史上最強の料理人(物理)~役立たずと言われパーティを追放されましたが、元帝国最強騎士なのは内緒です~

枯井戸

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アルバイターガレイト

元最強騎士とストレンジハンター

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「──もう止めてぇや! なんでこんな真っ昼間から、こんなところで卑猥な事してるん!? おかしいであんたら!」


 シノビニンジャア・・・・・・・・が、頭巾の上からぐじぐじと涙を拭う。


「卑猥……? 何を言うとるんじゃこやつ」

「〝シノビニンジャア〟と名乗っていましたが、お知り合いでは……?」

「いや、妾の知り合いで、今でも生きてるやつなんてもうおらんじゃろ」

「ああ、それもそうですね」

「……なんか、寂しくなってきたんじゃが」

「それよりも、イルザード。なんでおまえがここにいるんだ」

「ああ、そうでした! 私も混ぜてください! そこの幼女なんとかとは比べ物にならないくらい──」

「混ぜる?」

「何にじゃ?」


 ガレイトとグラトニーが揃って訊き返す。


「ナニってそりゃ、くんずほぐれつなドロドロとした肉の宴ですよ」

「肉の宴というか、骨なんだがな……なんなら、おまえも舐めてみるか?」

「ええ!? いいんですか?!」

「ああ、存分に舐めろ。この骨を」

「……骨?」


 言いかけて、首を傾げるイルザード。
 それを見たガレイトが、骨が見えやすくなるよう、現在立っているところから一歩下がる。


「なにこれ」


 イルザードとシノビニンジャア・・・・・・・・が声を揃えて言う。


「見ての通り、竜の骨じゃ」

「竜……?」

「竜の血肉には色々な効能が含まれておるからの。じゃからこうして、パパと妾で探しに来たんじゃが……見事に全部なくなっておっての。せっかく来たのに癪じゃから、とりあえず、落ちとる骨からでも栄養補給出来ぬものかと、アレコレやっておったとこじゃ」

「な、な~るほど。ということは、ガレイトさんのアレにナニするような幼女は存在しないということなんですね!!」

「おい、パパよ。さっきからこやつは言うとるんじゃ」

「……おい、イルザード。もしや、また何かいらん勘違いをしていたのではあるまいな」


 ガレイトがじろりとイルザードを睨みつけるが、イルザードはその視線から逃げるように、明後日のほうを向いた。


「さ、さあ? なんのことでしょうか……?」

「まったく……おまえというやつは……」

「な~るほど。すべては拙者の勘違いというわけか」


 ひとり。
 ポン、と手を叩いて納得するシノビニンジャア。


「あの、すみません。シノビニンジャアさんは……なぜこんなところに?」


 ガレイトがそう尋ねると、シノビニンジャアはその場でバック転して距離を取り、両手で印を結んだ。


「ニン……! これは失礼つかまつった。拙者は〝すとれんじ・はんたあさきがけ〟と申す者にござる」

「ストレンジ……」
「ハンター……」
「サキガケ……」


 三人が順を追って、サキガケの名を呟く。


「ニン! 〝すとれんじはんたあ〟とはつまり、尋常ならざるモノを狩・・・・・・・・・・る者・・、つまり魔物殺しでござる」

「なんかややこしいの。シノビニンジャアではなかったのか?」

「忍び、忍者とは拙者の目指す所のひとつでござる。咄嗟に口をついて出てしまった言葉ゆえ、あまりお気に召さらず」

「それでその、ストレンジ・ハンターサキガケさんは、どうしてここに?」

「通り名はくそ長いので、気軽に魁だけでいいでござるよ」

「サキガケ」

「ニン!」

「おお、聞いたかパパよ。名前を呼んだら反応したぞ、こやつ。〝ニン〟じゃって。あはは、バカっぽい」


 グラトニーが楽しそうにガレイトに話しかける。


「グラトニーさん、いまは話している最中ですので、そういうのは……」

「おっと、それもそうじゃな。話の腰を折って悪かった」

「して、お三方は……」

「ああ、すみません。俺はガレイトです。こちらは……」

「グラトニーじゃ」

「イルザードだ」


 三人がそれぞれ簡単に自己紹介をする。


「がれいと殿に、いるざぁど殿、そして……ぐらとにぃ……?」

「む? 妾がどうかしたか?」


 サキガケは一瞬だけ言いよどんだが、「いえ」と断ると、気を取り直して話を続けた。


「どうもよろしくでござる。……拙者がここにいる理由でござったな。実は拙者、とある組織に所属している魔物専門の退治屋……」

「サキガケ!」

「ニン!」


 グラトニーが腹を抱えて笑う。
 それを見ていたイルザードも、プッ、と吹き出した。


「グラトニーさん……」


 ガレイトが呆れたように釘をさす。


「あはははははは! 面白いの、こやつ! 超反応で答えよるぞ!」

「す、すみません、サキガケさん……」

「ニン! ……いや、気にしないでほしいでござる。それが拙者の持ちネタであるゆえ、ウケたのなら、拙者の腕も落ちてはおらぬという事」

「も、持ちネタ……ですか……」

「して、その魔物殺しが、こんなところまで何の用じゃ?」

「よくぞ聞いてくれた。……近頃、この周辺にて突然狂暴化する動物、魔物が頻繁に出現するという報告を受けたので、魔物殺しである拙者が急遽参上したのでござる」

「あー……」


 ガレイトが気まずそうな顔で返事をする。


「拙者はその原因の究明として、ここら一帯を調査していたのでござるが……なにやら淫猥な気配を察知して、身を隠して様子を窺っていたら、がれいと殿とぐらとにぃ殿が突然まぐわいだして・・・・・・・……」


 ブーーーッ!
 サキガケの話を聞いていたガレイトとグラトニーが吹き出す。


「それで、拙者ビックらこいて……」

「ま、まぐわ……」

「……イルザード、もしかしておまえも……?」

「それ以外になにか?」

「なんでおぬしら、揃いも揃って似通った思考しとるんじゃ」

「いやあ、申し訳ござらん……ただまあ、結局勘違いだったようで、よかったのでござるが……」


 サキガケはそう言いながら、ちらりとグラトニーの持っている竜の骨を見た。


「……どうした?」

「どうやら、それが原因のようでござるな」


 サキガケは二人を無視して通りすぎると、その場にしゃがみ込んで竜の骨に手をかざした。


「骨の形状、重さ、太さから見て、ここで死んだ竜はかなりの大型。……恐らくは〝鬼竜でもんどらごん〟か……〝どらごんもひぃと〟。ここら一帯の動物、魔物はこの死骸を喰って、狂暴化したとみて間違いござらんな」

「ほう……さすがは魔物殺しと名乗るだけはあるの。一目見てわかるのか」

「はい。世に跋扈する魔物共の委細は、一通り頭の中にいれているのでござる」

「ほぅ。それは勉強熱心なやつじゃ。是非とも料理下手なパパにも見習わせたい──」

ぐらとにぃ・・・・・……」


 サキガケがグラトニーの言葉を遮るように、ぽつりとつぶやくように言う。


「……なんじゃ?」

「金髪紅眼。図抜けた戦闘能力と美貌を兼ね備えた、寓話の吸血鬼、傾国の魔性……」


 魁はそう言いながら、ゆらりと立ち上がり、グラトニーの顔を見る。


「……何者じゃ、おぬし」

「よもや、このようなところで遭えるとは……此度の遠征、空振りには終わらなかったようでござるな。……間違ってたらごめん」

「左様。妾こそが、ぐらとにぃじゃ。サキガケとやら、なぜ妾を知っておる」

「……やはりか。竜の血により覚醒したか。……しかし、完全体ではないようでござるな」

「そこまで知っとるか」

「拙者の名は魁」

「……うん、それはさっき聞いた」

「そして、拙者の曾祖母こそが……すだまである!」

「な……!? す、スダマ……じゃと……!? まさか……!」


 その名を聞いた途端、グラトニーが目を見開き、狼狽える。


「グラトニーさん、ご存知なのですか?」

「いや、知らん」

「え?」

「聞いたことない」

「……じゃあ、なぜ驚いているのですか?」

「なんとなく驚いたほうがいいかなって……」

「グラトニーさん?」

「つか、なんなんじゃスダマって。おぬし、さっきから一体何が言いたいんじゃ? ファンか? もしかして、妾のファンなのか? サインでもしてやろうか?」

「……そして──」

「いや、まだ続くんかい」

「その魑の曾祖父こそが……りょうでござる!」


 グラトニーはその名を聞くと、ため息をつき、興味なさそうに腕組みをした。


「また……知らない名前ですか?」

「いや、知っとるが」

「リアクションがややこしいな……」


 イルザードがぽつりと言う。


「どなたなんですか? そのリョウという方は?」

「まあ……なんだ。アレじゃよ……」


 グラトニーが頭を搔きながら、言いづらそうにする。


「ああ、もしかして、眷属の方──」

「妾を封印したやつじゃ」
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