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ユキと千夜 気に食わないけど実力は認めてるケンカップル

愛してるゲームをして勝敗がつくまで出れない部屋

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「この部屋では何をするんだろうね」
「カードはどこだろう?」

 真っ白な部屋を捜索してカードを見つけた。
 どんなお題なのだろう。
 部屋に何もない、つまりは動画を使わないということだろうが……え?

「本気で言ってるの?」

 カードから文字が浮かび上がる。
 もちろん、だとさ。

「ユキ。愛してるゲームをしようか」
「疲れてるみたいだね。少し休んだほうがいいよ、千夜」
「大丈夫。僕の目は正常だよ」

 ユキにカードを投げ渡す。
 パシュって取った。パシュって。
 ユキは運動できない癖してこういうそれらしいだけできる。
 なんか腹立つ。

「うわー。マジか」
「どうする?」
「どうするってするしかないでしょ。あ、それとも勝てる自信がないんだー」

 ニヤニヤと腹の立つ顔をしてこっちを見てくる。
 ウザイ。マジウザイ。

「やるよ。ユキからどうぞ」
「あら。随分と強気ね」
「負ける予定がないからね」

 正直言って勝てるかはわからない。
 でも自信なさげな姿をみせようものなら負けが確定してしまう。
 だから事実がどうであろうともユキの前では強気でいなければならない。

「じゃあ私からね。愛してる」

 普通に言われた。
 情緒もへったくれもない。
 これ、勝つ気あるのか?

「次は僕だ。あ、あい……」

 意外と照れくさい。
 ユキのことは何とも思っていない。でも「愛してる」というその言葉自体が照れくさい。言いにくい。

「千夜の負けだね」
「負けた……」

 めっちゃ悔しい。
 あの程度で照れてしまうなんて。

「本当にすぐ顔に出るね。それが大抵のことで私に勝てない原因だよ」

 ポーカーフェイスを磨くことを誓った。
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