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24話
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悩みに悩んで昼休みに東雲を誘おうと探していると、第三会議室でその姿を見つける。東雲を狙う後輩の大和 礼乃もそこにて、会議室の中からは二人の楽しそうな会話が聞こえてくる。その談笑する中に入っていく気になれず扉の前で見えないように立ち止まる。
「だぁん先輩、昔みたいに暖くんって呼んでも良いですか?」
「だめー。大和、早く手動かして休憩押すから」
「わ!また大和って呼ぶ!もう!昔みたいに礼乃って呼んでくださいって言ってるのに」
「あはは、もう大学生じゃないからね」
「えーだめですか?」
かなり親しげに話す東雲と大和に立ち去った方が良いのかと思考を巡らすが、聞きたいという気持ちが勝り盗み聞きをしてしまう。そんなことをしても失うだけだというのに。
「暖先輩面倒くさいの嫌いでしょ?どうせ今の恋人も昔みたいに飽きたら捨てるでしょ?」
「先輩は昔から長く付き合えませんもんね?」と話す大和の声に目の前が暗くなる。「恋人は居ないけど」と返す東雲に更に頭を殴られたような衝撃が走ってふらふらする。隠しているわけじゃないと思っていた、もしかしたら付き合ってると思っているのはぼくだけだったのかもしれない、そう思うと胸の奥にずんと重い何かが投げられたように苦しさが襲ってくる。
「俺にしません?ね、先輩。甘えられるの苦手でしょ?俺なら暖先輩を煩わせませんよ?」
甘えられるのが苦手…?そうか、そうだったのか、やっぱり東雲は優しいから既に気を遣っていたのか。足元にぽたぽたと水滴が落ちていく、清水のやりたいことに付き合っていただけで、恋人として接していたのは自分だけだと考えると頼られない理由も納得がいく。
溢れる涙は拭っても拭っても止まらなくて、やっぱりメッセージを送れば良かったなんて思ってももう遅い。そういえば好きとは言われても付き合おうとは言われていなかった、その気になって舞い上がっていたのはぼくだけだったんだ。締め付けられるように痛む胸に呼吸の仕方を忘れていく。
「璃暖?どないした?」
本当に、タイミングの良い男だ
「なんかあったん?」と心配そうに話す西村が第三会議室内を見て表情を変える。楽しそうに話す二人と泣いている清水。状況は明らかで、今にも飛び出していきそうな西村の袖を握って制止する
「なんで止めるん?」
「ぼくのせいだから」
「璃暖のせいちゃうやん」
「良いんだ、叶、仕事に集中しないと」
「こんな顔して何言うてんの」
また頬に触れて涙を拭う西村の手。もう東雲より触れられている手はやっぱり違っていて、こんな状況でも望むのは東雲の手だった。
「行こうのんちゃん、涙拭いてちゃんと仕事しよ」
「うん、うん…っ」
手を引かれて第三会議室から離れていく。ちらりと見た会議室の中で東雲と目が合ったように思ったが最早今となってはなにも考えられない。ただ手を引いて歩く西村に着いて行きながら、これからどうしようかとぼんやり考えるだけだった
「落ち着いた?」
休憩が終わる頃には涙も止まっていて、心做しかスッキリとした気持ちでいた。
「ん、もう大丈夫、ごめんね」
「ええのええの、友達やん?」
「叶が友達で良かった」
「そうやろそうやろ、よお言われんねん」
いつもの調子の西村に笑いがこぼれる。東雲と話すのはもう少し心の整理をしてからと決めて仕事を再開した。いつもより捗る仕事をこなして、その時間だけは東雲を忘れることが出来た。
帰り際に東雲からのメッセージに気がつく。『泣いてた?』と数時間前に送られたメッセージに『泣いてないよ』とだけ返してスマホをしまう。これ以上やり取りをしたらやっと止んだ涙がまた溢れそうで、今度泣くともう止められないと思ったからだ。
「だぁん先輩、昔みたいに暖くんって呼んでも良いですか?」
「だめー。大和、早く手動かして休憩押すから」
「わ!また大和って呼ぶ!もう!昔みたいに礼乃って呼んでくださいって言ってるのに」
「あはは、もう大学生じゃないからね」
「えーだめですか?」
かなり親しげに話す東雲と大和に立ち去った方が良いのかと思考を巡らすが、聞きたいという気持ちが勝り盗み聞きをしてしまう。そんなことをしても失うだけだというのに。
「暖先輩面倒くさいの嫌いでしょ?どうせ今の恋人も昔みたいに飽きたら捨てるでしょ?」
「先輩は昔から長く付き合えませんもんね?」と話す大和の声に目の前が暗くなる。「恋人は居ないけど」と返す東雲に更に頭を殴られたような衝撃が走ってふらふらする。隠しているわけじゃないと思っていた、もしかしたら付き合ってると思っているのはぼくだけだったのかもしれない、そう思うと胸の奥にずんと重い何かが投げられたように苦しさが襲ってくる。
「俺にしません?ね、先輩。甘えられるの苦手でしょ?俺なら暖先輩を煩わせませんよ?」
甘えられるのが苦手…?そうか、そうだったのか、やっぱり東雲は優しいから既に気を遣っていたのか。足元にぽたぽたと水滴が落ちていく、清水のやりたいことに付き合っていただけで、恋人として接していたのは自分だけだと考えると頼られない理由も納得がいく。
溢れる涙は拭っても拭っても止まらなくて、やっぱりメッセージを送れば良かったなんて思ってももう遅い。そういえば好きとは言われても付き合おうとは言われていなかった、その気になって舞い上がっていたのはぼくだけだったんだ。締め付けられるように痛む胸に呼吸の仕方を忘れていく。
「璃暖?どないした?」
本当に、タイミングの良い男だ
「なんかあったん?」と心配そうに話す西村が第三会議室内を見て表情を変える。楽しそうに話す二人と泣いている清水。状況は明らかで、今にも飛び出していきそうな西村の袖を握って制止する
「なんで止めるん?」
「ぼくのせいだから」
「璃暖のせいちゃうやん」
「良いんだ、叶、仕事に集中しないと」
「こんな顔して何言うてんの」
また頬に触れて涙を拭う西村の手。もう東雲より触れられている手はやっぱり違っていて、こんな状況でも望むのは東雲の手だった。
「行こうのんちゃん、涙拭いてちゃんと仕事しよ」
「うん、うん…っ」
手を引かれて第三会議室から離れていく。ちらりと見た会議室の中で東雲と目が合ったように思ったが最早今となってはなにも考えられない。ただ手を引いて歩く西村に着いて行きながら、これからどうしようかとぼんやり考えるだけだった
「落ち着いた?」
休憩が終わる頃には涙も止まっていて、心做しかスッキリとした気持ちでいた。
「ん、もう大丈夫、ごめんね」
「ええのええの、友達やん?」
「叶が友達で良かった」
「そうやろそうやろ、よお言われんねん」
いつもの調子の西村に笑いがこぼれる。東雲と話すのはもう少し心の整理をしてからと決めて仕事を再開した。いつもより捗る仕事をこなして、その時間だけは東雲を忘れることが出来た。
帰り際に東雲からのメッセージに気がつく。『泣いてた?』と数時間前に送られたメッセージに『泣いてないよ』とだけ返してスマホをしまう。これ以上やり取りをしたらやっと止んだ涙がまた溢れそうで、今度泣くともう止められないと思ったからだ。
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