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アルバイターガレイト
閑話 ご当地鴨熊フェアが終わって……①
しおりを挟む「お疲れ様ー!」
ガコン!
オステリカ・オスタリカ・フランチェスカのホールに、飲み物の入ったジョッキを打ちつける音と、男女の声が響く。
「──いやー、それにしても増えましたね、ガレイトさん」
すでに顔が赤くなっているディエゴが、店を見回しながら言った。
「そうでしょうか?」
「そうですよ。この前までは僕とリカルド、レイチェル、モニカさんにブリギットさんと、あとはガレイトさんしかいなかったじゃないですか」
ディエゴの視線の先には、互いの頬をつねっているグラトニーとサキガケの姿があった。
二人の頬も赤くなっており、それがつねったせいなのか、酒のせいなのか、誰にもわからなかった。
「あ、いえ、あの二人は新しく入った従業員とかではなく、臨時で手伝っていただけです」
「そうなのですか? ……てっきり、僕らももうお払い箱かと思って……て、そもそも、解雇されてるんですけどね!」
あはは、と笑うディエゴ。
そして、そんなディエゴを遠巻きから睨みつける痩せモニカ。
「いえ、そんなことは……ディエゴさんたちには、モニカさんもブリギットさんも感謝していると思いますよ」
「そうですか? それは、ありがたい限りです。……ところで、あの二人、グラトニーさんとサキガケさんでしたか」
「はい」
「ぶっちゃけ、どういったご関係なのでしょう?」
酒の席だからか、すこし込み入った事を尋ねるリカルド。
「ああ、詳しくは話せませんが、グラトニーさんは……身寄りのない子の保護(?)のような形ですね」
それに対し、嘘と現実を混ぜて話すガレイト。
「なるほど。……サキガケさんは?」
「サキガケさんは……これも、とある事情から知り合って、明日、ブリギットさんとも一緒に旅へ出るのです。」
「なるほど。謎まみれですが、大体の理由はお察しという──」
ブー!!
リカルドが口から、鼻から、飲んでいた麦酒を噴き出した。
「ぶぶぶ、ブリギットさんも!? 旅に!?」
「え、ええ……」
「あのブリギットさんが、オステリカ・オスタリカ・フランチェスカを離れ、外へ……」
「は、はい……がんばります……」
ブリギットが、ガレイトの陰に隠れれながら答える。
「……なんというか、ガレイトさん、いつの間にか信頼されてますね。仕事以外で、こんなに近くでブリギットさんを見たのは初めてかも……」
「恐縮です」
ガレイトはブリギットを一瞥すると、そう答えた。
「なにか魔法でも使ったん?」
今度は、どこからともなく、レイチェルが現れる。
「いえ、魔法というよりも、ただ色々と料理を教えられていて、そのうちに……」
「ガレイトさんとグラトニーちゃんと、山に鴨狩に行った時、無理やり私の──」
「──のぅおああああああああっ!?」
ガレイトが急に大声を出し、その場にいた全員がビクッと肩を震わせる。
「そ、そうだ、ブリギットさん、さっきグラトニーさんが呼んでいましたよ!」
「え? ほんと? なんだろう……」
ブリギットはそう言うと、とてとてと、グラトニーの所まで歩いて行った。
「……で、何をしたんですか?」
「……で、何をしたのかな?」
ディエゴとレイチェルが意地の悪そうな顔で、ガレイトに詰め寄る。
「えーっと……くうっ!? お腹が……!」
ガレイトは咄嗟に、わざとらしく腹をおさえると、いち早くトイレへと駆け込んだ。
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