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40話
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「随分と遅かったじゃねぇか。てめえじゃなかったらぶん殴ってたところだ。」
寮の中でも1番豪華と言われる最上階にある広い部屋。カースト上位者達のためだけに造られた特別な部屋だ。その中央に置かれた大きな革製のソファーには不機嫌そうに煙草をふかしながら座る男が先ほど部屋に入って来た男を横目に睨め付けた。同じ高校生とは思えぬ威圧感と凄みにさすがの四狼も背筋がゾッとする。
「・・ハハハ、相変わらずおっかねえ奴だなあ。俺様のハニーに会ったもんだからよ、会話しない訳にはいかないだろ?」
「ハニーだと?きめえな」
「おいおい、ひでぇなあ大雅。親友に向かって言う言葉じゃあないだろう?」
「誰がてめえなんかと。利害関係が一致しただけだろーが。」
「ハハハ、確かにな!」
「おい、無駄話はいいから結果を早く言え。」
この傍若無人な男は世間話すらさせてくれないらしい。
「ああ。お前が力を貸してくれたお陰で、次期後継者として昨日正式に任命された。礼を言うぜ。」
「そうかよ。だが礼なら行動で示せ。受けた恩はきちんと返さなきゃな、仇となって帰って来ても嫌だろう?」
「そう脅すなよ大雅。バックれるつもりは無いぜ。恩は必ず返す。俺様が出来る範囲で必ず力になると約束するぜ。」
「ハッ、その言葉忘れるなよ。」
四狼が勿論だと頷いたタイミングで部屋の奥にある扉の1つが開いた。
「あれ?四狼君もいたんだね。2人で何話してたの?」
「どうせ盗み聞きしてたんだろ?西園寺。その王子様フェイスは詐欺じゃないのか?」
「ふーん?バレちゃってたか。ボスは気づいてるかなって思ってたけど四狼君も意外に侮れないね。」
生徒会長は開き直った様子で、四狼の勘の良さを褒める。
「やっと俺様の凄さに気付いたか!」
ハハハと四狼は得意げに笑った。
「四狼君の所は解決したみたいで良かったね。君の凄さは十分知ってるから、今後はこっちに力を入れて貰えそうで心強いよ。やっとの思いで手に入れた地位は失いたく無いもんねえ?」
ふふ、と西園寺が不敵に笑う。こういうところが腹黒いと感じる。顔だけは優しい王子様の癖に、こいつの性格は真逆で狡猾、優しい物言いは表面だけで、その本質はかなり冷酷な男だ。
「おいおい、物騒だな。ったく、お前達は揃いも揃って人を脅す!少しは俺様を信じろよな。」
軽く冗談めいた感じで返すもコイツらは本気だ。一瞬、目が笑っていなかった。もし自分が裏切れば、容赦なく切り捨てられる事は容易に想像が出来る。目の前にいるこの学園の支配者、コイツらを絶対に裏切ってはいけない。そう本能が告げる。(もしや・・自分は借りを作ったのでは無く、作らされたのでは無いか。)そこまで考え、底の知れない恐ろしさにゾッとする。
実際、大雅には敵わなくとも西園寺よりは強いと自負している。しかしそれは単純な力技だけで言えばの話、頭の回転の早い西園寺が様々な罠を仕掛ければ自分は負けてしまうかもしれない。それにあの貴志優人までいる。奴等の組織は大雅や幹部達を異様なまでに崇拝しており、そのカリスマ性に惹かれる者は後をたたない。同じカースト上位者ではあるが、勢力的に不利だ。奴らの規模は大きすぎる。絶対に敵にしてはいけない存在だと改めて認識する。今後、桜都を手に入れるには今の地位は絶対必須。権力こそ力こそ全ての世界だ。コイツらと共闘した方が自分にとって有利になるのも確か。今度は覚悟を決めて心の底から応えてやる。
「ーーああ。絶対に裏切らないと誓う。俺様の命をかけてやるぜ。」
「ふふ、その返事を待っていたよ。ねえ?ボス」
寮の中でも1番豪華と言われる最上階にある広い部屋。カースト上位者達のためだけに造られた特別な部屋だ。その中央に置かれた大きな革製のソファーには不機嫌そうに煙草をふかしながら座る男が先ほど部屋に入って来た男を横目に睨め付けた。同じ高校生とは思えぬ威圧感と凄みにさすがの四狼も背筋がゾッとする。
「・・ハハハ、相変わらずおっかねえ奴だなあ。俺様のハニーに会ったもんだからよ、会話しない訳にはいかないだろ?」
「ハニーだと?きめえな」
「おいおい、ひでぇなあ大雅。親友に向かって言う言葉じゃあないだろう?」
「誰がてめえなんかと。利害関係が一致しただけだろーが。」
「ハハハ、確かにな!」
「おい、無駄話はいいから結果を早く言え。」
この傍若無人な男は世間話すらさせてくれないらしい。
「ああ。お前が力を貸してくれたお陰で、次期後継者として昨日正式に任命された。礼を言うぜ。」
「そうかよ。だが礼なら行動で示せ。受けた恩はきちんと返さなきゃな、仇となって帰って来ても嫌だろう?」
「そう脅すなよ大雅。バックれるつもりは無いぜ。恩は必ず返す。俺様が出来る範囲で必ず力になると約束するぜ。」
「ハッ、その言葉忘れるなよ。」
四狼が勿論だと頷いたタイミングで部屋の奥にある扉の1つが開いた。
「あれ?四狼君もいたんだね。2人で何話してたの?」
「どうせ盗み聞きしてたんだろ?西園寺。その王子様フェイスは詐欺じゃないのか?」
「ふーん?バレちゃってたか。ボスは気づいてるかなって思ってたけど四狼君も意外に侮れないね。」
生徒会長は開き直った様子で、四狼の勘の良さを褒める。
「やっと俺様の凄さに気付いたか!」
ハハハと四狼は得意げに笑った。
「四狼君の所は解決したみたいで良かったね。君の凄さは十分知ってるから、今後はこっちに力を入れて貰えそうで心強いよ。やっとの思いで手に入れた地位は失いたく無いもんねえ?」
ふふ、と西園寺が不敵に笑う。こういうところが腹黒いと感じる。顔だけは優しい王子様の癖に、こいつの性格は真逆で狡猾、優しい物言いは表面だけで、その本質はかなり冷酷な男だ。
「おいおい、物騒だな。ったく、お前達は揃いも揃って人を脅す!少しは俺様を信じろよな。」
軽く冗談めいた感じで返すもコイツらは本気だ。一瞬、目が笑っていなかった。もし自分が裏切れば、容赦なく切り捨てられる事は容易に想像が出来る。目の前にいるこの学園の支配者、コイツらを絶対に裏切ってはいけない。そう本能が告げる。(もしや・・自分は借りを作ったのでは無く、作らされたのでは無いか。)そこまで考え、底の知れない恐ろしさにゾッとする。
実際、大雅には敵わなくとも西園寺よりは強いと自負している。しかしそれは単純な力技だけで言えばの話、頭の回転の早い西園寺が様々な罠を仕掛ければ自分は負けてしまうかもしれない。それにあの貴志優人までいる。奴等の組織は大雅や幹部達を異様なまでに崇拝しており、そのカリスマ性に惹かれる者は後をたたない。同じカースト上位者ではあるが、勢力的に不利だ。奴らの規模は大きすぎる。絶対に敵にしてはいけない存在だと改めて認識する。今後、桜都を手に入れるには今の地位は絶対必須。権力こそ力こそ全ての世界だ。コイツらと共闘した方が自分にとって有利になるのも確か。今度は覚悟を決めて心の底から応えてやる。
「ーーああ。絶対に裏切らないと誓う。俺様の命をかけてやるぜ。」
「ふふ、その返事を待っていたよ。ねえ?ボス」
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