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39話 

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 ・・ククッ・・親衛隊隊長ねえ
 
 下級生2人と別れ、そのまま最上階へと向かう四狼は先程見た犬の様な男を思い出し、笑いを抑える為に口元を覆う。

 あれは護衛っていうより愛玩動物だろう?いかにも貧弱そうだ。桜都に負けたというのも頷ける。
 大雅が学園のボスになり1年以上経つのになかなか親衛隊隊長を選ばねえし、あいつの屈強な信者達が列をなして待ってるってのに適当にあしらって、何を考えているのさっぱりかわからなかったが、やっとわかった。

 ーーあのワンコを囲う為か。

 逃げられない様に学園という自分の城に閉じ込めるために。

 親衛隊隊長という役職は、あのワンコにっては鎖の様な物だ。その役割は本来ボスの側で常に控え、守り、主人に絶対服従の存在。忠実な下僕は主人の為に働き、命を捧げる事を命じられる。死ぬまで主人から離れる事は絶対に許されない。
ーーだが、まだそれなら良い方だ。大雅のカリスマ性に惹かれ、喜んで尻尾を振る者はたくさんいるだろう。しかし、あのワンコは違う。大雅を盲目的に崇拝し付き従う様な従順な下僕ではない。強者から立ち向かおうとするあの反抗的な目と強気な態度、そして隠しきれていない弱者としての怯え。大雅の嗜虐性を煽るには十分だろう。育てばより最高の餌となるはずだ。そうして食べ頃になった獲物を動けなくなるまで甚振り蹂躙し、その嗜虐的な性癖を満たす為に側に起き続けるのだろう。

 心配はしていない、所詮他人事だ。あのワンコがこれからどうなるのか。楽しみだ。
 
 考えれば考える程、自分の幼馴染である桜都の前では絶対に見せない本来の性癖が目を覚まし、疼くのがわかる。下級生2人の前ではあのワンコを気にいる大雅の気持ちは分からないと言ったが、自分ほどよく分かる者は居ないだろうと思う。大雅と四狼の性癖はさほど変わらないのだから。

 両者共に気に入ったモノを手に入れる為なら、どんな事だってする男だ。選ばれたカースト上位者なら欲しいモノを無理矢理にでも支配したとして何も悪いとは思わない。逃げ惑う反抗的な者を甚振り屈辱と辱めを与え、自分が上だとわからせ、屈服させるのは何よりも愉しそうだし欲情する。辞めてくれと縋りつく姿が見たくて堪らない。羽交締めにして後ろから勢いよく逸物をぶち込みたい。

 ーーだが、まだ時期ではない。桜都との関係はまだこの生ぬるいままで維持し、完全に準備が整うまでは待つつもりだ。逃げられない様に。

 その為に、まずは解決しなければいけない問題を片付けるか。

「悪い!待たせたな、大雅」
 
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