもないようだが、包囲されつつある。
焦らなければ余裕で対処できるだろうが、カインの動きが悪くなった。
「汗豚、やばくない?」
「やばいよね」
「でも助けたらカインが怒りそう」
カインは包囲され、死角から攻撃を受けていた。
シャドーバインドで雑魚の動きを止めてカインはなんとか立て直した。
「俺が話をして来る」
俺は走って前に出る。
「カイン!俺達にもやらせてくれ!カイン一人で倒せると思うが、俺達もあのボスの壁を超えていく必要がある!」
俺は皆に聞こえるように声を張った。
出来るだけプライドを傷つけないように気を使った。
「そ、そこまで言うなら!ゆ、譲ってあげてもいいよ!」
イラっとする。
助けようとした事を少し後悔した。
もっとほっとけばよかった。
「だそうだ!俺達で1体ずつボスを倒そう!」
カインはめんどくさい。
次からは出来るだけ組まないようにしよう。
ここでみんなが前に出る。
「俺がボスの相手をする!雑魚は頼んだ!カースウォー!」
カースウォーの効果で攻撃力・防御力・スピードが40%アップした。
カースウォーの発動と同時に異常解除ポーションを飲んだ。
そして走ってボスに近づいた。
「斬月!」
体から刀の先までが月の光のように輝いて素早く斬りつけた。
ボスの体に大きな傷をつける。
刀の強力な一撃をお見舞いするスキルで、通常攻撃に比べ、桁1つ大きいダメージを与える事が可能だ。
これによりボスの動きが一瞬止まる。
その隙に通常攻撃の連撃をお見舞いする。
ボスの体から闇のオーラが出て、触手のように伸びてくる。
HPが半分になった。
俺は闇の触手の攻撃をステップで素早く避けて、張り付くようにボスに攻撃する。
ボス戦で実感する。
ステップのスキルが強い!
ゲームより自在に高速移動が出来る!
俺の回避能力と位置取りの効率はステップの取得で上がった!
もっと早く取っておくべきだったか。
斬月の10秒のクールタイムが終わった瞬間に2発目の斬月を打ち込んだ。
その瞬間ボスが倒れ、魔石とドロップアイテムを吐き出す。
クラスメートが驚く。
「え?もう倒したの?」
「昨日はあんなに苦戦したのに」
「みんな!次に行くぞ!俺にリカバリーをかけてくれ!」
俺は魔力ポーションを飲んでボスに向かう。
こうして順調に戦いは進んだ。
「おりゃ!2体目!」
カースウォー無しの連撃でボスが倒れる。
「3体目!」
3体のボスを倒してすぐにカインも最後のボスを倒した。
雑魚を倒し、戦闘は終了する。
「最強のカインが居たおかげで安全に戦えた。助かったぞ」
俺はクラスメートを見ながら言った。
もちろん人間関係の潤滑油として言った。
だが次からカインとは組まないでおこう。
気分を良くして帰って貰い、もう会わない。
それにカインは、ハーレムを狙っているように見える。
ファルナ狙いなのは分かりやすいが、他の女性も見ている。
自分が主人公だと思って勘違いしているように見える。
気のせいかもしれないが、警戒は続ける。
「そ、そうね。カインのおかげで助かったわ」
「そうね。私達だけだったら危なかったわ」
クラスメートも俺の圧力に屈してカインを褒める。
カインは鼻の穴を広げて喜んでいた。
「カイン、ドロップ品を拾ってくれ。4体のボスを倒しただろ?」
「ぼ、僕はいいよ。つ、強いからいくらでも、か、稼げるんだ」
「そうか、残りの皆で分配しよう」
「あの、依頼はこれで終了です」
兵士のお姉さんが言った。
「依頼はアサルトボアのボス7体の討伐が理想でしたが、こんなに早く完璧に終わるとは思いませんでした」
「今回はカイン君の活躍が大きかったです」
こうして魔石とドロップ品を分配するが、カインは満足そうに帰っていった。
カインが見えなくなった瞬間にお姉さんの兵士がため息をついた。
「カイン君が居ると疲れるわ」
言いたいことは分かる。
強いんだけど扱いが難しい。
「気持ちは分かるけど、言うのはやめておこう」
「そうね、カイン君には助けられたわ。ハヤト君にも感謝してるのよ」
「俺は皆と協力して戦っただけだし、報酬は前払いで貰ってある」
「前に出てボスを仕留めてくれたでしょ?」
「そこは皆のサポートが良かった」
皆が雑魚の目を引いてくれた。
呪い解除のリカバリーの魔法スキルを何度もかけてくれた。
「そうじゃないわ。前に出て一人でアタッカーになれる人間はここにハヤト君しか居ないの。現に昨日はハヤト君が居ないだけで全滅しそうになったわ。昨日ハヤト君が来てくれなければ私達全員魔物に犯されていたわ」
トレイン娘が会話に入って来る。
「そうですよ、それにカインさんをうまく説得してみんなが戦えるようにしてくれたじゃないですか。強いだけじゃなくて気を使ってくれる所も助かっていますよ」
「そうだよ。私何もしてないのにハヤト君のパーティーに居るだけでレベル30になったよ」
「ハヤトのおかげでいろんなことがうまくいっているよ。僕の借金も無くなったし、トレイン娘はお肉が手に入るようになったんだ。ヒメは安全になって、全員が助かっているよ」
「盛り上がっている所悪いのだけど、話があるわ」
アオイが入ってきた。
「何だ?」
「そんなに警戒しないで。私をパーティーに入れて欲しいの」
「アオイを?」
「そうね」
「アオイを俺達と同じパーティーに入れて欲しいって言ったか?」
「そうね」
「お断りします!」
「な、何でよ!」
「お前怖いし」
「そんなことは無いわ。入れなさい!」
「ごめんなさい」
「入れなさいよ!」
「ごめんなさい!」
「入れなさい!!!」
「ごめんなさい!!!」
アオイが俺を睨みつける。
そう言う所だよ!
すぐ怒るだろ!
「あなただけで決める事かしら?みんなの意見も聞くべきよ」
「きゅう、どうする?」
俺は肩に乗ったきゅうに聞いた。
「きゅ!きゅう!」
きゅうはアオイから隠れるように俺の背中に隠れた。
「そうか、やっぱりアオイとは組みたくないか。きゅうは賢いから分かるんだな。動物の勘は鋭い。本質が分かるようだ」
「ち!そんな小動物には分からないわよ!」
アオイはみんなを見た。
「私も嫌です」
「あ、あなたには聞いてないわ。ヒメ、エリス、答えなさい!」
質問して答えを強制する所がもう怖い。
「私も、嫌、かな」
「僕も断るよ」
アオイが信じられないという顔をした。
「そんな!私とヒメ、そしてエリスでパーティーを組めばバラ色の世界が広がっているはずよ!」
「ちょっとちょっと!私も居ますよ!」
「さらっと俺も居ない事にしているよな?」
「み、皆忙しいようね」
「私達は退散するわ」
「じゃーね」
アオイから逃げるように兵士とクラスメートが帰っていく。
「アオイ、お前も帰らないのか?」
アオイは俺を睨みつける。
そして髪をかき上げて言った。
「私は諦めないわ!」
そう言ってエリスとヒメに抱きついた後去って行った。
「あれ?気のせいか?抱きつく時、凄く早く感じた。俺より速いんじゃね?」
「わ、私もそう見えました」
「気のせいじゃないか」
アオイか。
あいつも注意が必要だ。
カインとアオイ。
勇者アサヒや剣聖ツヨシより危ないかもしれない。
俺は3人を送ってうさぎ亭に帰った。
【アオイ視点】
ふーん。
ここに居るのね。
うさぎ亭までみんなを尾行し、皆が泊まる宿を突き止めた。
私は隠密のスキルを持っている。
尾行は得意よ。
ヒメとエリスの居場所は分かった。
今日は帰りましょう。
一番警戒していたカインの実力も知れた。
ステータス通りの強さのようね。
それなら問題無いわ。
ああ、それにしても、今日もヒメは可愛かったわ。
それにエリスもいい。
でも、抱き着こうとした瞬間避けられそうになって、本気で動いてしまったわ。
仕方ないわよね?
ふれあいの方が大事。
ハヤトに、とことことついて行く愛らしい姿。
後ろから抱き着きたくなるわ。
それに2人とも下半身がむっちりしていてお尻の形がいい。
私の好みよ。
私がハヤトの代わりになれたら最高ね。
まあ、私が2人を貰うのだけれど。
ハヤトにはいつこの世界から退場してもらおうかしら。
……ハヤトのパーティーはファルナに気に入られていた。
ファルナの敵対勢力とぶつけるか?
それとも勇者アサヒをたぶらかすか?
いえ、今可能性が高いのは汗豚。
カインならハヤトを殺せるわね。
出来るだけハヤトの敵は多い方がいいわ。 でも、ヒメとエリスが一緒に殺されるのはまずいわね。
それに、ステータスの数値以上にハヤトは強かった。
本人は死にかけて強くなったと言っていたけど、普通1階で死にかける?
いえ、でも運悪くそうなったなら今のハヤトの動きは納得できる。
1度の死線を生き延びた兵は急に強くなる。
こういう話は戦争でも聞くわ。
何度も死にかけたなら、ずっとダンジョンの事を考えるようになるでしょうね。
ハヤトを見ているとそういう部分を感じたわ。
同じパーティーのエリスとヒメの無事は絶対に確保しつつハヤトを殺す。
そして私のせいにならないよううまく立ち回る。
……慎重に行動した方が良さそうね。
今残ったクラスメートの男は4人。
勇者アサヒ、こいつは後でいい。
現状把握の時点で間違う間抜けね。
汗豚には注意が必要ね。
ファルナだけでなく、ヒメとエリスを巻き込んでハーレムを作る可能性がある。
剣聖ツヨシ、あいつは顔の良い女なら誰でも犯す。
恐らく勇者アサヒより強いわ。
無視できないわね。
そしてハヤト。
奴は私のパーティー加入を断った。
絶対許さない!
それに訓練の固有スキルが進化している。
時間を置けば無視できない存在に化ける可能性がある。
ハヤトを見ていると軍の特殊部隊のような印象を持つ。
あらゆるケースを想定して動く。
『行動する臆病者』ね。
ハヤトは特殊だわ。
臆病者の多くは動かない。
でもハヤトは怖いからこそ問題を潰すために動く少数派とも言えるわね。
闘技場でのアサヒとの戦いで確信したわ。
試合勇者アサヒとの勝負開始の直前まで色々悩む癖に開始と同時に最大の攻撃方法で一気に倒しに行く、ああいうタイプが一番厄介なのよ。
勝ちが確定しているのにまだ良い手を探し続け、決して油断しない。
しかも1階で死にかけている。
用心深さは相当でしょうね。
男4人が残っている。
……そうね。
全員、死んでもいいわね。
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※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
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転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
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パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
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