吸血鬼のお宿~異世界転生して吸血鬼のダンジョンマスターになった男が宿屋運営する話~

夜光虫

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六章

港町イティーバ6/19(聞き込み)

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「ふぅわ、よく寝たな。今日も朝から快調だな」

 夜明け頃に目覚める。チームメンバーの誰よりも早起きである。

 昨晩娼館を五件も梯子したせいで数時間しか寝てないというのに、寝不足感はまるでない。体力は完全に回復している。元々の肉体のスペックが高い上に、スキル【睡眠】の効果もあるからね。

 チートな身体は素晴らしいな。毎日だって夜更かしして働けるよ。

「何だアンタ早いな。飯はまだだぜ」
「ああ違いますよ。散歩に行こうかと思ってね」
「そうかよ。気をつけてな」

 宿一階の調理場で朝飯の支度をしていた親父と挨拶を交わし、それから散歩に出かけていく。

「おぉ、夜の港もよかったけど、朝の港も風情があっていいな」

 夜明け前後の時間帯。他の町だと活動している人はまだ少ない時間帯だが、ここは港町だけあって働いている人が大勢いる。

 夜間漁に出かけていた漁船が帰ってきたのだろう。荷降ろししているだろう辺りで、カモメみたいな鳥が喧しく群れていた。

 そんな朝の港町の光景を楽しみつつ、周辺を散策していく。通行人は誰もかもが町の住人と思われる人ばかりだった。観光客は見当たらない。

「どうだ?」
「駄目だな。やっぱりもっと沖の方まで出ないと駄目かもな。日に日に漁獲が減ってる気がするぜ」
「となるともう武装船の護衛付き以外はやってけねえな。魔物も海賊も帝国も怖いしな」
「あぁ残念だが廃業も考えないとな」

 港近くの小屋で漁師と思われる人々が煙草を吸いながら屯している。

 話を盗み聞きするに、湾内で魚が獲れなくなっているらしい。だからもっと沖の方まで出て行かないといけない、みたいな話をしていた。誰も彼も景気の悪い面をしている。

(そういや宿の親父や娼婦の話でも不漁の話題が出てたっけな。ギルドで粗方の情報は仕入れたが、専門家に聞いた方が確かなことがわかるな)

 せっかくなので漁師たちに話を聞くことにした。散歩ついでに情報収集しておこう。

「不漁って聞きましたが、何が不漁の原因なんです?」
「んあ? アンタ、余所者か?」
「ええ冒険者です。不漁騒ぎと海賊騒ぎの件で王都から派遣されてきまして」
「そうか。わざわざ王都からとはご苦労なこったな」

 初めは見知らぬ俺に訝しげな視線を浴びせてくる漁師たちであったが、身分を明かすと安心したのか態度から棘が取れていく。

「王都の冒険者ってことは優秀なんだろ? 期待してるぜ。この町の居つきの冒険者は無能ばっかでよ。もうお手上げで、不漁調査も海賊調査も受けやがらねえんだ」
「おいそう悪く言うなよ。あいつらだって頑張ってくれてたんだ」
「騎士団も役に立たねえしよ」
「おいお上に滅多なこと言うもんじゃねえ」

 漁師たちはこの町に拠点を張っている冒険者や騎士への愚痴を零す。

 一向に状況が改善しないとなれば、愚痴の一つも言いたくなるもんだろう。

「ともかく、話を聞かせてくれますか? まずは不漁についてお願いします」
「ああわかった」

 わいわいと騒ぐ漁師たちから話を聞いていく。

「不漁はここ五年くらいの話だ。毎年徐々に漁獲量が減っている。前は湾内でもわんさか獲れたのに今じゃさっぱりなんだ。相当沖にまで出なきゃなんなくなった。特に今年は最悪だ」

 リーダー格の漁師がイティーバにおける現状を説明してくれる。ここらへんはギルドで聞いた話と同じだな。

「その理由は? 水温とか環境の影響ですか?」
「それが理由がさっぱりなんだ。水温とかは例年と変わりねえはずだ。海流とかも影響ねえはず。なのに獲れなくなった。町の連中は海神様の祟りだとか、帝国の連中が未知の毒を撒いたとか、海の魔物が異常繁殖してる前触れだとか、好き勝手に噂してる」
「帝国が毒を撒いたってのは本当ですか?」
「まさか。こんな広い海に毒物を撒いたって効き目ねえよ。まあ毎日大量の毒でも撒いてりゃ別だが、そんなことをしてる連中なんていねえよ。住人の目もあるし、この町の警備兵もそこまで無能じゃねえからそんなのがいたらとっくに逮捕されてらぁ」

 漁師は帝国が毒を撒いたという説を否定する。そんな奴がいれば自分らが即座にとっちめるとのことだ。まあ尤もな話だな。

「なるほど。魔物が異常繁殖しているという噂は?」
「それもねえと思うぜ。役人も警戒してギルドを通じて人を送ったが、近隣の無人島に魔物が生息している気配はなかったようだぜ。流石に海の中までは調べてねえらしいがな」

 不漁となれば海の魔物による影響も疑われるが、その気配はないのだと言う。

(漁師に聞いても不漁の原因はわからずか。まあそうだろうな。じゃなきゃギルドに依頼なんてこないよな)

 漁師から直接話を聞いたが、詳しいことはわからずじまいだ。昨日ギルドに顔を出した際に聞いた情報や宿屋の店主、それから娼婦の話で聞いたものと大差ないものだった。

「では海賊騒ぎの方の話を詳しく聞かせてくれますか?」
「ああ。海賊騒ぎはここ数年のことだ。三年ほど前から沖に出た船が行方不明になる事件が度々起こるようになったんだ」

 行方不明になる船が多発か。ん、ちょっと待てよ。

「行方不明なのに何故海賊の仕業だってわかるんです? 遭難事故や魔物に沈められた可能性もあるでしょう?」
「遭難事故は毎年のように起こってるが、それでも近年の遭難発生件数は異常だ。何かしらの異常事態が起こってると見て間違いねえ。となると原因は魔物か賊しかねえ。魔物はさっきの不漁の件でも言ったように大繁殖してる気配がねえんだ。増えていたら海に出た船乗りからもっと目撃報告があるはずだ。海の魔物の目撃数は例年よりも減ってるくらいだぜ」
「なるほど。証拠はないけど、消去法で考えていくと海賊の仕業ってことですか」
「ああ。それに加えてだ。身包み剥がされて空っぽになった船が岸に何度か流れ着いたことがあったからな。武器や生活物資はともかく、金まで根こそぎ奪われてた。魔物が人間の金なんて奪うはずねえ。犯人は人間に違いねえよ」

 船の遭難事故が多発しており、背景には人為的なものが感じられるらしい。となると、海賊の仕業と考えるのは妥当だな。

「海賊を直接見た者は一人もいないのですか?」
「ああいねえんだ。だから不気味でよ。海神様の祟りだとか神隠しだとか、不漁も遭難もそれが原因だって言う奴らが出てるんだ」
「誰も見たことがないということは、被害に遭った連中は悉く帰還してないということですか?」
「そういうことだな。だから最近じゃ恐ろしくて海の商売をやめる奴らが増えてる。俺らもそろそろそんな感じのことを考えてんだ。今でも昔と変わらずやれてるのは武装船を持ってる大手の奴らだけだよ。沖に出れるからな」
「なるほど」

 港町イティーバの現状は思ったよりも深刻なようだ。

 昨日最後に行ったエロパブで娼婦同士がギスギスして雰囲気が悪かったのは、そういうことも影響しているのかもしれない。町全体の空気が悪くなれば、裏の商売をやってる人たちにもその影響は出てくるだろう。

「海賊は常に海にいるわけじゃないですよね。どこか陸地に根城があると思うのですが、目星はついているのですか?」
「この町に怪しい奴らはいねえ。いたらすぐにわかる。としたら“九頭竜島”のどこかしかねえな」
「九頭竜島?」
「ああ。このイティーバの港から沖に出たとこすぐには、九つの無人島がある。まとめて九頭竜島って言うんだ。干潮時には陸続きになるからな」

 イティーバの港町の沖には九頭竜島という無人島があるらしい。

「その九つの島のどれかってことですか? それなら話は早いでしょう。虱潰しに島を捜索すればいいだけのことじゃないですか?」
「当然もうやってるよ。例の不漁の調査の件で魔物の異常繁殖がないかどうか調べるために、全部の島に人の手は入ってる。でも海賊が根城にしてる痕跡はなかったようだぜ」
「え、それは本当ですか?」
「ああ。だから気味が悪いってんだ。海神様の祟りじゃねえかって、さほど信心深くない俺でも最近はそういう風に思えてきたよ」

 沖にあるその無人島が怪しいが海賊が根城にしている痕跡はなかったようだ。

 そうだとすれば、船の遭難が神隠しと言われるのもわかる気がするな。

「そうですか情報ありがとう。これで煙草でも買って皆で分けてください」

 粗方情報を聞き終えるといい時間になった。そろそろ朝ご飯が出来てる時間だと思ったので、話をしてくれた漁師たちに情報料としてチップを渡してその場を去る。

「おお、1シルもくれるのか!」
「流石王都の冒険者様は気前がいいぜ!」
「大将、頼むぜ! どうかこの町を救ってくれ!」

 たかがチップでここまで大騒ぎしてくれるとはな。まあそれだけ苦労しているということなのだろう。

「ただいま」

 俺は散歩から戻ると、朝食の席で得た情報の共有を行うことにした。港町であるというのに魚介類がほとんどない寂しい朝食を食べつつ情報を伝える。

「ヨミトさん、やっぱり面倒そうな仕事じゃないですか……。九つの島を総ざらいするなんてどれだけの経費がかかるか……」
「九つの島っていっても、干潮時には地続きになってる島らしいから大丈夫さ。それほど大きい島じゃないし、二週間くらい島に留まって調査すればいけると思うよ」
「二週間ですか……。それで成果なしだったら大損害ですよ。町の人には申し訳ないですが、今すぐにでも辞退した方がいいですよ……」

 心配性なパープルが後ろ向きなことを言う。他の皆は黙って聞いている。

「話聞いてたけど、いまいちわからねえ。海賊騒ぎは神の仕業か人間の仕業か魔物の仕業か、結局のところ何が有力なんだよ?」

 メリッサが気だるそうにしながら言う。相変わらず彼女は朝弱いね。

「まあ神ではないでしょ。となると人間か魔物だけど、人間の可能性が高いだろうね。流れ着いた遭難船の中の金目のものまで奪われてるとなるとね」
「遭難船を最初に見つけた人が金目のものを持ち去っただけなのでは?」
「その可能性もあるけど、沖に流れてる舟を警備兵が最初に見つけて乗り込んだ例でもそうだったというから、やはり人為的なものを感じるよ」

 俺の言葉に、ライトが反応し、俺は補足して説明を加えた。

「では人間の仕業、ということなのでしょうか?」
「無人島に巧妙に隠れ家を築き、これだけ大規模で影響力があるとなると、海賊にしては……やはり裏には帝国がいるのでしょうか?」
「まあそう決めつけるのは早いけどね。人間の可能性が高いというだけで、高度な知能を持った魔物という線も考えられる。スキルや魔道具とかで正体を擬態して人間社会に適応している可能性もあるし……」

 セインとハヤの言葉に、俺は答える。

 憶測だけで帝国の仕業と決め付けるのは早いだろう。俺みたいな存在の可能性もある。敵がダンジョンマスターだったら油断ならないな。

「もし高度な知能を持った魔物が相手だったら大変じゃないですか! 鋼等級の仕事じゃありませんよ! やっぱり今すぐやめた方がいいですって!」
「まあまあそうと決まったわけじゃないし」
「もし恐ろしい金銀級の悪魔とかが相手だったらどうするんですか! 鋼等級の僕らじゃ絶対に勝てませんよ! 国を挙げて対処する事態です! 騎士団が出張った上、国内の優秀な冒険者を募って対処する事態ですよ!」
「悪魔が相手だったらどうしよっかねぇ」
「僕の話をちゃんと真面目に聞いてください!」
「聞いてまーす」
「聞いてないでしょ!」

 恐ろしい悪魔が敵の可能性があると聞いて、パープルが騒ぎ出す。

 彼の目の前にいる男(俺)とその隣で呑気に飯を食っている女(エリザ)が実はその恐ろしい悪魔だなんて、パープルは知る由もあるまい。

「でも海賊騒ぎの原因も不明で、不漁の原因もわからないなんてどうなってるんですかねえ。両者に因果関係はあるんですか?」

 話を聞いてじっと考え込んでいたレイラが口を開く。

「わからない。それをこれから調査するんだよ」
「この地の冒険者が数年がかりで調査してるのを調べ直すなんて大変そうですね。まあその分やりがいありますけど。ねえノビル?」
「だな。日々の修行の成果を見せるいい機会だ」
「はぁ、皆さんがやる気なら僕も腹くくりますよ!」

 俺の言葉に、レイラがやる気を見せ、ノビルも同意する。パープルもようやく覚悟を決めたようで愚痴を言うのをやめた。

「そんじゃ飯を食ったら三手に分かれて仕事を始めよう。エリザ、パープル、メリッサの三人は過去にこの件を調査した連中と接触して、もっと情報を集めてくれ。俺、レイラ、ノビルは海上での捜索に協力してくれそうな船を出してくれそうな連中を探す。ライト、セイン、ハヤはこの宿に待機して、エリザと俺の班の中継をしつつ、手の届く範囲で聞き込みをしてくれ」
「「「わかりました」」」

 俺たちは朝食を食い終わると、早速仕事に取りかかっていったのであった。
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