どうやら私、動くみたいです
物語の主人公は、持ち主であるお婆ちゃんが大好きな、意思を持つ市松人形。例え直接の会話が出来なくとも、お婆ちゃんが話し掛けてくれるだけで彼女は幸せだった。
しかしその幸せな日々も、長くは続かなかった。お婆ちゃんは患っていた病により、外出先で帰らぬ人となってしまったのだ。それを知らぬまま市松人形は、三日間も彼女の帰りを待ち続けた。
主人不在となった家へ最初に訪れたのは、お婆ちゃんの子供達ーー年齢で言えば四十代後半程ーーだった。
彼らは遺品整理と言う建前で金目の物を持ち出し、更にはお婆ちゃんの大切にしていた物を構わず捨てていった。無論市松人形も、その例外ではなかった。
ゴミステーションに捨てられた市松人形は、全てを諦めかけていた。だが偶然通りかかった轆轤首と言う妖怪によって、彼女は家へと持ち帰られる。
新しい居場所が見つかったことで安堵する市松人形だったが、轆轤首に体を触れられた途端、ある大きな異変が起きた。なんと市松人形は話せるようになっており、更には自身の体をも動かせるようになったのだ。
事の成り行きから、市松人形はツクモノと言う名を与えられる。しかし体が動くようになった事から、市松人形は自分と言う存在がわからなくなってしまった。
市松人形ーーもといツクモノは果たして、無事自分の正体を掴む事が出来るのか。
これは生まれてくる時代を間違えてしまったとある妖怪の、苦悩と葛藤を描く物語である。
※この物語はフィクションです。実在する人物や団体とは関係ありません。
※この作品は他の小説投稿サイトにも投稿しています。
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