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第六章
第194話 ガサツ系女子は恥じらわない
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ルシファーがローザリアとイカサマ合戦を繰り広げていた頃の、綿環高校グラウンドでは。
「大地ー! ボール行ったぞー!」
「よっしゃー! くらえ必殺シューーーーート!!!」
純一の上げたボールを大地は空中で拾い、そこそこのパワーとそこそこのコントロールを兼ね備えた何の変哲もない普通のシュートが無人のゴールに突き刺さる。これはあくまでシュート練習だ。
「何が必殺シュートだ。真面目にやれ」
「気合いだよ気合い。なんか叫んだ方がいいシュート打てるかなって」
いつものようにアホな掛け合いをしていると、二人は体育倉庫の方から菊花がこちらに走ってくるのを見た。
「おーい、風間ー、山本ー。美裕ちゃん見なかった?」
「いや? 見てないけど」
「俺も」
「そっか。部室も体育倉庫も探したけど見つかんなかったんだよね」
「そういやさっきから良悟もいないな」
「男女が揃っていなくなったとなると、もしやキューピッドの仕業?」
「でもあいつらもう付き合ってんだろ?」
「もう付き合ってる二人が呼ばれるケースもあるみたいだよ。百合音もそうだったって」
「なあ、そのキューピッドって、本当に実在してるのか?」
純一が尋ねると、大地と菊花は同時に頷いた。
二人はごく当たり前にキューピッドの実在を前提とした会話を繰り広げており、キューピッド未経験者の純一はそれに戸惑っていたのである。
そしてキューピッドの話が出て、大地にはふと思うことが。
(しっかし、どうしてキューピッドは純一と桃井を呼び出さないんだろうな。傍から見させられてる立場としちゃ、いい加減どうにかしてやって欲しいんだけどな)
大地がそう心配している宏美は、テニスコートにて。
「宏美ー! ボール行ったよー!」
ネットを挟んでのリターン練習。美奈の打ったボールを、宏美は微動だにせずスルー。美奈は虚しく後ろに転がっていったボールを目で追った後、浮かない顔して俯いた宏美に駆け寄った。
「どうしたの宏美、そんなぼさっとして」
「あ、うん。ごめん、ちょっと考え事してて……」
「さっきの風間に言われたこと? あいつ本っ当無神経。ちょっと部室来なよ。相談乗るよ?」
「うん、ありがとう」
酷く集中を欠いているのは見て明らか。その原因について美奈の予想は当たっていたようで、宏美は嬉しさと申し訳なさが入り混じったように眉を下げながら微笑んだ。
それは今日の昼過ぎ、文化祭準備の時間でのことだ。
この日美奈はリリム、宏美は凛華に文化祭衣装を作ってもらっていた。
衣装を受け取った二人は空き教室で試着し、先に着替えを終えた美奈が今丁度教室に戻ってきたところだ。
「じゃーん! どう? この衣装」
勢いよく扉を開けた美奈が身に纏うのは、自慢のGカップを見せつけるようにデコルテを大胆に露出したデザインのメイド服。しかもボトムスは肉付きの良い太腿を惜しげもなく見せつける超ミニ丈のスカートだ。抜群のスタイルと露出度の高さが相まってかなり破壊力の高いセクシーメイドに仕上がっているが、彼女の元気溌剌としたキャラクターのおかげで爽やかな印象になりあまりいやらしさは感じさせない。こういう所も計算されたリリムの手腕である。
ちなみに今日これを試着することを知っていたので、ブラは肩紐無しのものを前もって着けてきていた。
「おーっ! 最高だぜ美奈! ナイスバディ! 地上に舞い降りた女神!」
「ちょ、褒めすぎー!」
大地が腕を振り上げ囃し立てると、美奈は照れ笑い。教室内はどっと笑いに包まれた。
「てか肌出しすぎじゃない?」
「えー? あたしはいいと思うけど」
麗が尋ねると、美奈は顔を下に向けて思いっきり出している自分の胸の谷間を見下ろした。
そもそも美奈は「胸の谷間と太腿は見せるもの」なファッションセンスの持ち主。肌の露出が多い服装への抵抗感が薄くむしろ好んで着ており、私服はタンクトップやミニスカート、ホットパンツ等を愛用。制服でも胸元緩めていることが多く、スカートもこのクラスではリリムに次いで短くしており男子にパンチラを拝ませてくれる頻度もリリムに次いで多い。
尤も彼女の場合リリムと違って下着を見られるのは恥ずかしいことで、下着は人に見られるべきでないものという意識は持っている。しかしそれよりも脚を出すファッションを好きな気持ちが勝っており、パンツを見られることは冬の寒さと同列に置いて「オシャレは我慢」の範疇に入れているのである。
「そうそう、これでもボク的には相当露出抑えた方なんだからねー。元々のデザインではもっとぼーんとギリギリまでおっぱい出してたし」
「流石にそれはあたしでもハズいわ!」
リリムの見せたノートに描かれたデザイン画は、普段リリムが好んでする類いの過激エロコス。自分の平たい胸ではやりにくいデザインを、ここぞとばかりに出してきたものである。
「黒羽先生ー、もしかしてあたしのこの衣装アウトだったりします?」
「うーん、まあ須崎さん個人が良いと思っているのなら良いのではないでしょうか。万が一怒られるようなことがあれば代わりに私が怒られておきますよ。皆さんが自分の好きなように文化祭を楽しめるのが一番ですので」
「やった! さっすが黒セン! あ、宏美来た」
足音に気付いた美奈がそう言うと、直後に背後の扉が開いた。
頬を染め口をへの字にしながら教室に入ってきた宏美が纏う衣装は、メイド喫茶風の王道メイド服に猫耳と猫尻尾を追加した猫メイド。エプロンの端には猫の肉球マーク付き。スカート丈は美奈ほどではないが短い方だ。
「おおー! いいじゃん!」
「そ、そう?」
「可愛い可愛い!」
美奈が手を叩いて囃すと宏美は照れて強張った顔のまま、純一の方を向いた。その純一は宏美のメイド姿に何か言うでもなく、ただ真顔で宏美を見ている。
「純一ー、宏美のメイド姿どう?」
「ん、ああ、馬子にも衣裳って感じだな」
純一の無神経な発言を聞いた途端、宏美と美奈から同時に「は?」の声が出た。
風間純一はサッカー部員のイケメンで、宏美の想い人である。二年B組男子の顔面偏差値ランキング上位陣の中では、チャラ男の茂徳を除いて唯一ルシファーの紋章を刻まれていない生徒。それ故にルナティエル一派からハーレムの主候補としてターゲットにされていた。
宏美は割とわかりやすく彼に好意を示しており美奈もその成就のためにフォローしているのだが、純一はこんな風に異常なくらいの鈍感発言を繰り返しており恋の進展は無し。宏美は宏美でそれに苛つき暴力や暴言で返してしまうため、ますます進展から遠のいていた。
美奈は宏美を連れて女子テニス部の部室に入ると、まず扇風機を最高風量で回し休憩用のベンチに腰を下ろした。
既に九月も終わり際に来ているが、それでもまだまだ気温は高く閉め切った部室には嫌でも熱が籠もる。
「あっづ~」
そう言うや否や、美奈はテニスウェアを脱ぎ、そればかりかスポーツブラまで豪快に脱ぎ捨てた。彼氏に揉まれて更に育ったGカップの胸がばるんと揺れる。その上でスカートを両手で掴み、扇風機の方を向いて扇ぎ下半身に風を送った。いくら男子禁制の女子更衣室とはいえ、そのだらしない様子に宏美は苦笑い。
とはいえ自分も熱いし汗も拭きたいので、とりあえず一枚脱いでスポブラ姿となった。
「あんた、大地の前でもそういうこと平気でしてるわけ?」
「してるよ?」
「恥じらいどこ行った」
「もう尻の穴まで見せてる彼氏相手に恥じらいも何も無いでしょ」
「付き合って三ヶ月でもうそんな熟年夫婦みたいな……」
あっけらかんとした美奈の言い方に、宏美は顔を引き攣らせる。
トップレスの美奈は胸の谷間の汗をタオルで拭いながら、若干照れ笑い。
「やー、でも大地は嫌がんないよこういうの。むしろなんか興奮してる」
「うん、まああいつのそういう話は散々聞かされたから知ってるけど」
「まあ、たまにこれで興奮するの? ってあたしでもドン引きすることあるけどね」
そもそも山本大地という男は、可愛い女子のケツ毛がボーボーだと興奮すると豪語するような、だらしのないエロスにそそられるオッサンじみた性癖の持ち主である。
そういう面でも、美奈とは大変好相性と言えるのだ。
「で、本題に入るけどさ。あん時の純一、あの言い方は流石に無いよねー」
「うん、正直傷付く。あいつ猫好きだから恥を忍んで猫耳まで付けたのにさー」
「あいつ頭いい癖にああいう状況ではどうしてああなるかねー」
「ホント鈍感っていうか空気読めないっていうか……その点大地はバカっぽく見える割に結構空気読めてていいよね」
「あいつ何だかんだであたしを喜ばそうってことには真剣だからさー、そういうとこ好きになっちゃうんだ」
「隙あらば惚気る」
「先に大地褒めたのはそっちでしょ。んで、宏美が純一好きになったのって猫の話で意気投合したからだっけ」
「うん、うちのコロンの写真見せたら食いついてきて。そっから気付いたら好きになってた的な……」
コロンというのは宏美の飼い猫で、白毛のメスである。
「好きになったきっかけそんなに強くない割にはあんだけ鈍感ムーブかまされてムカついても冷めない辺り、結構マジ惚れしてるよね」
「顔が……タイプで」
「うん、顔は大事だよね」
大地も顔はそこそこ良い方。わかりやすくイケメンらしいイケメンというわけではないけれど、笑顔が素敵な少年漫画主人公系男子。
「ねえ美奈、あたし、文化祭で純一に告ろうと思う」
「おおっ、ついに!」
「もう照れ隠しで誤魔化したりしない。はっきりと気持ちを言葉にして伝える。いい加減あの鈍感バカにわからせてやらなきゃいけない。もう『え、何だって?』とか言わせない。ちゃんとした返事を貰うまで帰さない」
「その意気だよ宏美! どんとぶつかっていけー!」
気合を入れて応援せんと美奈が拳を高く突き上げると、その反動で胸がぽよんと跳ねた。
「いちいち乳揺らすな。てかそろそろ服着ろ」
宏美がどつくと、またしても胸がぽよんと。実によく弾む胸である。
「んじゃ、そろそろ練習戻ろっか」
美奈が濡れたままのスポブラとテニスウェアを着直していた、その時だった。
突然、宏美がピクンと何かに反応したように肩をすくめて背筋を伸ばした。
「どした宏美、虫でもいた?」
「……ごめん美奈、あたし帰る」
「え、そう? わかった、んじゃみんなにもそう伝えとくね」
突然の出来事に不思議に思った美奈であるが、今後の愛の告白に備えて何か思い立ったのだろうということは察せた。
「大地ー! ボール行ったぞー!」
「よっしゃー! くらえ必殺シューーーーート!!!」
純一の上げたボールを大地は空中で拾い、そこそこのパワーとそこそこのコントロールを兼ね備えた何の変哲もない普通のシュートが無人のゴールに突き刺さる。これはあくまでシュート練習だ。
「何が必殺シュートだ。真面目にやれ」
「気合いだよ気合い。なんか叫んだ方がいいシュート打てるかなって」
いつものようにアホな掛け合いをしていると、二人は体育倉庫の方から菊花がこちらに走ってくるのを見た。
「おーい、風間ー、山本ー。美裕ちゃん見なかった?」
「いや? 見てないけど」
「俺も」
「そっか。部室も体育倉庫も探したけど見つかんなかったんだよね」
「そういやさっきから良悟もいないな」
「男女が揃っていなくなったとなると、もしやキューピッドの仕業?」
「でもあいつらもう付き合ってんだろ?」
「もう付き合ってる二人が呼ばれるケースもあるみたいだよ。百合音もそうだったって」
「なあ、そのキューピッドって、本当に実在してるのか?」
純一が尋ねると、大地と菊花は同時に頷いた。
二人はごく当たり前にキューピッドの実在を前提とした会話を繰り広げており、キューピッド未経験者の純一はそれに戸惑っていたのである。
そしてキューピッドの話が出て、大地にはふと思うことが。
(しっかし、どうしてキューピッドは純一と桃井を呼び出さないんだろうな。傍から見させられてる立場としちゃ、いい加減どうにかしてやって欲しいんだけどな)
大地がそう心配している宏美は、テニスコートにて。
「宏美ー! ボール行ったよー!」
ネットを挟んでのリターン練習。美奈の打ったボールを、宏美は微動だにせずスルー。美奈は虚しく後ろに転がっていったボールを目で追った後、浮かない顔して俯いた宏美に駆け寄った。
「どうしたの宏美、そんなぼさっとして」
「あ、うん。ごめん、ちょっと考え事してて……」
「さっきの風間に言われたこと? あいつ本っ当無神経。ちょっと部室来なよ。相談乗るよ?」
「うん、ありがとう」
酷く集中を欠いているのは見て明らか。その原因について美奈の予想は当たっていたようで、宏美は嬉しさと申し訳なさが入り混じったように眉を下げながら微笑んだ。
それは今日の昼過ぎ、文化祭準備の時間でのことだ。
この日美奈はリリム、宏美は凛華に文化祭衣装を作ってもらっていた。
衣装を受け取った二人は空き教室で試着し、先に着替えを終えた美奈が今丁度教室に戻ってきたところだ。
「じゃーん! どう? この衣装」
勢いよく扉を開けた美奈が身に纏うのは、自慢のGカップを見せつけるようにデコルテを大胆に露出したデザインのメイド服。しかもボトムスは肉付きの良い太腿を惜しげもなく見せつける超ミニ丈のスカートだ。抜群のスタイルと露出度の高さが相まってかなり破壊力の高いセクシーメイドに仕上がっているが、彼女の元気溌剌としたキャラクターのおかげで爽やかな印象になりあまりいやらしさは感じさせない。こういう所も計算されたリリムの手腕である。
ちなみに今日これを試着することを知っていたので、ブラは肩紐無しのものを前もって着けてきていた。
「おーっ! 最高だぜ美奈! ナイスバディ! 地上に舞い降りた女神!」
「ちょ、褒めすぎー!」
大地が腕を振り上げ囃し立てると、美奈は照れ笑い。教室内はどっと笑いに包まれた。
「てか肌出しすぎじゃない?」
「えー? あたしはいいと思うけど」
麗が尋ねると、美奈は顔を下に向けて思いっきり出している自分の胸の谷間を見下ろした。
そもそも美奈は「胸の谷間と太腿は見せるもの」なファッションセンスの持ち主。肌の露出が多い服装への抵抗感が薄くむしろ好んで着ており、私服はタンクトップやミニスカート、ホットパンツ等を愛用。制服でも胸元緩めていることが多く、スカートもこのクラスではリリムに次いで短くしており男子にパンチラを拝ませてくれる頻度もリリムに次いで多い。
尤も彼女の場合リリムと違って下着を見られるのは恥ずかしいことで、下着は人に見られるべきでないものという意識は持っている。しかしそれよりも脚を出すファッションを好きな気持ちが勝っており、パンツを見られることは冬の寒さと同列に置いて「オシャレは我慢」の範疇に入れているのである。
「そうそう、これでもボク的には相当露出抑えた方なんだからねー。元々のデザインではもっとぼーんとギリギリまでおっぱい出してたし」
「流石にそれはあたしでもハズいわ!」
リリムの見せたノートに描かれたデザイン画は、普段リリムが好んでする類いの過激エロコス。自分の平たい胸ではやりにくいデザインを、ここぞとばかりに出してきたものである。
「黒羽先生ー、もしかしてあたしのこの衣装アウトだったりします?」
「うーん、まあ須崎さん個人が良いと思っているのなら良いのではないでしょうか。万が一怒られるようなことがあれば代わりに私が怒られておきますよ。皆さんが自分の好きなように文化祭を楽しめるのが一番ですので」
「やった! さっすが黒セン! あ、宏美来た」
足音に気付いた美奈がそう言うと、直後に背後の扉が開いた。
頬を染め口をへの字にしながら教室に入ってきた宏美が纏う衣装は、メイド喫茶風の王道メイド服に猫耳と猫尻尾を追加した猫メイド。エプロンの端には猫の肉球マーク付き。スカート丈は美奈ほどではないが短い方だ。
「おおー! いいじゃん!」
「そ、そう?」
「可愛い可愛い!」
美奈が手を叩いて囃すと宏美は照れて強張った顔のまま、純一の方を向いた。その純一は宏美のメイド姿に何か言うでもなく、ただ真顔で宏美を見ている。
「純一ー、宏美のメイド姿どう?」
「ん、ああ、馬子にも衣裳って感じだな」
純一の無神経な発言を聞いた途端、宏美と美奈から同時に「は?」の声が出た。
風間純一はサッカー部員のイケメンで、宏美の想い人である。二年B組男子の顔面偏差値ランキング上位陣の中では、チャラ男の茂徳を除いて唯一ルシファーの紋章を刻まれていない生徒。それ故にルナティエル一派からハーレムの主候補としてターゲットにされていた。
宏美は割とわかりやすく彼に好意を示しており美奈もその成就のためにフォローしているのだが、純一はこんな風に異常なくらいの鈍感発言を繰り返しており恋の進展は無し。宏美は宏美でそれに苛つき暴力や暴言で返してしまうため、ますます進展から遠のいていた。
美奈は宏美を連れて女子テニス部の部室に入ると、まず扇風機を最高風量で回し休憩用のベンチに腰を下ろした。
既に九月も終わり際に来ているが、それでもまだまだ気温は高く閉め切った部室には嫌でも熱が籠もる。
「あっづ~」
そう言うや否や、美奈はテニスウェアを脱ぎ、そればかりかスポーツブラまで豪快に脱ぎ捨てた。彼氏に揉まれて更に育ったGカップの胸がばるんと揺れる。その上でスカートを両手で掴み、扇風機の方を向いて扇ぎ下半身に風を送った。いくら男子禁制の女子更衣室とはいえ、そのだらしない様子に宏美は苦笑い。
とはいえ自分も熱いし汗も拭きたいので、とりあえず一枚脱いでスポブラ姿となった。
「あんた、大地の前でもそういうこと平気でしてるわけ?」
「してるよ?」
「恥じらいどこ行った」
「もう尻の穴まで見せてる彼氏相手に恥じらいも何も無いでしょ」
「付き合って三ヶ月でもうそんな熟年夫婦みたいな……」
あっけらかんとした美奈の言い方に、宏美は顔を引き攣らせる。
トップレスの美奈は胸の谷間の汗をタオルで拭いながら、若干照れ笑い。
「やー、でも大地は嫌がんないよこういうの。むしろなんか興奮してる」
「うん、まああいつのそういう話は散々聞かされたから知ってるけど」
「まあ、たまにこれで興奮するの? ってあたしでもドン引きすることあるけどね」
そもそも山本大地という男は、可愛い女子のケツ毛がボーボーだと興奮すると豪語するような、だらしのないエロスにそそられるオッサンじみた性癖の持ち主である。
そういう面でも、美奈とは大変好相性と言えるのだ。
「で、本題に入るけどさ。あん時の純一、あの言い方は流石に無いよねー」
「うん、正直傷付く。あいつ猫好きだから恥を忍んで猫耳まで付けたのにさー」
「あいつ頭いい癖にああいう状況ではどうしてああなるかねー」
「ホント鈍感っていうか空気読めないっていうか……その点大地はバカっぽく見える割に結構空気読めてていいよね」
「あいつ何だかんだであたしを喜ばそうってことには真剣だからさー、そういうとこ好きになっちゃうんだ」
「隙あらば惚気る」
「先に大地褒めたのはそっちでしょ。んで、宏美が純一好きになったのって猫の話で意気投合したからだっけ」
「うん、うちのコロンの写真見せたら食いついてきて。そっから気付いたら好きになってた的な……」
コロンというのは宏美の飼い猫で、白毛のメスである。
「好きになったきっかけそんなに強くない割にはあんだけ鈍感ムーブかまされてムカついても冷めない辺り、結構マジ惚れしてるよね」
「顔が……タイプで」
「うん、顔は大事だよね」
大地も顔はそこそこ良い方。わかりやすくイケメンらしいイケメンというわけではないけれど、笑顔が素敵な少年漫画主人公系男子。
「ねえ美奈、あたし、文化祭で純一に告ろうと思う」
「おおっ、ついに!」
「もう照れ隠しで誤魔化したりしない。はっきりと気持ちを言葉にして伝える。いい加減あの鈍感バカにわからせてやらなきゃいけない。もう『え、何だって?』とか言わせない。ちゃんとした返事を貰うまで帰さない」
「その意気だよ宏美! どんとぶつかっていけー!」
気合を入れて応援せんと美奈が拳を高く突き上げると、その反動で胸がぽよんと跳ねた。
「いちいち乳揺らすな。てかそろそろ服着ろ」
宏美がどつくと、またしても胸がぽよんと。実によく弾む胸である。
「んじゃ、そろそろ練習戻ろっか」
美奈が濡れたままのスポブラとテニスウェアを着直していた、その時だった。
突然、宏美がピクンと何かに反応したように肩をすくめて背筋を伸ばした。
「どした宏美、虫でもいた?」
「……ごめん美奈、あたし帰る」
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