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◇式前30日の記録
27.お胸
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ここは果樹林が立ち並ぶ公爵家の一角だ。シューマとスパラッシュが少しぎこちなく並び立つのを不思議に思いつつ、リリアはテオルドに手を引かれ小川を越える。たまにキラリと小魚の鱗が光を反射しているのが見えた。果樹林にはリンゴやナシ、キウイ、モモ、チェリー等が植えられていた。今はまだ実が青いものが殆どだが、夏から秋には公爵家の中で収穫祭の様な催しが開かれる程大規模だ。
それらの木々が囲む様に少し平地にされた真ん中に木で組まれたガゼボが設置されていた。
テオルドとリリアはそこにクッションを敷いて向かい合わせて座り、真ん中のテーブルに置かれた具沢山のサンドイッチや魚のフライ、ポテトのサラダを摘んで侍女が入れた紅茶を飲みながら楽しく食事をする。
「リリア、疲れたか?結構歩いたからな」
「平気。ダンスの練習もしてるから少し体力付いて来たよ」
「そうか.........ダンス.........踊れるのか?」
「.........まだまだ上手くは無いけど2曲だけ。最近漸く通して踊れる様になったくらい。ワタシ...ダンス苦手みたい。下ばっかり見ちゃうし.........」
「ふーん。じゃあさ、次のダンスの日は俺と練習しようか」
「え?本当?」
「ああ。成長振り見てやるよ。ふふっ」
「わぁ!いつも身長の高いトーザさんと踊ってるからちょっと歩幅とか合わなく『ブバッ』ってー!テオルド大丈夫?」
ゴホッゴホと咽せながらリリアの差し出したハンカチを受け取るテオルド。いや、ハンカチを差し出した手ごとガシッと掴んだ。
「ふぇ?」
「.........リ、リリア.........誰と踊ってるって?」
「ん?トーザさんだけど?」
「な、何で?」
「護衛してくれてたし?ダンスの日は大体トーザさんが護衛なの。トーザさん凄くダンス上手なんだよ~。パートナーがいる方が上手く成れるって申し出てくれて。でも始めは良いんだけど後半になると段々力強くなって来て、腰を持たれてターンする時なんか身体浮いちゃって.........しがみついちゃって脚付かないから途中からダンスにならないんだよね」
へへへと笑うリリア。
「.................シューマ」
「.........はい」
「今日からあいつは式までの間、オウエンの護衛に向かわせろ」
「....あ~....はい(テオルド様顔に青筋出てるよ.........やっちまったなあいつ......シフト任せたのが悪かったか)」
「リリア。これからは俺が相手になるから。他の奴とは踊るなよ、自主練習でもだ。良いな?」
「え?でも.........テオルド忙しいでしょ?ワタシ.........下手だよ?」
「心配するな。確か週2日だろ?それくらいの時間は作る」
「.........うん。うん。ありがとう.........嬉しい.........ふふっ」
「............本当に......もう.........自覚がないんだから.........。お前が微笑みかける度に誰かが虜になって行くんだよ。自分の顔鏡で見てるか?(俺なんか10年もの間囚われて来てるんだ.........他の奴なんてイチコロだろ)」
「? 鏡?見てるよ?あ、そうだ!ワタシ気付いた事があるんだ。うふふっ」
「何?」
「ワタシね~.........少しだけ女神様に似てるかも!」
一瞬ピクリとする3人。
「あ、女神様見た事無いから分からないだろうけどね、少しだけ目の辺りとか口の形とか.........。多分女神様がお造りになられたからだろうけど.........」
「.................だったらスパラッシュとリリアは似てないといけないんじゃ無いか?」
「.........テオルド様.........っ」
スパラッシュはいずれリリアにも伝えなければならないが.........ショックが大きいのでは無いかとまだ言えないでいる。自分が家族であった事や女神の血肉を分けられた存在である事.........
「あ、そうか。スパラッシュとワタシ、顔は似てないよね。でも.........身長は同じくらいだよ?それに.........」
手をわきわきし出すリリア。
「うん?」
「お胸の大きさも同じくらいだし。あ、形や触り心地は違うけど。ワタシのは何だかとんがっててフニャフニャ柔らかいんだけど、スパラッシュはこう.........丸くてブルンッて弾力が『シュババッ』むぐーっ!」
手でジェスチャーを交え説明していたリリアの口に突如何かがへばり付く。
「リリア様?はしたないですわよ?殿方にお話されるには内容が明け透け過ぎです。先生に注意されませんでしたか?」
スパラッシュに口に赤い糸で大きく✖️を貼られるリリア。ペリペリと剥がしながら「へへっごめんなさい~っ」と謝る。
スパラッシュは虹色の糸はもう作れ無いが、他の色は出せるのだ。
だが、少し遅かった。
下を向きシューマを含め無言で悶える護衛騎士の男達。
昼間から目の前の美しい女達で脳内妄想の百合のお花畑が果樹林の中で咲き乱れたのは言うまでも無い。
因みに.........テオルドはリリアの胸の形どころじゃ無い全身を10年見て来て知っているので(ああ、そうだったな~)くらいだったが、触り心地の説明を聞かされ、これまた赤くなってカチンと固まっていた。
それらの木々が囲む様に少し平地にされた真ん中に木で組まれたガゼボが設置されていた。
テオルドとリリアはそこにクッションを敷いて向かい合わせて座り、真ん中のテーブルに置かれた具沢山のサンドイッチや魚のフライ、ポテトのサラダを摘んで侍女が入れた紅茶を飲みながら楽しく食事をする。
「リリア、疲れたか?結構歩いたからな」
「平気。ダンスの練習もしてるから少し体力付いて来たよ」
「そうか.........ダンス.........踊れるのか?」
「.........まだまだ上手くは無いけど2曲だけ。最近漸く通して踊れる様になったくらい。ワタシ...ダンス苦手みたい。下ばっかり見ちゃうし.........」
「ふーん。じゃあさ、次のダンスの日は俺と練習しようか」
「え?本当?」
「ああ。成長振り見てやるよ。ふふっ」
「わぁ!いつも身長の高いトーザさんと踊ってるからちょっと歩幅とか合わなく『ブバッ』ってー!テオルド大丈夫?」
ゴホッゴホと咽せながらリリアの差し出したハンカチを受け取るテオルド。いや、ハンカチを差し出した手ごとガシッと掴んだ。
「ふぇ?」
「.........リ、リリア.........誰と踊ってるって?」
「ん?トーザさんだけど?」
「な、何で?」
「護衛してくれてたし?ダンスの日は大体トーザさんが護衛なの。トーザさん凄くダンス上手なんだよ~。パートナーがいる方が上手く成れるって申し出てくれて。でも始めは良いんだけど後半になると段々力強くなって来て、腰を持たれてターンする時なんか身体浮いちゃって.........しがみついちゃって脚付かないから途中からダンスにならないんだよね」
へへへと笑うリリア。
「.................シューマ」
「.........はい」
「今日からあいつは式までの間、オウエンの護衛に向かわせろ」
「....あ~....はい(テオルド様顔に青筋出てるよ.........やっちまったなあいつ......シフト任せたのが悪かったか)」
「リリア。これからは俺が相手になるから。他の奴とは踊るなよ、自主練習でもだ。良いな?」
「え?でも.........テオルド忙しいでしょ?ワタシ.........下手だよ?」
「心配するな。確か週2日だろ?それくらいの時間は作る」
「.........うん。うん。ありがとう.........嬉しい.........ふふっ」
「............本当に......もう.........自覚がないんだから.........。お前が微笑みかける度に誰かが虜になって行くんだよ。自分の顔鏡で見てるか?(俺なんか10年もの間囚われて来てるんだ.........他の奴なんてイチコロだろ)」
「? 鏡?見てるよ?あ、そうだ!ワタシ気付いた事があるんだ。うふふっ」
「何?」
「ワタシね~.........少しだけ女神様に似てるかも!」
一瞬ピクリとする3人。
「あ、女神様見た事無いから分からないだろうけどね、少しだけ目の辺りとか口の形とか.........。多分女神様がお造りになられたからだろうけど.........」
「.................だったらスパラッシュとリリアは似てないといけないんじゃ無いか?」
「.........テオルド様.........っ」
スパラッシュはいずれリリアにも伝えなければならないが.........ショックが大きいのでは無いかとまだ言えないでいる。自分が家族であった事や女神の血肉を分けられた存在である事.........
「あ、そうか。スパラッシュとワタシ、顔は似てないよね。でも.........身長は同じくらいだよ?それに.........」
手をわきわきし出すリリア。
「うん?」
「お胸の大きさも同じくらいだし。あ、形や触り心地は違うけど。ワタシのは何だかとんがっててフニャフニャ柔らかいんだけど、スパラッシュはこう.........丸くてブルンッて弾力が『シュババッ』むぐーっ!」
手でジェスチャーを交え説明していたリリアの口に突如何かがへばり付く。
「リリア様?はしたないですわよ?殿方にお話されるには内容が明け透け過ぎです。先生に注意されませんでしたか?」
スパラッシュに口に赤い糸で大きく✖️を貼られるリリア。ペリペリと剥がしながら「へへっごめんなさい~っ」と謝る。
スパラッシュは虹色の糸はもう作れ無いが、他の色は出せるのだ。
だが、少し遅かった。
下を向きシューマを含め無言で悶える護衛騎士の男達。
昼間から目の前の美しい女達で脳内妄想の百合のお花畑が果樹林の中で咲き乱れたのは言うまでも無い。
因みに.........テオルドはリリアの胸の形どころじゃ無い全身を10年見て来て知っているので(ああ、そうだったな~)くらいだったが、触り心地の説明を聞かされ、これまた赤くなってカチンと固まっていた。
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