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魔力回路師のお仕事
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サクラの桃色のポニーテールと、ミサキのローブを眺めながら、俺は草原を歩いていた。
クエストはC級モンスター、ワーウルフの討伐だ。
一匹一匹はそれほど強くないが、群れで動くため、クエストはB級認定されている。
「そういえば、カナってのはどんな子なんだ?」
「そうですね…おとなしい子ですよ」
「おとなしいって、タエよりも?」
隣を歩くタエを見ると、首を傾げている。
「私っておとなしいんですか?」
自覚はないようだ。
俺さえ絡まなければ、口調は静かで、表情をそこまで出す印象はない。俺さえ絡まなければ。
「ふふふ、確かにタエはおとなしい…じゃなかったいい子よ。だから心配なのよ。さっきはいきなり元気になって何事かと思ったわ」
サクラは左目だけこちらに向けると、おかしそうに笑った。
最初はかなり警戒されていたが、少しは受け入れてもらえているようだ。
「だめよタエ。男はケダモノなんだから」
ミサキは相変わらず警戒心むき出しだ。
それでも、質問には答えてくれた。
「カナだけど、タエの言うようにおとなしい…というか、何を考えているのか分からない部分が多いわね」
「何を考えているのか分からない?」
「そうね…カナだったら、顔を見ていれば分かるじゃない?」
確かにそうだ。表情はコロコロ変わるし、手や足もよく動く。
例えるならば小型犬だろうか。
今も目が合って、嬉しそうに笑っている。
「カナはいつも笑顔なんだけど、どこか作っている気がするかな」
「そうね。話も合わせているだけだし」
「昔はそうでもなかった気がするんだけど…」
タエに目配せをすると、彼女も頷いた。
「そこだけ聞いていると、カナと一緒にいた理由が分からないんだけど。学園時代は仲良く行動を共にしていたって聞いているけど」
「仲良く、ねえ…」
ミサキは複雑そうな顔を浮かべると、溜息をついた。
そのまま言葉を待っていると、ミサキが言った。
「女子校だからよかったのかしれないわ」
「どういうことだ?」
「カナは私と逆なの。生粋の男好き。男がいると目の色を変えるわ」
「先生も女性ばかりだったんだけど、たまに男の講師が来るともう大変。手が付けられないかな」
二人は視線を合わせると、困ったように笑った。
「どう変わるんだ?」
「我先にと戦おうとするわ」
「そいつは…やばいな」
魔力回路師の仕事を放棄したと言ってもいい。
俺達、魔力回路師の仕事は主に二つ。
一つ目は戦闘前に魔力を使えるようにすること。
魔力回路師は体内に宿る魔力はどうなっているかを見ることが出来る。
大抵はまばらで、ひとつひとつがバラバラだ。
それをつなげ、血液のように体に循環させるのが役目だ。
この循環の流れを、回路と呼んでいる。
二つ目は戦闘中の回路の管理だ。
回路に破損があれば修復し、常に魔力を使える状態を維持する。
今の回路が合っていなければ、その場で作り変える。
これをチューニングと呼ぶ。
あえて戦闘に参加しないのは、この業務を優先しているからだ。
最も、中にはチューニングをしない奴もいる。
戦闘狂で、積極的に戦いに参加して敵をぶん殴る。
魔術回路師は決して戦闘力がないわけではない。
魔力の流れが見える、制御出来る分、そこいらの奴らよりもよっぽど強い。
とと、そろそろカナの話に戻ろうか。
クエストはC級モンスター、ワーウルフの討伐だ。
一匹一匹はそれほど強くないが、群れで動くため、クエストはB級認定されている。
「そういえば、カナってのはどんな子なんだ?」
「そうですね…おとなしい子ですよ」
「おとなしいって、タエよりも?」
隣を歩くタエを見ると、首を傾げている。
「私っておとなしいんですか?」
自覚はないようだ。
俺さえ絡まなければ、口調は静かで、表情をそこまで出す印象はない。俺さえ絡まなければ。
「ふふふ、確かにタエはおとなしい…じゃなかったいい子よ。だから心配なのよ。さっきはいきなり元気になって何事かと思ったわ」
サクラは左目だけこちらに向けると、おかしそうに笑った。
最初はかなり警戒されていたが、少しは受け入れてもらえているようだ。
「だめよタエ。男はケダモノなんだから」
ミサキは相変わらず警戒心むき出しだ。
それでも、質問には答えてくれた。
「カナだけど、タエの言うようにおとなしい…というか、何を考えているのか分からない部分が多いわね」
「何を考えているのか分からない?」
「そうね…カナだったら、顔を見ていれば分かるじゃない?」
確かにそうだ。表情はコロコロ変わるし、手や足もよく動く。
例えるならば小型犬だろうか。
今も目が合って、嬉しそうに笑っている。
「カナはいつも笑顔なんだけど、どこか作っている気がするかな」
「そうね。話も合わせているだけだし」
「昔はそうでもなかった気がするんだけど…」
タエに目配せをすると、彼女も頷いた。
「そこだけ聞いていると、カナと一緒にいた理由が分からないんだけど。学園時代は仲良く行動を共にしていたって聞いているけど」
「仲良く、ねえ…」
ミサキは複雑そうな顔を浮かべると、溜息をついた。
そのまま言葉を待っていると、ミサキが言った。
「女子校だからよかったのかしれないわ」
「どういうことだ?」
「カナは私と逆なの。生粋の男好き。男がいると目の色を変えるわ」
「先生も女性ばかりだったんだけど、たまに男の講師が来るともう大変。手が付けられないかな」
二人は視線を合わせると、困ったように笑った。
「どう変わるんだ?」
「我先にと戦おうとするわ」
「そいつは…やばいな」
魔力回路師の仕事を放棄したと言ってもいい。
俺達、魔力回路師の仕事は主に二つ。
一つ目は戦闘前に魔力を使えるようにすること。
魔力回路師は体内に宿る魔力はどうなっているかを見ることが出来る。
大抵はまばらで、ひとつひとつがバラバラだ。
それをつなげ、血液のように体に循環させるのが役目だ。
この循環の流れを、回路と呼んでいる。
二つ目は戦闘中の回路の管理だ。
回路に破損があれば修復し、常に魔力を使える状態を維持する。
今の回路が合っていなければ、その場で作り変える。
これをチューニングと呼ぶ。
あえて戦闘に参加しないのは、この業務を優先しているからだ。
最も、中にはチューニングをしない奴もいる。
戦闘狂で、積極的に戦いに参加して敵をぶん殴る。
魔術回路師は決して戦闘力がないわけではない。
魔力の流れが見える、制御出来る分、そこいらの奴らよりもよっぽど強い。
とと、そろそろカナの話に戻ろうか。
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