史上最強の料理人(物理)~役立たずと言われパーティを追放されましたが、元帝国最強騎士なのは内緒です~

枯井戸

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アルバイターガレイト

元最強騎士と吸血鬼と下ネタと私。時々忍者

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「──む? あれは……!」


 グランティ市街地から歩いてすぐの山中。
 そこに、ガレイトを探しに来ていたイルザードがいた。
 イルザードは草むらの中を探していたのか、そこからガサリと顔だけ出して、ある一点を注視した。
 その驚異的な聴覚、視力の矛先はやはり、ひとりの男に向けられていた。
 ガレイトである。
 距離にしておよそ二百メートル程。
 数十メートル先さえ目視するのが難しい山中にて、彼女のガレイトレーダー・・・・・・・・の精度は今日も上々であった。


「ガレイトさん! おー……い?」


 ガレイトを発見して嬉しくなったイルザードは、大きく手を振って自信を誇示しようとしたが、その隣にいたグラトニーを見て、さらにその周囲を注意深く観察した。


「……ブリギット殿が……いない?」


 イルザードはそう呟くや否や、改めて探索範囲を拡大して、ぐるぐると辺りを見回した。が──


「いない……一緒に行動していたはずだが、なぜだ?」


 自分自身で考えても埒が明かないと考えたのか、イルザードはガレイトたちと合流すべく、足早に近づいて行った。


『……しっかし、本当にこんなところに死体があるのか?』


 ピタ。
 ガレイトとグラトニーの話を断片的に聞いたイルザードが、足を止める。


「……死体?」

『俺も詳しく覚えていません。ですが、殺した後は埋めていなかったので、見つけるのはそこまで難しくはないと思いますよ』

「殺したとか、埋めたとか……なんだ? なぜそんな物騒な話を……もしかして、ブリギット殿がいないのと、何か関係が──」

『じゃが、マジで斬り殺したんか?』

「斬り殺す!?」


 口から出かかった声を、手で無理やり押さえるイルザード。


『はい、斬り殺しました。この手で確実に。実際、そのあと焼いて食べましたし』

「や、焼いて……食べ……!?」

『そして、その後グラトニーさんが血を飲んだのでしょう?』

「あの幼女……まさか、血を……? たしかに、エルフの血肉には様々な効果があると言われているが、それはおとぎ話であって、推測の域を出ない。なぜガレイトさんはあそこまで……?」


 イルザードの表情が次第に険しくなっていく。


『まあの。そのお陰で、ここまで元通りになれたわけじゃし。……じゃが、さすがに躊躇なく斬り捨てるのはどうなんじゃ。妾もさすがに、そこまではせんよ』

『いえ、簡単に聞こえたのかもしれませんが、俺がやらなければ、間違いなく逆にやられていました』

「ブリギット殿と、命のやりとり……? ということは、ガレイトさんも仕方なくブリギット殿を……ではなぜ、殺した後ブリギット殿の血肉を……?」

『ま、たしかにパパの言う通り、相手が相手じゃからの。手加減できるような敵ではなかったのじゃろうな』

『ええ』

「……見た目からではわからなかったが、ブリギット殿は相当な実力者だったというわけか……」

『なんじゃ、パパよ。なにか言いたそうじゃな』

『……はい、ですが、本音はやはり、あの肉そのものが希少なので、すこし味見したかった……というのもあったのかもしれませんね』


 そう言って、照れくさそうに頭を掻くガレイト。


「あ、味見……!? それだけの為だけに……? ガレイトさん……あなたという人は……」

『んもぅ~、パパってばいやしんぼさんなんじゃから~』


 ちょんちょん。
 グラトニーがガレイトの腹を、人差し指でつつく。


『いやしんぼといえば、グラトニーさんだって、昨晩はあんなにブリギットさんの(鍋)を食べてたじゃないか。おあいこですよ』

『やだもぉ~、直前にそれで妾を動けなくしたのはどこのどいつ~?』


 がしがし。
 グラトニーが、今度はガレイトの腹をグーで殴る。
 あはははは……。
 うふふふふ……。
 こうして、ガレイトとグラトニーは終始、妙なテンションのまま、談笑をしながら先へと進んだ。
 一方、イルザードは戦々恐々としながら、二人の後をついていく。


「なんだこのノリは……」


 イルザード、人生初のツッコミが、人知れず木の幹へ吸い込まれていった。





『──おお、これかぁ!』


 ガレイトとグラトニーが足を止める。
 そこには、燃焼して炭化した草木や、黒く灼け焦げた地面、そしてガレイトが頭部を両断した竜の白骨化した・・・・・死骸が残っていた。
 グラトニーは落胆した表情になると、とぼとぼと、その遺骸に近づいていった。
 それを見たガレイトも、グラトニーの後に続いていく。


『無駄足、じゃったのかもな』

「無駄足……?」


 木陰からイルザードがひとり呟くが──
 

「二人は一体何を……? あの幼女、ガレイトさんの前で跪いて、何をしているんだ?」

『ほれ、見てみぃ。(骨が乾いて)カッチカチじゃ。真っ白になっておる』

「か、カチカチ……!? 真っ白!?」

『こんなのでは、満足に食すことも出来なかろう……』

「しょ、食す!? ガレイトさん、あなたは幼女に何を……!?」

『そうですね。さすがに、ここまで(時間が)経つ・・と……』

「た……ッ……ハ……ッ!?」


 驚いているのか興奮しているのか、過呼吸になるイルザード。


「ええ!? 立ってるの!? ガレイトさん、あなたの性癖はもうそんなところまで……!」

『で、どうするんじゃ? このままにしておくか?』

『いや、さすがにこのまま放置するのは……いえ、ちょっと待ってください』

『なんじゃ』

『そういえば、聞いたことがあります。こうなってしまっても、これにはまだ使い道はあると』

「どうなってるの!? 見えない!!」


 大声なのか小声なのかわからない奇声で叫ぶイルザード。


『はあ? こうなってしまった物に、使い道なんてあるはずもなかろう』

「だから、どうなってるの! ガレイトさんのそれは!?」

『いえ、ですが、一度これを使った物を、俺も食べたことがあるんです』

「エッ!? どっちもいけるの!?」

『いや、そうは言うてもじゃな……一体どうせいと言うんじゃ。犬のようにしゃぶれとでも言うつもりか?』


 話を聞いていたイルザードが目を見開く。


「しゃ、しゃぶ……!? ま、まさか! これまでの食べるとか、そういうのは布石で、幼女にしゃぶらせるのが真の目的……!? さ、策士……! 恐るべし……! いや、それよりも問題なのは、ガレイトさんが明らかにロリ〇ンだということ……! これは……どう対策すれば……!」

『いえ、違います。俺がきちんとグラトニーさんの口に合うようにするのです』

「く、口に合う……!? ちょっと待った、雲行きがおかしく……」

『待て、パパよ。よもや、自ら料理をする、とか言うのではなかろうな』

『ええ、勿論そのつもりですが……たしか限界まで煮込めばいい感じに……』

「はぁ……! はぁ……! はぁ……!」


 イルザードは興奮のあまり、紅潮した顔を下に向け、大きく肺で呼吸をし始めた。


「……ま、まさに原点回帰……! さすがはガレイトさん。あなたはどうしても、自身のナニを幼女に……うっ!?」

『待て待て! 昨日の(鍋)を忘れたのか!? 忘れたとは言わせんぞ!?』

「き、昨日の……? まさか、もう予行演習は済んでいるというのか……!?」

『妾の体の自由を奪ってから、さらにあんな辱めまで受けさせおって……恥を知れ、恥を!』

「自由を奪って辱め……き、緊縛……!? 緊縛からの……流し込み……おああああああああああああああ……!?」


 たまらず天を仰ぐイルザード。


『ですが、グラトニーさんは俺の試食係ですよね……? 多少の事は我慢していただかないと……』

「し、試食係!? これは……なんというかもう……結婚とか、そういうのより遥かに進んでないか……!? いや、もう進み過ぎて猟奇的な感じなっているが……ヨシ!」


 片足を上げて、遠くから二人を指さすイルザード。


「しかし、しかしだ。なんという事だ……! ガレイトさん……あなたという人は……! 幼女相手にも容赦しないなんて……なんて……男らしいんですか……!」

『我慢も何も、死ぬところじゃったじゃろ! あほか!』

「し、死ぬほど激しいプレイ……ッ!」


 体力がなくなって来たのか、リアクションが薄れてくるイルザード。


『ですが、死にませんでしたよね?』

『それは妾が不死身じゃからじゃろうが! 常人なら死んどるぞ!!』

「常人が死ぬほど……は、はげしい……」

『ですが……』

『もういい! どうしても妾にこれを喰わせようとするのなら、妾が直接これを喰らう!』


 グラトニーはそう言って、落ちていた竜の骨を拾い上げた。


『いや、食べるって言っても、たぶんグラトニーさんでは固くて噛み切れませんよ……』

「か、噛みきる……!? 生!? 調理は!? 煮込まないの!?」


 若干体力を取り戻してきつつあるイルザード。


『だ、だれがこのままボリボリいくか! さっきパパが言ったじゃろ。しゃぶるんじゃ』

『ああ、なるほど』

「な、なんだ……噛み切るわけじゃないんだ……って、本当に今からやるつもり──」

『あー……あー……んんー……』


 グラトニーは口を開けてなんとか竜の骨を口に入れようとするが、骨が大きすぎて咥えることが出来ない。


『むぅ……しかし、なんというか、これは……なかなか大きいの……』

「ゴクリ……大きい……やっぱり、大きいんだ……」

『はい。元々がかなりのサイズでしたので。……とりあえず口に含むのではなく、舐めてみればどうですか?』

「が、ガレイトさん!? やはり、あなたって人は……!」

『おお、たしかに。……なんで咥えようとしたんじゃ、妾』


 グラトニーはそう言うと、まるでアイスクリームのように、竜の骨を舌先でちろちろと舐め始めた。


『どうですか? 美味しいですか?』

『いや、なんか、美味しい不味い以前に、よく考えたら汚くないか、これ』

『ですから、俺が料理しようと……』

「ああ、もう駄目だ。我慢できない……」


 イルザードはふらふらと木陰から出ると、ダッシュで二人のほうへと向かって行った。


『じゃから、パパの料理は絶対嫌──』

「──私も混ぜてください!」
「──もう止めてぇや!」


 もはや危ない顔になっているイルザード……ともうひとり。
 忍び装束を着た、黒ずくめの人間が飛び出した。
 あまりにも突然の事に、その場にいる三人全員が一斉に固まるが、その者だけは、小さく嗚咽を漏らしたままであった。


「イルザード……!? ……と、どなた……ですか……?」


 やがて落ち着いてきたのか、ガレイトが問う。


「し、しのび……にんじゃ……」

「シノビニンジャア……」


 その者以外の三人が、口を揃えて復唱する。
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