27 / 46
3章。魔王の領地奪還作戦
27話。エルザ、ミスリル鉱山を奪われて激怒する
しおりを挟む
【魔法剣士エルザ視点】
「きゃははははッ! もうこれは、笑いが止まらないね」
私は【魔法剣士】のエルザ、17歳。今、金貨で埋め尽くされた風呂に入って、年代物のワインを気分良くあおっていた。
「くぅううううッ! この芳醇な香りと喉越しが、たまんないね。これ一杯で、庶民の年収10年分だよ」
まさに笑いが止まらない。
旧魔王直轄領を占領して、ミスリル鉱山を手に入れたおかげで、湯水の如くお金が手に入るようになっていた。
今いるこの城は、かつての魔王の居城だ。さすがに内装設備が豪華で、とても気に入っている。
しかも私は聖王国から、男爵位がもらえることになっていた。
「は、はひぃいいい! ご主人様、ケーキをお持ちしましたにゃ!」
奴隷にした猫耳娘が、恐る恐るケーキを運んでくる。
とてもカワイイ娘だ。
私はこういう娘を支配してイジメるのが大好きだった。
「遅いぞ、お前! グスグスするな!」
「ぎゃにゃああああッ!?」
火の魔法をぶつけてやると、猫耳娘は変な悲鳴を上げた。
コレコレ。弱い者を痛ぶる時、私は自分の強大さを感じて、心がスカッとするんだ。
「まあ、いい。私は最高に気分が良いんだ。貴族の身分に加えて、勇者パーティへの推薦ってね」
聖王都からの使者は、私に爵位を与えるだけでなく、勇者パーティに推薦したいと告げた。
その肝心な勇者様は、まだ見つかっていないらしいけど……
魔王が現れ、聖王都は大騒ぎだそうだ。
それで、私の力が必要だとか。
へぇ~、おもしろいじゃん。
「勇者パーティに入って魔王を倒せば、莫大な恩賞が手に入る。その名誉も、金儲けに利用できるし。悪い話じゃないね」
私は自分の力に絶大な自信を持っている。
レアクラス【魔法剣士】を手に入れてからの私は、順風満帆だった。
前魔王の娘だとかいう吸血姫グリゼルダもまるで敵じゃなかった。
「前祝いといこうかな。よし、パーティの準備だ!」
「は、はぃいいい、エルザ様! わかりましたにゃ!」
楽しい気分にひたりながら、私は金貨風呂から上がる。
奴隷の猫耳娘が、服を用意して着せた。
その時だった。
「い、一大事です。エルザ様、げばぁああああッ!?」
いくつもの大きな悲鳴と、爆音が重なった。
ズッドォオオオオン!
城の壁を、巨大なモンスターが突き破って現れる。強烈な腐臭が、鼻を突いた。
「なっ!? コイツは、【ドラゴンゾンビ】!?」
骨が剥き出しになったドラゴンの成れの果てが、私を見下ろしていた。
さすがにゾッとする。
こんな化け物が、この土地にいたのか。
「エルザ、ミスリル鉱山はいただいたぞ。俺は魔王カイだ」
驚いたことに、ドラゴンゾンビが言葉を発した。
「俺はお前たちと仲良くなりたいと思っている。死んだお前たちとな。このドラゴンはお前のペットだったが、今じゃ俺の従順な下僕だ」
よく見れば、このドラゴンゾンビには見覚えがあった。切り札として飼い慣らしていたドラゴンじゃないか。
じゃあミスリル鉱山を任せていた【ドラゴンライダー】は死んだのか。
全身の血が逆流したかのような怒りが沸き上がった。
「お前、私のモノを奪ったな!? タダで死ねると思うなよ!」
私は剣を抜いて、灼熱の炎をまとわせる。剣技と魔法を掛け合わせた自慢の魔法剣だ。
私は奪われるのが大嫌いだ。
例え銅貨一枚だろうと、私から奪うヤツがいたら、そいつを八つ裂きにしても飽き足らない。
「奇遇だな。俺も同じ気持ちだ。お前は、俺の命とコレットを奪った。だから、俺はお前からすべてを奪う。これは、ほんのあいさつ代わりだ」
ドラゴンゾンビが、呪いにまみれたドス黒いブレスを放った
直感した。
最強の技で迎え撃たなければ、私は死ぬ。
「こんなものぉおおおおッ!【紅炎斬(こうえんざん)】!」
全身全霊の力を込めて、私は魔法剣を振り下ろしす。
「ぐぅううううッ!?」
両腕に軋むような衝撃が走る。
痛い。こんな激痛は初めてだ。両腕の骨が、嫌な音を立てて砕ける。
だけど、私の勝ちだ。
【紅炎斬】は漆黒のブレスを斬り裂いて、ドラゴンゾンビを焼き尽くした。
「その両腕には回復魔法を阻害する呪いをかけた。これで、もう魔法剣は使えないな。俺の奴隷にしてくださいと、泣いて懇願するなら命だけは助けてやるぞ」
嘲笑を響かせながら、ドラゴンゾンビは消し炭と化した。
「ちょ、調子に乗るな。負けた癖にぃいいいッ! おい、猫耳! エリクサーを持ってくるんだ。早くしろぉおおお!」
「は、はい! ただいまですにゃ!」
私は重傷を負った時に備えて、究極の霊薬エリクサーを購入していた。
どんな怪我や状態異常も、エリクサーなら全快できる。
ヤバい呪いをかけられたようだけど、これがあれば無効化できる。
「私を奴隷にするだって? 身の程知らずがぁあああッ!」
私は怒りに任せて、壁を蹴り飛ばした。壁に大きな穴が開く。
こんな屈辱は今までの人生で受けたことがない。
「あ、姉御!」
部下たちが、武器を手にして駆け付けてきた。
「お前たち、出撃だ! ミスリル鉱山を奪った魔王カイとやらをなぶり殺してやる!」
「えっ!? 今からですかい? 今の襲撃で、コッチもだいぶ殺られましたが……」
「魔王は、私の両腕を砕いたと思って油断している。攻めるなら今だ! グスグスするな! それとも、この場で、私に殺されたいかぁ!?」
「め、めめめ、滅相もございません!」
猫耳娘が持ってきたエリクサーを飲み干しながら、私は命令した。
相手の虚を突いてこそ、戦いは上手くいく。
私の本能が告げていた。両腕は全快した。攻めるなら今だと。
この時、私はこれが罠だとは──私に破滅が訪れようとしているとは、予想もしていなかった。
「きゃははははッ! もうこれは、笑いが止まらないね」
私は【魔法剣士】のエルザ、17歳。今、金貨で埋め尽くされた風呂に入って、年代物のワインを気分良くあおっていた。
「くぅううううッ! この芳醇な香りと喉越しが、たまんないね。これ一杯で、庶民の年収10年分だよ」
まさに笑いが止まらない。
旧魔王直轄領を占領して、ミスリル鉱山を手に入れたおかげで、湯水の如くお金が手に入るようになっていた。
今いるこの城は、かつての魔王の居城だ。さすがに内装設備が豪華で、とても気に入っている。
しかも私は聖王国から、男爵位がもらえることになっていた。
「は、はひぃいいい! ご主人様、ケーキをお持ちしましたにゃ!」
奴隷にした猫耳娘が、恐る恐るケーキを運んでくる。
とてもカワイイ娘だ。
私はこういう娘を支配してイジメるのが大好きだった。
「遅いぞ、お前! グスグスするな!」
「ぎゃにゃああああッ!?」
火の魔法をぶつけてやると、猫耳娘は変な悲鳴を上げた。
コレコレ。弱い者を痛ぶる時、私は自分の強大さを感じて、心がスカッとするんだ。
「まあ、いい。私は最高に気分が良いんだ。貴族の身分に加えて、勇者パーティへの推薦ってね」
聖王都からの使者は、私に爵位を与えるだけでなく、勇者パーティに推薦したいと告げた。
その肝心な勇者様は、まだ見つかっていないらしいけど……
魔王が現れ、聖王都は大騒ぎだそうだ。
それで、私の力が必要だとか。
へぇ~、おもしろいじゃん。
「勇者パーティに入って魔王を倒せば、莫大な恩賞が手に入る。その名誉も、金儲けに利用できるし。悪い話じゃないね」
私は自分の力に絶大な自信を持っている。
レアクラス【魔法剣士】を手に入れてからの私は、順風満帆だった。
前魔王の娘だとかいう吸血姫グリゼルダもまるで敵じゃなかった。
「前祝いといこうかな。よし、パーティの準備だ!」
「は、はぃいいい、エルザ様! わかりましたにゃ!」
楽しい気分にひたりながら、私は金貨風呂から上がる。
奴隷の猫耳娘が、服を用意して着せた。
その時だった。
「い、一大事です。エルザ様、げばぁああああッ!?」
いくつもの大きな悲鳴と、爆音が重なった。
ズッドォオオオオン!
城の壁を、巨大なモンスターが突き破って現れる。強烈な腐臭が、鼻を突いた。
「なっ!? コイツは、【ドラゴンゾンビ】!?」
骨が剥き出しになったドラゴンの成れの果てが、私を見下ろしていた。
さすがにゾッとする。
こんな化け物が、この土地にいたのか。
「エルザ、ミスリル鉱山はいただいたぞ。俺は魔王カイだ」
驚いたことに、ドラゴンゾンビが言葉を発した。
「俺はお前たちと仲良くなりたいと思っている。死んだお前たちとな。このドラゴンはお前のペットだったが、今じゃ俺の従順な下僕だ」
よく見れば、このドラゴンゾンビには見覚えがあった。切り札として飼い慣らしていたドラゴンじゃないか。
じゃあミスリル鉱山を任せていた【ドラゴンライダー】は死んだのか。
全身の血が逆流したかのような怒りが沸き上がった。
「お前、私のモノを奪ったな!? タダで死ねると思うなよ!」
私は剣を抜いて、灼熱の炎をまとわせる。剣技と魔法を掛け合わせた自慢の魔法剣だ。
私は奪われるのが大嫌いだ。
例え銅貨一枚だろうと、私から奪うヤツがいたら、そいつを八つ裂きにしても飽き足らない。
「奇遇だな。俺も同じ気持ちだ。お前は、俺の命とコレットを奪った。だから、俺はお前からすべてを奪う。これは、ほんのあいさつ代わりだ」
ドラゴンゾンビが、呪いにまみれたドス黒いブレスを放った
直感した。
最強の技で迎え撃たなければ、私は死ぬ。
「こんなものぉおおおおッ!【紅炎斬(こうえんざん)】!」
全身全霊の力を込めて、私は魔法剣を振り下ろしす。
「ぐぅううううッ!?」
両腕に軋むような衝撃が走る。
痛い。こんな激痛は初めてだ。両腕の骨が、嫌な音を立てて砕ける。
だけど、私の勝ちだ。
【紅炎斬】は漆黒のブレスを斬り裂いて、ドラゴンゾンビを焼き尽くした。
「その両腕には回復魔法を阻害する呪いをかけた。これで、もう魔法剣は使えないな。俺の奴隷にしてくださいと、泣いて懇願するなら命だけは助けてやるぞ」
嘲笑を響かせながら、ドラゴンゾンビは消し炭と化した。
「ちょ、調子に乗るな。負けた癖にぃいいいッ! おい、猫耳! エリクサーを持ってくるんだ。早くしろぉおおお!」
「は、はい! ただいまですにゃ!」
私は重傷を負った時に備えて、究極の霊薬エリクサーを購入していた。
どんな怪我や状態異常も、エリクサーなら全快できる。
ヤバい呪いをかけられたようだけど、これがあれば無効化できる。
「私を奴隷にするだって? 身の程知らずがぁあああッ!」
私は怒りに任せて、壁を蹴り飛ばした。壁に大きな穴が開く。
こんな屈辱は今までの人生で受けたことがない。
「あ、姉御!」
部下たちが、武器を手にして駆け付けてきた。
「お前たち、出撃だ! ミスリル鉱山を奪った魔王カイとやらをなぶり殺してやる!」
「えっ!? 今からですかい? 今の襲撃で、コッチもだいぶ殺られましたが……」
「魔王は、私の両腕を砕いたと思って油断している。攻めるなら今だ! グスグスするな! それとも、この場で、私に殺されたいかぁ!?」
「め、めめめ、滅相もございません!」
猫耳娘が持ってきたエリクサーを飲み干しながら、私は命令した。
相手の虚を突いてこそ、戦いは上手くいく。
私の本能が告げていた。両腕は全快した。攻めるなら今だと。
この時、私はこれが罠だとは──私に破滅が訪れようとしているとは、予想もしていなかった。
0
あなたにおすすめの小説
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)
みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。
在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
魔力ゼロの俺だけが、呪いの装備を『代償なし』で使い放題 ~命を削る魔剣も、俺が持てば『ただのよく切れる剣』~
仙道
ファンタジー
現代日本で天才研究者だった相模登(さがみ のぼる)は、ある日突然、異世界へ転移した。 そこは『スキル』と『魔力』が全てを決める世界。
しかし登には、ステータス画面もなければ、魔力も、スキルも一切存在しなかった。
ただの一般人として迷宮に放り出された彼は、瀕死の女騎士と出会う。彼女の前には、使う者の命を瞬時に吸い尽くす『呪いの魔剣』が落ちていた。
武器はそれしかない。女騎士は絶望していたが、登は平然と魔剣を握りしめる。 「なぜ……生きていられるの?」 登には、剣が対価として要求する魔力は存在しない。故に、魔剣はデメリットなしの『ただのよく切れる剣』として機能した。
これは、世界で唯一「対価」を支払う必要がない登が、呪われた武具を次々と使いこなし、その副作用に苦しむ女騎士やエルフ、聖女を救い出し、無自覚に溺愛されていく物語。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます
竹桜
ファンタジー
ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。
そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。
そして、ヒロインは4人いる。
ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。
エンドのルートしては六種類ある。
バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。
残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。
大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。
そして、主人公は不幸にも死んでしまった。
次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。
だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。
主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。
そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる