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一章
エリザと初吸血
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ダンジョン作成を終え、完成したばかりの家の中に入って一息つく。余ったダンジョンマナを使って購入した紅茶を飲みながら、エリザと話し込む。
お茶はメニューの“ショップ”って項目から買うことができた。お茶の他にも日用雑貨とか元の世界の食料品とか、色々購入できた。
ダンジョンマナさえあれば、生活には苦労しなさそうだな。
「そういえば吸血ってどうやるんだ。吸血でレベルアップすればいいっていっても、どうすればいいんだ?」
お茶を飲みながら、ふと浮かんだ疑問を口に出す。エリザが即座に反応を示した。
「では、私と吸血し合いましょうか?」
「え? 君と? 吸血鬼同士で吸血してレベリングってできるの?」
「はい。一応できます。あまり効率はよくありませんが」
「そっか。じゃあ練習させてよ」
「わかりました。ではこちらへ」
エリザはそう言いながら徐に立ち上がると、俺の手を取り、寝室の方へと連れ出そうとしてくる。
「ちょっ、何で寝室に?」
「こんなリビングで初めてを経験するなんてはしたないですわ」
「ちょっ、言い方! 変な言い方やめい! 血を吸うだけでしょうが!」
「とにかくこんな所では恥ずかしいですわ」
エリザがどうしても寝室じゃないと駄目だというので、彼女の言う通り、寝室に移動することになった。
俺たちはベッドの上で向かい合う。
「では失礼して」
エリザは着ていたドレスを肌蹴ると、むき出しになった肩口を見せてきた。
(う、美しい……)
美少女の丸出しとなった肩を見て、俺はドキリとしてしまう。簡単に折れそうな鎖骨がなんとも妖艶である。
「どうぞ。私の首筋に噛み付いてくださいませ。本能の赴くままに理性を解放すれば、吸血できます。我々は吸血鬼なのですから」
エリザの肩口を見つめ、俺は思わず生唾を飲み込んでしまった。
興奮しているのだが、それは性的な欲求からではない。感じているのは食欲に近いが、食欲ともまた違う欲求だ。
言うなれば吸血衝動。それが湧いて出てきたのだ。
目の前の可愛らしい女の子の血を吸いたくてたまらなくなる。吸血できると思うと、興奮して理性がおかしくなりそうになる。
こんな可愛い子に吸血できるなんて、前世じゃ考えられもしなかった。いや考えられるはずないだろう。前世は人間だったんだから。自分が血を吸うなんて発想すら浮かばなかった。
でも今は自然とそういう発想ができた。
この娘の血を吸いたい。噛みつきやすそうな柔らかな首筋を見ると、自然と吸血したいと思えるようになった。
俺は吸血鬼になってしまったのだ。
「じゃ、じゃあいくよ」
「はい。ご随意に。私の身も心も、全てはご主人様のものなのですから。お好きになさってくださいませ」
「その言い方……エッチすぎるからやめてよもう……そういうんじゃないから。俺は君の血を吸いたいだけなんだから。変なことをしたいわけじゃない。ただ血を吸いたいだけだ」
「わかっていますわ。はいどうぞご主人様」
どこか恍惚とした表情のエリザに振り回されながら、俺は彼女の肩口にゆっくりと顔を近づけていく。そして、思いっきり噛み付いてみた。
――ブチッ、ズブリ。
エリザの肌に歯が触れた瞬間、歯が伸びたような感覚があった。彼女の柔らかな肉の中に、俺の牙が埋め込まれていく。
「――んぁぁああんっ、あはぁんっ♡」
「っ!?」
血を吸われたエリザが艶かしい声を上げて絶叫する。
だが俺はそんなことを気にしている余裕はなく、口元から湧き上がってくる快感に必死に耐えていた。
(なんだこれ。美味い。美味すぎるぞ!)
生まれて初めて血液というものを飲んでみたが最高だ。血液という飲み物は、今までに飲んだことないくらい美味しい飲み物だった。
(くぅっ、全てが満たされるぅう!)
喉が潤されると同時に、腹が満たされ、心まで満たされるような不思議な感覚。食欲、性欲――あらゆる欲求が全て一時に満たされるような爽快感。
コーラを生まれて初めて飲んだ時の一億万倍くらいの爽快感を感じられた。
(やっば、美味いっ、美味すぎィッ!)
俺は夢中になってエリザの血を吸い続けた。チューチューと、初めてアイスキャンディを貰った幼児のように吸い続ける。
「ストップ! ミイラになってしまいますわぁ!」
エリザが苦しそうに喘いだので、俺は慌てて吸血を止めた。
「もうご主人様ったら、最初からがっつきすぎですわぁ。はぁはぁ」
「ご、ごめん……」
「吸血は相手の生命力を奪います。吸いすぎたら弱い対象は死んでしまいますので、お気をつけくださいませ。まあ、私はご主人様に吸血されて死ぬのなら本望でございますけど」
荒く息を重ねるエリザは妙に艶っぽい。
俺は慌てて謝罪を繰り返した。危うくエリザを殺してしまうところだったようだ。危ない危ない。
「首、傷ついてないよね?」
「ええ。我々の牙は高性能ですから。あえて乱暴にやらない限り、対象を傷つけることはありません」
改めてエリザの肩口を見てみると、そこには傷一つついていなかった。かなり強く噛んだ気がするのに、不思議なものだ。
吸血されてるエリザは痛がる素振りも何もなかった(むしろ気持ち良さそうだった)し、これなら眠っている相手なら気づかれずに吸血できそうだ。
「何か滅茶苦茶美味かったんだけど、どういうこと? 血生臭さとか全然感じなかったよ」
「それは吸血鬼だからですわ。血に対する感覚が人間であった時と変わっています。そして強く汚れなき存在の血であればあるほど、美味しく感じられます。また異性の血であればなおさら極上の甘露と感じられます。私はご主人様と同じく強く偉大なる吸血鬼ですし、汚れなき処女でありますから、その血が美味しく感じられるのは当然でしょう」
「そ、そっか」
吸血鬼になったから、血を美味しく感じられるようになったらしい。さらには乙女で強い存在のエリザの血だから余計に美味く感じられたようだ。
処女の血って、美味しいんだな……。
――能力【吸血】発動。経験値獲得。
――初めての対象であるのでボーナスを獲得。
――最大MPが5増えた。
「あっ、何か頭の中でメッセージが」
「“システムメッセージ”ですわね。流れたのはスキル【吸血】を行使した結果のメッセージですわ。初めての対象の吸血時には、経験値獲得の他に、追加ボーナスがあります。ステータス値が増えたり、その吸血対象が持っている能力を獲得できたりします」
「なるほど。色んな相手の血を吸いまくれば、同じ対象の血を吸い続けるよりも強くなれるってことか」
「ええその通りです。吸血を重ねて最強の存在となりましょう」
吸血鬼というのは面白い種族みたいだな。
吸血以外でレベリングできないというのはデメリットかもしれないが、そのデメリットを補って余りあるくらい、強力な力を持った種族みたいだな。
「吸血鬼って日光とか十字架とか大蒜とかに弱いイメージあるけど、そこらへんは大丈夫なの?」
「はい。夜であればよりパワーアップできますが、日光の下で弱体化するわけではございません。大蒜料理も問題ありません。ただ、聖なる攻撃などには弱いですわ。吸血を重ねてパワーアップして、聖なる攻撃などものともしないくらい強くなりましょう」
「そうか。とにかく吸血しまくればいいんだな。美味しそうな子の血を吸いまくればいいわけか」
「ええその通りです」
吸血鬼になったおかげで、吸血欲ってのが生まれたらしい。
新しい欲望が増えたことで、前世よりも人生の楽しみが増えた気がするな。色んな娘の血を吸って吸って吸いまくっちゃうぞ。
「ご主人様、次は私が吸血してもよろしくて?」
エリザはうっとりとした表情で、俺の首元を撫でてくる。
確かに、俺だけ吸っちゃうのはずるいな。彼女にも吸わせてあげよう。
「いいよ。ただし吸いすぎて殺すなよ」
「大丈夫ですわ。我々眷属はご主人様に危害を加えるようなことはできなくなっておりますから」
「そっか。それを聞いて安心したよ」
眷属は絶対にダンジョンマスターに逆らえないらしい。そういう仕様のようだ。裏切りとかないのは有難いな。安心できるぜ。
「それじゃ、いただきます」
エリザは俺の首筋を艶かしくペロリと舐めると、そこに牙を突き立ててきた。
俺の肌が生まれて初めて吸血鬼の牙を受け入れる。かなりぶっといものをぶち込まれたはずなのに、不思議と痛みなどなかった。アッーと痛みで悶絶絶叫するような事態にはならなかった。
「んふぅっ、んはっ、んんっ♡」
エリザに血を吸われる。生命エネルギーどころか魂まで吸われていくような感覚だ。
(あぁ~、エリザに吸われているぅ~)
全身の力が抜けていくような気がする。吸血というおぞましいことをされているというのに、不思議と心地良い。このまま死んでもいいとさえ思えるくらいだ。吸血鬼に血を吸われるってこんな感覚なんだな。
「んふっ、ご馳走様♡」
エリザは吸血を終えると、自らの口元に付いた血液を指で拭い、艶かしい仕草で舐めてみせた。
「偉大なるご主人様の御血、大変美味しゅうございました。ご主人様、汚れなき偉大なる童貞でいらっしゃいますね?」
「え? あ、その別に、ど、どど童貞ってわけじゃ……」
「隠さなくてもよろしいではありませんか。童貞は誇るべきものです。汚れなき美しき魂をお持ちということです。美しい魂は美しい血肉を生み出します。我々吸血鬼にとって、それは最上の甘露ですわ」
「ああそうかもね」
「お互い永遠に清き存在でいましょう。そうすれば、より美味しい血を永遠に貪り合うことができますわぁ」
「え、俺永遠に童貞なの? それはちょっと……」
「ご主人様は、血を腐らせるような真似をするのでございますか?」
俺がいつか童貞を卒業するかもしれないと言うと、エリザは悲しそうな表情を見せる。
美少女にこんな表情を見せられて拒めるはずもない。
「わかった。永遠に童貞でいるよ」
「嬉しいですわ。私も永遠に処女を貫きます。血に磨きをかけて、いつでもご主人様に最上の血を捧げられるようにいたしますわ」
俺とエリザは永遠に童貞&処女を貫く契約を結ぶことになった。不老不死の俺たちは、未来永劫童貞&処女であり続けるようだ
異世界に転生したら速攻奴隷を買って童貞を卒業するのが、転生モノと呼ばれるラノベのお決まりだというのに……。
まあ別にいいけどね。
今の俺は前世とは同じようでいて、まったく違う存在だ。性欲を超越した偉大なる存在となったのだ。前世の価値観など、もはや些事に過ぎない。
食欲や性欲というもののさらに上の段階の欲求に、吸血欲というものが生じてしまった。吸血欲さえ満たせれば他の欲求などどうでもいいと思えるような、そんな吸血鬼の身体になってしまったのだ。
「ご主人様の御血を吸ったことで私は回復いたしました。さあ、ご主人様、今度はご主人様の番ですわ。存分に吸ってくださいまし」
エリザは再び衣服を肌蹴ると、美しい肩口を露出する。自分の血を吸えと、俺を誘惑してくる。
吸血という新たな喜びを知ったばかりの俺が、その誘惑を振り払えるはずもない。
「あぁん、ご主人様ぁ♡」
「美味いっ、エリザの血、美味しすぎるぅ、極上の乙女の血、最高!」
そうして俺たちは、ベッドの上でめちゃくちゃ吸血し合った。疲れて眠るまで、ずっとそうしていたのであった。
♦現在のヨミトのステータス♦
名前:ヨミト(lv.1)
種族:吸血鬼(ノーマル)
HP:10/10 MP:15/15
能力:
【変化】【魅了】【吸血】
お茶はメニューの“ショップ”って項目から買うことができた。お茶の他にも日用雑貨とか元の世界の食料品とか、色々購入できた。
ダンジョンマナさえあれば、生活には苦労しなさそうだな。
「そういえば吸血ってどうやるんだ。吸血でレベルアップすればいいっていっても、どうすればいいんだ?」
お茶を飲みながら、ふと浮かんだ疑問を口に出す。エリザが即座に反応を示した。
「では、私と吸血し合いましょうか?」
「え? 君と? 吸血鬼同士で吸血してレベリングってできるの?」
「はい。一応できます。あまり効率はよくありませんが」
「そっか。じゃあ練習させてよ」
「わかりました。ではこちらへ」
エリザはそう言いながら徐に立ち上がると、俺の手を取り、寝室の方へと連れ出そうとしてくる。
「ちょっ、何で寝室に?」
「こんなリビングで初めてを経験するなんてはしたないですわ」
「ちょっ、言い方! 変な言い方やめい! 血を吸うだけでしょうが!」
「とにかくこんな所では恥ずかしいですわ」
エリザがどうしても寝室じゃないと駄目だというので、彼女の言う通り、寝室に移動することになった。
俺たちはベッドの上で向かい合う。
「では失礼して」
エリザは着ていたドレスを肌蹴ると、むき出しになった肩口を見せてきた。
(う、美しい……)
美少女の丸出しとなった肩を見て、俺はドキリとしてしまう。簡単に折れそうな鎖骨がなんとも妖艶である。
「どうぞ。私の首筋に噛み付いてくださいませ。本能の赴くままに理性を解放すれば、吸血できます。我々は吸血鬼なのですから」
エリザの肩口を見つめ、俺は思わず生唾を飲み込んでしまった。
興奮しているのだが、それは性的な欲求からではない。感じているのは食欲に近いが、食欲ともまた違う欲求だ。
言うなれば吸血衝動。それが湧いて出てきたのだ。
目の前の可愛らしい女の子の血を吸いたくてたまらなくなる。吸血できると思うと、興奮して理性がおかしくなりそうになる。
こんな可愛い子に吸血できるなんて、前世じゃ考えられもしなかった。いや考えられるはずないだろう。前世は人間だったんだから。自分が血を吸うなんて発想すら浮かばなかった。
でも今は自然とそういう発想ができた。
この娘の血を吸いたい。噛みつきやすそうな柔らかな首筋を見ると、自然と吸血したいと思えるようになった。
俺は吸血鬼になってしまったのだ。
「じゃ、じゃあいくよ」
「はい。ご随意に。私の身も心も、全てはご主人様のものなのですから。お好きになさってくださいませ」
「その言い方……エッチすぎるからやめてよもう……そういうんじゃないから。俺は君の血を吸いたいだけなんだから。変なことをしたいわけじゃない。ただ血を吸いたいだけだ」
「わかっていますわ。はいどうぞご主人様」
どこか恍惚とした表情のエリザに振り回されながら、俺は彼女の肩口にゆっくりと顔を近づけていく。そして、思いっきり噛み付いてみた。
――ブチッ、ズブリ。
エリザの肌に歯が触れた瞬間、歯が伸びたような感覚があった。彼女の柔らかな肉の中に、俺の牙が埋め込まれていく。
「――んぁぁああんっ、あはぁんっ♡」
「っ!?」
血を吸われたエリザが艶かしい声を上げて絶叫する。
だが俺はそんなことを気にしている余裕はなく、口元から湧き上がってくる快感に必死に耐えていた。
(なんだこれ。美味い。美味すぎるぞ!)
生まれて初めて血液というものを飲んでみたが最高だ。血液という飲み物は、今までに飲んだことないくらい美味しい飲み物だった。
(くぅっ、全てが満たされるぅう!)
喉が潤されると同時に、腹が満たされ、心まで満たされるような不思議な感覚。食欲、性欲――あらゆる欲求が全て一時に満たされるような爽快感。
コーラを生まれて初めて飲んだ時の一億万倍くらいの爽快感を感じられた。
(やっば、美味いっ、美味すぎィッ!)
俺は夢中になってエリザの血を吸い続けた。チューチューと、初めてアイスキャンディを貰った幼児のように吸い続ける。
「ストップ! ミイラになってしまいますわぁ!」
エリザが苦しそうに喘いだので、俺は慌てて吸血を止めた。
「もうご主人様ったら、最初からがっつきすぎですわぁ。はぁはぁ」
「ご、ごめん……」
「吸血は相手の生命力を奪います。吸いすぎたら弱い対象は死んでしまいますので、お気をつけくださいませ。まあ、私はご主人様に吸血されて死ぬのなら本望でございますけど」
荒く息を重ねるエリザは妙に艶っぽい。
俺は慌てて謝罪を繰り返した。危うくエリザを殺してしまうところだったようだ。危ない危ない。
「首、傷ついてないよね?」
「ええ。我々の牙は高性能ですから。あえて乱暴にやらない限り、対象を傷つけることはありません」
改めてエリザの肩口を見てみると、そこには傷一つついていなかった。かなり強く噛んだ気がするのに、不思議なものだ。
吸血されてるエリザは痛がる素振りも何もなかった(むしろ気持ち良さそうだった)し、これなら眠っている相手なら気づかれずに吸血できそうだ。
「何か滅茶苦茶美味かったんだけど、どういうこと? 血生臭さとか全然感じなかったよ」
「それは吸血鬼だからですわ。血に対する感覚が人間であった時と変わっています。そして強く汚れなき存在の血であればあるほど、美味しく感じられます。また異性の血であればなおさら極上の甘露と感じられます。私はご主人様と同じく強く偉大なる吸血鬼ですし、汚れなき処女でありますから、その血が美味しく感じられるのは当然でしょう」
「そ、そっか」
吸血鬼になったから、血を美味しく感じられるようになったらしい。さらには乙女で強い存在のエリザの血だから余計に美味く感じられたようだ。
処女の血って、美味しいんだな……。
――能力【吸血】発動。経験値獲得。
――初めての対象であるのでボーナスを獲得。
――最大MPが5増えた。
「あっ、何か頭の中でメッセージが」
「“システムメッセージ”ですわね。流れたのはスキル【吸血】を行使した結果のメッセージですわ。初めての対象の吸血時には、経験値獲得の他に、追加ボーナスがあります。ステータス値が増えたり、その吸血対象が持っている能力を獲得できたりします」
「なるほど。色んな相手の血を吸いまくれば、同じ対象の血を吸い続けるよりも強くなれるってことか」
「ええその通りです。吸血を重ねて最強の存在となりましょう」
吸血鬼というのは面白い種族みたいだな。
吸血以外でレベリングできないというのはデメリットかもしれないが、そのデメリットを補って余りあるくらい、強力な力を持った種族みたいだな。
「吸血鬼って日光とか十字架とか大蒜とかに弱いイメージあるけど、そこらへんは大丈夫なの?」
「はい。夜であればよりパワーアップできますが、日光の下で弱体化するわけではございません。大蒜料理も問題ありません。ただ、聖なる攻撃などには弱いですわ。吸血を重ねてパワーアップして、聖なる攻撃などものともしないくらい強くなりましょう」
「そうか。とにかく吸血しまくればいいんだな。美味しそうな子の血を吸いまくればいいわけか」
「ええその通りです」
吸血鬼になったおかげで、吸血欲ってのが生まれたらしい。
新しい欲望が増えたことで、前世よりも人生の楽しみが増えた気がするな。色んな娘の血を吸って吸って吸いまくっちゃうぞ。
「ご主人様、次は私が吸血してもよろしくて?」
エリザはうっとりとした表情で、俺の首元を撫でてくる。
確かに、俺だけ吸っちゃうのはずるいな。彼女にも吸わせてあげよう。
「いいよ。ただし吸いすぎて殺すなよ」
「大丈夫ですわ。我々眷属はご主人様に危害を加えるようなことはできなくなっておりますから」
「そっか。それを聞いて安心したよ」
眷属は絶対にダンジョンマスターに逆らえないらしい。そういう仕様のようだ。裏切りとかないのは有難いな。安心できるぜ。
「それじゃ、いただきます」
エリザは俺の首筋を艶かしくペロリと舐めると、そこに牙を突き立ててきた。
俺の肌が生まれて初めて吸血鬼の牙を受け入れる。かなりぶっといものをぶち込まれたはずなのに、不思議と痛みなどなかった。アッーと痛みで悶絶絶叫するような事態にはならなかった。
「んふぅっ、んはっ、んんっ♡」
エリザに血を吸われる。生命エネルギーどころか魂まで吸われていくような感覚だ。
(あぁ~、エリザに吸われているぅ~)
全身の力が抜けていくような気がする。吸血というおぞましいことをされているというのに、不思議と心地良い。このまま死んでもいいとさえ思えるくらいだ。吸血鬼に血を吸われるってこんな感覚なんだな。
「んふっ、ご馳走様♡」
エリザは吸血を終えると、自らの口元に付いた血液を指で拭い、艶かしい仕草で舐めてみせた。
「偉大なるご主人様の御血、大変美味しゅうございました。ご主人様、汚れなき偉大なる童貞でいらっしゃいますね?」
「え? あ、その別に、ど、どど童貞ってわけじゃ……」
「隠さなくてもよろしいではありませんか。童貞は誇るべきものです。汚れなき美しき魂をお持ちということです。美しい魂は美しい血肉を生み出します。我々吸血鬼にとって、それは最上の甘露ですわ」
「ああそうかもね」
「お互い永遠に清き存在でいましょう。そうすれば、より美味しい血を永遠に貪り合うことができますわぁ」
「え、俺永遠に童貞なの? それはちょっと……」
「ご主人様は、血を腐らせるような真似をするのでございますか?」
俺がいつか童貞を卒業するかもしれないと言うと、エリザは悲しそうな表情を見せる。
美少女にこんな表情を見せられて拒めるはずもない。
「わかった。永遠に童貞でいるよ」
「嬉しいですわ。私も永遠に処女を貫きます。血に磨きをかけて、いつでもご主人様に最上の血を捧げられるようにいたしますわ」
俺とエリザは永遠に童貞&処女を貫く契約を結ぶことになった。不老不死の俺たちは、未来永劫童貞&処女であり続けるようだ
異世界に転生したら速攻奴隷を買って童貞を卒業するのが、転生モノと呼ばれるラノベのお決まりだというのに……。
まあ別にいいけどね。
今の俺は前世とは同じようでいて、まったく違う存在だ。性欲を超越した偉大なる存在となったのだ。前世の価値観など、もはや些事に過ぎない。
食欲や性欲というもののさらに上の段階の欲求に、吸血欲というものが生じてしまった。吸血欲さえ満たせれば他の欲求などどうでもいいと思えるような、そんな吸血鬼の身体になってしまったのだ。
「ご主人様の御血を吸ったことで私は回復いたしました。さあ、ご主人様、今度はご主人様の番ですわ。存分に吸ってくださいまし」
エリザは再び衣服を肌蹴ると、美しい肩口を露出する。自分の血を吸えと、俺を誘惑してくる。
吸血という新たな喜びを知ったばかりの俺が、その誘惑を振り払えるはずもない。
「あぁん、ご主人様ぁ♡」
「美味いっ、エリザの血、美味しすぎるぅ、極上の乙女の血、最高!」
そうして俺たちは、ベッドの上でめちゃくちゃ吸血し合った。疲れて眠るまで、ずっとそうしていたのであった。
♦現在のヨミトのステータス♦
名前:ヨミト(lv.1)
種族:吸血鬼(ノーマル)
HP:10/10 MP:15/15
能力:
【変化】【魅了】【吸血】
0
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