どうやら私、動くみたいです

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第二章 加胡川と天狐

第四話 まずは友達から

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 すると次の瞬間、斜めから存在を悟られないよう加胡川さんを見ていた私は彼の正体を目の当たりにする事となります。轆轤首さんの方へ歩みながら徐々に変化していく加胡川さんの姿、これが彼の真の姿だったなんて今でも信じられませんよ。だってこの人、人間じゃなかったんですもん。

 お尻辺りから生えた金色こんじきに輝く七本の尻尾、更には人間の姿の時は見えていた耳も見えなくなり、代わりに頭の上で何かのとんがった獣の耳がひょっこりと現れたその姿は、まさしく妖怪としか言いようがありませんでした。

「お前……さてはヨウコだな……?」
「ご名答! 君みたいな妖怪に覚えてもらっていて光栄だよ、轆轤首」

 ヨウコーー。初めて聞く名前ですが、見た目からしておそらく狐の妖怪みたいですかね。であれば感じを当てはまるとすれば妖怪の「妖」に「狐」で妖狐ようこってところかな。何はともあれ嫌な妖怪である事に変わりはないです。

「そろそろ僕もこの状況が飽きてきたんでね、進展させようかと思ってるんだ」
「何を……する気だ」
「アンタの大切にしていたリュックの中身を、この崖から落とす」
「ッ!?」

 一瞬私の背筋がゾクっと凍りつきましたよ。この人、本気でそれを言っているのかってね。けれど何の躊躇いも無く轆轤首さんを崖から落とした様子を見ると、満更でもない事がわかります。もはや正常じゃない神経をしているのは一目瞭然でした。

「中には何が入ってるんだろうなぁ」

 轆轤首さんが動けないのをいい事に、加胡川さんは徐々に私の方へと足を進めていきます。迫る彼の足音、逃げようにも逃げられない恐怖心の中で私はある事に気が付きました。それは私が外の景色をより鮮明に知る為に行った、軽率な行為のツケでした。
 そう、リュックサックのチャックが開きっぱなしだったんです。

 持ち上げられる私の入ったリュックサック、もう私は放り投げられる事を覚悟しました。例え加胡川さんが私も妖怪であるとわかっても、彼が崖から私を落とす気は削がれないでしょうしね。
 もしリュックサックのチャックが開いていなければ、加胡川さんに猫騙し的な事が出来たかも知れないのにーー。まぁそれで何が変わるかって言われたら、そこまでなんですけどね。

「市松人形……か?」

 私の顔を見て眉間に皺を寄せる加胡川さん。そりゃあそんな反応するのは目に見えていましたよ、だって一人の女性が市松人形を持ち運んでいるなんてまずあり得ないですし。
 まだ可愛く愛嬌のあるフランス人形とかの方が、轆轤首さんにはしっくりくるんじゃないですか。いや、勝手な偏見ですけどこんな如何いかにも不良っぽい女の人が、フランス人形を持ち運ぶ姿も正直な所想像出来ないですね。ーーごめんなさい、轆轤首さん。

「それに、動くのかコイツ」

 何だか動いてはいけない気がするーー。そう思いながらも私の体は、恐怖のあまりガクガクと小刻みに震えていました。無理もありません、こう言った心の底から恐怖心を抱いた事は、これまで私一度も無かったんです。

 細い目を少し見開いた加胡川さんは、私を見つめるや否や薄ら笑いを浮かべて言いました。それもまた、追い討ちを掛けるが如く私の心に恐怖心と言う傷を一つ、また一つと増やしていきます。
 ですが次の彼の言葉の中にも、喜ばしいものがありました。

「けど僕には関係無いね。例え君が妖怪であろうとなかろうと、君をこの崖から落とす事に変わりは無いんだから」
  
 普通の方であれば多分、私を見るだけで叫び声を上げるかと思います。けれど加胡川さんはそんな事を気にもせず、私を異質な存在として捉える事はありませんでした。
 それは彼が妖怪であるが故に私みたいな妖怪を見慣れているからだ、と言えば簡単に片付いてしまう事でしょう。しかし私から言わせてみれば、例えそうであったとしても嬉しかったんです。私を平等に見てくれている事が、私を化け物扱いしない事が。

「そうはさせるか!」

 突然の叫び声と共に、何者かが加胡川さんの顔面を殴りつけました。私の入ったリュックサックで両手が塞がっていた為に、その人のパンチをモロに食らってボウリングのピンの如く横へと倒れ込む加胡川さん。それはもうスカッとしましたね、ザマァ見ろです。
 一体誰だろうーー。すぐさま視線を彼の顔面に拳を叩き込んだ人に移すとその正体はすぐにわかりました。

 轆轤首さんです。それもさっきまで首と頭だけだった姿とは違う、胴体を有した轆轤首さんだったんです。
 にしてもいつの間にあの崖を登っていたんでしょうか、彼が殴られた拍子に地面に落ちた私は不思議に思いましたよ。ですが彼女の足や腕を見た途端にその真実を知りました。

「どうだ! 全く、足場も見ずにロッククライミングなんざするもんじゃねぇな」

 傷だらけで血が流れている足や腕。おそらく首を綱代わりにしていたので、ずり落ちたり擦ったりしたのでしょう。彼女はこの一発を叩き込む為に死ぬ気でこの断崖絶壁を這い上がってきたのかな。何はともあれ凄まじい執念、そして覚悟の強さです。

 隣に加胡川さんがいるのにも関わらず轆轤首さんは、わざわざ私の方に目線を合わせて微笑みかけました。轆轤首さん、内面だけは男前過ぎますよ。

「すまんな、遅れちまってよ」
「轆轤首さん! 私もうダメかと思ってましたよ」

 彼女の顔を間近で見た瞬間、どっと溜め込んでいた涙が一度に目から溢れ出てきました。実を言うとジリジリと緩んでいく轆轤首さんの首を見ていた時、彼女が助かる事を半分以上諦めていたんです。
 なのに彼女は、こうして私を守る為に這い上がってきました。もう、やっぱり私って助けられてばかりですね。

「まさかあの崖を這い上がってくるとは……。やっぱり君は面白いなぁ轆轤首」

 ですが拳の威力は大した事無かったようで、加胡川さんは何事も無かったかのように立ち上がりました。
 と言う事は横に倒れたのも、もしかすれば演技だったのかもーー。だとするとよっぽど人を騙す事が好きなんでしょうか。もはや呆れて寧ろ尊敬の念すら抱いちゃいますよ。

「うるせぇ。今からきっちりとさっきまでのお礼をしてやるから覚悟しとけよ」

 轆轤首さんも轆轤首さんです、その華奢な体で何言ってるんですか。相手は妖狐以前に男性だと言うのに、喧嘩を売るなんて負けに行くに等しいですよ。
 とは言え私達が受けた恐怖心もそれ以上に強いですから、私も止める気は毛頭ありませんけどね。

「コラ! 何をやっとる馬鹿狐ばかぎつね!」

 しかしここで事態は思わぬ展開を迎える事となりました。
 またしても聴き覚えの無い声が聴こえてきたと思ったら、なんと森の方から現れたのは見覚えの無い初老のお婆さんだったのです。その姿は初老にしては髪の毛の色が真っ白で、その白さは妙に艶を帯びて美しさを感じさせるものでした。

 知らないお婆さんの姿を二人でポカンと眺めていると、突如として加胡川さんの表情が急変し始めました。先程まで浮かべていた薄ら笑いなどすぐに消え失せ、加胡川さんの額にも冷や汗が流れ落ちています。彼は一体どうしちゃったんでしょう。

「し、師匠ッ!?」

 初めは現地の方かとも思いましたが、どうやら加胡川さんの様子を見るに違うみたいです。それにこのお婆さんの事を師匠って言っちゃってる時点でただ者ではない事が伺えます。このお婆さんは何者なんでしょうか。
 すると轆轤首さん、私と同じ疑問を抱いたようで気が付くと彼女に質問を投げ掛けていました。

「お前、一体何もんだ?」
「ワシはテンコ、こう見えても妖狐の最高位じゃよ」

 *

 私を含めた三人に囲まれて、しょげた様子の加胡川さんは下を向いたままでへたり込んでいました。

「誠に申し訳御座いませんでした」

 声のトーンもまるで謝罪ムードを漂わせてきますよ。
 本当にこの人は落ち込んでいるんだなぁ。ですが加胡川さんがやった事は許される行為でもありませんので、私からすれば情けをかける気なんてさらさら無いですけどね。悪もいつかは必ず裁かれる、それも当然の報いですから。

此奴こやつはいつも私の目を盗んでは、いつもこうやって人間にイタズラをするんじゃよ。じゃが今回は相手が悪かったみたいじゃのう」

 そう言って腕を組みながら加胡川さんの方を睨みつけるテンコさん。彼女と目が会う度に加胡川も目を泳がせては、目のやり場を失って視線を下に戻していました。
 にしても綺麗な方です、歳を重ねられた見た目をしているにも関わらず、謎の色気らしきものが漂っていますし。私の中の話題はだんだんと加胡川さんの罪を追求する事からズレて、テンコさんの美しさを堪能する事になってきていました。正直な話、加胡川さんなんて顔も見たくありませんから何処かへ行って欲しいぐらいです。

 腕の痛みを我慢する表情をしながらも、両手を広げて轆轤首さんは首を傾げました。

「全くだぜ。だがもしおんなじ事を人間にやってたならよ、とんでもない事になってだろ」

 その通りです。今回は私達が標的だったから良かったものの、もし加胡川さんの暇潰しに人間が付き合わされていたのなら、きっと恐ろしい事になっていました。

「まあの。じゃが、此奴はこれまでに人を殺めた事は無いんじゃよ」
「えっ……マジでそれ言ってんのかお前」

 嘘でしょーー。彼女の信じられない発言に、私と轆轤首さんは思わず口を大きく開けてしまいました。
 でも崖から轆轤首さんを落とす時の加胡川さんの顔は、明らかに本気の顔でしたよ。あれ程殺意がこもった表情を見せられては、こんな話信じようにも信じられませんし。

 すると加胡川さんはこれからテンコさんが言おうとしていた発言に勘付いたのか、へたり込んでいた体を強引に起こして口を開きました。口元もあうあうと何か言いたそうな所を見ると、よっぽどその先の言葉を言わせたくないみたいです。

「これ以上先は……」

 しかしテンコさん、無情にもそれを無視。私達は加胡川さんの真の、そのまた先の真の目的を知る事となりました。

「実を言うと加胡川はな、極度の“かまってちゃん”なんじゃ」
「「ええっ!?」」

 人を殺しかけたのにその理由が構って欲しかったですって? それは耳を疑うどころか、もはや彼の脳内がどうなっているのかを問い質したいぐらいのレベルですよ。いくら構って欲しかったからと言ってあんな崖から他人を突き落とす人がいますかね。
 とは言っても加胡川さんもまた妖怪の一人、妖怪なんて者を人間と同じ物差しで測る事は出来ません。はぁ、なんで私の周りって変な人ばかりなんでしょうか。

 更には自分の本心を他人に言いふらされたか、加胡川さん自身も少し頬を赤らめている様子。正直少し可愛いと思ってしまった自分が悔しいです。

「どうせ今回も落ちる直前に大鳥にでも化けて助けるつもりだったんじゃろうて。全く、人殺しが出来ないなら最初からそんな事をするな、この馬鹿狐」

 粗方話終わると共に加胡川さんの頭をペチンと叩くテンコさん。老体が繰り出す平手だからかあまり痛そうには見えませんが、精神的にダメージが大きい事ぐらい彼の顔を見ればすぐにわかります。だってしょげた顔が余計に暗さを増してますし、わかりやすいにも程がありますよ。
 どうせこんな結果になるのがわかってたんなら初めからしなければ良かったのに、正しく彼の自己顕示欲は本物ですね。

「しっかし加胡川にアタシ達を殺す気が無かったってのは驚いたなぁ。すっかり騙されてたぜ」
「ですね。私もあの時は死ぬかと思いましたよ」

 確かに加胡川さんが私達を助けるつもりだったってのはかなり意外でした。何故ならどうせ崖で踏ん張っている轆轤首さんを、いじめるだけいじめて無視していくものかとばかり思ってましたから。そこに関しては彼の思惑通りになったと言えるのかな、とは言えこんな事して何が満たされるんでしょうか。全く妖狐ってのもよくわからない妖怪ですね。

「でしょでしょ! いやぁ、やっぱり僕って人を騙す才能があるんだなぁ」

 すると自分の事を褒められていると勘違いしたのか、一瞬元気を取り戻しかけた加胡川さん。しかしまだ睨みをしっかりと効かせていたテンコさんは、またしても加胡川さんの頭を、今度は平手ではなく拳を握り締めて、勢いよく殴りました。ちなみに背は加胡川さんの方が幾分か高かったので、彼女は少し跳ねての攻撃でした。

「痛ッ!」
「しばらく黙っておれ、馬鹿狐」

 あの、これって突っ込んでもいい場面なのかな。
 さっきからも気になってましたがテンコさんって、自分も狐の妖怪であるにも関わらず、加胡川さんを馬鹿狐と呼んでるんですよね。それがまた違和感を生んでいると言うか、そもそも誰もツッコミを入れないのが不自然で仕方ありません。
 かと言って私が突っ込むのもどうかと思うしーー。もう、誰でもいいから彼女にツッコミを入れあげてください。

「話は少し変わるけどよ……」

 まるで本当の親子のようなやり取りをしている二人に、轆轤首さんは申し訳なさそうな表情で言いました。わかります、こう二人で盛り上がっているた空気に話し掛けるのって、結構勇気がいりますよね。

「ーー妖狐ってのはこの地域には伝承が無い筈なんだがお前らは何なんだ? それにテンコなんて位の妖狐なら尚更だぜ」

 言われてみれば確かにその通りです、妖怪屋敷で見た妖怪達の中には妖狐なる者の姿がありませんでした。つまりそれが意味する事と言えばただ一つ、この人達は私達と同じ部外者と言う事になります。
 では一体何の為に二人は山城町に? そう思ったのも束の間テンコさんは、再び加胡川さんへと視線を落として溜息を吐いた後に言いました。

「もう知っておるだろうが此奴はワシの弟子でのう、邪気を祓うべく二人で旅をしておるのじゃ」

 つまり私達と同じ観光目的で来た、って事で合ってるんでしょうか。ですがもしそうだとしたら「邪気を祓う」なんて言葉は使わないでしょうし、第一に加胡川さんの土地勘の良さも気になります。

 これに関しては黙っていても仕方がありませんので、直接本人に聞いてみるのが一番です。そう考えた私はテンコさんに早速訊ねる事にしました。

「邪気を祓うとは?」
「ああ。妖狐には階級みたいなのがあるんだ」

 が、回答をしてくれたのは轆轤首さんでした。結果としては誰が教えてくれてもよかったのですけど、轆轤首さんが妖怪の事を話し出した事により、とある想定外の事が起きてしまいました。

「地面の地に狐と書いて地狐ちこ、仙人の仙に狐で仙狐せんこ、そして天空の天に狐の天狐てんこ、みたいな感じの順でな。そして地狐が仙狐になるには、原則として善狐ぜんこでなくてはならない。即ち悪い心を無くさなければならねぇんだよ」
「は、はあ……」

 休む暇も無く飛んで来る専門用語の弾丸、そうマシンガントークです。まさかここまで轆轤首さんが熱く話してくるとはーー。てっきり天狐さんが話してくれると思ってましたので、心構えが足りていませんでしたよ。それにさっきから「」が付く言葉ばっかりで、今にも私の頭はパンクしそうです。

 要するに加胡川さんは地狐で、仙狐になる為の修行の一環として天狐さんと旅をしている、と言う見解でいいんですかね。ええい、この際合ってても合ってなくてもどうでもいいです。雰囲気だけでも読み取っていれば何とかなるでしょう。
 ようやく頭の中の整理が追いついてきた私でしたが、追い討ちをかけるように轆轤首さんはその後も妖狐の話を続けました。

「因みにな、かの有名な九尾の狐もコイツと同じ地狐なんだ。だから必ずしも妖狐ってのは尻尾の本数で……」

 もうやめてーー。とでも言えれば良かったんですけど、私は今日の出来事で心身共に疲れ果てていたので出来なかったです。ただただ誰かが彼女を止めてくれるのを待っているだけでした。しかしその願いは、私のすぐ隣に居た老女によって叶えられます。

「おうおう、お主の妖狐への想いは十分に伝わったぞ。もうツクモノも困っておるようじゃからその辺にしておいてやれ」
「ちぇっ、ここからいい所だってのによ」

 天狐さんのおかげで妖怪“図鑑丸暗記女”がついに口を閉じました。助かりましたよ、もしかして今日一日ずっとこの人の妖怪トークを聴かされるのかとヒヤヒヤしてましたから。
 やはり天狐さんは話し方からしてかなりお年を取られているみたいなので、周りへの気配りはしっかりと出来るようです。轆轤首さんも気配りは出来る方なんですけどね。ーーもうちょっと落ち着きが欲しいかな。

「あ、あのう、天狐さん……」
「なんじゃツクモノ、どうかしたか?」

 ふと、私は天狐さんの話を聞いて思った事がありました。それは旅をしている事についてで、天狐さんや加胡川さんは私によく似た存在と遭遇しているのではないかと言う事です。彼女の話を聞くまでこの目的も忘れてしまっていたので、自分の記憶力の無さには驚かされますよ。
 幾分か質問には捻りを入れようとも考えましたが、口から先走った言葉は私の思っていた以上に簡潔なものでした。

「ーー私の正体ってわかりますか」

 もはや単刀直入の一言、言い終わった後の私ですら話題の振り方がおかしいと思ったぐらいですよ。おそらく向こうからすればコイツは何を言ってるだ状態でしょう。

「はぁ?」

 ほら、思った通りの反応ですよ。言葉足らずなのは始めから自覚していたので、私と轆轤首さんは天狐さん達に山城町へとやって来た理由を、僅かにある可能性に賭けて話しました。
 ですがその結果は、あまり良いとは言い難いものでした。

「なるほどな。じゃがワシらではお主らの力にはなれそうに無いのう」

 もしかすればと思ったのにーー。またもや成す術が無くなった私は肩をおとし、轆轤首さんも諦めたような表情を浮かべていました。これでまた私達の辿ってきた旅は振り出しに戻ったんですから、当たり前と言えば当たり前ですね。
 しかも私達からすれば答えに一番近そうな天狐さん達ですらも、私の正体がわからないともあらば正直お手上げです。私って本当に何の妖怪なんでしょうか。

 もはや落ち込む表情すらも隠す事が出来ない私達。しかし続く天狐さんの言葉は、私達の旅を良い方向へと向かわせる足かせともなりました。

「とは言え、お主が霊か付喪神かを判別出来る者に心当たりがおる」
「本当ですか!?」

 まさにどんでん返しと言っても過言ではない発言、これには私のテンションジェットコースターも最高潮の急降下です。判別出来る者がどなたかはまだ存じ上げませんが、天狐さんが言うのですから絶対信頼出来るに違いありませんよ。

 更にこれだけでは終わりませんでした。私と轆轤首さんが喜びのあまりお互いの笑みを確認しあったすぐ後、またしても天狐さんは嬉しい事を言ってくれたんです。

「それに弟子が迷惑を掛けた詫びじゃ。奴のところまでワシらがちゃんと連れていってやろう」

 もう聖人ってレベルじゃありませんよ。天狐さんが言う方の所へ連れて行ってくれるとは、足の無かった私達にはそれこそ地獄に仏ですよ。ほんと、私達はついてますね。ーーってあれ、この流れ何処かで体験したような。私の体は彼女の言葉にとある感覚を覚えました。

「えっ」

 声を上げたのは加胡川さんでした。おそらく想像力を膨らまして考えていった結果、その「足」が自分である事に気が付いたんでしょうね。この四人の中で車を所持しており尚且つ運転が出来る人材、それが自分だけである事を。
 ですがそんな加胡川さんに天狐さんは激しく叱責しっせきしました。

「全てはお主が招いた事じゃろう! わかったら早う車を回して来い、この馬鹿狐!」
「はいいいッ!」

 言われるがままに猛ダッシュで車の方へと走っていく加胡川さん。彼が車に向かう途中で思ったんですけど、このままこちらに車を出してしまっては、下手すれば崖から転落してしまうんじゃないんですかね。
 私達に早く判別者さんに会わせたいのはわかるんですけど、せめて安全第一で行きたいものです。

「しかし本当によろしいんですか天狐さん。何もそこまでしなくてもいいのに」

 私は再度天狐さんに確認を取りました。だって彼女の案はこの上なく嬉しいのですが、場所さえ教えてくれれば行けない事ない場所かも知れませんから。わざわざそこまでしてくれるのは、私としても少しばかり申し訳ない気持ちがありました。

「気にせんでもよい。妖怪は借りた恩をしっかりと返すのが流儀なんじゃ」
「恩?」

 私は天狐さんの恩と言う言葉に、何か引っかかるような違和感を覚えました。確かに轆轤首さんと私は彼女のお弟子さんである加胡川さんに、それはもう酷い目には遭わされましたよ。とは言ってもその返しに最も適切な言葉は「詫び」と言う言葉ではないのではないでしょうか。

 一体何故だろう、そう思った途端に轆轤首さんがまたしても二人の会話に口を突っ込んできました。
 どれだけ彼女は人と話がしたいのかなーー。けど私以外の妖怪と出会うのが久方ぶりだって事は、結構関係してるんだと思います。

「今生き残っている妖怪は恩返しって言葉を大切にしている。だからこうやって天狐はアタシらに恩返しをしようと言ってるんだぜ」

 しかしそれだけでは私の質問の返しにはなっていませんよ。故に彼女の発言を指摘しようとした私でしたが、すぐさま天狐さんは私の口に人差し指を立てて何を伝えてきました。
 それはあたかも、私の口から言わせるなと言わんばかりの威圧感をも醸し出していました。怖いなぁ……いかにもお歳をとられてそうな見た目も合わさって天狐さんの顔は、加胡川さんに向けたものとは違えど鋭いものでしたよ。

「お主らに許してもらった恩、じゃよ」

 ですけど口にした言葉は思っていたよりも随分と簡潔でまとめられたものでした。これでは本当にそれだけなの、と言っても何一つ先の事は言ってくれそうにありませんね。であればここは彼女のお言葉に甘えて、その判別者さんの所に連れて行ってもらいましょう。

 すると天狐さんは何かを言い忘れていたのか、はたまたわざと言わなかったのかは定かではありませんが、ある発言を付け足しました。

「それに、お主らに案内してやりたい場所もあるからな」

 その時でした。案内と言われて、ようやく私が感じた恐怖にも似たデジャヴ感の正体が掴めたんです。なんで私はこんな出来事を忘れてしまっていたのでしょうか。それは加胡川さんが私達をこの崖へと誘い出したうたい文句、「案内する」でした。
 勿論天狐さんは加胡川さんと違って邪気が無い、善の妖狐である事は鼻から承知の上ですよ。しかしながら一度体験してしまった恐怖と言うものは、和らぐのに相当な時間を要する事もまた事実なんです。
 また変な所が気に掛かっちゃったなぁ、今の私には天狐さんの連れて行きたい場所も、正直恐怖の対象としか思えていません。

「あ、案内ですか。楽しみだなぁ……」

 よって私の反応は何処か気の抜けた、と言うよりかは素っ気無い感じのものとなってしまいました。ーーなんだかごめんなさい、天狐さん。

 ギチギチギチヴォーン。

 我々超自然的存在である妖怪には無関係そうな、車と言う人工物から大きな音が聴こえてきました。どうやら車のエンジン、掛かったみたいですね。

 先程の言葉で浮かび上がってきた不安な気持ちを強引に押し込んだ私を、何食わぬ表情で轆轤首さんは抱きかかえました。この人はさっきの天狐さんの発言を聞いてどう思ったのかな、私とおんなじ感想は抱いてはなさそうなんですけどね。それこそ神のみぞ知る、でしょう。
 ついでに言うと私は他の人より足が圧倒的に短いので、こうやって運んでもらえるのはありがたいです。轆轤首さんも伊達に私との生活は長くありませんね。ーーって、私ったらなんて上から目線なんだろ。

 こうして私達は、加胡川さんの師匠である天狐さんを仲間に加えて車へと歩き出しました。

 *

 道を進むにつれて、夕方にも関わらず物凄い量の霧が車を覆い始めました。そしてその周りの木々達もまた、道路から車が外れた途端に集まってきているような気もします。
 車から見える森の暗さを交えた白い霧は、木漏れ日に似た紅色の光とも合わさって、何やら怪しい雰囲気を感じさせていました。

「おい加胡川、本当にこの道で合ってんのか?」

 先程の例もあってか、かなり警戒をしている様子の轆轤首さん。声も機嫌悪そうに荒げて、霧しか見えない窓の景色を見る度、眉間に皺を寄せているのが見て取れました。
 まぁ疑うのも無理はないです。だって私自身も、まだ彼の事はしっかりと信用をしていませんから。

「失敬な。僕はちゃんと師匠の言う場所に向かっているよ」
「ならいいんだがな…………」

 そう言うと轆轤首さんは、またしても外の景色を見て、不安げな表情を浮かべました。よっぽど加胡川さんを疑っているんだなぁってのが、彼女が言わずともヒシヒシと伝わってきますよ。
 おそらくは轆轤首さん、彼の師匠である天狐さんに対しても、未だに疑いの目を向けているのではないのでしょうか。

「今向かっておる場所はワシらが宿として使っておる旅館じゃ。安心せい」

 するとさっきまで沈黙を守っていた天狐さんが、自分にかけられた疑いを解く為かようやく言葉を発しました。
 それも車を走らせてから結構経っていたので、今更になって目的地の詳細を言うのもどうかとは思うんですが、話してくれないまま目的地に到着するよりは幾分いくぶんもマシです。

「その様子じゃとお主ら、自分達の宿も決めておらんのじゃろう? なら今日はその旅館に泊まるとよい」
「マジか! やったなツクモノ、これでアタシらの寝床確保だな」

 何言ってるんですかねこの人は。さっきまでの疑いの目が嘘であったかのように、轆轤首さんは手のひら返しをまざまざと見せつけてきました。まさか観光地の絞り込みだけに飽き足らず、私達が泊まるはずの宿すらも決めていなかったなんて、やっぱり普通では考えられません。
 あ、でもこの人もやはり妖怪ですから、人間と同じ物差しで測る事は出来ませんね。とは言え轆轤首さんの常識を仮に妖怪の物差しで測っても、相当異常なのは拭えないのかも知れませんけど。
 もう轆轤首さん一人に旅行の計画は任せられないな、この時私は自分の心にその決意を深く刻み込みました。

 それからと言うもの、何かが吹っ切れたかの如く車内は異様な程の盛り上がりを見せていました。それも三人の時とは大違いなくらいの、騒がしい感じの盛り上がりでした。多分天狐さんがかなりお歳をとられている事もあったので、話題が尽きないのも要因の一つと考えられますね。
 決してこの空気が悪いと言っているわけじゃないですよ。あくまでこれは理由として述べただけですから。それにこの雰囲気、私も嫌いじゃありません。

 加胡川さんの昔話で会話が弾む中、ふと天狐さんはポロっと口からこぼすように驚くべき発言をしました。

「にしてもツクモノはええのう」
「えっ?」

 全く想定していなかった話題の転換先に呆気にとられて、思わず口をポカンと開けたまま、彼女の顔をガン見してしまいました。
 助手席ーーでしたっけーーで何処か寂しそうな横顔をしていた天狐さんは、先程までの馬鹿話をしていた時のものとは、明らかに違っていたのが視認出来ます。

 何か私したっけなぁ。ーー天狐さんともあろうお方が私なんかを羨ましがるなんて、ただ事ではない気はしました。そして一瞬でも「加胡川さんみたいに何かを企んでいるのでは」と思ってしまったのは、まだ私の心の中で彼女を信用しきれていない節があるからでしょうか。

「どうしたんですか、急に」
「いやぁの、時折お主は発言や行動に幼さを見せるじゃろ? それはおそらく、まだ妖怪として生まれ変わって日が浅い事が関係しておるからなのじゃ。そしてワシは、その心の幼さが望ましいと言っておるのじゃよ」
「心の幼さ……ですか?」

 それって単に私の事を子供っぽいって言っているだけじゃないですか。褒め言葉ではない感じがする発言に、つい私は顔を顰めてしまいました。
 しかし天狐さんの方はと言うと、未だに寂しそうな顔を変えようとはしていません。どうして心の幼さなんて物を欲しがるのかな、そう思っていた私に彼女は続けて語りかけてきました。

「ワシは千年程生きておる、じゃが生まれてこのかた心の底から語り合える友はおらんのじゃ。なぁに簡単な話、妖怪としてもワシはかなり年寄りの部類じゃからのう。故に皆はワシとの距離を置きたがるんじゃ」
「距離……ですか」

 何となくですがわかってきました。何故天狐さんが私なんかを羨ましがるのかを、彼女は自分を敬ってほしいわけではありません、単に対等に話せる友達が欲しかっただけなんです。
 長年生きている故に対等な友人が居ない、だからこそせめて行動だけでも幼さを感じさせたいんだと思います。ーーあたかも自分を子供のように見せかける為に、自分が目上の存在である事を忘れさせるように。

 言っちゃあ悪いですが私には、彼女が心の幼さを手に入れても何かが変わるとは思えませんでした。そもそも天狐さんは、「心の幼さ」と「未熟さ」を間違えているに過ぎないんですから。
 彼女が真に求めているのはおそらく、私のぎこちない行動の数々を生み出している「未熟さ」なのでしょう。
 ですが未熟さもまた、己の成長する過程によって自然と消滅するもの。故にかなり歳を取られている天狐さんには望んでも手に入らないものである事も忘れてはなりません。

「……ツクモノ、お前声漏れてんぞ」
「はい!?」

 まず初めに、轆轤首さんが日本語を喋っているのかを疑いました。だって聞き間違いでなければ今さっき考え込んでいたものは、既に私の口から世に出てしまった事を彼女の発言が示しているんですからね。
 仮にもそうであるのなら私、とんでもない事を言ってしまったのかも知れません。

「ツクモノ……お主それは本心か?」

 助手席から後ろの席へと顔を覗かせる天狐さん。その表情は言わずもがな、静かな怒りを感じさせていました。

 本当なんだ、私が変な事を口にしたのはーー。

 車を運転していた加胡川さんもこの状況に危機感を覚えたのか、顔は見えずとも焦っている感じで口を開きます。

「おいツクモノ! 早く今の言葉を訂正しろ」

 彼も彼なりにこの場の空気を正そうとしたのでしょう。しかし加胡川さんのそんな気遣いすらも、天狐さんは軽々と跳ね除けました。
 鋭い視線を加胡川さんへと向ける天狐さん、それは本当に彼が彼女の弟子であるのかを、疑問に思わせるには十分過ぎるくらいでした。

「少し黙れ、馬鹿狐」

 変な所が子供っぽいのは、天狐さんの悪い所なんでしょうか。見た目に反して弟子に好き勝手振る舞う様子は、まさにワガママな子供そのものですし。
 せっかく声を掛けてくれた加胡川さんも、彼女の発言の効力で黙っちゃいました。

「で、どうなのじゃ」

 険悪で重苦しいムードが車内を包み込みます。
 辛いーー。もうこうなったら本当の事を言う他ありませんね。正直今彼女の思う通りの状況を作ってしまっては、これからも絶対天狐さんは友達が出来ずじまいになってしまいますから。
 であれば今、私の身がどうなろうともここで口を開いた方が彼女の為にもなるってものです。

 こうして腹を括った私は、捉え方によれば罵倒のようにも聞こえる鋭い言葉を、天狐さんへと向けました。

「はい……本心です。だって天狐さん、あなたは自分に友達が出来ない理由を歳のせいにしているんですもの」
「……ッ!」

 私が思っていた以上に本心と言う刃が鋭かったのか、天狐さんは鳩が豆鉄砲を食らったかのような表情を見せました。それは同時に、これまで彼女がそんな指摘をされていなかった事も意味していたんだと思います。
 更に私は湧き上がってくる言葉の勢いを発散するべく、そのはけ口を天狐さんとして詰まる事全部ぶつけました。

「心の幼さがあるから友達が出来る? 寝ぼけた事言わないで下さい! あなたは何もわかっていません……。心の幼さ、そんなものがあっても家に閉じ込められて生活していれば、友達なんて出来ないんですから……」

 家では一人寂しくノートパソコンの画面とにらめっこしていた私と言う存在。休日こそ轆轤首さんが居ましたがそれも仕事の無い日だけ、彼女が居ない間は結局のところ一人だったんです。
 姿が姿だけに家の外にも出られず、ただ画面を見つめるだけの生活、そんな生活が楽しいと思えるわけがありませんよ。

「ーー貴方はまだ化けられる点で言えば有利なんですよ! だから……」

 せめて轆轤首さん以外にも誰かが居てくれればよかったんですけどね。ーー例えばあの時家に入ってきてくれたお爺さんのような人とか。まぁそんな事を考えても過ぎた事なので仕方がないです。
 だけど天狐さんにはまだ十分に、友達を作る力は有るんです。何故ならあのお爺さんみたいに、友達を作るのに年齢なんてこれっぽっちも関係は無いんですから。

「ーーそんなに友達が欲しいのなら、私と友達になって下さい!」

 その発言が全てを台無しにしたような気もしました。隣に居た轆轤首は突然吹き出し、前に居た加胡川さんも驚きのあまり跳ね上がっていましたよ。
 そして肝心の天狐さんはと言うと、呆気に取られた表情をこちらに向けたまま、皺の寄ったまぶたをパチクリとさせて言いました。

「本気で言っておるのか、それ」
「はい」

 目的地へと近付いてきたからか、次第に薄れていく深く白い謎の霧。そんな中を私達を乗せた車は、未だ静かに走っていました。
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