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四章
宿泊者名簿No.12 転生者シブヘイ1/3
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俺氏の名はシブヘイ。まあそこらへんにいるしがないニートだ。
正確にはニートだったというのが正解かな。今の俺氏は異世界の神、ダンジョンマスターだ。ニートを極めて神になったのだ。
話はそんな俺氏がニートだった頃に遡る。
「おいババア。金よこせや。エロゲ買うから」
「シブヘイ。いい加減に働いておくれ」
「うるせえ! 黙れクソババア! こんな状況になったのは誰のせいだと思ってやがる!」
こんな豚みたいな容姿に産んでくれたババアには恨みしかない。学校では苛められ不登校になり、そのままニートになる。当然の結果だ。このまま女の子にも縁がない生活確定だろう。寂しい人生。
「わかったよ……。いつもみたいに一万円でいいのね?」
「わかりゃあいいんだババア。さっさとよこせ」
俺氏はいつもの如くババアから金をふんだくると、すぐに近所のコンビニへと向かった。そこで貰った一万円の八割を電子マネーに変換する。残る二千円でおやつを購入する。
あとは帰宅してネットサーフィンしながら好みのエロゲを探して購入してプレイするだけだ。おやつを食べながらエロゲをやる。人生で唯一の楽しみの時間だ。
(ぶひひ、今回は何のエロゲを買おっかな? やっぱりロリロリのロリ娘が出るやつかな?)
そんなことを考えながら、俺氏はコンビニからの帰り道を歩いていた。棒アイスを頬張りながら、二次元の素敵なロリ娘のことを考えて、満面の笑みを浮かべながら歩いていた。
そして二本目のアイスに手を伸ばそうとした――そんな時だった。
「ぼ、暴走トラックだぁッーー! そこの豚みたいな兄ちゃんッ、早く逃げろォオッーー!」
「ブヒィッ!?」
近くにいた通行人が叫ぶ。気づけば、乱暴な運転をするトラックが歩道に乗り上げて俺氏の元に迫っていた。
――ドグシャ。
「――ぷぎぃ!」
長年のニート生活によって運動不足になっていた俺氏は、トラックを避けきることができなかった。反応が遅れてそのまま轢かれ、ミンチになった。
(くそっ、最悪だ、童貞のまま死ぬなんて! 全部ババアのせいだ! くそがっ!)
ニートじゃない生活をしていれば行動パターンが違っていて死ぬこともなかっただろう。つまり、全部親のせいだ。親ガチャ大外れだ。
俺氏は今際に親への呪詛を吐きながら死んだ――――かに思えた。
「ここは……?」
目覚めると、変な場所にいた。中華風の小さな部屋だ。
「お目覚めですかご主人様?」
濃いベージュ色の体色をしたおっぱいの大きい娘が、俺氏に話しかけてきた。耳が生えていて、豚を擬人化して可愛くしたような感じの魔物娘であった。
魔物娘が相手とはいえ、リアルの女に縁がなかった俺氏は、緊張してつい正座してしまう。
「俺氏は死んだはずじゃ……」
「はい。ご主人様はお亡くなりになりました。ですが、神様から第二の人生を与えられたのですよ」
「何?」
魔物娘の話を聞き、俺氏はすぐに状況を理解した。
ラノベとかでよくある、死んでゲームみたいな世界に転生してダンジョンマスターになる――そんな状況に、俺氏は置かれていたのであった。
「初めまして私はイノコと申します。よろしくお願いしますね」
魔物娘は“イノコ”と名乗った。俺氏の眷属で、サポートキャラに位置づけられる存在らしいことがわかった。
イノコは雌オークで、俺氏もオークという種族であるらしい。
転生してオークになった俺氏だが、見た目は前世とほとんど変わらなかった。変わったのは、耳が変な位置についていて、犬歯がやたらでかいことくらいだった。
(ちっ、転生しても豚みたいな容姿なのかよ。くそったれめ。まあいいか)
その後、イノコから色々とチュートリアル的な説明を受けた。メニューの開き方からダンジョンの説明まで、一通りの説明をな。
(マジか! これってチート転生じゃねえのか?)
メニューを開いて色々と調べた結果、俺氏には【豚語】、【暴食】、【吸食】という三つのスキルがあることがわかった。
【豚語】はオークの言葉がわかるようになるスキルで、【暴食】はアホみたいに飯をいっぱい食うことができるスキル、【吸食】は飯を食うことでその食材が生前得ていたスキルを得ることができるスキルらしい。
【豚語】と【暴食】はともかく、【吸食】に関してはチートスキルにしか思えなかった。飯を食うだけでスキルをラーニングできるなんてチートだろう。完全にチートだ。
(ふひひ、チートで無双できるぞ! 前世は不幸だったが、この世界ではモテモテのハーレムを築いてやる! 世界制覇してやる! 世界中のロリロリのロリ娘を集めてハーレムを作ってやる! ブヒヒっ!)
前世では神に対して言うことなんて恨み節しかなかったが、この世界では違うぜ。ダンジョンマスターとして第二の人生を与えられ、俺氏は神に感謝を捧げた。
「さてと」
ひとまず自らの置かれた状況を理解した俺氏は、ダンジョン作りをする前にあることを済ませておくことにした。
転生して目の前には美少女がいる。その少女は俺氏の言うことを何でも聞く。ならばやることは一つしかないだろう。
「おいイノコ。セックスさせろ」
初めてが魔物娘でロリじゃないというのは少し不満であったが、可愛いしおっぱいでかいし、まあいいだろうと思った。
「はい。処女ですので優しくお願いしますね」
「ふひっ、はぁはぁ、処女ォ、処女ォ、ぶひひ!」
処女と聞いて俺氏は激しく興奮した。我慢なんてできるはずもなかった。
「イ、イノコォ! セックスするぞぉ!」
「きゃああ! そんなご無体な!」
俺氏はイノコを押し倒すと、着ていた衣服を引っぺがす。そしてイノコの身体を貪った。初めての女体は最高だった。
「おいイノコ、もう一回セックスするぞ。何回でもするぞ。ムラムラが止まらねえぞ! 止まるんじゃねぇぞ!」
「は、はい……」
そのまま二回戦目に突入する。三回戦四回戦、寝て起きて食って、五回戦六回戦――。
自分で言うのも何だが異常なほどの精力だった。前世の俺氏もどちらかと言えば精力は強い方であったが、これは異常である。どうやらオークとなったことで、人外の精力を手に入れたようだった。
化け物の精力を手にした俺氏は、夢中になってイノコとのセックスを繰り返した。そうして気づけば、一週間も経っていた。
「う、産まれますぅ~。ひっひふぅー」
イノコはすぐに孕んだらしく、彼女の腹はみるみる膨れていった。転生して最初の一週間が終わる日の早朝には、イノコは初めての出産を経験した。
「ご主人様、生まれました! 赤ん坊です! 元気な男の子ですよ! 私たちの子です!」
「ぶっさいくだなこいつ」
「……」
俺氏の息子第一号がこの時生まれた。我が息子ながらブサイクでキモかった。オークだから当然だ。
「ご主人様ぁ、エッチなことばかりしてないで、そろそろダンジョンの作成をした方が……」
「うるせぇなぁ、わかってんよ」
最初の一週間はセックスやら出産のことで大忙しで、肝心のダンジョン作成が疎かになってしまった。ダンジョンの侵入猶予期間が過ぎそうになり、俺氏は慌ててダンジョンの作成に取り掛かった。
だがダンジョン作成に使うDMがほとんど残っていなかった。
「なんでもうほとんどDMがないんだよ!」
「それはご主人様がショップで食料ばかり買い込んだせいでは……。自分一人でアイスばかり食べて……ずるいです……」
「黙れ! 俺氏に口答えするな! 俺氏はご主人様だぞ!」
「も、申し訳ございません!」
幸い、ダンジョンの防備がまったく整ってなくても当面はどうにかなった。俺氏の初期拠点がある周辺ではスライム、ゴブリン程度のザコしかいなかったからだ。俺氏とイノコだけでも十分に対処できた。
ザコモンスターをダンジョン内に誘き寄せて狩り、DMを稼いでその日暮らしの生活を営む。しばらくはそんな生活が続いた。
手駒はDMを使って生み出さずとも簡単に手に入った。イノコとセックスしまくることで、彼女が産んでくれたからだ。生まれた子供に雌がいた場合、成長したその子ともセックスすることで、手駒はボコボコと増えていった。
(くそっ、オークはゴブリンなんかより強くていいけど、馬鹿みたいに食費がかかるんだよなぁ……)
眷属は増えすぎて困るほどだった。オークという種族は大食いなので、食費が滅茶苦茶かかるのだ。
狩りが上手く行かず、満足な食料を部下に与えられない日もあった。ただ幸いにも、眷属は絶対に裏切ることがないので、待遇が悪かろうがどうにかなった。
「よく噛んで食べるんですよ~」
「ママ、わかったよ!」
イノコや俺の子供たちは、狩ったスライムやゴブリンなどを俺に隠れて食っていた。あんな気持ちの悪い魔物を捌いて焼いて食っていた。
(うわぁ、気持ち悪……)
魔物を食うことで、俺氏と同じスキル【吸食】を持ったイノコはどんどん強くなっていったが、俺氏はイノコと同じことをやる気にはなれなかった。何故ならスライムやゴブリンを食うなんて気持ちが悪いからだ。あんなのを食う奴は人間じゃない!
ドラゴンとか魚系の魔物の肉なら美味しそうだが、二足歩行する人間っぽい見た目の魔物の肉なんて普通は食えないだろう。
試しに一回スライムもゴブリンも食ってみたが、酷く不味かったので、それ以来、俺氏は自分が食って強くなることは諦めた。イノコがドラゴンとか美味しそうな魔物を討伐できるようになった時、その肉を食えばいいと思った。
(まあいい。イノコにいろんなもん食わせて強化すればいい。俺氏はマスターなんだから前線に出る必要なんて全くないのだからな)
頭の良い俺氏は、イノコや子供たちに狩りに行かせ、自分はダンジョンの中で引き篭もるという生活を始めることにした。
前世と違って口うるさいババアもいない。夢の完全ヒッキー生活だ。
全員が俺氏を褒め称えてくれる。最高すぎる。異世界転生最高だ!
「おら、しっかり俺氏に奉仕するんだぞ。お前らゴブリン娘は、今日から俺氏のハーレムの一員なんだからな」
「かしこまりました……」
転生してから一年ほど経ったある日、周辺にあったゴブリン集落を潰し、その集落の奥にいたゴブリン娘を捕虜にすることに成功した。
ゴブリン娘は可愛かった。体格が違うので男性器が入らずセックスはできなかったが、それ以外の方法でご奉仕させることはできた。俺氏はゴブリン娘たちを性奴隷兼ダンジョン内の労働力として飼うことに決めた。
それからしばらくして気づいた。眷属でない魔物をダンジョン内で飼っていると、DMが稼げることに気づいたのだった。
そのことに気づいてからというもの、ダンジョンのDM収支は劇的に改善していくことになった。
(俺氏って天才だな! これでDMに困らないぞ!)
DMを安定して稼ぐことができるようになり、稼いだDMを使い、ダンジョン設備を拡張していく。日に日に少しずつだが、多くのオーク兵を養えるようになっていった。
(オーク娘とのセックスはもう飽きたな。人間の女とやりてえなあ……)
ダンジョンの守りが堅くなってきたので、俺氏は久しぶりにダンジョンの外に出ることにした。
部下からの報告では、わりと近場に人間の村があるらしいことはわかっていた。森に採集にでかける村娘もいるというので、そいつらを狙って襲うことにした。
「やっぱ人間が最高だ! オーク娘より人間が最高だな!」
「いやああああ! 助けてえええ!」
人間の村娘を襲い、巣に連れ帰って飼うことにした。
飼っているとゴブリン娘よりもDMが稼げるし、孕み袋としても利用できる。人間の娘の捕虜は最高だった。
調子に乗った俺氏は二人、三人と、次々に手にかけていった。ダンジョンに奴隷ハーレムを築いていく。夢の異世界生活だ。いや性活か。
「ぶひゃひゃひゃひゃ! この世界は天国だ! 何したって裁かれることはない! 欲望のまま生きることができるんだ!」
好き放題やったって誰も俺氏を責め立てない。この異世界は俺氏にとってまさしく楽園だと思った。
神様が与えてくれた最高の第二の人生に、俺氏は感謝したのであった。
正確にはニートだったというのが正解かな。今の俺氏は異世界の神、ダンジョンマスターだ。ニートを極めて神になったのだ。
話はそんな俺氏がニートだった頃に遡る。
「おいババア。金よこせや。エロゲ買うから」
「シブヘイ。いい加減に働いておくれ」
「うるせえ! 黙れクソババア! こんな状況になったのは誰のせいだと思ってやがる!」
こんな豚みたいな容姿に産んでくれたババアには恨みしかない。学校では苛められ不登校になり、そのままニートになる。当然の結果だ。このまま女の子にも縁がない生活確定だろう。寂しい人生。
「わかったよ……。いつもみたいに一万円でいいのね?」
「わかりゃあいいんだババア。さっさとよこせ」
俺氏はいつもの如くババアから金をふんだくると、すぐに近所のコンビニへと向かった。そこで貰った一万円の八割を電子マネーに変換する。残る二千円でおやつを購入する。
あとは帰宅してネットサーフィンしながら好みのエロゲを探して購入してプレイするだけだ。おやつを食べながらエロゲをやる。人生で唯一の楽しみの時間だ。
(ぶひひ、今回は何のエロゲを買おっかな? やっぱりロリロリのロリ娘が出るやつかな?)
そんなことを考えながら、俺氏はコンビニからの帰り道を歩いていた。棒アイスを頬張りながら、二次元の素敵なロリ娘のことを考えて、満面の笑みを浮かべながら歩いていた。
そして二本目のアイスに手を伸ばそうとした――そんな時だった。
「ぼ、暴走トラックだぁッーー! そこの豚みたいな兄ちゃんッ、早く逃げろォオッーー!」
「ブヒィッ!?」
近くにいた通行人が叫ぶ。気づけば、乱暴な運転をするトラックが歩道に乗り上げて俺氏の元に迫っていた。
――ドグシャ。
「――ぷぎぃ!」
長年のニート生活によって運動不足になっていた俺氏は、トラックを避けきることができなかった。反応が遅れてそのまま轢かれ、ミンチになった。
(くそっ、最悪だ、童貞のまま死ぬなんて! 全部ババアのせいだ! くそがっ!)
ニートじゃない生活をしていれば行動パターンが違っていて死ぬこともなかっただろう。つまり、全部親のせいだ。親ガチャ大外れだ。
俺氏は今際に親への呪詛を吐きながら死んだ――――かに思えた。
「ここは……?」
目覚めると、変な場所にいた。中華風の小さな部屋だ。
「お目覚めですかご主人様?」
濃いベージュ色の体色をしたおっぱいの大きい娘が、俺氏に話しかけてきた。耳が生えていて、豚を擬人化して可愛くしたような感じの魔物娘であった。
魔物娘が相手とはいえ、リアルの女に縁がなかった俺氏は、緊張してつい正座してしまう。
「俺氏は死んだはずじゃ……」
「はい。ご主人様はお亡くなりになりました。ですが、神様から第二の人生を与えられたのですよ」
「何?」
魔物娘の話を聞き、俺氏はすぐに状況を理解した。
ラノベとかでよくある、死んでゲームみたいな世界に転生してダンジョンマスターになる――そんな状況に、俺氏は置かれていたのであった。
「初めまして私はイノコと申します。よろしくお願いしますね」
魔物娘は“イノコ”と名乗った。俺氏の眷属で、サポートキャラに位置づけられる存在らしいことがわかった。
イノコは雌オークで、俺氏もオークという種族であるらしい。
転生してオークになった俺氏だが、見た目は前世とほとんど変わらなかった。変わったのは、耳が変な位置についていて、犬歯がやたらでかいことくらいだった。
(ちっ、転生しても豚みたいな容姿なのかよ。くそったれめ。まあいいか)
その後、イノコから色々とチュートリアル的な説明を受けた。メニューの開き方からダンジョンの説明まで、一通りの説明をな。
(マジか! これってチート転生じゃねえのか?)
メニューを開いて色々と調べた結果、俺氏には【豚語】、【暴食】、【吸食】という三つのスキルがあることがわかった。
【豚語】はオークの言葉がわかるようになるスキルで、【暴食】はアホみたいに飯をいっぱい食うことができるスキル、【吸食】は飯を食うことでその食材が生前得ていたスキルを得ることができるスキルらしい。
【豚語】と【暴食】はともかく、【吸食】に関してはチートスキルにしか思えなかった。飯を食うだけでスキルをラーニングできるなんてチートだろう。完全にチートだ。
(ふひひ、チートで無双できるぞ! 前世は不幸だったが、この世界ではモテモテのハーレムを築いてやる! 世界制覇してやる! 世界中のロリロリのロリ娘を集めてハーレムを作ってやる! ブヒヒっ!)
前世では神に対して言うことなんて恨み節しかなかったが、この世界では違うぜ。ダンジョンマスターとして第二の人生を与えられ、俺氏は神に感謝を捧げた。
「さてと」
ひとまず自らの置かれた状況を理解した俺氏は、ダンジョン作りをする前にあることを済ませておくことにした。
転生して目の前には美少女がいる。その少女は俺氏の言うことを何でも聞く。ならばやることは一つしかないだろう。
「おいイノコ。セックスさせろ」
初めてが魔物娘でロリじゃないというのは少し不満であったが、可愛いしおっぱいでかいし、まあいいだろうと思った。
「はい。処女ですので優しくお願いしますね」
「ふひっ、はぁはぁ、処女ォ、処女ォ、ぶひひ!」
処女と聞いて俺氏は激しく興奮した。我慢なんてできるはずもなかった。
「イ、イノコォ! セックスするぞぉ!」
「きゃああ! そんなご無体な!」
俺氏はイノコを押し倒すと、着ていた衣服を引っぺがす。そしてイノコの身体を貪った。初めての女体は最高だった。
「おいイノコ、もう一回セックスするぞ。何回でもするぞ。ムラムラが止まらねえぞ! 止まるんじゃねぇぞ!」
「は、はい……」
そのまま二回戦目に突入する。三回戦四回戦、寝て起きて食って、五回戦六回戦――。
自分で言うのも何だが異常なほどの精力だった。前世の俺氏もどちらかと言えば精力は強い方であったが、これは異常である。どうやらオークとなったことで、人外の精力を手に入れたようだった。
化け物の精力を手にした俺氏は、夢中になってイノコとのセックスを繰り返した。そうして気づけば、一週間も経っていた。
「う、産まれますぅ~。ひっひふぅー」
イノコはすぐに孕んだらしく、彼女の腹はみるみる膨れていった。転生して最初の一週間が終わる日の早朝には、イノコは初めての出産を経験した。
「ご主人様、生まれました! 赤ん坊です! 元気な男の子ですよ! 私たちの子です!」
「ぶっさいくだなこいつ」
「……」
俺氏の息子第一号がこの時生まれた。我が息子ながらブサイクでキモかった。オークだから当然だ。
「ご主人様ぁ、エッチなことばかりしてないで、そろそろダンジョンの作成をした方が……」
「うるせぇなぁ、わかってんよ」
最初の一週間はセックスやら出産のことで大忙しで、肝心のダンジョン作成が疎かになってしまった。ダンジョンの侵入猶予期間が過ぎそうになり、俺氏は慌ててダンジョンの作成に取り掛かった。
だがダンジョン作成に使うDMがほとんど残っていなかった。
「なんでもうほとんどDMがないんだよ!」
「それはご主人様がショップで食料ばかり買い込んだせいでは……。自分一人でアイスばかり食べて……ずるいです……」
「黙れ! 俺氏に口答えするな! 俺氏はご主人様だぞ!」
「も、申し訳ございません!」
幸い、ダンジョンの防備がまったく整ってなくても当面はどうにかなった。俺氏の初期拠点がある周辺ではスライム、ゴブリン程度のザコしかいなかったからだ。俺氏とイノコだけでも十分に対処できた。
ザコモンスターをダンジョン内に誘き寄せて狩り、DMを稼いでその日暮らしの生活を営む。しばらくはそんな生活が続いた。
手駒はDMを使って生み出さずとも簡単に手に入った。イノコとセックスしまくることで、彼女が産んでくれたからだ。生まれた子供に雌がいた場合、成長したその子ともセックスすることで、手駒はボコボコと増えていった。
(くそっ、オークはゴブリンなんかより強くていいけど、馬鹿みたいに食費がかかるんだよなぁ……)
眷属は増えすぎて困るほどだった。オークという種族は大食いなので、食費が滅茶苦茶かかるのだ。
狩りが上手く行かず、満足な食料を部下に与えられない日もあった。ただ幸いにも、眷属は絶対に裏切ることがないので、待遇が悪かろうがどうにかなった。
「よく噛んで食べるんですよ~」
「ママ、わかったよ!」
イノコや俺の子供たちは、狩ったスライムやゴブリンなどを俺に隠れて食っていた。あんな気持ちの悪い魔物を捌いて焼いて食っていた。
(うわぁ、気持ち悪……)
魔物を食うことで、俺氏と同じスキル【吸食】を持ったイノコはどんどん強くなっていったが、俺氏はイノコと同じことをやる気にはなれなかった。何故ならスライムやゴブリンを食うなんて気持ちが悪いからだ。あんなのを食う奴は人間じゃない!
ドラゴンとか魚系の魔物の肉なら美味しそうだが、二足歩行する人間っぽい見た目の魔物の肉なんて普通は食えないだろう。
試しに一回スライムもゴブリンも食ってみたが、酷く不味かったので、それ以来、俺氏は自分が食って強くなることは諦めた。イノコがドラゴンとか美味しそうな魔物を討伐できるようになった時、その肉を食えばいいと思った。
(まあいい。イノコにいろんなもん食わせて強化すればいい。俺氏はマスターなんだから前線に出る必要なんて全くないのだからな)
頭の良い俺氏は、イノコや子供たちに狩りに行かせ、自分はダンジョンの中で引き篭もるという生活を始めることにした。
前世と違って口うるさいババアもいない。夢の完全ヒッキー生活だ。
全員が俺氏を褒め称えてくれる。最高すぎる。異世界転生最高だ!
「おら、しっかり俺氏に奉仕するんだぞ。お前らゴブリン娘は、今日から俺氏のハーレムの一員なんだからな」
「かしこまりました……」
転生してから一年ほど経ったある日、周辺にあったゴブリン集落を潰し、その集落の奥にいたゴブリン娘を捕虜にすることに成功した。
ゴブリン娘は可愛かった。体格が違うので男性器が入らずセックスはできなかったが、それ以外の方法でご奉仕させることはできた。俺氏はゴブリン娘たちを性奴隷兼ダンジョン内の労働力として飼うことに決めた。
それからしばらくして気づいた。眷属でない魔物をダンジョン内で飼っていると、DMが稼げることに気づいたのだった。
そのことに気づいてからというもの、ダンジョンのDM収支は劇的に改善していくことになった。
(俺氏って天才だな! これでDMに困らないぞ!)
DMを安定して稼ぐことができるようになり、稼いだDMを使い、ダンジョン設備を拡張していく。日に日に少しずつだが、多くのオーク兵を養えるようになっていった。
(オーク娘とのセックスはもう飽きたな。人間の女とやりてえなあ……)
ダンジョンの守りが堅くなってきたので、俺氏は久しぶりにダンジョンの外に出ることにした。
部下からの報告では、わりと近場に人間の村があるらしいことはわかっていた。森に採集にでかける村娘もいるというので、そいつらを狙って襲うことにした。
「やっぱ人間が最高だ! オーク娘より人間が最高だな!」
「いやああああ! 助けてえええ!」
人間の村娘を襲い、巣に連れ帰って飼うことにした。
飼っているとゴブリン娘よりもDMが稼げるし、孕み袋としても利用できる。人間の娘の捕虜は最高だった。
調子に乗った俺氏は二人、三人と、次々に手にかけていった。ダンジョンに奴隷ハーレムを築いていく。夢の異世界生活だ。いや性活か。
「ぶひゃひゃひゃひゃ! この世界は天国だ! 何したって裁かれることはない! 欲望のまま生きることができるんだ!」
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