熱視線

冴月希衣@商業BL販売中

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熱視線

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「んっ」
 直後、唇に落とされた灼熱。吐息を漏らしても、追いつめるように深く熱を送りこまれる。
「ふ、ぁっ」
 全身に回った熱で、身体の奥から溶かされていくような錯覚に陥っていく。

「やばっ。可愛すぎやん」
 涙でぼやけた視界の中、最後に下唇を軽く食んでから離れていく輪郭をとらえた。
「ごめんな。真音ちゃんが可愛すぎて……止まらんかった」
 にこっと笑いながら親指で涙を拭った相手の顔が、近づいてくる。動けない私の目尻にキスが落とされた。
「日直の仕事が残ってなかったら、ほんまにやばかったかも」
 本気なんか、冗談なんかわからんことをさらりと言う響也くんに、胸が疼く。ドキドキが止まらない。

 穏やかで優しい口調やのに、瞳の色が普段と全然違う。まるで、獲物に狙いを定めた鷹の目だ。
 もしかして、水球をしてる時の響也くんが、今ここにいる?
 普段の姿とのギャップがいいって思ってたけど、実は、ずっと目にしてたのかも。
 眼鏡越しに見てたのは、私のほうかも……。

「好き……響也くん、大好き」
「俺も大好き。ずっと見てたよ、真音ちゃんのこと。これからも、俺だけを見ててな」
「うん、もちろん!」
 私、あなたの全部が大好きです!







【了】


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