どうやら私、動くみたいです

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第二章 加胡川と天狐

第三話 ここは大歩危、妖怪屋敷

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 峡谷の端を駆け抜けるバスは、人工物であるにも関わらず緑が溢れる自然との協調性を保っています。そんな風に思っている私も、ある意味で妖怪としての存在が人の社会に紛れ込んでいる、その象徴なのかも知れません。

「そろそろだな、ツクモノ」
「はい」

 時間に関しては時計がこの場にありませんので定かではないですけど、インターネットで調べた時間から逆算すれば、お昼の二時三時ってのが妥当でしょう。
 現在地は私達の住んでいた雛形区を離れて約七時間、ようやく目的地である道の駅に近づいたって所です。でもまぁよく轆轤首さんもこんな旅行しようと考えましたね。私なんて何もしてないのに疲れちゃいましたよ。

「にしてもお前さぁ、そんなおんなじような山とか谷とかの景色観ててよく飽きねぇな」

 ついに暇を持て余し過ぎたのか、ようやく轆轤首さんは私に話題をふっかけてきました。
 今私が入っているリュックサックは、チャックが開かれた状態で置かれています。これで、私でも外の景色が眺められるようになっているんです。なので座席も他の人の視界に入りづらいように、しっかりと彼女は一番後ろの座席をチョイスされていました。
 とは言っても今の時間帯は人が少ないのか、バスに乗られている方は全くいないんですけどね。

「そうですか? 私は観てて結構楽しいですけど」

 普段こう言った景色は家の中では観られませんから、私にはこの自然豊かな光景が新鮮過ぎて全然飽きが来ていません。いえ、雛形区が悪いとは言ってませんよ。ただ建物が多いあの街では、見る事が出来ない木や川があるって事だけです。
 最近では高齢化も進んでいるみたいで、活気がどんどん失われてましてーー。と言うかこれこそ、真の悪口ですよね。少なくとも雛形区を歩き回った事すらない私が言える事ではないです。

『道の駅大歩危おおぼけ、道の駅大歩危です。お降りの方はバスが完全に……』

 アナウンスが示す通り、バスはいよいよ私達が目指した道の駅大歩危へと到着しました。
 すると轆轤首さん、急に顔を出したままの私をリュックサックへと押し込んだかと思うと、チャックまで勢いよく閉め始めたではありませんか! どうしたんですか轆轤首さん、そんなに私が旅行を楽しんでいるのを妬んでたんですか?

「すまんなツクモノ、バス降りるからしばらくそのまんまな」
「あっ、はい」

 そうでした。いくら妖怪の伝承が数多く残っている村とは言えども動く市松人形なんて見ようものなら、驚いて腰を抜かすに決まってますよ。なので彼女の判断は全く間違ったものではなかったです。ーー変に疑っちゃってごめんなさい、轆轤首さん。

 とか言いつつも私、実は家を出る前このリュックサックに私の親指程の小さな穴を空けておいたんです。なので朝からの電車の乗り換えで通ったホームなどの景色もしっかりと見ていました。
 しかし案外小さな穴が空いていても人って案外見ないものなんですね。私だったら例え赤の他人の物でも気になって気になって仕方ありませんよ。

 停車したバス停で、何名かの方がこのバスに乗られるのが去り際に見て取れました。やっぱりバスが通っているって事はそれだけ利用される方もおられると言う事らしいです。
 それを知れただけでも、この地がまだ廃れていない事ぐらいわかりました。さっきの雛形区の事がありますのでそこら辺は少し考えちゃいます。

「ここがアタシらの第一目的地、道の駅大歩危の妖怪屋敷だ」

 バス停からほんの少し歩いた時、轆轤首さんは突然立ち止まってそんな事を言い出しました。
 ですが穴から漏れている僅かな光ぐらいしか外界の情報が得られていない私には、正直今居たバス停の看板みたいな物しか見えていません。故に今彼女が何処に立っているのかすらも定かではありませんでした。

「ごめんなさい、私見えてないです」
「あ、すまねぇ」

 彼女の顔は見えませんが、声からして申し訳なさそうな表情をしているのはわかります。何せ私は轆轤首さんと共に暮らす日が結構経っていた為、彼女の表情が声だけで理解出来るようになってしまったのですから。
 けれどやっぱり、実際に顔を見なければ落ち着かない事もありますよね。だって私今すっごく切ないですもの。
 近いようで遠い、そんな感覚が私の中を駆け巡っていました。

「じゃあこれなら見えるか?」

 ふとまた穴の方を見てみると、なんと轆轤首さんはリュックサックを背中ではなく前に掛け直しているではないですか。気が利く以前に私の心境を読むなんて、あの人もまた私の表情を理解しているのかな。

「なんで見えてるってわかったんですか?」
「お前がこのリュックに穴を空けてる事ぐらいお見通しだぜ」

 得意げそうな口調で轆轤首さんが言いました。確かこの穴は、彼女が寝た後ぐらいにこっそりと空けた筈です。それでも気付かれていたとは、よくわかりましたねと褒めてあげたいぐらいです。少し上から目線の物言いでしたね、ごめんなさい。

 しかしながら、これで私も彼女の見えている世界が見えるようになりました。まさか外で轆轤首さんと同じ景色が見れる日が来るとは、あんな生活していれば思いもしませんでしたよ。
 轆轤首さんの言う通り、入り口にはしっかりと妖怪屋敷の文字が記されていて尚且なおかつ、一ツ目入道なる置物がドアの隣に立っていました。更にその隣に見えるのは、顔を出して記念撮影をするパネルでしょうか。私が顔を出すには少しばかり大き過ぎるサイズですね。

 この街が私の正体を知る上で、重要な手掛かりがあるかも知れない場所。そう考えるだけで私の中に何か燃え上がってくるものを感じます。
 それは心の中だけに留まらず、あたかも私の体ごと焼き尽くしてしまうかの如く、全感覚に物凄い熱を伝達していきました。なんだかワクワクしてきたなぁ。

「アタシもう腹減って死にそうだからよ、妖怪屋敷には飯食ってから行かねぇか?」

 朝はコンビニのおにぎりを二つ程しか食していなかったからか、私に空腹を訴えかけてくる轆轤首さん。まぁお昼も食べる暇が無かったですし、私とスーツケースを持ち歩いてでの長旅でしたから無理もないでしょう。
 それに別に私も焦ってはいませんでしたので、彼女の申し入れは快く受け入れました。

「はい。轆轤首さんもお疲れでしょうし全然構いませんよ」

 でも妖怪って本当に空腹を感じるのかな、私はお腹が空いた事なんて一度も無いのに。そんな他愛もない事を考える私でもありました。

 ほぼほぼおやつの代わりと言っても強ち間違いでもない昼食を済ませて、轆轤首さんは迷いを見せずに妖怪屋敷へと直行しました。
 因みにこの建物は道の駅と言う側面も持ち合わせていますから、店もメニューの少なさには困りませんでしたよ。麺類丼物、何でもござれです。
 轆轤首さんが食していたおうどんも、彼女の食べ方もあってか中々に美味しそうでした。え、私は依然として食欲が湧かなかったのでご遠慮しましたよ。

 にしてもこの建物に入った時にまず目に入ってきた大天狗には驚かされました。そりゃあだってふと上を見上げたら、今にも私達を連れ去りそうな迫力の大天狗がいるんですよ、驚くに決まってます!
 しかもその時の轆轤首さんったら「ほら、もうこの土地の妖怪殿が上で私達を睨んでるぜ」なんて事も言いだしましたからね。そのせいで私も少しびっくりして声を出しちゃいましたし。
 無論謝られたと同時に怒られました、大声を出すなってね。自分から驚かせといて理不尽極まりないです。

 入館の手続きを済ませた轆轤首さんは、相も変わらず私の入ったリュックサックを前に掛けたままで歩き出しました。
 電車やバスの乗り換えなど色々な事がありましたけど、ようやく私達はこの場所に足を踏み入れる事が出来ましたね。え、私は何もしてないだろうって? それは言わないお約束ですよ。

 入口の大天狗のクオリティもさる事ながら、その他の展示物も中々に凝られた物がありました。何でも、この展示物達は何処かで発注して作った物ではなく、なんと地域の方々が力を合わせて作られた物なんですって! 団結の力ってのは凄いですね、私なら作り始めてもすぐ飽きちゃいますよ。
 昔は恐怖の対象として捉えられていた妖怪達も、今ではこうして町を盛り上げる存在として役に立っているとは素晴らしいの一言に尽きますね。

 この街の妖怪達もさぞかし嬉しいでしょう、何せ自分達の伝承を今でもこうして語り継いでいるのですから。けれど轆轤首さんは妖怪としてもかなりメジャーな方ですので、こう言った事には案外慣れっこなのかな。

「おっ」

 展示物を一つ一つ眺めながら歩いている途中、轆轤首さんはふと酷く顔色の悪い妖怪の模型の前で足を止めました。
 痩せこけて骨が完全に浮き出たような体に薄い着物を一枚だけ着た姿は、私の妖怪へ抱いていた印象である異形の存在と言うよりかは寧ろ、幽霊とかの霊的な何かに近かったです。彼の差し出した手には一つ、何かを求めているかの如くお椀が握られていました。

「この妖怪はどんな妖怪なんですか?」
「コイツは“ヒダルがみ”っつって、主に飢え死にした人間の怨念で出来た妖怪だよ。山道や峠とかで酷い空腹感を覚えたら、まずコイツに憑かれた事を疑った方がいい」

 別に私自身も妖怪なので取り憑かれる心配は無いと思うんですけど、彼女の話も一応心に留めておく事にします。ーーってか、そもそも私に空腹感なんて物も存在しないんでした。
 でも基本的におどろおどろしい姿をしているとばかり考えていた妖怪のイメージが、この妖怪を見た事により私の中で大きく変わったような気もします。この妖怪のように明らかに実体の無い者でも妖怪と呼ぶって事はそれだけ、妖怪としての定義は広い物なんだって思い知らされました。
 それにしても憑依型の妖怪、ちょっと会ってみたいですね。

 その他にもこの妖怪屋敷にはかなりの数の妖怪達が模型として、文面として展示されていました。
 中には首の無い馬に跨る“夜行さん”や、入口に木彫りとしても佇んでいた“一つ目入道”などと興味をそそられる妖怪達も、多々見受けられましたがやはり、一番気になったものと言えばあの妖怪の名を上げないわけがありません。
 そう、山城町で一番有名だと言っても過言ではないあの児啼爺こなきじじいですよ。

「私の知ってる児啼爺じゃない……」

 しかしその時の私の顔はどんな顔をしていたのでしょうか。多分細い目を出来る限り大きくして、口をアホらしく開けていたんだと思います。
 水木しげるさんが描かれていた妖怪漫画に出てくる児啼爺は、赤子のような声で泣いて通りすがりの人に背負ってくれと強請ねだおきなの妖怪でした。しかし本来この地に伝わる児啼爺とは、なんと泣き止まない子供をさらう妖怪だったのです。もう一度言いますよ。児啼爺とは、泣いている子供をさらう妖怪だったんです。

「人の捉え方によってはこうやって伝承と食い違う物も出てくるってもんだ。それも妖怪伝承の醍醐味っちゃあ醍醐味なんだけどな」
「食い違い……ですか」

 それからと言うもの、轆轤首さんは想像していたものが崩れ去った私に優しく説明してくれました。どうやら私の知っている児啼爺のイメージは、同じく山城町に暮らしている“オギャナキ”と言う妖怪に向けるのが正しかったようです。
 オギャナキはその名の通り「ギャー」と泣いておんぶをせがむ妖怪で、このオギャナキと児啼爺との伝承が混じってしまった結果、現在での一般的な児啼爺のイメージが誕生したのではないかと言われているんだとか。
 まぁ実を言うと児啼爺の伝承自体、そもそもこの地には全くと言っていい程に伝わっていなかったものらしいんですけどね。

 つまり人の情報とは、発信力が小さい物よりも大きい物の方が優先されるが故に、正確なものでも変化をしていくものなのかも知れません。取り敢えず私の中で、児啼爺のイメージを再構築し終わるにはまだまだ時間が掛かりそうです。

 話は少し変わりますけど山城町って、崖や淵などの人が足を運ぶには危険な場所が多い土地なんです。なのでその危険を後世まで伝えるべく、そこの人達は同じく災厄とも言える妖怪の存在を用いていたらしいです。
 私、その話を聞いて関心しちゃいました。だってそれは妖怪の怖さを逆に利用した、お手本のようなとてもいい案でしたからね。

 例えばの話ですよ。子供ってのは好奇心旺盛ですから危険だと言っても突っ込んでしまう事が多々あるじゃないですか。であればそこに妖怪と言う番人のようなものを置いておけば、当然子供怖がって近付こうとしませんよね。それこそが、山城町に住む人達の狙いだったのではないでしょうか。
 まぁ私は人間の子供なんてこの目で見た事がありませんから、それも単なる憶測に過ぎないんですがね。

 その他にも話したい妖怪の事はいっぱいあったのですが、それらを全て紹介していると正直切りがないので割愛とします。いやぁ、改めてこの土地の妖怪の多さにはびっくりさせられますよ。
 今日と明日でどれくらいの妖怪と出会えるのかなーー。そんな事を考えるだけで本来ここに来た目的を忘れちゃいそうです。ーー冗談ですよ、忘れるわけないじゃないですか。

 妖怪屋敷へと入ってから約一時間半ぐらいは経過したのかなぁ。
 あらかたここの展示物も見終わって、外にある渓谷でも眺めに行こうかと考えていた私達は、ふとこの上の階にも何かが展示されている事に気が付きました。

「轆轤首さん、あれ見てください」
「なになに……石の博物館?」

 そう言えばこの道の駅大歩危のサイトを調べた時、妖怪屋敷の上の階で鉱物の展示もしていると書いてありましたっけ。ここに来てから妖怪屋敷の事ばかり考えていたので、それこそすっかり忘れていましたよ。

「時間ねぇからまた今度な」

 私まだ何も言ってませんけどーー。轆轤首さんは私が返事をしていないにも関わらず、すぐに上に上がる事を拒否して来ました。
 ですが正直な感想を言いますと、轆轤首さんは宝石と言う類の物にはあまり興味が無い方ですので、石の博物館に行ってみたかったのは間違いではなかったです。私だって一応女の子なんですから、宝石ってのが一体どのような物か見てみたかったですよ。

 でも確かに旅行はもうすぐで夕暮れがやって来そうな今日と、帰宅の事も考えた明日しかございませんから仕方はないのかも知れません。やっぱり今回は二階に上がるのはやめておいた方がいいですかね。

「悪いが行きたい場所は山程あるからよ。それじゃ今からちょっとだけ外の渓谷の景色でも観に行くか」
「そう、ですよね」

 さようなら石の博物館。多分ここに来る事は当分無いとは思いますけど、もしまたこの地に訪れた時には必ず来ます。絶対に、絶対に、ああ、この話はもうやめましょう。もういっその事忘れてしまった方が気が楽になりますし。

 *

 青々とした木々のすぐ下にはあたかも、どなたかが手を加えた事を疑ってしまう程に、見事な岩肌が見受けられました。更にその渓谷には、見ているだけで心が洗い流されそうなくらいの水の流れも出来ています。
 長い年月を掛けて大自然が作り出した渓谷が、私達が生まれる前からずっとここに存在していた事を考えると、何だか私達妖怪と言う存在も案外ちっぽけなものなんだと錯覚してしまいますよ。

「はぁ……なんていい景色なんでしょう」

 実はさっきから私はこの風景ばかりを見て大歩危の土地を堪能していました。
 当然その姿を人間に見られてはいけませんので、轆轤首さんも私の入ったリュックサックを前掛けしたまま渓谷の景色を眺めています。いいえ、正確に言えば彼女はスマートフォンで次の行き先を考えている、と言った方がよろしいのかも知れません。
 つまりどう言う事なのかと言いますと、簡単な話轆轤首さんの旅行計画が大雑把過ぎたんです。

 妖怪屋敷から出てくる際には普通の方であればもう、次の目的地経路ぐらい定めているだろうに轆轤首さんときたら、「どうやって行こうか」なんて言い出したんですよ。あまりの無計画さに思わず耳を疑っちゃいました、本気でそれを言っているのかってね。
 ならばいっその事、あのまま石の博物館へ行った方がよっぽど有意義な時間を過ごせましたよ。まぁその後の行き先が定まらない事に変わりはありませんけどね。

 元より轆轤首さんは計画を立てる事が苦手な方でした。「今日この書類を完成させるぞ!」なんて言っても、計画的に実行せずに結局、行き当たりばったりになってしまう事なんてザラにありましたから。なので今回もその例に漏れず、彼女は行きの電車やバスの時刻表だけしか考えていなかったようです。
 あり得なくないですか。あんなに高いお金を出して旅行する場所だったら、誰しもが目的地への経路ぐらい予め決めておくでしょうに。

 でもまぁ無計画は過ぎるのも問題ですけど、そんな彼女をサポートし切れなかった私も悪いです。何せ前々から、轆轤首さんがそのような感じの人だって事ぐらいわかっていましたからね。もう何をやっているのやら、轆轤首さんばかりを責めても仕方がないです。
 行ってみたかった“祖谷のかずら橋”の交通経路ぐらい調べておけばよかったなと、後悔の念だけが私に牙を剥きました。

 しかしこれらの問題は、私達が思っていた以上に早く解消されました。
 それはおそらく轆轤首さんがまだスマートフォンの画面と睨めっこしていた時の事だと思います。だって私は前を向いたまま、向きを渓谷の方へ固定されていましたので、彼の姿を見る事は出来ませんでしたし。彼女が一体何をやっていたのかなんて当然、私の視界には映ってなかったのでわかりません。

「お困りのようですがどうかなされましたか?」

 彼の声は突然轆轤首さんに呼び掛けてきました。無論私には聞き覚えの無い声でしたから、轆轤首さんが後ろを振り向いた時にそっと穴から彼の姿を覗き込みましたよ。
 性別は声質でもわかるように男性で、薄めの金色をした髪は少し艶を帯びており、耳たぶぐらいまでの髪の長さがまた彼の好青年さを引き立てていました。因みに目は私よりもずっと細くて、言っちゃあ悪いですけど空いているのか閉じているのかがよくわからなかったです。

「いやぁな、アタシってばここに旅行へ来たのはいいんだがよぉ。何の計画も無しに来たもんだから行く場所に困っちゃってんだ」
「なるほどそう言う事ですか」

 隠す必要が無いのもありますけど何より、話す以外で先へと進む方法も無い事から轆轤首さんはすぐに口を開きました。今思えば初めからこうやって、道の駅の方に直接名所とか聞けば良かったんじゃないのかと更に追加の後悔です。
 何だか時間を無駄にした気分です。いいや、絶対してますね。ただでさえここでの滞在時間も限られてると言うのにーー。するとお兄さん、さらっととんでもない事を言い出しました。

「よろしければ僕が車で案内致しましょうか? 僕自身山城町の事は結構詳しいので」
「えっ、マジで? いいのか兄ちゃん」

 本気で言っているんですか、お兄さんーー。もしそれが本当であればこれ程嬉しい事はありません。何てったってこの地に詳しいとおっしゃる方が、土地勘ゼロの私達を案内して下さるなんて思ってもみませんでしたから。
 まさに地獄で仏に会ったかのような出来事ですよ。

 しかし同時に、なんでこの人はいきなり轆轤首さんに話し掛けてきたのかと言う疑問も浮かび上がってきます。過去に私は、初めて出会った人に挨拶をするといいなんて事を言いましたが、困っている人を何の躊躇も無く助ける事などそうそう出来るものでもありません。勿論私には出来ませんよ、例え私が普通の人間だったとしてもね。

 それに彼が話し掛けてきたタイミングもグッドタイミング過ぎます、まるでタイミングを見計らっていたみたいに。私の脳内には、予定調和と言う言葉がチラつきました。

「はい! 山城町に興味を持っていただいた方がいて、僕も嬉しいですし」

 ですが彼へと向けていた疑いの芽は、一瞬にして摘まれました。だって今のこの人の表情は、純粋に喜んでいるそれでしたから。
 自分の町をもっと知りたいと言われて嬉しい事はまぁわかりますよ。でもそれだけには留まらず、その発言をした人を無償で案内して下さるなんておっしゃったんです。どれだけこのお兄さんは山城町の事が好きなのでしょうか。

 と、ここまで頭の中が自分でもよく理解出来る程にお花畑になっていた私でしたが、続く彼の発言にすぐさま現実へと引き戻されました。

「あ、でもガソリン代は少しばかりかかっちゃうので出してもらえると助かります」

 案外ちゃっかりとしてるなぁーー。いえいえそれが悪いとは言ってませんよ、お金が掛かるものは掛かると伝えてくれた方がこっちとしても気が楽ですから。
 けど経済能力の無い私にはお金を払う術は無いんですけどね、言うなれば全部轆轤首さん任せです。とにかく勝手に無償だと思ってしまった自分が恥ずかしいです。

「それぐらいはアタシも出すさ。じゃあお願い出来るか?」
「はい、喜んでご案内させてもらいますね!」

 細い目は相変わらず閉じたままのように見えましたが、口のすぐ横にえくぼを作りながらお兄さんは笑みを浮かべました。爽やかな人には爽やかな笑顔は付き物なようです。

 そんなこんなで私達の旅行には、地元の方らしきガイドさんが付く事となりました。土地勘のある人に名所案内してもらえるなんて私達はどれ程ついているのでしょうか。
 お兄さん曰く車を止めている所まで来てくれとの事なので、また移動の方頼みますね轆轤首さん。

 お兄さんの車に乗り込んだ轆轤首さんはスーツケースを車の後ろに詰め込むと、急にベルトのような物を私をカバン越しに押し付けてきました。
 轆轤首さんは車の免許は持っていないので私自身、一般の方が運転する車には乗った事がありません。ですから私には、この体を締め付けてくる紐状の物の正体がわかりませんでした。だってバスに乗ってる時にもこんなものされませんでしたし。
 それにしたって窮屈極まりないーー。もしかして目的地までずっとこのままなのかも知れません。

「おや、リュックは後ろに置かないんですね。そのままの状態でシートベルトはし辛いでしょうに」
「ああ。このリュックには大事なもんが入ってっからよ」
「へぇ……そうなんですか」

 何度も言いますが私の視界はリュックサックの向きと連動してますので、彼の表情は見えませんでした。
 けれど今の声は何処か、いつもと声のトーンが違ったようなーー。いや気のせいですね、多分私の聞き間違いでしょう。

 にしても私をこの窮屈さを味わせてくるこいつはシートベルトと言う名前らしいです。苦しいったらありゃしないですよ、早く退けて欲しいな。

 そんな私の気も知らず、轆轤首さんを乗せたお兄さんの車はエンジンが掛かる音と共に動き出しました。初めはどんな場所に連れて行ってもらえるのかなぁ、もう考えるだけでワクワクしますよ。無論、シートベルトさえ無ければ文句無しなんですけどね。

「ではふみさんは遥々埼玉県の方からお越しになられたんですか?」
「ああ。しかもアタシさ、車持ってねぇから尚更しんどかったぜ。加胡川くんが来てくれてほんとに助かった」
「いえいえ、僕も県外の方とお話し出来て嬉しいですよ」

 見えている範囲では人工物が見当たらない景色の中、轆轤首さんとお兄さんの会話が狭い車内に籠っていました。
 私も会話に混ざりたい気持ちが結構あるのですが、やはりここは我慢します。だってこんな周りに建物が無い場所に置き去りにされては、そりゃあもう堪ったもんじゃありませんもの。
 でもこんなに楽しそうに会話されると結構キツイですね、確かに喋らないよりかマシですが。

 話を聞いているとお兄さんの事について色々な事がわかってきました。お兄さんの名前は“加胡川かこがわ”と言うらしく、たまに私達みたいな観光客を見つけては、ボランティア的に観光地の案内をされているのだそう。それにしたって立派な方です、そんな事やろうと思っても中々出来るものじゃありませんから。

 あ、因みに“文《ふみ》”ってのは轆轤首さんのおおやけでの名前です。名字も含めると“轆轤ろくろふみ”なんですけど、やっぱり何処か安直な感じもしますよね。そこまでして轆轤首のイントネーションを維持したい理由でもあったんでしょうか。名前にそこまで執着心の無い私にはサッパリ理解出来ないです。

「今から行く所は町の人以外は殆ど知らない秘境なんですよ」
「ほほう。そりゃ楽しみだなぁ」
「期待してて下さいね。そこで色んな出会いもあるでしょうから」

 色んな出会いと言う事は即ち、地域の方との交流が出来ると言う事なのかも知れません。だとしたら私の正体を掴む手掛かりを持つ妖怪の情報も、思ったより早くに見つかる事が期待出来ますね。
 二日間は期間としても少し短いなぁとは思っていましたが、これを聞いて安心しました。

 それに秘境と言う場所も、言葉の響きからして凄く楽しみです。だって道の駅大歩危で見た渓谷みたいな、また開いた口が塞がらない景色が見られるかも知れませんから。美しさ、壮大さ、豊かさ、様々な景色が連想出来ちゃいます。
 おおっと、また本来の目的を忘れてしまうところでした。寧ろ、忘れてしまった方が楽になれると思ってしまう自分がいるのも否めない。あ、この事は轆轤首さんには内緒ですよ。

 そこから更に、通っている道が本当に道なのかと疑ってしまうぐらいの山道を進み、ようやく車のエンジンが止まる音がしました。

「ここが僕のオススメスポットです」
「やっと着いたかぁ」

 どうやら私達はやっと目的地へと辿り着いたみたいです。シートベルトの窮屈さもさる事ながら、道と呼ぶにはあまりにも無整備過ぎる山道を通ったが故に、未だにあのガタガタ感が体から抜けていませんでした。おそらく少し気分が悪いのも、気のせいではないです。

「おお、すげぇ眺めだな!」

 シートベルトを外して車を降りるや否や、早速崖の方へと駆け出した加胡川さんと轆轤首さん。その先に広がっていた景色は言わずもがな、また素晴らしいものでした。

 崖のすぐ下にある渓流が落下してくる者を待ち構えてる様は、観ている者を感動させると共に恐怖心すらも煽り立ててきました。それもまるで落下してくる者を、まだかまだかと待ちわびる子供の顔をしたような、大人をした彷彿とさせる無邪気さをも感じられます。

 まさに大自然はこれを創り、維持する力を今もまだしっかりと保っている事を、改めて再認識されられたと言っても過言ではないでしょう。湖の周りにある青々とした木々が良い証拠です。
 大歩危もしかり、山城町には人間達が忘れ去ってしまった自然の大切さを教えてくれる良い場所がいっぱいありますね。

 ですが地域の人しか知らない場所と言う事もあり、柵なども観光目的で作られたコンクリートや鉄では出来ておらず、どうにでもなれと言わんばかりに朽ちかけた木のくいが寂しく佇んでいました。これには地域の人達がこの崖を、観光地としてではなくあくまでも危険区域内での秘境として扱う感じが否めませんでしたよ。
 もう少し整備すれば、ここも観光名所として利用出来るかも知れないのにーー。なんて思ってしまうのは観光客が故の戯言ざれごとなのでしょうか。

「やっぱりこの景色はいつ見ても変わらないなぁ。まぁそれだけ山城町の自然が、しっかりと保たれてるって事なんですけどね」
「それに景色なんてもんはそう簡単に変わるわけもねぇしな」

 わざわざ加胡川さんが解説してくれているのにも関わらず、轆轤首さんは素っ気無い反応で返していました。おそらくさっきまでの車の振動で疲れ切ってしまったのかも知れません。
 ですけどもし私がリュックサックから出ていれば、絶対に彼女を叱っていましたよ。だってせっかく加胡川さんが気を利かせて話し掛けてくれているのに感じ悪いじゃないですか。

 ただでさえ時間が経つ度に、お互いの口数が減ってきていると言うのにーー。直接この人達の会話の中に居ないとは言え、気まずいったらありゃしないですよ。ここに来る前の車内での楽しそうな会話は何処に行ったんでしょうか。

「文さん、この崖の下に祠があるのが見えますか?」
「ん? どらどら」

 すると崖の下の方を指差して轆轤首さんへと祠の在り処を示す加胡川さん。一見湖しか見えませんが、何やらこの崖の下に祠のようなものがあるようです。
 どれどれ私も観てみたい、轆轤首さんのしゃがむのに合わせて私も小さな穴へと目を覗き込んで見てみました。足場が少し悪い事に加え、かなりの高さがある崖なのでかなり怖い。

「おっ、ホントだ。なんであんなとこに祠なんかあるんだ?」
「それはですね……」

 一見、何気無い会話が進んでいると思ったでしょう。しかし次の瞬間、私達はとんでもない事実を知る事になるのです。それは彼の、加胡川さんの本来の目的でもありました。

「ーー他の方に聞いてみてはいかがでしょうか」

 言われるがままに崖の下を覗き込んだ轆轤首さん、そんな彼女ををあろう事か加胡川さんは、崖の上から落とす勢いで力強く押し出したんです。リュックサックの中に入っていたとは言え、流石の私も彼の行動の意味は理解出来ましたよ。ーー加胡川さん、理由はわかりませんが今のは確実に、わざとですよね。

 轆轤首さんは妖怪とは言え女性。男性である加胡川さんの押し出しに対抗する力も無く、彼女は足場を地から空へと移しました。つまりは崖から落下したと言う事になっちゃいますね。
 私から見える下の景色は渓流があるので青一色、おそらくこれは轆轤首さんも同じ光景を見ているのでしょう。何せ私達がピンチである事には変わりありませんよ。

「なっ!?」

 全てが止まって見えました。いえ、正確には周りの物全てがスローモーションで動いていると言った方が正しいです。人間は事故などで死ぬ時、周りがゆっくりと動いて見えると言う話を聞いた事がありますが、もしかすればこれがそうだったのかも知れません。

「私死ぬのかな」

 そもそも妖怪が死ぬなんて話、聞いた事がありませんし真実はわからないです。ですがいくらこの状況を見ても、それ以外に考えられる未来なんてありませんでした。
 死んだら痛みとかはどうなのかな。今この瞬間でその答えを見つけようとも思いましたが、私なんて初めから生きているのかどうかすら怪しい存在です。ーーなんとも言えないなぁ。

 そんな中でも私の入ったリュックサックは落下させまいと思ったのか、なんと轆轤首さんはリュックサックを肩から外して、崖の上へと放り投げました。

「せめてお前だけでも、な」
「え、何やってるんですか轆轤首さん……?」

 空高く舞い上がるリュックサック。次第に轆轤首さんとの距離が遠のいていくのは、小さく空いた穴からもはっきりと見て取れました。

 なんで私を一人にするんですかーー。彼女が居たから私は生を受ける事が出来た、彼女が居たから私は自分の正体を知ろうと思った。彼女がいたから、私はこうしてこの場に居るんです。それをこうも易々と切り離してしまうなんて、例え相手を守る為でも私には出来ません。

 ドサッと言う音を立ててリュックサックは、運良く加胡川さんの背後へと辿り着きました。非力な彼女にしてはだいぶ飛んだ方なので、おそらくは火事場の馬鹿力みたいなものが発揮されたのでしょう。
 何も私だけを助けようなんて思わなくても良かったのにーー。どうせあなたも死んでしまうのであれば、私も一緒に死んだ方がマシだったんです。ーーなんで私を置いて一人で落ちようなんて考えたんですか、轆轤首さん。

「轆轤首さん! 無事ですか!?」

 涙声を混じらせたその声も、僅かに空いた穴から抜け出る事無くリュックサックの中で寂しくこもりました。
 心配の言葉すらも掛けられないなんて、私はどれ程無力なんだろうーー。しかもリュックサックの穴の方向は不運にも、崖とは反対側の方向を向いていたので今どう言う状況なのか把握出来ません。その為今さっき何か打つかる音がしたのも気になりますが、今私が最も知りたいのは轆轤首さんの安否、ただそれだけでした。

「おやおや、思ったより貴方もしぶとい方だなぁ。てっきりこのまま落ちてくのかと思ってたのに」

 緊迫した空気の中で聞こえた彼女の無事を知らせる加胡川さんの声、それを聞いて私は心の底から安堵しました。
 もはや加胡川さんを許す事が出来ないのは当たり前ですが、まず第一に轆轤首さんがまだ生きておられる事が最優先です。私はもうお婆ちゃんの時みたいに、大切な人は失いたくはないんですからね。

 ふと、私はリュックサックのチャックが緩んでいる事に気が付きました。しめた、これなら内側からファスナーを開けられるので、穴を介さずとも外の状況が見られますよ。
 すぐさま私は今の状況を把握すべく、ファスナーの口を両手でこじ開けてリュックサックの外へと目を向けました。そして目の前の光景に私は、自分の目が正常がどうかと疑いました。

「ーーまさかアンタも妖怪だったとはね」

 私の目の前には、崖の根元辺りで佇んでいた一本の木に巻き付く轆轤首さんの長い首があったのです。そしてその首の先には険しそうな彼女の表情が、見たくもないのにも関わらず私の目に映り込んでいました。

 あれ程人前で自身の正体を悟られてはならないとおっしゃっていた轆轤首さんが、今こうして危機を流れる為に妖怪としての一面を人間に晒してしまっているんです。ショックの一言では私の心情は言い表せませんでした。
 逆に言えばそれだけ、轆轤首さんのピンチが大きいものである事も忘れてはなりません。首の皮一枚繋がったと言う言葉がこれ程似合う状況も無いでしょうし。早くなんとかしてあげないとーー。このままでは彼女が落ちてしまうのも時間の問題です。

「アタシも少しお前の事を信用し過ぎてた。道理であんなに易々と話し掛けて来たわけだ、それも全部……今と言う状況を作り出す為の芝居なんだろう?」

 首を必死な表情で木に巻き付けて、轆轤首さんは今にもかすれそうな声で問い掛けました。もう喋らないで轆轤首さん、あなたが力尽いたらその瞬間にあなたの体は崖の下へと落ちて行ってしまうのにーー。見ているだけとは言え私にも、轆轤首さんの気持ちが痛い程伝わってきました。ーー信頼した者の裏切り、それは想像するだけでも息苦しいものだから。

 そんな事を考えても状況は無情にも変わらず、ただただ巻き付いた首の緩みが目に見えるスピードで進行していっていました。それはあたかも徐々に解けていくロープのようでした。

「ご明察! 僕は人間が困っている状況を見るのが好きなんでね……」

 人が崖から落ちそうで困っているのにも関わらず、加胡川さんは大きな声を張り上げて言いました。なんて最低な方なんでしょうか、一時でもこの人を良い人だなんです思ってしまった自分が恥ずかしいです。
 尚も彼は轆轤首さんを助ける仕草を見せず、己の主張を続けました。

「ーーそれが『同じ』妖怪であれば尚更だよ……ッ!」
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