魔力を失ってもいいんですか?パーティーを追い出された魔力回路師は気ままに生きる

夜納木ナヤ

文字の大きさ
5 / 42

魔力回路師のお仕事

しおりを挟む
 サクラの桃色のポニーテールと、ミサキのローブを眺めながら、俺は草原を歩いていた。
  
 クエストはC級モンスター、ワーウルフの討伐だ。
 一匹一匹はそれほど強くないが、群れで動くため、クエストはB級認定されている。

「そういえば、カナってのはどんな子なんだ?」
「そうですね…おとなしい子ですよ」
「おとなしいって、タエよりも?」

 隣を歩くタエを見ると、首を傾げている。

「私っておとなしいんですか?」

 自覚はないようだ。
 俺さえ絡まなければ、口調は静かで、表情をそこまで出す印象はない。俺さえ絡まなければ。

「ふふふ、確かにタエはおとなしい…じゃなかったいい子よ。だから心配なのよ。さっきはいきなり元気になって何事かと思ったわ」

 サクラは左目だけこちらに向けると、おかしそうに笑った。
 最初はかなり警戒されていたが、少しは受け入れてもらえているようだ。

「だめよタエ。男はケダモノなんだから」

 ミサキは相変わらず警戒心むき出しだ。
 それでも、質問には答えてくれた。

「カナだけど、タエの言うようにおとなしい…というか、何を考えているのか分からない部分が多いわね」
「何を考えているのか分からない?」
「そうね…カナだったら、顔を見ていれば分かるじゃない?」

 確かにそうだ。表情はコロコロ変わるし、手や足もよく動く。
 例えるならば小型犬だろうか。

 今も目が合って、嬉しそうに笑っている。

「カナはいつも笑顔なんだけど、どこか作っている気がするかな」
「そうね。話も合わせているだけだし」
「昔はそうでもなかった気がするんだけど…」

 タエに目配せをすると、彼女も頷いた。
 
「そこだけ聞いていると、カナと一緒にいた理由が分からないんだけど。学園時代は仲良く行動を共にしていたって聞いているけど」
「仲良く、ねえ…」

 ミサキは複雑そうな顔を浮かべると、溜息をついた。
 そのまま言葉を待っていると、ミサキが言った。

「女子校だからよかったのかしれないわ」
「どういうことだ?」
「カナは私と逆なの。生粋の男好き。男がいると目の色を変えるわ」
「先生も女性ばかりだったんだけど、たまに男の講師が来るともう大変。手が付けられないかな」

 二人は視線を合わせると、困ったように笑った。

「どう変わるんだ?」
「我先にと戦おうとするわ」
「そいつは…やばいな」

 魔力回路師の仕事を放棄したと言ってもいい。
 俺達、魔力回路師の仕事は主に二つ。
 
 一つ目は戦闘前に魔力を使えるようにすること。
 魔力回路師は体内に宿る魔力はどうなっているかを見ることが出来る。
 大抵はまばらで、ひとつひとつがバラバラだ。
 それをつなげ、血液のように体に循環させるのが役目だ。
 この循環の流れを、回路と呼んでいる。


 二つ目は戦闘中の回路の管理だ。
 回路に破損があれば修復し、常に魔力を使える状態を維持する。
 今の回路が合っていなければ、その場で作り変える。
 これをチューニングと呼ぶ。
 あえて戦闘に参加しないのは、この業務を優先しているからだ。
 
 
 最も、中にはチューニングをしない奴もいる。
 戦闘狂で、積極的に戦いに参加して敵をぶん殴る。
 魔術回路師は決して戦闘力がないわけではない。
 魔力の流れが見える、制御出来る分、そこいらの奴らよりもよっぽど強い。

 とと、そろそろカナの話に戻ろうか。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。

織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。 父であるアーヴェント大公に疎まれている―― 噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

宮廷から追放された聖女の回復魔法は最強でした。後から戻って来いと言われても今更遅いです

ダイナイ
ファンタジー
「お前が聖女だな、お前はいらないからクビだ」 宮廷に派遣されていた聖女メアリーは、お金の無駄だお前の代わりはいくらでもいるから、と宮廷を追放されてしまった。 聖国から王国に派遣されていた聖女は、この先どうしようか迷ってしまう。とりあえず、冒険者が集まる都市に行って仕事をしようと考えた。 しかし聖女は自分の回復魔法が異常であることを知らなかった。 冒険者都市に行った聖女は、自分の回復魔法が周囲に知られて大変なことになってしまう。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

処理中です...