魔力を失ってもいいんですか?パーティーを追い出された魔力回路師は気ままに生きる

夜納木ナヤ

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【ケディ視点】どうして俺がこんな目に

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【ケディ】

「よう、久しいなギルドマスター」

 冒険者ギルドに入ると同時に、俺は奥の部屋へと案内された。
 中に入ると、全身ローブで顔には仮面をつけたいけ好かないやつがいた。

「随分と威勢がいいなケディ」

 マスク越しの声はくぐもっていて、男か女か判別できない。
 おまけに感情までないもんだから、機械と話していみたいだ。

「俺と話したいらしいな。なんだよ」
「わざわざ言わないとわからないのか。クエスト放棄の件だ」
「はあ?俺はちゃんと行ったよ。逃げ出した数名のせいで死にかけたけどよ」

 本当のことを言えばいい。
 そう、俺は悪くないんだ。

 悪いのはあいつらだ。

「ミキヤとかいう魔力回路師は言うこと聞かねえし、代わりに雇った魔力回路師は役に立たねえし、元からいたパーティメンバーはミノタウロスを前に敵前逃亡するし、まったく散々だったぜ」

 そうだ、俺は悪くない。

 そうだろ、ギルドマスター。

「ではなぜそうなった」
「あん?どういうこった」

 何を言ってんだこいつは?

「アイツら怖かったんじゃねえか?死ぬのがよ。そのせいで俺は本気で死にかけたけどさ」
「言いたいことはそれだけか?」
「それだけも何も事実を言っただけだよ」
「反省の余地はなしと」

 反省?何をだよ?

「サクマとレントは非を認めたぞ」
「あーあいつらは逃げ出したからな。当然だよな」
「貴様もそうであろう?よくもまあののこのこと顔を出せたものだな」
「は?何のことだよ」
「ミノタウロスを見るや否や逃げるように提案したらしいな」
「な」

 そんなことはしていない。
 俺は戦い、死にかけた。
 町に着いたのだって数時間前のことだ。

「彼らは夕方には報告に来たのだが、貴様はこの時間まで何をしていたんだ?」
「ちょっと待ってくれよ。逃げたのはあの2人と女1人で、俺は1人で最後まで戦ったんだよ。信じてくれよ、な?」
「小賢しい嘘をつくでない!」

 仮面越しでも伝わってくるほどの強烈な怒りだった。

「おいおい落ち着けって。俺は何も嘘を言ってないぞ?それによ、悪いのはあの魔力回路師だ。他の2人も言ってなかったか?ミノタウロスに挑んだ時はいなかったんだ」
「確かにその件について、ミキヤの名は出てこなかったな」
「だろ?」

 よし、行ける。
 まだ奴のせいに出来る。

「だが、ミキヤを追い出したのは貴様であろう?責めることは出来ぬ」
「いやいやだってよ、いくら言われたからって、クエストを放棄してパーティを抜けるなんてあったらいけないだろ?な?」

 クエスト放棄なら奴の方が先だ。

「もういい。貴様はギルドから除名とする」
「はぁ?なんだよ急に!?そえなら奴が」

 声をあげようとすると、問答無用でぶった切られた。

「加えて、ブリリアントも出禁とする。さっさと出て行け」
「ちょっと待てって。なんで俺が罰を受けて、奴は受けないんだよ!」
「理由はひとつ。貴様は必要でないと判断した」
「おいおい、一人で決めていいのかよそんなこと」
「我はギルドマスターだ。それだけの権限がある。ではな」

 足元に魔法陣が生まれ、体が吸い込まれていく。
 そして俺は、見知らぬ山の中に落とされた。

「くそ…どうして俺がこんな目に…あの魔力回路師め、いつか復讐してやる!」
「ほう、威勢がいいのう」
「あん?」

 ちっこい女が俺の前に立っていた。
 帽子のつばをに触れる手が顔を隠して表情が見えない。

「お主は魔力回路師が憎いのか」
「そうだ」
「では力を貸してやろうか?」
「なんだと?」

 そう言って女は、不思議な魔法を発動させた。
 いい。これは確かにいい。
 これなら奴に復讐が出来る。

 奴だけじゃない。
 ギルドごと滅ぼすことが出来るかもしれない!

「見ていろよ…ふふふ、あはははは」

 勝利の笑いが森に響き渡った。
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