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序章
序章ー壱
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未だ世界が混沌たる頃、五色の龍たち天帝より命を受け、五つの土地をそれぞれ貰い受け給う。これぞ、五龍大国の謂れなり。
五龍大国内陸部――黄龍国。
正式な国名は黄龍央国という。この国はかつて、傲慢な王によって民が弑逆されていた。同時代、王の残虐な所業に終止符を打つべきと立ち上がった若者がいた。彼は地方のしがない役人の倅であったが、民に慕われる善き人だったという。
重税や労働に苦しむ国民たちを助けるため彼は山に籠った。そして、この大地を鎮守神である黄龍に、民を救うように祈りを捧げる。
その間、二十日。飲まず食わず彼は必死に祈り続けた。
若者の熱心な願いを聞き入れた黄龍は、国のあちこちに住まう賢人を友にするよう神託を与える。若者は各地を放浪する旅に出た。
若者は賢人たちと友情の盃を交わし、やがて愚王を打ち倒すに至る。
感謝の意として黄龍廟を建立した若者に、龍は自らの力の一部を印として授け、広い器と正しき心を与えて黄龍国の王とした。
若者は初代皇帝となり、龍から賜った『黄』と『華』を苗字として『黄華』と名乗るに至り、『親榮帝』と諡なされた彼の治世は三百年にものぼった。生涯を通じて彼に仕え知恵を貸した賢人たちも、黄龍より力を分け与えられ仙人になったという。
この話は建国神話と呼ばれ、黄龍国の重要な歴史の一つである。
そして、神話の時代から二千年もの月日が流れる――。
五龍大国内陸部――黄龍国。
正式な国名は黄龍央国という。この国はかつて、傲慢な王によって民が弑逆されていた。同時代、王の残虐な所業に終止符を打つべきと立ち上がった若者がいた。彼は地方のしがない役人の倅であったが、民に慕われる善き人だったという。
重税や労働に苦しむ国民たちを助けるため彼は山に籠った。そして、この大地を鎮守神である黄龍に、民を救うように祈りを捧げる。
その間、二十日。飲まず食わず彼は必死に祈り続けた。
若者の熱心な願いを聞き入れた黄龍は、国のあちこちに住まう賢人を友にするよう神託を与える。若者は各地を放浪する旅に出た。
若者は賢人たちと友情の盃を交わし、やがて愚王を打ち倒すに至る。
感謝の意として黄龍廟を建立した若者に、龍は自らの力の一部を印として授け、広い器と正しき心を与えて黄龍国の王とした。
若者は初代皇帝となり、龍から賜った『黄』と『華』を苗字として『黄華』と名乗るに至り、『親榮帝』と諡なされた彼の治世は三百年にものぼった。生涯を通じて彼に仕え知恵を貸した賢人たちも、黄龍より力を分け与えられ仙人になったという。
この話は建国神話と呼ばれ、黄龍国の重要な歴史の一つである。
そして、神話の時代から二千年もの月日が流れる――。
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