【薬師向けスキルで世界最強!】追放された闘神の息子は、戦闘能力マイナスのゴミスキル《植物王》を究極進化させて史上最強の英雄に成り上がる!

こはるんるん

文字の大きさ
16 / 67
3章。【神喰らう蛇】と対立

16話。4番隊隊長ギルバートに謝罪される

しおりを挟む
「ブハッ! 兄者。俺たちに喧嘩を売るとは、コイツ頭がイカれてやがるぜ!」

「Fランク冒険者とは、あなた正気ですか? 世間知らずもここまで来ると、哀れですね」

「ゴタクはいいから、かかってこい」

 【神喰らう蛇】のふたりが、俺の挑発に目の色を変えた。

「おもしれぇ。もう取り返しがつかねぇぞFランク野郎。頭をかち割ってやるぜ!」

「ぷっ! 最強Sランクギルドのメンバーと言っても、相手の実力も見抜けないようじゃ、三流もいいところね。大方、下っ端でしょ?」

 ミリアが噴き出している。

「なんだと、このメスガキ!?」

「おい、ミリア。余計なことを言うな。下がっていろ。リル、ミリアを守ってくれ」

 こいつらの矛先攻がミリアに向かってはマズいので、後ろに下がらせる。

「うん。任せて、あるじ様」

「はい、お兄様! 軽く捻っちゃって」

 リルがミリアの前に出て、庇う姿勢になる。これなら例え魔法が飛んでいっても大丈夫だろう。
 神獣であるリルは、魔法防御も化け物じみている。

「はっ! ソイツは、お前の妹か? ガキだが、いい女じゃねぇか。お前をボコったあと、たっぷりお前の妹で……」

 大男のふざけた口上を、俺は最後まで言わせなかった。
 【世界樹の剣】を一閃させ、男の武器を真っ二つにする。両断されたスレッジハンマーが、ゴトンと大きな音を立てて床に転がった。

「ミリアをどうするって? 最後まで言ってみろ」

 俺が【世界樹の剣】の切っ先を、男の喉元に突きつけると相手は押し黙った。

「なっ……!?」

「きゃあ! さすがはお兄様! 5年前より、ずっと剣の腕を上げているわ!」

「うん。リルも苦戦した。さすがは、あるじ様」

 ミリアとリルが褒めてくれるが、両断は【世界樹の剣】の攻撃力があったればこそだ。

 この剣は攻撃力が高すぎるので、スキル【植物王(ドルイドキング)】で、ワザと攻撃力の低い剣に変形させて使っていた。
 そうでなければ、衝撃波で相手まで真っ二つにしてしまいかねない。

「こ、この俺がまったく反応できなかっただと? まさか、こんなド田舎にこれ程の剣士が……?」

 大男はゴクリと喉を鳴らした。

「ふっふん! お兄様はね、あなたたちのボス、かの闘神ガインからも剣の腕を認められているのよ! 【神喰らう蛇】の隊長クラスでもない限り、相手になるものですか!」

「不愉快な小娘ですね。いささかハッタリが過ぎるというものですよ!」

 魔法使いの小男が、俺に向かって魔法を放つ。一発一発が致命的な威力を持つ火炎弾が、10発同時に発射された。
 避けたりしたら、ギルドの建物が壊れかねない。

「はぁあああ──ッ!」

 俺は【世界樹の剣】を連続で振って、火炎弾をすべて叩き斬った。火炎弾は消滅、霧散する。

「なっ!? すべて防いだ……?」

 魔法使いの小男は、目を見張った。

「す、すごい! まさに神域の剣技! さすがはアッシュ・ヴォルンド様!」

 受付嬢が歓声を上げた。
 神域の剣技なんて言われると、こそばゆいのだが。俺は剣聖の弟ゼノスに負けた訳だし……

 それに本来なら魔法を発動させる前に、魔法使いを完封できなくてはダメだ。相手の魔法詠唱速度が早くて、つい後手に回ってしまった。
 俺もまだまだだな。

「アッシュ!? アッシュ・ヴォルンド!? まさか、元【神喰らう蛇】一番隊隊長の!?」

「外れスキルを得て追放されたと聞いたが、め、めちゃくちゃ強えじゃねえか!?」

 【神喰らう蛇】のふたりは、顔面蒼白となった。
 だが、小男がさらなる魔法を使おうと小声で詠唱を開始したのを、俺は見逃さなかった。

「マヒクサよ!」

 俺はスキル【植物王(ドルイドキング)】で、魔法使いの男の背後に、麻痺効果を持つ毒草を出現させた。
 その草をさらにナイフ状に変形させて、男の肩を浅く斬る。

「ぐっ……!?」

 男は糸の切れた操り人形のようにその場に崩れ落ちた。

「兄者!? なんだ? 今のは……何をしやがった?」

 大男は訳がわからず、うろたえている。

「【植物召喚】と、【植物の武器化】の合わせ技だな。麻痺毒をその男に食らわせて、無力化させた」
 
 初めての試みだったが、うまくいった。
 剣士の俺にとって、遠距離攻撃の手段が持てるのはありがたいな。スキルは魔法と違って詠唱を必要としないので、機先を制すことができる。

「ま、まさかスキル攻撃だと? 戦闘向きじゃない外れスキルだと聞いていたが……」

「どうする。まだ、やるか?」

「わ、わかった! 俺たちの負けだ! だ、だから、その物騒なのをしまってくれよ」

 大男に泣きそうな目で懇願されて、俺は【世界樹の剣】を鞘に収めた。

「だから言ったじゃない。お兄様に勝とうなんて、身の程知らずも良いところだわ。
 それと地上げ屋みたいなマネをして、暴力を振るって。【銀翼の鷲】は、ずっとこの街の守り手だったのよ? こんなんじゃ【神喰らう蛇】のユーステルムでの活動許可は出せないわね」

 ミリアが腰に手を当てて、男を睨みつける。

「はぁ? なんだとこのガキ。一体、何の権利があって……」

「そのお方は、ユーステルムの領主ミリア様ですよ! 失礼なことをしたら、いくらあなたたちでも、タダではすみませんよ!」

 受付嬢が叫んだ。

「何っ!? 領主!? お兄様だと?」

「アッシュお兄様は、ユーステルム子爵家の養子となったの。お兄様に喧嘩を売るということは、ユーステルム子爵家に喧嘩を売るということ。ひいてはルシタニア王国に対する反逆だわ!」

 腕組みをするミリアに、大男は顎が外れそうなほど驚いていた。

「……い、いや、さすがにそれは。すみません。ミ、ミリア様にアッシュ様、お、俺たち……頭に血が上っていたみたいです」

 大男は慌てて平伏する。

「それじゃ、このギルドの修理代と、怪我をさせた冒険者たちの治療費、慰謝料を払ってもらうわよ?
 あなたたちの乱暴狼藉は、私がしっかりこの目で見させてもらったわ。罪を償わずに、この街で活動できるなんて、思わないことね」

「くぅっ……」

 ミリアに追求されて、男は二の句が継げなくなっている。必死に頭を回転させて、なんとか反論しようとしているようだった。

「し、しかし……俺たちはエリクサーを台無しにされた被害者……」

「イヤイヤ、これは申し訳ございませんでした。ミリア・ユーステルム様。それに、若。大変な行き違いがあったようで……なにとぞ、お許しください」

 その時、ギルドの入口から、にこやかな口調で入ってくる男がいた。
 三十代半ばほどの細見のその男は、【神喰らう蛇】の4番隊隊長ギルバート。俺の剣の師匠でもあった男だった。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様

コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」  ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。  幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。  早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると―― 「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」  やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。  一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、 「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」  悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。  なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?  でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。  というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!

【完結】魅了の魔法にかけられて全てを失った俺は、最強の魔法剣士になり時を巻き戻す

金峯蓮華
ファンタジー
戦に負け、国が滅び、俺ひとりだけ生き残った。愛する女を失い、俺は死に場所を求め、傭兵となり各地を漂っていた。そんな時、ある男に声をかけられた。 「よぉ、にいちゃん。お前、魅了魔法がかかってるぜ。それも強烈に強いヤツだ。解いてやろうか?」 魅了魔法? なんだそれは? その男との出会いが俺の人生を変えた。俺は時間をもどし、未来を変える。 R15は死のシーンがあるための保険です。 独自の異世界の物語です。

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

料理の上手さを見込まれてモフモフ聖獣に育てられた俺は、剣も魔法も使えず、一人ではドラゴンくらいしか倒せないのに、聖女や剣聖たちから溺愛される

向原 行人
ファンタジー
母を早くに亡くし、男だらけの五人兄弟で家事の全てを任されていた長男の俺は、気付いたら異世界に転生していた。 アルフレッドという名の子供になっていたのだが、山奥に一人ぼっち。 普通に考えて、親に捨てられ死を待つだけという、とんでもないハードモード転生だったのだが、偶然通りかかった人の言葉を話す聖獣――白虎が現れ、俺を育ててくれた。 白虎は食べ物の獲り方を教えてくれたので、俺は前世で培った家事の腕を振るい、調理という形で恩を返す。 そんな毎日が十数年続き、俺がもうすぐ十六歳になるという所で、白虎からそろそろ人間の社会で生きる様にと言われてしまった。 剣も魔法も使えない俺は、少しだけ使える聖獣の力と家事能力しか取り柄が無いので、とりあえず異世界の定番である冒険者を目指す事に。 だが、この世界では職業学校を卒業しないと冒険者になれないのだとか。 おまけに聖獣の力を人前で使うと、恐れられて嫌われる……と。 俺は聖獣の力を使わずに、冒険者となる事が出来るのだろうか。 ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

処理中です...