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四章
宿泊者名簿No.13 元毒蜘蛛構成員オージン4/5
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メグミンをバカンに宛がってからというもの、バカンはメグミンに執着するようになった。最高の玩具を与えられた子供がその玩具に執着するのは、当然と言えば当然だろうか。
まあ子供と言っても身体は大人だがな。オツムにいくはずの栄養が全部身体にいってるんじゃねえかってくらいだからな、ウチの馬鹿息子はよ。
「メグミンだんどこ~?」
「メグミンは外回りの営業だよ」
「メグミンだんいないど、僕ちんやだ! やだやだ!」
「困ったなぁ」
次第に、バカンはメグミンが近くにいないと駄々を捏ねるようになった。バカンは暴れると俺でも手がつけられないので、非常に困った。
前にスキル【血盟】でバカンを支配しようとしたことがあったが失敗した。バッドスキル【豚化】は容姿を醜くし知力を失わせる一方で、腕力や生命力を異常なほど強める効果があるらしく、それで支配し切れなかったのだ。
(バカンに暴れられちゃ困るな……)
仕方がないので、メグミンには家畜とバカンの世話と家仕事だけをやらせることにした。そうして家で軟禁することにした。
「パパ~。メグミンだんを農奴の友達にも貸じでいい?」
「え?」
「楽じい゛ごどはぁ、友達と一緒にやっだ方が、もっど面白ぐなるど?」
「そ、そうかな?」
バカンは食い物を分け与えるような感覚で、農奴にもメグミンを貸し与えようとした。
農奴にメグミンほどの女を宛がうなど勿体ないと思ったが、バカンがどうしてもというので、俺はそれを許すことにした。
(まあいいか。バカンの嫁だ。バカンの好きにさせればいいか。バカンは友達思いのいい子だな)
あの女に瓜二つのメグミンが農奴共に汚されていく様を見るのは複雑な心境だったが、メグミンを宛がったことで農奴連中のやる気はかなり上がったので、経営者としては悪くない判断だった。
あのアキとかいう少年だけは不能なのでやれていなかったがな。
哀れなもんだぜ。あいつよりも年下の奴隷のガキがやりまくってるっていうのに、あいつだけやれてないんだからな。
「ぬぅ。また契約を打ち切られたのか」
「パパ、ごめんなばい」
「仕方ないな。世知辛い世の中だぜ」
メグミンを家で半ば軟禁状態に置いておくと、牧場の経営が急激に悪化していった。
農奴たちのやる気はうなぎ上りで生産面はすこぶる好調なのに、営業面が全然駄目だったのだ。
理由は明確だった。メグミンが売り子となって家々を回り、定期的な販売契約をもぎ取っていたのだが、そのメグミンが訪問販売を止めたことで、販売先から次々に契約を打ち切られていったのだった。
(やはりバカンに売り子をやらせたのは間違いだったか……。あやつを可愛いと思うのは親だけだったということか……)
俺の予想以上に、売り子による営業成績による上げ下げがあるようだった。ブル乳を届けるだけなら男がやろうと魔道人形(ゴーレム)がやろうと誰がやろうと変わりないと俺は思うのだが、世間一般的にはそうではないらしい。
触れもしねえ女なんか意味なくて男と変わりねえと思うんだがな。そういう目的なら娼館にでも行った方がいいと思うんだがな。だが見てるだけでも満足な男ってのは、世間に案外多いらしい。
世の中ってのはよくわからんな。カタギの商売は難しいぜ。
(しょうがない。負債が膨らむ前に、こんな牧場、とっとと売り払うことにしよう)
元々牧場の経営なんて利益率が低い商売だ。牧場の維持管理に莫大な固定費がかかりやがる。キリのいいところで潰すつもりだった。ここらへんが潮時だと思った。
(牧場を売った金を元手に新しい商売でも始めるか。でも牧場売った金だけじゃ全然足りねえな)
新しい商売を色々と考えてみるものの、どの商売も初期の運転資金が足りなさそうだった。
(誰か金持ちいねえかな。金貸してくれそうなの)
新しい商売の軍資金を得るため、俺は借金をすることにした。
借金といっても返す必要はねえ。金を借りた奴をスキルで支配して「自殺しろ」って命令をすれば、そのまま借金踏み倒せるからな。裏商売をやっていた時に何度似たようなことをしたことか。
ただ、肝心の金貸してくれそうな奴がなかなか見つからなかった。
金持ちは警戒心が強い。常に護衛や参謀などが傍にいて、スキルを行使する暇もなかった。スキルで支配するのが中々難しかった。裏家業をやっていた時は仲間の助けがあってやれてたが、俺一人じゃ難しかった。
「パパ、近所に住んでるお客ざんが金貸じでぐれるっで! ゴルゴン金貨でも何でも貸じでぐれるっで! 会ってぐれるっで!」
「本当か? でかしたぞバカン!」
中々目当ての奴が見つからなかったのだが、ようやく見つけることができた。
そいつは訪問販売するブル乳をたまに買ってくれるという近所の奴だった。バカンが訪問販売員となったことでほとんど契約を打ち切られたのだが、その家だけはいまだに買ってくれているらしい。
あんな息子が売るブル乳を買ってくれるなんて、相当なお人よしに違いない。こりゃ騙すのは楽勝だな。
「どんな奴だ?」
「ヨビボざんっでいう、冒険者の人! 鉄の人!」
「ヨビボ? 変わった名前だな」
「う゛ん! ヨジドざん!」
「名前変わってんぞ。ヨビボなのかヨジドなのかどっちだよ」
「ヨギボざん!」
「駄目だこりゃ」
後々調べた結果、その件の人物は農業地区に住んでるヨミトという名の冒険者らしかった。
まだ鉄等級って話だから、大したことはないだろう。素人同然であるデック野郎に毛が生えたレベルだ。冒険者ではないが鋼等級の実力はあるって言われた俺様の敵じゃねえ。
(まあザコでも王都で冒険者やってるからにゃ、それなりに金持ってんだろ。全部頂いていくか。うへへ)
そうして、俺は息子と一緒にそのヨミトって奴に会いに行くことにしたのだった。
まあ子供と言っても身体は大人だがな。オツムにいくはずの栄養が全部身体にいってるんじゃねえかってくらいだからな、ウチの馬鹿息子はよ。
「メグミンだんどこ~?」
「メグミンは外回りの営業だよ」
「メグミンだんいないど、僕ちんやだ! やだやだ!」
「困ったなぁ」
次第に、バカンはメグミンが近くにいないと駄々を捏ねるようになった。バカンは暴れると俺でも手がつけられないので、非常に困った。
前にスキル【血盟】でバカンを支配しようとしたことがあったが失敗した。バッドスキル【豚化】は容姿を醜くし知力を失わせる一方で、腕力や生命力を異常なほど強める効果があるらしく、それで支配し切れなかったのだ。
(バカンに暴れられちゃ困るな……)
仕方がないので、メグミンには家畜とバカンの世話と家仕事だけをやらせることにした。そうして家で軟禁することにした。
「パパ~。メグミンだんを農奴の友達にも貸じでいい?」
「え?」
「楽じい゛ごどはぁ、友達と一緒にやっだ方が、もっど面白ぐなるど?」
「そ、そうかな?」
バカンは食い物を分け与えるような感覚で、農奴にもメグミンを貸し与えようとした。
農奴にメグミンほどの女を宛がうなど勿体ないと思ったが、バカンがどうしてもというので、俺はそれを許すことにした。
(まあいいか。バカンの嫁だ。バカンの好きにさせればいいか。バカンは友達思いのいい子だな)
あの女に瓜二つのメグミンが農奴共に汚されていく様を見るのは複雑な心境だったが、メグミンを宛がったことで農奴連中のやる気はかなり上がったので、経営者としては悪くない判断だった。
あのアキとかいう少年だけは不能なのでやれていなかったがな。
哀れなもんだぜ。あいつよりも年下の奴隷のガキがやりまくってるっていうのに、あいつだけやれてないんだからな。
「ぬぅ。また契約を打ち切られたのか」
「パパ、ごめんなばい」
「仕方ないな。世知辛い世の中だぜ」
メグミンを家で半ば軟禁状態に置いておくと、牧場の経営が急激に悪化していった。
農奴たちのやる気はうなぎ上りで生産面はすこぶる好調なのに、営業面が全然駄目だったのだ。
理由は明確だった。メグミンが売り子となって家々を回り、定期的な販売契約をもぎ取っていたのだが、そのメグミンが訪問販売を止めたことで、販売先から次々に契約を打ち切られていったのだった。
(やはりバカンに売り子をやらせたのは間違いだったか……。あやつを可愛いと思うのは親だけだったということか……)
俺の予想以上に、売り子による営業成績による上げ下げがあるようだった。ブル乳を届けるだけなら男がやろうと魔道人形(ゴーレム)がやろうと誰がやろうと変わりないと俺は思うのだが、世間一般的にはそうではないらしい。
触れもしねえ女なんか意味なくて男と変わりねえと思うんだがな。そういう目的なら娼館にでも行った方がいいと思うんだがな。だが見てるだけでも満足な男ってのは、世間に案外多いらしい。
世の中ってのはよくわからんな。カタギの商売は難しいぜ。
(しょうがない。負債が膨らむ前に、こんな牧場、とっとと売り払うことにしよう)
元々牧場の経営なんて利益率が低い商売だ。牧場の維持管理に莫大な固定費がかかりやがる。キリのいいところで潰すつもりだった。ここらへんが潮時だと思った。
(牧場を売った金を元手に新しい商売でも始めるか。でも牧場売った金だけじゃ全然足りねえな)
新しい商売を色々と考えてみるものの、どの商売も初期の運転資金が足りなさそうだった。
(誰か金持ちいねえかな。金貸してくれそうなの)
新しい商売の軍資金を得るため、俺は借金をすることにした。
借金といっても返す必要はねえ。金を借りた奴をスキルで支配して「自殺しろ」って命令をすれば、そのまま借金踏み倒せるからな。裏商売をやっていた時に何度似たようなことをしたことか。
ただ、肝心の金貸してくれそうな奴がなかなか見つからなかった。
金持ちは警戒心が強い。常に護衛や参謀などが傍にいて、スキルを行使する暇もなかった。スキルで支配するのが中々難しかった。裏家業をやっていた時は仲間の助けがあってやれてたが、俺一人じゃ難しかった。
「パパ、近所に住んでるお客ざんが金貸じでぐれるっで! ゴルゴン金貨でも何でも貸じでぐれるっで! 会ってぐれるっで!」
「本当か? でかしたぞバカン!」
中々目当ての奴が見つからなかったのだが、ようやく見つけることができた。
そいつは訪問販売するブル乳をたまに買ってくれるという近所の奴だった。バカンが訪問販売員となったことでほとんど契約を打ち切られたのだが、その家だけはいまだに買ってくれているらしい。
あんな息子が売るブル乳を買ってくれるなんて、相当なお人よしに違いない。こりゃ騙すのは楽勝だな。
「どんな奴だ?」
「ヨビボざんっでいう、冒険者の人! 鉄の人!」
「ヨビボ? 変わった名前だな」
「う゛ん! ヨジドざん!」
「名前変わってんぞ。ヨビボなのかヨジドなのかどっちだよ」
「ヨギボざん!」
「駄目だこりゃ」
後々調べた結果、その件の人物は農業地区に住んでるヨミトという名の冒険者らしかった。
まだ鉄等級って話だから、大したことはないだろう。素人同然であるデック野郎に毛が生えたレベルだ。冒険者ではないが鋼等級の実力はあるって言われた俺様の敵じゃねえ。
(まあザコでも王都で冒険者やってるからにゃ、それなりに金持ってんだろ。全部頂いていくか。うへへ)
そうして、俺は息子と一緒にそのヨミトって奴に会いに行くことにしたのだった。
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