アイドルはナマモノですか!?

春花菜

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 葵は俺を軽々と運ぶと、放り投げるようにしてベッドに寝かされた。柔らかいベッドのおかげで全く痛くないが、投げ捨てられたみたいで地味に悲しい。



 でも、しないということはこういうことなのだろう。いくら初めてだからと言って出来れば優しくして欲しいなんて言えない。


 それに優しくされたところできっと後々困る。普段とは違う葵は怖いけど、普段と違うからこそ後で顔を合わせても意識しないで済みそうだし、これからもメンバーとして仲良くできるはずだ。


 俺はいまだにぼんやりとする思考で考えていると、ふいにひやりとしたモノをポタポタと垂らされる。


 「ひゃ!?な、なんだ…?」


 「ローション。大丈夫、危ないもんじゃないって」


 体にかけられたローションを葵の手で体に馴染ませるように撫でられると、冷たいローションで葵の指が体をすべって、くすぐったいようなゾクゾクするような妙な感覚が広がっていく。


 変だ。体が変だ。
お腹や腰を触られたところで普段ならなんてないことなのに、今は葵の手で撫でられるたびにビクッと反応してしまう。


 おかしい。おかしい。
そう思うのに、赤く染まった尖りを指で弾くように触られて体が跳ねた。


 「ひぅ…っ」


 体が熱い。気持ちいい。
おかしい、こんなのおかしいと思うのに体ぜんぶが性感帯になってしまったみたいに、どこもかしこも気持ち良くて反応してしまう。


 さっきから触らなくてもわかるくらいに、先走りがだらだらと垂れている気がするし、乳首もお尻もジンジンとうずくみたいに熱い。
それに、達しそうで達しなかった俺の息子は限界だと言わんばかりにガチガチに張ってて痛い。
でも、触った瞬間に果てそうで怖い。


 「ほぐすから、体向き変えるぞ」


 「わあっ!?」


 「尻上げて」


 乱暴に体をひっくり返されて思わず驚いたが、さらに葵は腰を掴んでお尻をあげたポーズを要求する。
なにこれ、すごく恥ずかしい。


 「あ、あおい…っ、コレ恥ずかしい…」


 「そうだな、すっげえ格好してるな。エロいよ」


 「ひぅっ!!あっ、入って…っぁ」


 双丘を割るように広げられると、風呂場で酷い目にあったところに何かが侵入してくる。


 「一本目…すぐ二本目いくか。七瀬、力抜け」


 「あっ、ぅ…何、何…怖い…」


 「…しょうがないな。ほら、こっちに集中してろ。でも、イくなよ」
 

 「ひゃああっ!あっ、ぁあっ、いきなり…っ、だめ…っ、葵出ちゃう…今触られたら…っはっぁ」


 「我慢」


 ガチガチに昂ぶったモノをいきなり掴まれて上下に滑らされると、目の前がチカチカした。
我慢しろと言われたが、そんなの無理だ。
気持ちいい、気持ち良すぎる、出したい出したい出したい…っ


 「むりぃ…っ、ぁあ…出る、出ちゃう…っ、葵…!だめ、だめぇ…やっやっ、我慢できない…っ、葵!葵!あおっ、やぁ…っ」


 「がーまーん。まだ今三本目入ったとこ」


 「むりぃ…っ、ムリムリムリ!!我慢できないっ!やっ、ぁ…あぉ…あおい、おねがい…イきたい、出したい…っあっあっ、出る、出る、で…るっぅ」


 頭が真っ白になった瞬間爆発するように白濁を散らした。
我慢していたせいなのか、見て確認できないけどたぶん酷い量だ。


 「すっご…七瀬、いっぱい出たな。まだだめだって言ったのにそんなに気持ち良かった?」


 「ごめ…っ、イっちゃ…ぁ、はっ、あお…ゆび、やっ、ぬいてぇ…っ」


 「なんで?」


 「はっ…はっ、イったばっか…それ、に…それやぁ…っ、こわ、い…なんでぇ…そんなとこ、ぁ…っ、きもちいい、の…っ」


 さっきまでは異物感しかなかったはずなのに、おかしい。
俺の竿も一緒に擦られている時には気づかなかったが、指が動くたびに体がビクビク反応してしまう。
達してしまった後、俺の息子には葵は触れていない。
ただ排泄するためのところに指をつっこまれ、かきまわされているという状況なのに、感じてしまっている。達したばかりの息子が勃ちあがってきた。
おかしい、気持ちいいなんて絶対おかしい。


 「…抜いたら別のもの突っ込むけどいい?」


 「ひゃああっ、べつのって…?あっあっ、それぇっ、そこだめっ、へんになるぅ…!やめっ、あお…っ、あおいぃ…っあぁっ、ひっ」


 電流が流れたみたいにビリビリして、体を乗っ取られたみたいに快感で体がいうことをきかない。ビクビク体が震えて、腕立てみたいにしていた腕はガクッと力が抜けてしまい、俺はベッドに突っ伏した。


 「七瀬逃げんな、尻あげろ」


 「やぁ…っ!あっあっ、にげたんじゃ…な、やっやっ、それ、あっ、やだやだぁ」


 力が抜けて言われた通りにできない。
やめてと言っているのに、葵の指はむしろそこばかりを執拗に狙う。

気持ちいい、気持ちいい、狂うほど気持ちいい


 頭がどうにかなりそう


 「そっか、じゃあ抜くか」


 「ぁう…っ」


 ズルっ、と指を唐突に抜かれて体が崩れるようにベッドに横たわる。
やめて、と懇願したはずなのに熱の冷めない体は欲に染まってしまっていて焦燥感を感じてしまう。うずく。欲しくなる。あの我を忘れてしまいそうな快感に飲まれたい。


 「あお、い…」


 力の入らない体をベッドに沈めながら、無表情なのにどこか欲情を持っている瞳で俺を見下ろす人の名前を無意識に呼ぶ。


 「……ちゃんとオレだってわかってんだ?」


 「当たり前だ…葵は葵だろ」


 いまいち葵の言葉の意図がわからない。確かに別人みたいに怖かったりしたけど、目の前にいるのは葵以外の誰でもない。


 「オレが七瀬を触って、こんなエロい体にしてるってわかってる?」


 「わかって、る」


 「…嫌じゃない?」


 「恥ずかしい、けど…嫌じゃない」


 「オレに触られて嫌じゃないの?割りと酷いことしてるのに、怒らないの?」


 「嫌じゃない。そりゃ、ちょっと…怖い、けど…触られて、気持ちいい…よ」


 「………」


 ぼんやりする思考で葵を見ていると、少し瞳が揺れている気がする。
無表情だった葵の顔が戸惑うように歪む。


 「ナナ、まだキスしちゃだめ?」


 『ナナ』


 葵の泣きそうな顔が目の前にあるのに、すばるくんの微笑んだ顔が浮かんで、なんとも言えない罪悪感にも似た感情が胸を占める。 


 「キスは、だめ」


 チクッとした胸の痛みを感じた瞬間、葵と目があった。
くしゃっと顔が歪んで、唇を噛んでいた。
苦い、痛いと言っているような表情。


 いつもはツンツンと立っている髪がシャワーで濡れたのか、前髪がおりてて少し幼く見える。辛そうな泣きそうな顔が迷子になった子どものようで、名前を呼んで呼び止めないとどこかに行ってしまいそうな危うさがあった。


 「あお…」


 「泣いても」


 俺が名前を呼ぼうとした瞬間に、かぶせるように葵が口を開いた。
まるで、呼び止めるのを拒否するように。
冷たく低い声で、ゆっくりと言い聞かせるように言葉を吐き出す。


 「泣いても、嫌だって言っても止めない。泣いて?


 葵は笑っていた。
冷たくて、低い声で、笑っている顔が似合わない台詞を楽しそうに言って、涙をポロポロと流していた。
泣きながら、笑っていた。


 俺はきっと間違えた。
そう理解した瞬間に強い力で肩を押さえつけられていた。


 「いた…っ」


 「肩痛い?でもこれからもっと酷いことするよ?」


 「ひっ!?ぅ…っ、あ…痛…ッ、痛いっ、そんなの入らな、い」


 ぬちぬちと肉が無理矢理こじ開けられて、指とは全く違う圧迫感がねじ込まれていく。
いくら指で感じてしまったと言っても、受け入れる為に存在するところではないそこは拒むように閉じていて、押し進められると痛い。
痛いし、苦しい。


 「…くっそ、キツい。七瀬、力抜いて。無理矢理動いてもいいけど、さすがに怪我させたくはない」


 「ふ…っ、ちか、ら…?」


 「あー、いいや。自分のちんぽ触ってて」


 「ちん…!?」


 「はやく」


 「わ、わかった…」


 どう考えてもおかしいこと言われているのに、さっきの表情が忘れられなくて言われるがままに手を伸ばす。
痛みでいつの間にか萎えたそこはふにゃんと柔らかい。むにむにとしたところで簡単に気持ちよくなんてならない。


 ならない、はず…だったけど


 「はっ、ぁ…」


 すぐ勃った。
人前でする趣味もないし、すごく恥ずかしい状態で、恥ずかしいことしてるのに


 「…っ、だいぶ、よくなってきた…もうちょいで全部入りそ…う」


 「ぁあっ、なんか…あっ」


 苦しいはず、痛いはず、お腹だってキツい。
でも、葵の指で一度快感を覚えてしまっているのか、竿を上下にこするたびに気持ちよくなってきてしまっている気がする。


 「もう…ちょい、っは…入った。わかる?七瀬、今オレのが挿入ってんの。繋がってんだよ?誰でもない、オレが七瀬の中にいんの」


 荒い息で葵が言う。
熱っぽい瞳が俺を見つめて、興奮気味に俺に伝える。
と主張する葵は狂気が滲み出て、背中にゾクゾクとしたものを感じる。


 俺はそう感じてしまったことを振り払うように、必死に頷くと葵は満足したのか口が弧を描いた。


 「もう触らなくていい。後ろだけでイこっか」


 「ふへっ、え?」


 開いていた足を折り曲げるようにして閉じられると、俺の肩に手を置いて葵が体重をかけるようにのしかかってきた。
体の自由を奪うような体制で葵の瞳で射抜くように見られると、何故か支配されているような妙な気持ちになる。


 「動けないだろ」


 「…っぁ、ふ…う、うん…動けない、と思う」


 動けない。動くつもりもなかったけど、たしかに動けない。


 「っていうらしいよ」


 「ぁ、う!た、たね…?」


 「そ。七瀬が孕むまでいーっぱいオレの子種注いで、お腹パンパンにしてやるから」


 ニィっと笑うと、葵は腰を動かした。



 「ひっう!いた…ッ、あっあっ、う、ぅ」


 押さえつけられるようにする行為はまるで無理矢理犯されているような気がして、自分が思い描いていたような愛を囁くようなセックスとは程遠い。


 「やっ、やめ…いた、い…っ、はっ、あ…ああっ」


 少し感じていたはずのナカも、葵のモノに動かれると痛い。痛くて、痛みを逃がすかのように涙が滲んで視界が歪む。


 「っは…、キツいもんな、そりゃ痛いよな。でもここ…っ、七瀬のいいとこ、だろ?」


 「ひっ!ああっ、あっ、あっああ~~~ッ!!!」


 痛みの方が強かった行為が葵の宣言通り、イイトコロを刺激されたようで快感が一気に波のように押し寄せてくる。
痛みが気持ち良さに上書きされて、スイッチが入ったように自分自身では信じられないくらいのあられのない喘ぎ声が部屋に響く。


 「ぁ、やっ、やっ、ふか…っ!きもち、い…っんんっ、やだっ、へん…っ!だめぇ…ぁっ、ひ、あお…いぃ…っ、おかしくなるぅ…っ!」


 「あっつ…はぁ、やば…出そう」


 吐息を混ぜながら葵がポツリと呟く。
汗をかいているのか、落ちた前髪がしっとりとしていた。幼く見えた顔には、欲情が滲んでいて、耐えるように目を細める葵は色っぽくて、興奮を煽る。


 「あっぁ、あおっ、い…!あおいぃ…っ」


 「…くそっ」

  激しく抽挿されて、もうわけがわからないくらい気持ちいい。
押し込まれると、内臓がせり上がるようなのに不快だとか、痛みだとかよりも葵が俺のナカで大きく存在を主張するようでひどく愛しい。


 頭の中が葵のことでいっぱいになる。


 「あおぃっ、ぁっ、きもちイ…っ、ひっあ!あっ、このかっこやだっ、あおいっ、ぎゅってしたい…っ、あお…あおい…っ、おねがい、ぎゅってして…っ」


 「ああもう…!くそ、可愛いこと言うな…っ、優しくしたくなる。無理矢理されたって、酷いやつだって憎めよ…!憎んで憎んで、忘れるな。オレにつけられた傷を一生刻めよ。それで嫌ってほど思い出せばいい…!」


 「ひゃんっ、あっやっ、はげし…っ、あお、あおいぃ…っ!あおい、あおい、ぁっ、あおいぃいぃ」



 快感を覚えさせられたからか、今この行為に酔っているからか、そんなことはわからない。
でも、目の前にいる葵のことしか今は考えられなくて、悲鳴のような声でただ名前を呼ぶ。


 「くっ……!」


 葵は小さく呻くと、俺に体重をかけるように腰をピッタリとくっつけた。
奥の奥まで狙うようなその体は、狙いどおり俺の奥に熱い欲望をぶちまける。
ナカに出されているのがわかる。
あたたかいモノがじわじわとお腹に広がっていく。
奥にあるもののせいか、出されたもののせいかはわからないけど、気持ちよくて俺は体を震わせると自分自身からも白濁したモノを吐き出した。 


 「ぁう…っふ、はぁ」


 整わない息をしながら、出した余韻に浸るようにとろんとする瞳でぼーっとしていた。
葵も俺に体重を預けるような形のまま、荒い息を繰り返してはいるが動かない。


 顔が見えない。ピッタリとくっついた肌はお互いしっとりとしていて、運動の後のような蒸気が出ていそうな熱さを感じるのに不快感は全くない。
むしろこのままくっついて、溶け合いたいとさえ思ってしまうけど…顔が見えないことがひどく寂しく思えた。


 「あお、い…」


 髪に触れたいけど、どうにも動けない。
ただじっとしているしかない体はどうしようもないので、口を動かすことにした。
口下手だけど、話くらいはできる。


 「葵、顔見たい…葵…」


 少し掠れる声で葵に声をかけると、ピクッと反応するように体が動いた。
でも、それだけでそのまま動くこともないし、返事もない。


 しょんぼりと気持ちが沈みそうになる。
よくなかったのか、それとも俺で童貞を捨てたことに後悔しているのだろうか。


 勃っていたけど、やっぱり可愛い女の子で卒業したかっただろうし、せめて男でも俺なんかじゃなくてもっと可愛い子が相手の方がいい思い出になっただろう。
今はもしかしたら終わった後の賢者タイム的なものに入っているのかもしれない。
 

 俺は怖いとか痛いとか色々あったけど、なんだかんだすごく気持ちよかった。
ちょっと泣きそうなこともあったけど、男同士でやるってことも驚いたけど、結局気持ち良さが勝ったし、葵を嫌いになるとか、気持ち悪いとかも全くないし…いや、怖かったけど…でも、泣きそうな顔も、欲情した顔も、今まで知らなかった葵の顔が頭から離れない。


 なんだろう、これは…母性?


 いや、欲情した顔は母性に当てはめるとやばいな。違う違う。


 俺がぐるぐると思考を巡らせていると、のそっと葵が顔をあげた。
また、無表情。しかも、こっちを見ない。
わけがわからない。つまらなかったのか?気持ちよくなかったのか?
葵が何を考えているのかよくわからないが、正直嫌なら止めればいいし、それに退いて欲しい。と、いうか抜いて欲しい。繋がったままだから、変に動かれたらまたとんでもない声が出そうだ。
嫌ではないけど、俺だけ悦んでいるみたいで嫌だ。


 逃げないって言ったから俺からは動かないけど、そんなつまらなかったならさっさと抜いて退いて欲しい。


 「えっと、葵…」


 「なに」


 生気の抜けたような瞳で葵は俺を見た。
いや、見ているはずだし、目も合ってるけど、ここではないどこかを見ているような、そんな目をしていた。


 「しなきゃ良かったって思ってるのか?」


 「思ってるよ」


 あっさりと言う葵に、俺はグッと心臓を手でえぐられたような気がした。


 「じゃあもういいだろ…退けよ」


 俺は顔を横に向けて、葵から視線を反らして言う。なんだろう、泣きそうだ。
葵が望んだことに協力したのにやっぱりいらなかったと捨てられたようだからか?
それとも怖くて、痛かったし、なにより初めてする経験を一大決心して捧げたのに簡単に否定の言葉を言われたことが悔しかったのか?


 わからない。わからないし、頭の中がぐちゃぐちゃで気持ち悪い。吐きそうだ。


 「七瀬」


 名前を呼ばれて、手が頬に触れた。
驚く暇もないほどの一瞬で何が起きたか理解できなかった。


 けど、何か柔らかいものが唇に触れる前に見えたのは近すぎる葵の瞳。


 繋げれば、嫌でもわかる。
今、俺は葵にキスされてる。


 動けない、手で退けられない。


 逃れるように葵の手が触れている方と違う方向に顔を向けて重なる唇を無理矢理剥がした。


 「なんでキスしたんだ…?」


 怒りなのかなんなのかわからないけど、体が震えた。声まで震えている気がする。
しろっていうから体を重ねたのに、しなけりゃ良かったと言い、するなってあれだけ言ったのにするし…なんなんだ、もう…いやだ。
そんなに俺が嫌いなのか?仲間だって、大事だって思っていたのは俺だけだったのか?
くそっ…腹立つ、泣きそう。


 「泣いてんの?そんなにオレにキスされたくなかった?」


 「………」


 「七瀬」


 「………」



 俺は答えない。もう何も言いたくない。


 ぐちゃぐちゃになる視界、ぐちゃぐちゃになる思考。
頭もぐちゃぐちゃになってきて、もう気持ち悪い。本当に吐きそう。


 「退けよ…もう用事すんだだろ」


 涙も拭けず、シーツに染み込んでいくのを待つしかできない。
冷たい、気持ち悪い、情けない。


 「誰が終わったって言った?」


 「…は?」


 「終わってない。まだ、孕ませてないし、七瀬をもっと泣かす」


 「はら…っ、孕むわけないだろ!?俺男だぞ!?」


 「知ってる。ヤってないって言ってんの。腹いっぱいになるまで注いでやるって言ったのに覚えてないの?」


 「お前…っ!しなきゃ良かったって言って…」


 「言った。でも関係ない。ヤる。七瀬の中オレのでいっぱいにする。体も頭の中も全部」


 「は、何を…っ、あ、やめ…!やめろって!あっあっ、や…っ」


 繋がっていたところがまた動き出す。
忘れかけていた熱が再び戻ってくる。
心が嫌だと叫んでいるのに、体は情けないことに覚えてしまった快楽に火がついてしまっている。


 「なんでぇ…っ、あおい…っ、いやなら、するな、よ…!ぁ、ひんっ、やっやっあぁ…」


 涙と鼻水でぐちゃぐちゃな顔はアイドルとはきっと程遠いほど醜いだろう。
でも、涙が止まらない。
心が泣いているのか、それとも抗えないくらいの快感に体が悲鳴をあげているのか、もう自分でも何を口にしているのかわからない。
何回イったのか、何回注がれたのかもわからない。


 思考を放棄した頃には、もうお腹はたぷたぷだったし、自分も出せるものがなくなって、出さなくてもイっていた気がする。


 快楽に溺れるのは気持ちいいし、何も考えなくていいから楽で、喘いで、求めて、求められているように勘違いできて、それが幸せなのかどうかもわからないけど、何時間もそんなことをしていたらどうでもよくなった。


 「あお…っいぃ、もう、出なっ、あっぁ…やぁ…ずっとイって、イってるからぁ…っむり、もうむりぃ」


 「無理じゃない、ずっと気持ちいいの嫌い?」


 「きらいじゃな、い…ひっぁっ…ぁっあっ」


 「違うだろ、七瀬。違う言い方だろ?」


 「すきぃ…っ、すきっ、すき…きもちいぃの、すっ、き…!あっぁ、やっ、また、おっきいな…っ、あっぁ」


 「七瀬可愛いから興奮した…今、七瀬の中にあるの何?」


 「はっ、ぁ…んっ、あ、あおぃ…あおぃの…ちん、ぽ…っ」


 「それ好き?」


 「す、きっ…こすられ、るの…つかれ、るのも…っ、きもちい…っすき、すきぃ…ぁっ、あ」


 「いっぱい動いてやるからな」


 「あっあっあっあっあ~~~ッッ」


 「ほら、オレの名前呼んでイけ」


 「あおっ、あおいぃ!あおいっ、ぁっ、あ、あぉ、あおいぃい…っ」


 葵が腰を振るたびに尻から飲み込めなかった葵の精液が溢れてシーツを汚す。
抽挿されると、卑猥な水音が耳を犯す。


 「オレのことでいっぱいになって、七瀬」


 意識を手放す寸前、遠くの方で「愛してる」って聞こえた気がする。
でも、それはきっと間違いだ。
こんなわけのわからない暴力的な愛し方なんてない。
快楽に溺れた思考が、勘違いしそうな心が生み出した幻聴だ。


 これが夢ならいいのに。


 いい夢なのか、悪夢なのかわからない。


 ただ、今は泥のように眠りたい。


 スローモーションのように、揺らされている風景が消えて、落ちるように眠りについた。


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