吸血鬼のお宿~異世界転生して吸血鬼のダンジョンマスターになった男が宿屋運営する話~

夜光虫

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三章

地下水道お掃除依頼1/3

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 新居の屋上で焼肉パーティーをした翌朝、俺たちはギルドに顔を出すことになった。
 拠点も確保できたことだしお仕事しましょう――というパープルの強い要望に押される形でギルドに顔を出す。

 俺としては、拠点が確保できたことだし、もう二、三日くらいゆっくり過ごしたかったんだけどね。ダンジョンの方の仕事もあるしさ。

 でもそれはパープルが許してくれなかった。
 眷属でないパープルからすれば、俺がダンジョンの仕事してるなんてわからないからね。大金払って拠点確保したのに遊んでいると思われたらしい。

 失敬な話だ。俺は毎日ダンジョン内外で勤勉に働く吸血鬼だというのに。遊んでいるなんて失礼しちゃうぜ。

「それじゃパープル君たち、良い依頼を見繕ってきてよ」
「わかりましたお任せください」

 大人数でぞろぞろとギルドの依頼掲示板をうろちょろしても迷惑なので、パープルとレイラとノビルに依頼探しは任せ、残りの俺、エリザ、メリッサはギルドに併設されたカフェでお茶することにした。

 別にサボってるわけじゃない。一応、市場で購入した魔道書や魔物図鑑を読んで魔法や魔物の勉強という名目で休んでいる。

 茶を飲んで待っていると、やがてパープルたちが戻ってきた。

「――ということで、今日は地下水道のドブさらいのお仕事です」
「パープル君、頼んどいてなんだけど、もっとマシな仕事なかったの?」

 依頼探しをしてくれていたパープルたちが戻ってきて報告してくれるのだが、その内容が酷かった。
 ドブさらいって。冒険者の仕事じゃないよ。夢がなさすぎるよ。

「仕方ありませんよ。王都は厳しい身分制を敷いていますので、滞在する冒険者は必然的に鉄等級以上となります。ここ王都では鉄等級が最下級の冒険者であり、面白くない依頼を受けることになるんですよ。特に新参の僕たちに割り当てられる仕事は地味で楽しくないものがメインになります」
「そうか。なら仕方ないね。気が進まないけどしばらくは我慢するしかないか」
「ええ。報酬金についてはちゃんと鉄等級水準のお金が貰えますので、その点は安心してください。王都だけあって他の町より報酬相場はいいですよ。まあその分物価は高いですが」

 ギルドランクを上げるまでは地味な仕事でも頑張らなくてはいけないらしい。金がちゃんと貰えるなら嫌な仕事でも割り切って頑張るしかないな。社会人の務めだもん。

「では早速出発しましょう。ゆっくりお茶飲んでる時間なんてありませんよ」
「わかったよ。これ飲んだら行こう」
「早く飲んで下さい。今すぐ」
「わかったよ。せっかちだなぁ」
「ヨミトさんがのんびりしすぎなんですよ!」

 パープルは時間が惜しいという感じで急かしてくる。俺はもうちょっとゆっくりお茶を飲みたかったのだが、彼は決してそれを許してはくれなかった。
 俺はカップの中に入っていたものを一気に飲み干すと席を立った。

 それから俺たちはギルドを出て、公共地区にある地下水道管理局という施設に向かった。

「ギルド依頼です」
「そうか入っていいぞ」

 管理局の役人にギルドの依頼で来たことを告げ、中に入れてもらう。
 マンホールのような入り口があり、そこにある梯子を伝って、俺たちは地下水道へと入っていった。
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